書いているときにちょうどキノネキ妊娠の話が来たのでそちらも組み込ませていただきました。今回は某オタクくんサマナーから影響を受けている部分がありますのでよろしくお願いします。
―――魚沼市、大石神社。
ここにはかつて、小出町(現魚沼市)の諏訪神社境内にまつられていた疱瘡神社が移住されてきて、大石神社と合祀されたという経緯を持つ。疱瘡神……天然痘は文明の発展によって完全に駆逐された……はずだったのだが、終末を得て天然痘も復活。大いに疱瘡神としてその権能を振るおうと思っていたのだが……。
「シテ……。滅ぼして……。もうやだ……。」
ひんひん、と疱瘡神社に封じられた……もとい奉じられた疱瘡神の姿がそこには存在していた。
彼女は救護ネキの実験として疱瘡除けである「二度とこの地には入らない」という証書に痘鬼の手形を山のように大量生産されられている。源為朝が八丈島から痘鬼を追い払って二度とこの地には入らない、という証書を作成したという逸話に基づいており、この痘鬼の証書があれば天然痘はその場に入れない一種の結界となる。
疱瘡神にとって、自分の力を逆用されて病気を退けるのは極めて屈辱的な事である。
下手に出て頼まれて行うのなら、それは自分自身の力を誇示できて人間たちから畏怖のMAGも獲得できる。
今の彼女は首から「私は敗北主義者です。人間の犬です」と看板をつけながら生活してるのと同じ屈辱的状況だ。(少なくとも疱瘡神自身にとっては屈辱以外の何物でもない)
だが、そんな彼女を他所にトラックのコンテナを軽々と背負ってきた救護ネキは、彼女の前にそれをズン!と置く。
「こ、これは……?」
「天然痘ワクチンです。このコンテナ単位で貴女の力を込めてもらいます。」
そのコンテナ内部にあるのは無数の【天然痘ワクチン】のアンプルである。この天然痘ワクチンに疱瘡神の力を籠めることによって疱瘡……天然痘を退ける霊的な力を付与しようというのだ。これならば、例え霊的な天然痘であっても、「疱瘡神の加護」によって病気を退ける事ができるはずである。当然のことながら、これだけのアンプルに自分の力を病気予防に使用するなど、疱瘡神によってまさに「生き恥」以外の何物でもない。思わず逃げようとする疱瘡神の首根っこを掴むと救護ネキは、そのままコンテナ内部に彼女を放り込んでそのまま鍵をかける。
全てのアンプルに加護を付与するまでそこから出さないつもりである。
「日本だけでなく海外も輸出しないといけないので、お替りのコンテナは山のようにありますよ?頑張ってくださいね。……まあこのコンテナが終わったらしばらく自由時間をあげますから。こちらはこれでよし。さて、他のところにも行きますか。」
ひんひん……とコンテナの中から泣き声がするのをスルーしつつ、救護ネキは別の場所へと向かっていった。
―――救護ネキの特殊秘密医療基地。その地下では、手足を吹き飛ばされてダルマ状態のまま吊り下げられている「ツィツィミトル」が存在していた。両手両足を失った彼女は禁呪符*1やグレイプニル*2で完全に束縛状態にされていた。そんなツィツィミトルに対して、救護ネキは淡々と言葉を放つ。
「さて、ツィツィミトル神。貴女は悪神でもありますが出産を司る神でもあると聞きました。人魚ネキの作り出す『安産の守護結界』*3はこれ以上強請ると逆効果。タマヨリヒメ神も大和神であり人々を保護しているので、『安産の結界』*4をそんな大量に作ってくれ、とは言えません。そこでちょうどよく酷使できる出産を司る神が来てくれました。……私が貴女に何を望むかわかりますか?」
じろり、と救護ネキは冷たい視線でダルマ状態のツィツィミトル神を睨みつける。
『安産の守護結界』や『安産の結界』は救護ネキからしたら喉から手が出るほどほしいが、いかに彼女であろうと味方である人魚ネキやタマヨリヒメにあまり負担をかけさせるのは本意ではない。
無理に作らせて「これ以上作りません」となるより、長期的に気が向いた時に作ってもらうのが一番である。
だが、元敵であるツィツィミトル神は別である。酷使してもどこからも文句は言われない。
「そう『出産を司る結界』です。貴女にはそれを開発してもらいます。貴女に拒否権はありません。」
ツィツィミトル神は犠牲を強いる悪神でもあるが、助産婦や経産婦に崇拝される神でもある。
つまり出産関係の神であれば、人魚ネキやタマヨリヒメには及ばずともそれなりの結界は作成できるはずだ。
安全性を考慮して、ガイア連合の中でも優先度の低い……多神連合や穏健派シェルター、または小さな町や村のシェルターに与えられる予定だが、ないよりはマシになるはずである。
そして、彼女が作り上げた出産系の結界を分析した救護ネキは判断を下す。
「うーん……。『死産防止結界』ですか……。まあヨシとしまょう。」
ツィツィミトルが作り上げたのは『死産を防止する結界』である。これはただ死産を防止するだけで安産の考慮は行われていないので、救護ネキからしたらまあ……うーん、という出来である。
えっ?無茶苦茶頑張ったのに酷くない?とツィツィミトルは思わず愚痴るが『安産の守護結界』や『安産の結界』を見ている救護ネキからすれば『死産を防ぐ結界』というのは遥かにランクが下がってしまうのは仕方ないだろう。それでもないよりマシなので大量生産して各シェルターに配備する予定である。(なおツィツィミトルの負担)
これだけでは救護ネキとしては不満なので、ほかに何かできないか、と腕を組んで彼女はうーんと考え込む。
「ふむ、確かツィツィミトル神はムド系も得意なはず……。ムド系を応用して雑菌や魔虫を完全に殲滅できる『絶対滅菌結界』でも作成してもらいましょうか……。ああ、当然のことながら未覚醒者に悪影響が及ぶようでは認められません。未覚醒者たちに影響が出ないように極めて精密な術式操作と『菌』についての概念を勉強をしてもらいます。」
例えば、極端に免疫の低下した人間を保護するための完全無菌室である「クリーンルーム」などをオカルト的に作り上げ、そこで霊的な免疫力が落ちた人間を治療するときに使えないか、と彼女は考えているのである。
えっ?酷くない?容赦なくない?とツィツィミトルはひんひんと思わず涙を流していた。
―――北神奈川支部。
この支部のトップであり黒札の一人である『キノネキ』が妊娠状態になって病院内部で安静している中、北神奈川支部は最大の警戒態勢を取っていた。*5
絶対にこの隙をついて好き勝手に暴れまわろうとしたり、妊娠中の黒札であるキノネキを狙って攻撃を仕掛けてくる(無謀な)連中が出てくるのは火を見るよりも明らかだからである。
北神奈川支部の支部長代理である「九島喜太郎」は北神奈川支部のあらゆる戦力を動員して治安維持とキノネキの防衛に当たっていた。そして、彼に対して力を貸しているのは黒札の一人である『探求ネキ』……の木分身である。
探求ネキはキノネキが落ち着いて出産に専念してもらうために、キノネキが見える範囲では程々。そして、キノネキの見えてない所に手を伸ばして、キノネキの防衛や北神奈川支部の防衛などを陰ながら行うつもりである。
そして、さらにもう一人は……。
「あの……。探求ネキ様の分身が来るとは聞いてるんですが、そちらの分身のお方は……?」
「……別に私たち呼んでないですよね?なんでここにいるんですか?」
そう、そこにいるのは、キノネキが「忙しいだろう」と気を使って声をかけなかった『救護ネキ』……の分身である。呼ばれもしないのに勝手に押しかけてきた彼女の分身は、ふんす!と鼻息荒くその疑問に答える。
「勝手に独断で押しかけてきました!キノネキの許可は取っていません!」
ふんすふんす、と救護ネキの分身がやる気満々なのに対して、お、おう……と探求ネキの分身と喜太郎は引きながら答える。キノネキが「忙しいから」と気を使って呼ばなかったのに、許可も得ずに勝手に分身が押しかけてくるのはやはり救護ネキだからとしか言えないだろう。
「ともあれ、北神奈川支部の最大戦力であるキノネキがしばらく身動きが取れない以上、様々な悪魔やメシアンたちが北神奈川にちょっかいをかけてくる可能性は大いにあります。キノネキに知られないように安心して出産してもらうために、私も色々手を回しますので、支援をお願いします。」
「私がキノネキの身の回りの世話や防衛を行う『ディフェンス』救護ネキは色々な奴らを叩き潰す『オフェンス』としてお願いします。鬼太郎さんは私と協力して北神奈川支部の戦力の振り分けと指示。キノネキに対して徹底的な情報封鎖をお願いします。」
「なるほど……。キノネキの負担をかけずに北神奈川支部の支援を行い、安全に出産してもらう……。つまりは『救護』ということですね!!分かりました!!」
その救護ネキの分身の答えに、お、おう……と探求ネキの分身と喜太郎は引きながら頷いていた。
北神奈川支部から近い都市……『蟲毒都市-横浜-』
そこではキノネキの病院に対して襲撃を仕掛けようとしている多神連合の男……『幽鬼ピシャーチャ』と融合した『悪魔人間』である男が存在していた。
彼は悪魔である『外道 クリス・ザ・カー』を大型バスに改造。そして多数の少女を攫ってきて、ハピルマ漬けにした彼女たちをバイツァ・ダスト*6で『爆弾化』させて突っ込ませて大混乱させようと企んでいるのだ。
そして、その大混乱の際に病院に乗り込んでキノネキを確保しようというのだ。いかに強くても妊娠状態ならば身動きは取れない。そうして彼女を浚う!というのが彼の考えである。
「クリス・ザ・カーは悪魔だからCOMPに収められる。できるだけ近くに近寄って起爆させればいい。さて、それでは……」
彼がクリス・ザ・カーをCOMPに収めようとした瞬間、窓を突き破って何者かが飛び込んでくる。
その何者かは、手にした銃をクリス・ザ・カーの中にいる爆弾化された少女たちに叩き込んでいた。
その弾丸は、『非殺傷麻痺弾(対象を麻痺……PALYZEにさせる状態異常弾)』である。それらを受けた少女たちの状態は『爆弾化(BOMB)』から『麻痺(PALYZE)』へと上書きされていく。
「な、あ!?俺の爆弾化が変えられた!?起爆しねえ!?」
状態異常には優先順位があり、優先順位の低い状態異常から高い状態異常に変化することはある。*7
そして、爆弾化より一段階高いのが『麻痺(PALYZE)』である。麻痺(PALYZE)状態になった彼女たちは爆弾化を上書きされているので、起爆することはない。(さらに高い段階は『石化』などがある)
そして、それを行っているのはショットガン「ウィンチェスターM1887」の自前のガイア銃を手にしている救護ネキである。人質をあっさりと無効化させれた彼は怒り狂って『幽鬼ピシャーチャ』の力を放とうとする。
「貴様ぁあああ!!俺の企みを台無しにしやがって!!」
それと同時に、他の窓を突き破りながら一人の男が飛び込んでくる。それは横浜のプロテスタント神父である『アタル・ソルジア』*8である。アタルと救護ネキは目を合わせると、二人揃って悪魔人間を挟み込むように疾走し、同時にラリアットの挟み撃ち……クロスボンバーを叩き込む。当然、そんな攻撃に耐えられるはずもなく、悪魔人間の男はものの見事に粉砕された。それを見ながら二人は無言で目を合わせて頷きながらユウジョウ!を育んでいた。
114:名無しの疱瘡神
シテ……コロシテ……
115:名無しのツィツィミトル
シテ……コロシテ……
116:名無しの疫病神
負け犬乙
117:名無しの疫病神
あっ、負け犬どもだ。人間ごときに負けて人間の犬になるとは恥ずかしくないの?
118:名無しの疫病神
まったく人間に負けて言いなりになるなんて疫病神の恥さらし!!負け犬!!
好き勝手に病魔をバラまいて人間どもを恐怖と苦しみに突き落とす!!これこそ我らの誇りよ!!
119:名無しの疫病神
人間どもの疫病を恐れるMAG美味しいです!!最近は疫病を恐れる畏怖の念の増大してるしな!!
120:名無しのパズス
ふん!!私にもっと人間どもを畏怖させるいい考えがある!今北神奈川の黒札*9は妊娠で身動きが取れない……だがそれなりに警備も厳重……ならば病院に病魔をばら撒いてやればいい!身動きが取れない妊娠中の黒札に対する最も効果的なやり方だ!*10
身動きの取れない黒札に病気をばらまき、直してほしければ……と脅せばいい!!俺様の疫病神としての強さをアピールする絶好の機会よ!!動けなくなった黒札を捕らえるもよし!病気を介して黒札内の胎児に侵食するもよし!!夢は広がるなぁわはは!!
121:名無しの疫病神
さすが古代メソポタミアの強大な神、邪神パズス!そこに痺れる憧れるゥ!!
122:名無しの疱瘡神
はははははは!言ったな!?言ったなお前!?それはライン越えてるぞ!!
123:名無しの疫病神
何だ?狂ったか?
124:名無しの疱瘡神
死なば諸共ォ!!救護ネキ様!!ここに妊娠中の黒札に病魔をばら撒こうとする悪魔がいまーす!!
125:名無しの疫病神
は?
126:名無しの疫病神
は?
127:救護
救護救護救護救護救護救護救護救護救護
救護救護救護救護救護救護救護救護救護
救護救護救護救護救護救護救護救護救護
128:名無しの疫病神
うわぁあああ!何だこいつはぁああ!!
129:名無しの疫病神
か、怪物や……怪物が襲いかかってきたぞぉおお!!
130:救護
なるほど……パスズ神は風と疫病の古き神……確かにこの板屈指の実力者というわけですね。
だが無意味です。救護ォ!!
131:名無しの疫病神
パ、パズスくんふっとばされたー!!!
132:救護
救護救護救護救護救護救護救護救護救護
救護救護救護救護救護救護救護救護救護
救護救護救護救護救護救護救護救護救護
救護救護救護救護救護救護救護救護救護
救護救護救護救護救護救護救護救護救護
133:名無しの疫病神
くくく……パズズは我々の中でも割と強めの疫病神……いやどうするんだこれ。(真顔)
134:名無しの疫病神
あんな怪物に勝てるか!!
135:名無しの疫病神
馬鹿野郎!逃げるってどこに逃げるんだよ!!
136:名無しの疫病神
あいつは海外には出れない!つまり海外に逃げるんだよ!!
137:名無しの疫病神
でも海外って純粋に人少なくね?俺たちがエンジョイできる場所あるの?
138:名無しの疫病神
いいから逃げろ!逃げるんだよぉおおお!
139:救護
救護救護救護救護救護救護救護救護救護
救護救護救護救護救護救護救護救護救護
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救護救護救護救護救護救護救護救護救護
140:名無しの疫病神
うわぁああああ!どっちが怪物だよ!向こうの方がよっぽど怪物じゃねーか!!
141:名無しの疱瘡神
はははははは!!死ぬんだぁ!!皆死ぬんだぁああ!
死ぬより酷い目に合うんだぁ!!皆私と一緒にひどい目にあえぇえええ!!
……そのしばらく後。そこにはツィツィミトルと同じようにダルマ状態で禁呪符*11やグレイプニル*12で完全に束縛状態にされていた『邪神パズス』が存在していた。
救護ネキは、そんな拘束状態の邪神パズス(ガイアレベル52、ソウルハッカーズ2版)に対して淡々と言葉を放つ。
「さて、パズズ神。貴方にはやってもらいたいことがあります。貴方は嵐の神であると同時に疫病の神でもあります。その権能を利用して『衝撃』の属性を持つ『属性弾』並びに『衝撃』と『疫病』の能力を併用する『衝撃疫病弾』を作成してもらいます。」
確かに、このパズスは『ポイズンブレス』『マハ・ザンダイン』をスキルとして使用している。このスキルを使用すれば『衝撃属性弾』『衝撃疫病弾』の生産も可能だろう。ほかの邪神パズスではムド系列を使用できる個体も存在している。*13その力を引き出さずに「衝撃」系列の弾丸を作成しようというのは理由がある。それは……。
「風の噂ですが、『ムド無効』『衝撃弱点』の能力を持ってる強い天使が出現しているらしいですしね……。それらムド系を無効化する天使に対する対抗策を作っていかねば。」*14