魚沼地方でのとある山の中。そこでは、とある妖怪が他の妖怪たちに対して演説を行っていた。
演説を行っているのは妖鬼『ヤマワロ』
通常のヤマワロは河童が山に入って変化した存在とされている。
だが、ヤマワロは西日本中心に伝わっているため、ここでは 北越奇談に出ていた山男へと変化している。(データ的には同じ)
そのレベルはGPの影響でLV15。LV5ですら街一つを壊滅することができる存在だ。
こんなのが暴れだしたらどうなるかは言うまでもない。
この付近の妖怪とは不可侵条約を結んでいるが、当然妖怪の中でそんな穏健派だけがいるわけではなかった。
「人間どもなど信用できん!どうせ我々を騙して自分たちの言いなりにしようとしているに違いない!今こそ我ら妖怪が立ち上がらなければならない!」
大戦中、大日本帝国に協力してメシア教に立ち向かったり、戦地で戦った妖怪たちは多数存在したが、その結果は敗北。しかもメシア教によって大妖怪たちは封印させられたり消滅させられたりして大きな打撃を受けた。それに対して日本の人間たちは力を貸すところがそれをスルー。
それによって大きな人間不信、人間嫌いを抱えた妖怪たちは多数存在した。
こうした人間に対して敵対的な妖怪たちもである。
LV15の存在が暴れまわれば大きな被害が出る。そして、それを放置している凍矢ではなかった。
友好的な妖怪から、厄介な妖怪が暴れまわりそうだと聞いた凍矢は、至急破裂の人形のトラポートでその場に駆け付けたのだ。
空間が歪み、凍矢と式神が現れると同時に、ヤマワロに対して漆黒のコメを叩きつけていく。
「うおおお!食らえ!ノロイ米の実戦テストだ!!」
そういいながら、凍矢はヤマワロに対して完成したノロイ米を投げつける。
黄泉の力が大量にこもったその米は、対象を黄泉へと誘う効果がある。平たく言えば、ムドの効果があるのだ。ヤマワロは物理耐性と氷結耐性を持つ凍矢によっては嫌な敵ではあるが呪いには弱い。
完成したばかりのノロイ米にとってはいいテストになる。
一回目は耐えたヤマワロだが、二回三回と連続した攻撃に耐えきれず、その魂は黄泉へと飲み込まれていった。
「よし、ノロイ米は完成だな。主敵である天使に対しても使ってみて実戦テストしてみたいけど、この近辺では出てこないからなぁ……。」
それを見届けた凍矢は小声で呟きつつ、茫然としている妖怪たちに向き直る。
「あ、言っておくけど、村や街を襲撃しようとするとこういう風になるから覚えておいてね。
結界は張られてるけど、壊して進撃しようとするとかタダじゃおかないから。それじゃ。」
呆然としている妖怪たちにそれだけ言い放つと、彼は再びトラポートで消えていった。
さて、現在の新潟の状況だが、あかりんごたちと協力して倒したザオウゴンゲンを長岡市の金峯神社に招き、八海山からの地脈を制御してもらう事に成功し、キクリヒメを新潟の白山神社へと招き、新潟全体の地脈の流れを正しくする事にも成功し、アラハバキが起こした騒動も落ち着きつつあった。
借金を返すためにあちらこちらをトラポートで飛び回っていた凍矢だが、一旦落ち着いて自分の拠点を固めなおす事にして、自分の拠点である元公民館へと帰ってきていた。
静が馬ニキ*1から受けたアドバイスを参考にし、修行異界【黄泉比良坂】の中に桃の木を植え、他にキクリヒメの力とキクリヒメから【五穀豊穣】の加護を受けた凍矢の力を使ってそれを成長させる。
ヨモツヘグイの影響も考えられるため、もしなんなら【黄泉比良坂】以外の【農業用異界】を作り出すことも検討中である。
「農業用異界を作り出した場合、大規模農業にするためにはマッカがかかりますね……。
せっかく多少はマシになった借金がまた膨れ上がることになります。」
キクリヒメも五穀豊穣の力があるため、農業異界を作り出す事は比較的簡単である。
しかも、黄泉比良坂の由来から、邪気を払う桃関連が育ちやすいとの事だ。
上手くすれば、P4Gで出てきた「白桃の実」*2を生産できるかもしれない。
傷薬ですらありがたいと平服されるこの状況なら高値で売れるはずである。
「まあ、とりあえず試作してみますか。
終末なら甘味はありがたがれる……はず。」
そういいながら、桃の苗木近くの要石にMAGを注ぎ込む凍矢。
そこにはもうすでに桃の木の苗木が植えられ、彼のMAGを吸収してぐんぐん成長している。
恐らく「白桃の実」は栽培できるだろうが、個人的にはP4Gに出てきた「仙桃の種」*3「仙桃の花びら」*4「仙桃の果実」*5の栽培にも成功してほしいものである。
「仙桃の種」「仙桃の花びら」はSP……精神力回復アイテムだし、「仙桃の果実」に至ってはHPとSPを全回復アイテムである。ただし、これら三つは限られた場所でしかとれないため、農業用異界で栽培できるかどうかは不明である。
ペルソナ2にはHPを回復する「仙桃」も存在するが、こちらのほうが栽培しやすいかもしれない。
「源氏ニキ*6みたいに宝玉メロンとかできれば高く売れるんだけどなぁ。」
とはいうものの、仙桃関連も栽培に成功すれば高く売れるはずである。
おまけに精神力回復アイテムなら、魔術をブッパする凍矢にとっても極めてありがたいアイテムである。
何せ地方には山梨支部と異なり回復スポットが存在しない。
ガイアカレーを食べて地道に回復するしかなかった状況で、ほかの回復手段があるのは極めてありがたい。
農業用異界から外に出た凍矢は、ほかに何かないか静に確認する。
「ええと、あと他に何かあったっけ。アラハバキの自然に帰れビームで魚たちに影響が出てるんだっけ?」
「はい、魚たちが霊的に活性化して力を秘めた魚たちが登場しているようですね。
それを食べると体力が回復すると評判のようです。」
具体的にいうと、P4Gの「紅金」*7「源氏鮎」*8「コハクアヤメ」*9が信濃川各地で釣れるようになってきているらしい。
魚沼地方では魚野川、破間川などでもこれらの魚が取れるようになってきているのでこれらを名産にするのはいいかもしれない。
「よし、その辺を他の黒札に売り込んでみるか。後は桃も取れてきたら名産として売り込んでみよう。」
だが、これを聞いて対抗心を燃やしたのはキクリヒメである。
五穀豊穣の加護を持ち、黄泉比良坂の由来から桃との親和性が高い彼女にとって、自分の作り出したものがそこらへんの魚に負けるのはやはり悔しいらしい。
「ぐぬぬ、妾ただの魚ごときに負けるとか悔しい。
絶対妾の異界で仙桃の果実や仙桃を作ってみせるからな!」
キクリヒメはライバル心を燃やして農業用異界で桃の量産をする気満々であるためありがたい。
これをきっかけに奮起して「白桃の実」だけでなく、「仙桃」「仙桃の種」「仙桃の花びら」「仙桃の果実」なども作り出してもらいたいものである。
そして、いつまでも神社がないのは流石にどうか、という事で凍矢の元公民館の鬼門に当たる部分にキクリヒメの神社を作成した。
後は、今まで異界を封じてこの地域を守っていた竈神社にもMAGを捧げ、立派に神社を補強する。
今までこの地域を守ってくれた恩義には報いてあげなければならない、というのが彼の考えである。
「とりあえず、現状はこんなところかな。これでしばらく様子を見るか。
……個人的には、破裂の人形に人型変化Aの上の変化Aを取らせて飛行も覚えてさせたいんだけど……。」
変化スキルと飛行スキルを覚えれば戦闘機形態になってバスターランチャーを抱えながら飛行する事ができる。バスターランチャーはお飾りだとしても、戦闘機形態で飛行しながら戦えるのは非常に有利になるはずである。
だが、そこには大きな問題点がある。
「……端的に言っていいですか?まだ借金が半分以上残っているのにそんな余裕あるんですか?」
「……ないです。はい。」
人型変化Eはロボ型式神がデフォで持っているスキルだったため、そこから単純にAに上げただけなのだが、それより上位の変化スキルとなればまたマッカがかかることになる。
借金を大量に抱えている今の彼にはそんな余裕はない、というところが正直なところだ。
これだったら最初から奮発して変化スキルを購入しておくべきだったかなーと思わず凍矢は考えてしまう。
(個人的にはさらなる戦力補強のために、神とか悪魔とかの転生者とか戦力にしたいんだけどなぁ。どこかにポテンシャルの高い神の転生体でもいないものか)
ガイア連合では悪魔の転生体は悪魔の紐付きとして嫌がられており、山梨支部に立ち入ることは難しいが、こういった派出所で活用する分なら問題はないはずである。
……もっとも、転生体は転生体で本体に操られてスパイ活動に破壊行為などを行う可能性も高いので注意をする必要はあるが。
と、そんな中、購入したばかりの最新のCOMPから通信メールが受信されていることに彼は気づく。
「……ん?ロボ部から通信メールが入ってる。え?戦艦ミズーリ強奪計画?
オアフ島に奇襲を仕掛けて、混乱に乗じて戦艦ミズーリをトラポートで強奪する?ナニコレ。」
そのメールを見て、おっ、真珠湾攻撃かな?と思わず彼は心の中で突っ込んでしまったのは言うまでもない。*10
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