【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち   作:名無しのレイ

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「運使い対無貌の仮面……VSメシア教会」様で古式詠唱銃などについて触れられていたので、自分も「宇宙英雄物語」好きだったので思わず今回のネタに入れてみました。


第67話 オーストラリアへ。

「あああああ! 羨ましいぃいい!」

 

 旧公民館内部。自らの拠点地内部で凍矢はごろごろと転がっていた。

 それは、COMPに映し出されている一つの映像が原因だった。

 そう、それは馬ニキのほのぼのスローライフ映像である。*1

 式神と二人でまったりと晴耕雨読してのんびり悠々自適に暮らす。

 全てではないが、そんな風な悠々自適な暮らしは多くの黒札たちが望むことだろう。

 

「うう……。羨ましいよ~。俺もあんな風にまったりと暮らしたいよ~」

 

 えぐえぐと泣いて、ごろごろと転がりながら馬ニキのスローライフ生活映像を見ている凍矢に対して(仕事しろ)と『破裂の人形』はジト目で見てくるが、あえて凍矢はそれをスルーする。

 しばらくウダウダごろごろした後で、凍矢はため息をついて仕事の書類整理に戻る。

 

「は~。いつまでもこうしてるわけにはいかないから仕事するか……。

 ええと、佐渡のダイアナは……【団三郎狸】や佐渡の黒札と何とかやれてるようだな」

 

 あの後、乳房に包まれた村人たちは彼女が言う通り無事だったらしい。

 だが、その乳房が姿を変えて劣化版ダイアナ(LV1)にそれぞれ姿を変えたのは、さすがに予想外の出来事だった。分身したダイアナたちは、老若男女の村人たちの世話を焼き、恋人や母親になって彼らからMAGを収集しているらしい。

(黒札と式神を見て思いついたのだとか)

 

 そんな村人たちを守るため、そして功績を上げて信頼を得て、ガイア孤児院やガイア児童養護施設、ガイア救貧院などを任せられるのを目標とすべく、ダイアナはいろいろと頑張っているらしい。

(狩猟と野生動物の守護者という側面があるため【団三郎狸】とはそれなりに仲はいいらしい。

 彼としては新入りの女神に自分たちの縄張りを荒らされて面白くはないだろうが、防衛で役に立つのは間違いない)

 

 まあ、あとはもう佐渡の黒札に任せるのが一番だろう。そう判断した彼の元に、また新しい厄介事が飛び込んできた。

 

『というわけで田舎ニキ何とかして~~!!』

 

 唐突にCOMPに飛び込んできたロボ部の依頼に、凍矢は思わず「えぇ……」と困惑した。

 それは『オーストラリアに竜王【ユルング】が復活した」という情報だった。

 アボリジニの神である【ユルング】はオーストラリア白人に対して極めて強い恨みを持っているであろうと予測されていた。

 それは、白人たちがアボリジニたちに対して行ってきた事を見れば明白だろう。

 伝染病、アボリジニハンティング、組織的なアボリジニー襲撃隊、水場に毒を流す、故意的な餓死など思わず目を覆いたくなるほどの残虐な出来事を平気で白人たちは行っていた。

 さらにはアボリジニたちの文化、神話ですら完全に抹消しようとしていたのだ。

 これに怒りを覚えない超絶的存在はいないだろう。

 

 だが、【ユルング】が暴れまわって白人たちに攻撃を仕掛けると、一番困るのは実はガイア連合である。

 オーストラリアから取れる大量の鉄鉱石やボーキサイトは、ガイア連合の大きな資源になっている。

 そして、それに頼っているのがロボ開発研究を行っているロボ部である。

 そのために【ユルング】を何とかしてほしい、というのが、ロボ部魚沼支部からの要請である。

 オーストラリアガイア連合支部→ガイア連合メカ部→魚沼支部と伝言ゲームかよ、と心の中で凍矢は突っ込みを入れた。

 

「えぇ……。海外に行くとか気が進まないんだけど……」   

 

 安全な日本から離れて危険極まりない海外に行くなど、狩人ニキやエネルニキなどごく一部の黒札だけである。

 実際、凍矢にしても遠い海外の事に関わってる暇がないというのが正直なところだ。だが、彼と縁が深く、世話になっていて、魚沼に大規模支部まで作ってくれたロボ部の苦難は何とかしたい所である。

  本当は日本を離れるのはあんまりしたくないが、対クズリュウ戦のためのレベリングと考えれば仕方ないといえる。

 それに、ロボ部からの依頼の通り、ユルングさえ倒せば鉄鉱石などの輸入も楽になるはずである。

 鉄鉱石はロボ部にとってまさに命ともいえる資源だ。日本にも確かに存在はするが、オーストラリアは赤鉄鉱であり、磁鉄鉱よりも還元しやすいのだ。

 しかも鉄鉱石の生産量はオーストラリアが世界一。

 ここに支障が出ると、ロボ部の活動にも大きな支障が出てしまう可能性がある。

 

ロボ部からすれば、「LV50でユルングと戦えて即海外にまで出張ってくれる戦力」という形で凍矢に依頼した形になる。だが、ユルングが基本的に氷結系にかなり強い悪魔である。

 氷結吸収やら氷結無効やら持っているパターンもあるので、凍矢からしたら、もっと相性のいい黒札を誘えばいいのに、と思うが、ちょうど都合のいい黒札がいなかったのだろう。

 ともあれ、世話になっているロボ部だし、対クズリュウ戦のために新しく借金を抱えている彼である。

 結局の所、凍矢はロボ部からの依頼を受けることになった。

 

『とりあえず報酬の前渡しとして、現物支給はどう? いつまでも猟銃じゃカッコつかないだろうし、こういうのはどう?』

 

 そうして、COMPから写し出された映像は、奇妙な銃の姿だった。

 バレル、砲身の部分が通常の形状ではなく、3つの球体が合体したかのような奇怪な銃。

 それを見て、凍矢は驚きの表情を見せた。

 

(ま、まさかアレは……「古式呪唱銃」!!)

 

 それはとある漫画、「宇宙英雄物語」の主人公が扱う「呪唱銃」そのものである。

 彼自身も前世でその漫画を読んでいたので、それを扱えるのなら、扱ってみたいというのが本音である。

 だが、それには問題点が二つほどあった。

 

(ほ、欲しい! けど……)

 

「……この銃、強力かもしれませんが、ガイア弾が撃てませんよね?」

 

 そう、古式呪唱銃は弾丸の代わりに術式をエンチャントし、それを呪的弾丸として相手に放つので、通常の弾丸であるガイア弾を打ち出す事を念頭に置いていない、つまりガイア弾を撃ちだせないのである。

 どちらかというと前線に立って物理メインの黒札が使ってこそその本領を発揮する銃であるといえる。

 そのため、後方から魔力ブッバの凍矢とはいまいち相性が良くないのである。

 銃撃弱点の敵に対応できるためにも、きちんとガイア弾を撃てる銃がいい。

 

 そして、もう一つの問題点は。

 

「……師匠。一言いい? 死ぬほどダサい」

 

 古き良きスペースオペラの流れを組むその銃は、現代っ子であるほむらから見たら、ダサい玩具銃にしか見えないのである。

 

「いやこれ無茶苦茶強い銃だから。いいかいほむら。武器や防具を見た目で判断してはダメだ。見た目よりも威力や防御力。生き残るこそが重要なんだ。」

 

 強力だがはたから見たらダサい武器、防具は山のようにある。例えていえば、かの有名なドルフィンヘルムである。だが、外見のダサさよりも生き残るのが最優先なのはいうまでもない。

 オカルト業界の常識に疎いほむらには、まだそこの常識が身についていないのだ。

 しかし、とはいえ、古式呪唱銃が凍矢のスタンスとあまり相性が良くないのも事実である。

 そのため、結局は某アーカードの使用する銃「対化物戦闘用13mm拳銃ジャッカル」……もとい、ジャッカルPをもらうことで決着した。

 

『後はこちら。【万能ブースタ】スキルを内蔵し、小型大容量のMAGバッテリーを内蔵したバスターランチャー(改)だ。これならメキドラオンの威力も向上するし、MP消費も押さえられるはず』

 

 そして、ロボ部に注文していた『破裂の人形』のバスターランチャー改も映し出される。

 これは対クズリュウ戦の大きな力になるはずである。

 

「おお! ありがたい。……仕方ない。行くしかないかぁ。それで話は変わるけど終末後の農作業に使えるコンバインとかトラクターの開発はどうなってるの?」

 

 凍矢はロボ部に注文して、終末後に使用できるトラクターやコンバインの製造も依頼していた。いかに手作業で農作業を行うのは覚醒者であってもしんどいという事を見越してである。*2

 だが、ロボでもない普通の機械を作るという注文に、ロボ部のやる気はかなり低かった。

 

『えぇ……。トラクターとかコンバインとかありきたり過ぎてやる気が出ない……。モチベーション9割減ですわ。いやもう出来てはいるんですがね』

 

 できてるんかい、と凍矢は思わず心の中で突っ込みをいれた。後はこれを量産すれば、魚沼だけでなく新潟の終末後の米つくりに大きな役になるはずである。

 

 ともあれ、凍矢はさっそく海外に出かけるために、武器密輸課のイナバニキ*3にコンタクトを取った。

いかにトラポートを覚えているとはいえ、彼らのトラポートでは海外までひとっ飛びとはいかない。餅は餅屋に任せることにしたのである。

 

 オーストラリアでガイア連合の最大の基地があるのは、シドニーやメルボルン……ではなく、ノーザンテリトリーの存在する州都ダーウィンである。

 なぜここに最大の基地があるのか、という答えは簡単。ここがアジア、日本にもっとも近い大都市だからである。まずはこのダーウィンに存在するガイア連合の基地へとイナバニキの手でトラポート。

 そしてその基地から、州で二番目に人口の多いアリススプリングスに存在するガイア連合の基地へと他の人の手でトラポートする。アリススプリングスにも大規模な基地が建設されているのは、いうまでもなくエアーズロックから何らかの神が出現しないか監視・封印するためである。

 

 余談ではあるが、アリススプリングスに到着するまで、ガイア連合の基地内部から凍矢たちは基地外に出ることは一歩たりとも許されていない。

 アリススプリンクスからエアーズロックまではガイア連合の用意した車で移動し、現地民たちとは一切の交流を持たないようにというお達しが来ている。

 

「扱いが戦略兵器で草。いやまぁ否定はしないけど」

 

 とはいうものの、これは彼のためを思っての事である。

 比較的状況が安定しているオーストラリアとはいえ、困っている人々は山のように存在する。

 そんなところにLV50の人間がいきなり登場すれば、皆救いを求めてわらわらと群がってくる可能性もある。

 特にユルングの復活は、オーストラリアの人間に深刻な恐怖を与えていた。

 そして、そんな風に群がられたら、情に弱い黒札は助けの手を気まぐれに差し伸ばすかもしれない。

 それを防ぐために、できる限り現地人との接触を避け、ユルングとの闘いに集中してほしいというのが本音である。

 ともあれ、そういう形でガイア連合からの【渡航許可】は得た。

 そうして、彼らはオーストラリアに向かう事になったのである。

 

 

*1
「【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話」様 DDS-NET浦野牧チャンネル

*2
「【カオ転三次】マイナー地方神と契約した男の話」様  Ex13 異界拡張(2)

*3
ガイア連合武器密輸課職員の日常様

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