よろしくお願いいたします。起源は1週間ぐらい?
どうでもいいけど、ほむらとユウカはお互いツーサイドアップ親子になりそう。
その時、私……『黒川千秋』たちの所属する小シェルターは滅びかけていた。
山形県、新潟県、福島県に跨る『磐梯朝日国立公園』の近くにある小さいシェルター……村落を維持している私たちは信じられない物を目にすることになった。
尾瀬国立公園に隠れ潜んでいると噂されていたマヤ系の神を信仰する人々が作り上げたマヤ系の拠点。そしてそこから生み出された巨大な存在『妖獣カブラカン』(劣化分霊、レベル45)
背中に多神連合シェルター(マヤ系の神殿)を乗せたその超巨大な四つ足の亀のような怪物は、あらゆるものを踏み潰しながらただひたすら突き進んでいたのだ。
カブラカンはマヤ神話に伝わる巨人。ヴクブ・カキシュの次男で、その名は「地震」を意味する。とても怪力で、山々を容易く突き崩しては、自分を「山を覆す男」と称していたという。
その影響もあって、巨人というよりも「巨大な亀」と化したカブラカンは足を踏み出すたびに周囲に地震を巻き起こし、咆哮を上げる。
後で聞いた話だが、マヤ神話系の多神連合の一部が「背中にマヤの神殿を乗せた安全なシェルター」兼「移動できる安全な拠点」として召喚しようとしたが、不完全状態で無理矢理召喚されたため、MAG不足でとにかく目につくものを貪り食らう状態になったらしい。
何でも『米沢市近くにあるガイア連合の地脈の要』である米沢支部を狙ってそこに侵攻するための戦略兵器にするとかなんとか。*1
基底55.3メートル四方、高さ24メートルのマヤ型ピラミッドを背負った100mを超える大怪獣。そんな怪物など人の手に負える代物ではない。まさに天災そのものである。この巨体を直接質量兵器にして米沢支部に直接ぶつける予定だったらしい。
そんな天災のようなあらゆる物を踏みつぶし、食らいつくすような大怪獣にただの人間ができる事など何もない。もはやここまでか……と諦めかけた次の瞬間、凄まじい轟音が私たちの耳に響き渡った。
空を破裂するほどの轟音。それは空を超高速で飛行するソニックブームによって発生する音らしい。次の瞬間、まるで瞬間移動のように超小型の戦闘機? のような機体が上空へと現れていた。その戦闘機は、下に吊り下げた巨大な砲塔を展開して、その砲口をカブラカンへと向ける。
『森田から通信連絡。シェルター内に捕らえられた人員は全て生贄に捧げられていたとのこと。このまま吹き飛ばすのが最善と判断します』
『了解、足止めをするからこのまま吹き飛ばすぞ。氷の壁ッ!!』
その瞬間、100mを超える大怪獣であるカブラカンの周囲を取り囲むように、巨大な「氷の壁」が瞬時に形成される。いきなりの氷の壁に覆われたカブラカンは、その大重量で氷の壁に体当たりするが、氷に罅が入るところか、逆にカブラカン自身にピキピキと冷気が伝わって凍り付きそうだったので、慌てて後ずさりする。
巨大な氷の壁で足止めを食らったカブラカンに対して、その小型戦闘機は高速飛行を行いながらカブラカンに照準を合わせる。
『照準測定完了。砲撃準備完了。
機体から吊り下げられた巨大な砲台から放たれる眩いほどの膨大な閃光の奔流。
大気を引き裂きながら襲い掛かる猛烈な光の奔流……「メギドラオン」というらしいそのあらゆる存在を打ち砕く万能の力を秘めた膨大な奔流は妖獣カブラカンへと直撃。瞬時にカブラカンを瞬時に『蒸発』させた。
その瞬間、カブラガンの全てを吹き飛ばし、「蒸発」させると共に、立ち上るキノコ雲とともに襲い掛かる衝撃破、そして耳を破かんばかりの轟音。その衝撃波は周囲に展開された「氷の壁」によって防御されて、弾き返されて、周囲には全く被害を与えない……がその内部は無残な事になっていた。
メギドラオン砲撃による爆風、そして氷の壁によって弾き返された衝撃波により、氷の壁内部の破壊力は減衰することなく、その内部全てを例外なく跡形もなく粉微塵に吹き飛ばしたのだ。
立ち上がるキノコ雲を見て、戦略核にも匹敵する威力のメギドラオン砲撃に呆然となっている小シェルターの面々だったが、だが、そんな中でもカブラカンから間一髪脱出したごく一部の悪魔……「凶鳥 カマソッソ」(レベル9)が飛行しながら私たちの村を襲撃してきた。COMPもまともな対悪魔兵器もない小シェルターにとって数体の高位悪魔(現地民基準)が襲い掛かってくるだけで、もはやここまでか……。くっころ! と観念した時に、異変が訪れた。
「おっと!! 踊り子さんにはお触り禁止やで!!」
そんなカママッソたちの前に瞬間移動のように出現して立ちふさがるのは、一人の小太りの男性である。彼は腰の後ろから日本刀を取り出すと、三人に分裂……分身を作り出す。その体形から到底思えないその三人分裂の高速移動に、思わず千秋たちは目を疑った。
「ホンマやら『阿修羅』は敵全体にダメージを与える忍術なんやが……ワイだと分身が限界やからな。だからコイツでカバーするで!! 『鎌鼬』ッ!!」
カルトマジック『忍術』の最強の技『阿修羅』。*2それは高速で移動することにより、3人に分身したように見せて敵全体に威力分のダメージを与える忍術とは思えないほどの派手な技である。
しかし、流石の森田といえど、現地民ではここまでの領域に至るのは難しい。森田でも三人に分身するように見せかけるのが限界である。
そこで、彼はほかの忍術……日本刀を振るって真空刃を飛ばす『鎌鼬』*3を合わせて、三人に分身してそれぞれが真空刃を叩き込むという『阿修羅(劣化)』と『鎌鼬(劣化)』を組み合わせる独自の業を開発したのだ。
三人に分裂して放たれた真空刃は、カママッソたちを次々と薙ぎ払っていく。さらにそれと同時に森田は突撃して残ったカママッソも日本刀で葬っていった。
……なおこの『三人に分身して真空刃を放ちながら突撃する』技を見て、黒札たちが「FSSのブレイクダウン・タイフォーンじゃねーか!! 剣聖剣技じゃねーか!!」と突っ込んだのはまた別の話である。*4
「こっちは大丈夫やでー。あとはこっちで何とかするやで。」
そして、カママッソを葬って森田の通信を聞いた小型戦闘機は、悠々と高速で飛行しながら反転し、挨拶代わりに軽く翼を左右に動かし、さらに大気を引き裂くソニックウェーブの轟音と共に颯爽と帰還していく。
その鮮やかな姿に私……「黒川千秋」はすっかり惚れ込んでしまったのだ。少しでもあの人の力になりたい、そう思ってしまったのだ。そして、自分を守ってくれた森田から話を聞こうとも思ったのだが……。
「おっと、お嬢ちゃん。ワイに近づいたら(ワイが精神的に)火傷するで……。綺麗な女性と交友関係なんて結べへんワイは人間社会のノイズや!!お嬢さんに相応しい黒髪ロング連れてくるからそちらと会話してな!!」
そんな訳の分からない事を言う森田に対して、千秋は、は、はぁ……と答えるしかなかったのだった。
……そしてその後、すでに覚醒していた千秋は、森田から連絡を受けたヴィルトゥオーサから護衛のための金属樹の金属で出来た霊刀や簡単な霊装などを渡されてることになった。黒札ほどではないが、ソロモン72柱のうち2柱と契約をしてレベル30にも達する彼女は、現地民トップクラスの霊才を誇る。そんな彼女が千秋に武装を与えたのは、彼女自身の魂が奏でる「旋律」がヴィルトゥオーサに気に入られたからである。暗部にスカウトしようかと思ったが、暗部の仕事でその魂が汚れるのを嫌ったヴィルトゥオーサはあえて誘わず、千秋にこう口にした。
「ふふ。黒川さんは中々面白そうな「演奏」を奏でてくれそうですからね。その気があるのならおいでなさいな。黒札様がいらっしゃる「魚沼シェルター」までね。」
ヴィルトゥオーサ自身がそのまま魚沼シェルターまで連れていくのでもいいが、それでは彼女の成長にはならない。そして、その程度もできないのでは到底黒札様の力にはならない。それがヴィルトゥオーサの判断である。
何だかんだで覚醒していた千秋に彼女は武装を与え、多少戦闘訓練だけ行い、後はキャラバンを紹介して自力で魚沼シェルターで迎え、というヴィルトゥオーサの指示に従い、千秋はキャラバンの護衛の一人として戦闘訓練を積みながら魚沼シェルターへと向かっていった。
「ここが魚沼シェルター……!」
福島県から新潟市シェルターへと出て、そこから長岡市シェルターを通りながらキャラバンの護衛を繰り返し、何とか千秋は魚沼シェルターへと到着した。人の生存を許さないほどの過酷な終末後の外界の環境と異なり、強大極まりない多種多様な泡状結界に覆われた魚沼シェルターは、彼女からすればまさに理想郷とも言える世界だった。人々は豊かな大自然と共に生活を謳歌し、大悪魔からの脅威に怯える必要もない。大都市型シェルターとはまた違った豊かさに目を奪われながらも、彼女は魚沼シェルターの【人外ハンター協会】でハンターランク登録と移住手続きを行い、魚沼シェルターで生活を行うことになった。
……とはいえ、移住します。はいそうですか。で即許可ほど甘くはない。
体内に悪魔が寄生していないか。人の皮を被って中身は悪魔だったりしないか。他の大悪魔に洗脳されていないか。メシアンなどではないか。といった【健康チェック】を受ける事になる。
浄化の霊水を飲んで体内の浄化、霊水風呂に入って体外の浄化、悪魔忌避剤を飲んで体内に悪魔が潜んでいないかのチェック、きちんとした人間であるかのチェック、対メシアンの霊的チェック……などを潜り抜け、ようやく、第二外壁内部へと居住を許されるのだ。
そして、覚醒している人間ならばシェルター内部で仕事はいくらでもある。農作業の手伝い、畑の手伝い、川魚の釣り作業、家畜の餌になる霊草の栽培、近くの山の山菜取りなどなどだ。
これらの仕事を行っていれば、悪魔と戦うなど危険な仕事をせずに、低収入だが安定した仕事を行うことができる。それがどれだけ贅沢なことであるかは、外部から来た千秋にはよく理解していた。
(とはいえ、このままでは黒札様の力になるなど夢のまた夢。やはり……黒札様の目に止まるには、入るしかないか……。防衛部に!!)
──―魚沼シェルター防衛部。
それは元自衛隊をメインとして人外ハンター協会の現地民のデビルサマナー、デビルバスター、他様々な異能者たちが悪魔たちから魚沼シェルターを防衛するために作られた部門である。
いわゆる静の「黒騎士部隊」は九重家の「私兵」であり、防衛部トップのほむらと指示系統が違う事が大きく異なる。だが、実際は防衛部と黒騎士部隊はお互い魚沼シェルター防衛のために協力することは多く、仲は良いといってもいい。……というか協力しなければ強力な悪魔には対抗できない、というのが正直なところだろう。
防衛部のメイン戦力はやはり元自衛隊の「第30普通科連隊」であり、彼らは黒騎士部隊とはまた別のG3デモニカの派生型『SAA』*5を装備している。
SAAは北神奈川支部の重装甲デモニカ「ノープ」や「ハーク」とは真逆のコンセプトであり『軽装甲・高機動』をコンセプトにして作成されたデモニカである。
なぜ軽装甲・高機動といえばそれは魚沼地方の豪雪地方という特性がある。豪雪地方で重装甲デモニカでは身動きが取れない可能性が高い。雪原に対する対策として、できる限り軽くしホバーシステムを導入、さらに各機に「スキーユニット」も装備できるようにして、雪原でも自由自在に軽快に移動できるようにしている。
さらに、自衛隊たちが守護神と仰いで信仰している多脚戦車も雪原・寒冷地仕様に改造されており、黒札の一人である「アリスニキネキ」が使用している寒冷地・極地仕様改造モデル『T95D-BWT』の簡略生産版を配備している。
(他にもいざという時に戦場に急行できるように無惨ニキが作成した凶鳥ハーピーを本霊とする簡易シキガミコアを中枢とし、主動力炉として五行炉を搭載した戦闘ヘリ『ジガバチ』なども導入している)
そのメイン戦力のほかに人外ハンター協会の様々なデビルバスターやデビルサマナーたちや様々な人員も存在しているが、やはり防衛部のメイン戦力としては彼らだろう。
そして、その防衛部のトップに存在するのが、黒札の嫁の一人であり、ホノカグヅチの転生体として現地民離れした霊能力と戦闘力を持っている黒髪ロングをハーフツインにした女性「秋葉ほむら」*6である。
防衛部の中でも最強の戦力を誇るほむらがトップに立ち、さらにアジ・ダハーカと融合した魔人であるシンジが右腕となっており、この二人がいざというときの戦力となることで防衛部は成り立っている。
この二人は黒札でもないのに黒札(それなりに鍛えた)にも互角に戦いうる存在である、と防衛部の皆からは非常に強い支持を集めている……らしい。
ともあれ、魚沼シェルターの防衛部に入った千秋は、防衛部トップのほむらに出迎えられる事になった。
「初めましてね! 私が魚沼シェルターの防衛部トップの『秋葉ほむら』よ。よろしくね」
黒髪のハーフツインとフリルをあしらったグレーのブラウスと紺のスカートを合わせた落ち着いたガーリースタイルの極めて強力な霊衣を身にまとった美少女であるほむらだが、その実際は黒札の直弟子であり、嫁でもあり、準黒札レベルである防衛部トップである。彼女からしてみればとんでもないお偉いさんが直接やってきて会話を行っているのだ。これで緊張しないほうがどうにかしている。そして、ほむらの方から見たらこの時代でシェルターからシェルターへと移動できるキャラバンに所属して移動してきたというだけで、基本的に強者(現地民基準)と見れるほどである。
そして、そんないわば期待のホープである彼女を防衛部トップのほむらが直々に面接するということは、それだけ千秋がほむらに見込まれているといえる。(なお現時点で彼女のレベルは5の模様)
「ふむふむ、貴女が新入りのデビルバスターの『黒川千秋』さんね。真面目そうだしアタシ的には高評価ね!」
ともあれ、ほむらは千秋の資料を見ながら彼女がわざわざこの魚沼シェルターにやってきた理由を理解して、あー……と天を仰ぐ。実際、凍矢はあちこちに走り回ってシェルター防衛や人々をその力で救っているため、彼によって命を救われて慕う人間は山のようにいるらしい。……「らしい」とは凍矢にとって自分の仕事を行っているだけでそんな救われた人々をいちいち確認していないというのが正直なところだ。
そのため、凍矢にとっては「自分に命を救われた」という人間が多数やってきても「誰!? 誰なの!? 知らない怖いよぉっ!!」というのが正直なところである。
「あー……ウチの師匠に救われたタイプかぁ……。そういう「黒札信奉者」たちは大体九重家入りして「メイド」を目指すために頑張ってるのにこっちに来るとは珍しいわね。」
凍矢に救われて熱烈な狂信者……『黒札信奉者』になった女性たち……しかもあれやこれや苦労して魚沼シェルターまでくるような筋金入りの信望者たちは大体九重家へと入っていく。それは九重家内部で時折行われている「メイド募集」に応募するためである。メイドになって彼の近くで働ければワンチャンある! というのは当然の考えではあるが……当然のことながらその倍率は非常に高く、新入りである彼女たちがすんなりメイドになれるほど静も甘くはなく、非常に厳しい審査が行われる。
(なお、男性は防衛部に入ったり、九重家に入ったり、暗部に入ったり様々)
女性の『黒札信奉者』が防衛部に入ってシェルター防衛のために活動するのは、ほむらからしても珍しいパターンだが、ほむらからしたらメイド志望者たちなどと比べれば、真面目に頑張ろうと活動しようとしている千秋はかなり好感度が高いといえる。(なお、凍矢の父親を誘惑した事例もあったので、そちらは静に頼んで処罰してもらった模様)
「皆が皆黒川さんみたいに頑張ってくれる子ならねぇ……。いくらアタシでも強い霊能者の一夫一婦は難しいとわかっているけどね……。」
思わず渋い顔をするほむら。ワンチャンハーレムを狙って大量の女性を押し付けようとする静! ワンチャンハーレム狙いで寄ってくる九重家のメイド! そしてワンチャン命を救われた恩義を返したいと思う黒札信奉者! これらから凍矢を守っているのは破裂の人形とこれ以上嫁を増やしてたまるか! というほむらによるガードと締め付けによるところが多い。(なおほむらからクレームをもらった静は締め付け&ワンチャン狙い性根の改善のために、きちんと「教育」して肉盾代わりの武装メイドにすべきか……?と検討中)
「師匠からしたらアタシは口うるさいだろうけど……。嫁がマシマシになって二十人も三十人もなったら勢力争いとか大変になるじゃない! キノネキ様みたいにたくさんの嫁が皆仲良しなんて珍しいんだからね。ギスギスする嫁同士! 大奥真っ青の権力争い! 癒されるどころか嫁同士の争いに疲労! 何もかも嫌になって山梨に帰還! とか普通にありえるでしょう?」
「は、はぁ……。」
凍矢自身もほむらのようなストッパーがいないと、嫁も借金もさらにマシマシになる危険性は十分自覚しているため、ほむらには割と好き勝手に言ってもいいと許可している。大体黒札様に媚びへつらい、黒札様に絶対服従! (あわよくば絞り取る)というのが普通であって、ここまで黒札に対してはっきり言える黒札でない人間というのはこの世界では稀である。
そのため、凍矢もほむらに対して絶対服従という訳ではなく、わりと好きにさせているのだ。……とはいえ、ほかの黒札たちとのトラブルになっても困るので、その辺はきちんと言いくるめてはいるが。(実際以前元メシアンである一神教調和派の桜子とトラブルがあった。今は普通にやり取りする関係)
もっともそんな事情を外部の千秋にあまり話しても仕方ないか……。とほむらはため息をつきながら、千秋に対してとある「会員証」を手渡していく。
「あと、いつの間にかどこからか手元にあったこれを渡しておくわね。静さんやヴィルトゥオーサさんがもらった『黒髪ロング同盟会員証』よ。*7所持しているだけで【呪殺無効】と【破魔無効】がデフォルトで付与されるわ。あと、「髪が燃えたり切られたりしないように」とか言う理由で、【火炎耐性】と【疾風耐性】も追加されたらしいけど……何で黒川さんが来た瞬間に私の手元に届いているのかしら……。」
それを見た千秋は驚愕する。ムド系にハマ系無効、しかも火炎耐性と疾風耐性がデフォでついている会員証など、現地民から見たらまさに鉄壁の防御壁と言っても過言ではない。しかも前線で戦うデビルバスターならばなおさらである。しかもこの恐るべきところは『無料』というところである。同じく黒髪ロング同盟に入っている現地民である静やヴィルトゥオーサも無料でこれらを手にしている。他にも探求ネキ、道南支部の邪視ネキ、山梨の人魚ネキ、そして黒死ネキや名誉会員としてショタおじ自身も入っているらしい。
「え、えぇ……!?こ、こんなものを無料で……?」
「いいから受け取っておきなさい。悪魔退治やシェルター外の活動なんて何が起こるか分からないんだから。一種の安全装置だと思っておけばいいわ。ともあれ、黒川さんが防衛部に入るのなら結構! ウチの期待のホープである「天河アキト」の下についてしばらく実戦修行してもらうわ!! アキトもねー。霊質で戦うの難しいと言われてるのに特注のデモニカ購入して借金でひぃひぃ言ってるウチの師匠みたいな事してるから……。バンバン仕事回すつもりではあるけれどね。実戦という面ではかなり頼りになる子だから、その子に頼ってね。」
ほむらから黒髪ロング同盟会員証と、最低限のCOMPを渡されて、千秋は、は、はぁ……と素直に頷いた。
そして、防衛部に所属した彼女が行うのはいきない悪魔退治……ではない。現地民基準でそれなり程度の霊能力しかない彼女にいきなり悪魔との戦いなどできるはずもない。まずは基本的に外に設置したソーラーパネルや放置農場の掃除や警護、廃墟からのアイテム採取、霊道整備や、他シェルターや支部との連絡や移動などと言った【シェルター外でやる仕事】全般である。それらの各種仕事を、千秋は真面目に文句も言わずにコツコツと行っていた。
そして、今回トップであるほむらが指示したのは、「開拓作業のための簡易霊道作成の手伝い」である。霊能者は貴重であり、しかもシェルター外に慣れた外から来た血である千秋はなおさらである。基本的には防衛部の戦力……SAAデモニカたちや防衛部(元自衛隊)のエースたちがきちんと守ってくれるのだから、キャラバン護衛より遥かに安全であることは言うまでもない。(それでも悪魔に襲われる危険はある)
新しい道の作成は外界の開拓のために必須である。だが、この悪魔の蔓延る外界で新しい霊道を建築しようというのは、黒札ならともかく、現地民である彼女たちにとっては防衛部総出の仕事になる。今回は南魚沼市と十日町を結ぶ直通ルートである「国道253号」復興のために防衛部総出で仕事を行っているのだ。
防衛部が悪魔たちを蹴散らし、土地を確保。そしてそこを結界で保護し、そこに霊道を敷いていくという形である……が今回は霊道ではなく『簡易霊道』を敷く形となったのだ。
「……霊道は分かるのですが、『簡易霊道』とは?」
「ああ、静さんが他の名家に残っていた技術をガイア連合に持ち込んでブラッシュアップした霊的技術らしいわよ? ガイア連合が作る霊道に比べたらそりゃヤワだけどね……。私たちでも手軽に作れる結界技術でもあるから重宝してるわよ。」
その技術の根幹は、元々、長野県(信州)に存在していた『道祖神信仰』である。長野は道祖神が非常に多い。これは江戸時代の優れた石工集団の存在と激しい廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)から神様を守ろうとした歴史が存在する。
その長野県から逃げてきた名家を保護する代償として、静はその名家の秘術(なお当然メシア教に根切りされており大したことはない模様)である「道祖神」の技術を獲得。その技術を凍矢を通してガイア連合の技術班にブラッシュアップしてもらうことにより「簡易霊道」作成技術を九重家はゲットできたのである。
これは道祖神を道の予定地に並べ、その道祖神を注連縄*8で結び付けていき物理的に繋ぐことによって簡易結界を作り出し「簡易霊道」を作り出す技術である。
この方法の利点としては「かなり手軽」という点である。大規模な霊道工事など必要なく、ただ道祖神と注連縄さえあればいい。簡単な分開拓にも非常に適している方法である。そのため、開拓作業にも適しているといえる。
なお、欠点としてはあくまで簡易霊道であるので「通常の霊道に比べたら霊的に脆い」という点である。
ともあれ、彼女はこの開拓作業のための「簡易霊道」のための協力することになった。防衛班が悪魔たちを蹴散らして空いた地点に道祖神や地蔵などを置いて、そこに注連縄を縛り付けていき、その注連縄と道祖神をどんどんに繋いで伸ばしていくだけの作業だ。えっせえっせと道祖神の石像などを並べていき、それらを次々と注連縄で結び付けていく。
「MAGバッテリー起動するぞ!! 気をつけろー!!」
そして、そこに凍矢の核融合炉以上の豊富な余剰MAGを備蓄したMAGバッテリーを接続。その注連縄と道祖神にMAGバッテリーからMAGを注ぎ込めば簡単に「簡易霊道」の出来上がりである。しかし、キャラバン出身ともいえる千秋にとって、簡易霊道はあまり通りたくない道でもあった。
「確かに便利なのは認めますけど、私、というかキャラバンからすればあまり通りたくないですね……。簡易ということはそれだけ霊的防衛力が低いですから。自分たちの命と安全がかかっているとなればどうしても……。」
「確かにキャラバン出身の黒川さんから見れば通りたくないだろうけど、これはこれで便利なのよ?これを応用すれば『簡易結界』も構築できるし、例えば神輿のソイヤウォーカーなんかで何回も何回も往復すれば正式な『霊道』になっていくしね。開拓には便利なのよこれ。」
ともあれ、防衛部所属として地道に活動を続けている千秋に対して、ほむらはかなり高評価を行っていた。そのため、防衛部所属の『デモニカ試験』を受けさせようかと考えているところである。
(与えるとしたら師匠からもらった無残ニキ様の作った高性能デモニカ『仮面ライダーグリスデモニカ』か、そのグリスデモニカを与えて空いた防衛部所属の『SAAデモニカ』、もしくは救護ネキ様が作成した衛生兵用デモニカ『ホスピタルザクデモニカ』ってところね……。さて、彼女にどのデモニカを与えようかしら。きちんと試験に合格すれば、防衛部の皆も文句言わないでしょう。)
☆千秋に渡すデモニカ
〇無惨ニキが作った仮面ライダーグリスデモニカ
(無残ニキが作ったので当然高性能)
◯防衛部が使用しているSAA
(仮面ライダーグリスが来たので搭乗者が繰り上げして空いたので搭乗。外見は漫画redEyesのSAA。日本刀装備のF3A 鬼神)
〇救護ネキが作った医療特化型簡易デモニカ
(外見はガンダムSEEDのホスピタルザクウォーリア。)
黒川千秋に与えるデモニカは?
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仮面ライダーグリスデモニカ
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SAA(防衛部デモニカ)
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ホスピタルザクデモニカ(衛生兵用)