【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち   作:名無しのレイ

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第3話 ダンジョン修行

 さて、覚醒したはいいけど、当然のことながらそれで終わりではない。

 本社と言われる星霊神社には、豊富なHP&MP回復スポット、それに修行用ダンジョン低級層など手厚いバックアップが行われている。

 だが、地方を拠点にするのなら、これら手厚いバックアップが全くない過酷な環境で戦わなければならない。

 星霊神社が本社、地方が支社と言われる由縁である。

 そのため、ここで地力を上げてレベルアップしていくのが最適だろう。

 力こそパワー! レベルが上がれば他の黒札も彼の要請に答えてくれるはずである。

 まずは、修行用ダンジョン低級層に籠ってレベルを上げて実戦に備えるのが一番である。

 

「あーっくっくっく。全くようやく来たのね。もっと早く来ればよかったのに」

 

 彼のメンター(指導員)になるのは、ガイア・アニメーションの部長、通称アル社長ネキ*1である。

 アルネキは、通常ガイア・アニメーションのTS部下たちなどを監督しているが、

 今回は縁もあって彼のメンター(指導員)になる事になったのである。

 新潟県は冬は雪で覆われているせいか漫画家が非常に多く、マンガ・アニメ情報館なども存在し、化〇語など、アニメ聖地も多く存在する。

 アニメ作りの下見のために、新潟県にやってきたアルネキと同時に新潟市に来ていた田舎ニキはとある事で出会い、縁が結ばれていたのである。

 

「で、あの後どう? 変な事ない? なら良し。何かあったら私に相談しなさいよ。

 何なら地方防衛なんかせずに私の所(ガイアニ)に来ればいいのに……」

 

 アルネキは部下に対して非常な面倒見の良さ(ある意味過保護)で有名である。

 いざとなったら真っ先に部下を守れるように高レベルにしたり、

 部下のレベルを上げるために式神代三人分の代金を半分社費半分アルのポケットマネーで出したほどである。

(そのためか中々部下のレベルが上がらないのが悩み所らしいが)

 

 彼女のお勧めの通り、出世払いの前借りで【式神(一反木綿)】を購入したのである。

 これは契約者の負担も軽く、戦闘力も高く、なおかつ手に入る経験値効率がパワーレベリングより高いという利点を持つ。

 魔中心ステであり、前衛が必要な彼にとっては理想的な前衛といえる。

 

「まあ、貴方の場合なら一反木綿を前面に立たせて、後方から魔術ブッパな方がいいわね。

 どこからどう見ても典型的な魔中心ステだもの」

 

 それかガイア製の魔術銃を購入して後方から援護ね、とアルネキは口にする。

 その間にも、出世払いで購入した【アタックナイフ】と、ガイア連合製の【退魔銃】、防御用の【ケブラーべスト】を装備する。

【退魔銃】はベレッタ92F……のエアガンである。

 まだ半終末すら迎えていない現状では、本物の銃器などそうそう手に入らない。

 そのため、エアガンなどの改造などが主なのが実情である。

 

「まあ、私が一緒に行ったらレベリングにならないから、監視だけはしてあげるわ。

 一生懸命頑張ってきなさい」

 

 レベルが高いアル社長ネキが一緒に行っては、全く彼の経験値にはならない。

 自分の部下に対しては、頼りになる先導者をつけるほど過保護な彼女であるが、

 凍矢は別に自分の部下でもなく、過酷な地方での戦いが待ち受けている以上、これぐらいやってもらわねば困る、という事なのだろう。

 

 将来的には、レベルを上げる用の金札用の修行異界もできるらしいが、

 どのみち、地方での過酷な戦いが待ち受けている彼にとっては必要ないものだ。

 

 薄明るい修行用異界の中を歩き回っていると、【外道 スライム】などは出てくるが、

 これは式神である一反木綿が自動的に倒してくれる。

 まだLVが低い凍矢は当然のことながらMPも少ない。

 魔術はできる限り温存して一反木綿が倒してくれるのならそちらに任せておいたほうがいい。

 

 そんな風に考えながら進んでいると、彼の前に一匹の棍棒を持った子鬼が姿を現す。

 一見、ただの小さい鬼程度に見えるが、その威圧はスライムなどとは比べ物にならなかった。

 

【妖精 ゴブリン】

 

 LV6という、彼にとっては非常な強敵である。

 ゴブリンは棍棒を振り回しながら、一反木綿に殴りかかっていく。

 一反木綿には物理攻撃に強い。

 アレなら大丈夫だろう、と安心していたが、ゴブリンは予想外の行動に出る。

 

「【タルカジャ!】」

 

 そう、それはタルカジャ。攻撃力アップの呪文である。

 いかに物理攻撃に強くても、バフがかけられた攻撃をそうそう何度も受けるのは難しい。

 慌てた凍矢は、退魔銃のベレッタ(エアガン)を抜いて、ゴブリンに対して銃撃を仕掛ける。

 だが、それをゴブリンは軽々と回避する。

 元々、魔中心ステである凍矢は、速のステは高くない。

 おまけに、相手を銃で撃つなど、今まで彼が行ったこともないことが当たるわけもない。

 ハンドガンは、5m離れたら当たらないといわれているが、射撃訓練を続けていない人間ではほぼ目標に充てられない。しかも、相手が動き回っているのならなおさらである。

 そうだ。こういう時のためにブフを──―。

 

「【スクカジャ!】」

 

 スクカジャ。命中と回避を上げる魔術である。

 ただでさえ焦っている状況で、さらに素早くなったゴブリンに魔術が当たるはずもない。

 そうして、ゴブリンの棍棒が脳天に叩き込まれる事になった。

 頭蓋骨が砕け散るのを感じながら、やっぱり物理は痛いなぁ、と彼は思った。

 そして、しばらくして、リカームの魔術で目覚めた時、そこにはアル社長ネキが彼を見下ろしていた。

 

「はい、お疲れ様。今回は下手に銃を使ったのが悪かったわね。

 強敵が出てきたんなら、即時にブフをブッパすれば少しは違ってきていたかも。

 前線と違って、後方担当には冷静で的確な判断力が求められるんだから、

 戦いでそれを磨いていくしかないわね」

 

 冷静にそう言ってくるアル社長ネキは、恐らく一反木綿の視界を借りて監視をしていたらしい。

 それなら、一反木綿を操作してくれてもよかったのに、とも思うが、

 凍矢は頭を振ってそれを打ち消す。

 これから辛い地方での戦いが待ち構えているのに、甘えてどうする。

 それを肯定するように、アル社長ネキは彼に言葉を投げかける。

 

「言っておくけど、地方で戦うんなら、こんなに甘くはないわよ? 

 もっともっとレベルを上げなさい。さもなくば死、いいえ、普通に死ねたら幸運よ。

 守るべき物があるのなら強くなりなさい」

 

 ともあれ、ひどい目にはあったが、リカームされた後も、再度修行用異界に潜った彼は、スライムなどを倒して彼は何とかレベルを上げて、スキルの【コンセントレイト】を覚える事になった。

 今のところはこれで満足すべきだろう。

 フォルマなども回収してひと段落して戻ってきた凍矢に、アル社長ネキは声をかけてくる。

 

「お疲れ様。しばらくは修行用異界に籠ってレベルを上げる事を推奨するわ。

 ガイアアニメーションとしてもネタになる漫画家が多い新潟県がなくなると困るから、

 それなりには援助はするわ。

 ただ、あくまで新潟県全体のバックアップだから、貴方の所だけ依怙贔屓はできないからそれはきちんと理解しておいてよね。援助が欲しければ、他の黒札から頼られるほど強くなりなさい。

 そうすれば自然に支援なども集まってくるわ」

 

「まあ、私は基本山梨支部から動けないけど、何かあったら相談に来なさい。

 ああ、そうだ。同じ新潟県出身の子を紹介しておくわ。

 あきらネキというんだけどね。りあむネキとあかりネキと三人コンビを組んでいる子たち*2よ。

 あの子も新潟県出身で地方異界攻略中心だから、力になってくれるでしょう。

 何かあったら相談してみなさい」

 

 何から何まで頭が上がらない。

 部下ではないとはいえ、やはり面倒見がいいというのは本当なのだろう。

 彼は、アル社長ネキに頭を下げて丁寧に礼を言った。

 

 

 

 碧神 凍矢 男・20歳 転生者・覚醒済 Lv3

 ステータスタイプ:【魔】中心の魔術師タイプ

 耐性:凍結耐性

 スキル:ブフ、コンセントレイト

 

*1
小ネタ ガイア・アニメーション山梨スタジオ とある部署の日常

*2
小ネタ 転生者と現地の親友

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