「で? ヒノカグツチがアタシを呼んでるって? 本霊とか言ってても、アタシには全然実感ないけど……」
修行によってレベル35のレベル上限に達したほむらは、フル装備のまま、凍矢と共に祠の前に立った。
そして、ヒノカグツチの祠の前、その異界内部に入る際に、凍矢とほむらはスムーズに入れたが、式神である『破裂の人形』は弾かれる形になってしまった。
「えぇ……。式神も立ち入り禁止とか勘弁してもらいたいんだけど……。マジ?」
「マスター。ここはこの結界ごと破壊するべきでは?」
ジャキン、と迷うことなく『破裂の人形』はバスターランチャーを取り出して砲身を結界へと向ける。
いかにヒノカグツチが作り出した結界といえど、万能ブースタ&メギドラオンの攻撃ならば粉砕できるだろう。だが、彼の根拠地である旧公民館内部の鬼門を守護してもらっている以上、力づくなことをして機嫌を損ねたくない、というのも本音である。
「……。いや、『破裂の人形』はここで待機。なにかあったらよろしく。まあ大丈夫だと思うけど」
それを聞いて、『破裂の人形(ノア)』は落ち着かなそうにソワソワする。なんだかんだで今までずっと一緒だった主人と離れるのには慣れていないのだろう。
それでも、主人の命令ならばと渋々ながらと承諾した。
「……了解しました。マスター。ですが、ある一定以上の時間が過ぎたら自立判断で行動しますので」
それはつまり、ある程度戻ってこなかったら自分の判断で行動する……つまり、結界を無理矢理破って中に突入してくれるということだ。
そして、祠の異界の入口から、さらに異界の奥深く進むと、そこはまるで火山の洞窟内部のようにごつごつした岩肌に覆われた巨大な洞窟内部になっていた。
そして、その中心に存在するのは、燃える炎が人型になり、全身や顔から炎を噴き出している『燃える男』
すなわち、天津神ヒノカグツチの上位分霊である。
『ふむ、直接顔を合わせるのは初めまして、という形か。黒札に我が分霊を宿したほむらよ。
いつも世話になっている……というべきかな』
燃える男、ヒノカグツチはその人間とはかけ離れている姿、荒ぶる炎の化身でありながらも、物腰は穏やかに二人に対して話しかける。
ヒノカグツチ自身は彼らに対して敵意はない。自らの分身ともいえるほむらとその保護者ともいえる凍矢に対して敵意など抱くはずもない。
ヒノカグツチ自身も、凍矢の拠点を守るために力を貸しているほどだ。
『さて、ここまで来てもらったのは、簡単だ。それは我が魂を受け継ぐ、ほむらについての話である。ほむら、君は鍛えてついに自らのLV上限にまで到達した。そうだな?」
そう、異界『黄泉比良坂』の中級層なども使用してついにほむらは自らのLV上限である35にまで到達した。
だが、LV35では現地民としてはトップクラスに強くても、上位悪魔との闘いに対しては心もとない。
ほむらもそこを気にして、シキガミパーツ移植によってLV上限を上げようかという案も出ていたほどだ。
それはそれとして、ほむらはヒノカグツチの言葉に素直に頷く。
『基本的に貴様ら人間はLV上限は上がらない。その人間に与えられた肉体の上限ともいえるものだからだ。これを突破する一番簡単な方法としては、貴様らのいう『シキガミ肉体の移植』があるな』
『だが、神の転生体にはそれに対する抜け道がある。それは高位分霊や本体の魂の一部をさらに転生体に分け与えるという仕組みだ。だが、高位分霊や本霊が転生体に魂の一部を分け与えるなど、こちらにとっての一方的な損になる』
本霊は自分の力を高めるために、弱い分霊を派遣し、その弱い分霊が強くなって帰ってきた際に吸収して自らの力を高める事は多い。
だが逆に、分霊や転生体に大して、本霊の力を分け与えるとなれば、それは当然本霊の弱体化に繋がる。
それを押して、自分の力を転生体に分け与えるのなら、それ相応の理由が必要になる。
『故に、貴様の『覚悟』を問おう。この戦いで、貴様の意思を示してみせよ!!』
そう叫ぶと、ヒノカグツチはそのまま凍矢たちへと襲いかかってきた。
>鬼神 ヒノカグツチ LV63
「【火之迦具土】 【紅蓮の手刀】ッ!!」
ほむらは、いつものように、火炎を『備前長船』と『無銘の刀』に纏わせてヒノカグヅチに向かって振るうが、火炎貫通の効果のあるその刃ですら、ヒノカグツチに大したダメージを与えることはできない。
これはヒノカグヅチ自身が持っている【火之迦具土】 の弱点以外で受けるダメージが60%減少という効果のためだ。
この効果により、ヒノカグツチは冷却・呪殺以外はまさに鉄壁の耐久性を誇る。
『馬鹿め! ほむらよ! その力は我の与えた力だ! 我の与えた力で我に勝てるなどと思うな!!』
確かにそれはその通りである。力の源になっている存在を借りているのに、その力で力の源を倒せるはずもない。
某スレイヤーズの魔族の力を借りているのに、その力を魔族本人にぶつけているのと同じ論理である。
つまり、ヒノカグツチの力ではなく、自分自身の力を示さなければならない。
それに気づいたほむらは、刀から炎を消し、それをヒノカグヅチに突きつける。
「……アナタには感謝しているわ。ろくでもない事もあったけど、アタシがここまでこれたのもアナタのお陰だもの。だけど……アタシは貴方の操り人形じゃない! アタシの未来はアタシで切り開く!」
そのほむらの言葉を聞いて、ヒノカグツチは満足げにうむ! と頷いた。
その答えこそが、ヒノカグツチにとってもっと納得する答えであったらしい。
だが、その答えだけではこの終末の世界を生き残ることはできない。ヒノカグヅチに対して力を示すことが必要なのだ。それに対して、彼も自らの全力を出す事にした。
【火之迦具土】のスキルの効果は「最大HPが50%増加。弱点以外で受けるダメージが60%減少」という効果。
そして【炎の壁】は「氷結系魔法を無効にするシールドを張る」という効果だ。
このシナジー効果により、ヒノカグツチは弱点の氷結系の魔術を無効化しようというのだ
つまり、今のヒノカグツチは文字通りの意味で鉄壁の要塞そのものである、ということだ。
自分の弱点を完璧にカバーする見事なシナジーだといえるだろう。もっとも、それで悲鳴を上げるのは当然自分の最強の武器を封じられた凍矢である。
「お前……お前ぇええ!! 式神とか連れてくるなと言っておきながらそれかよ! 手加減しろ馬鹿!!」
思わず絶叫する凍矢。「弱点以外で受けるダメージが60%減少」ということは、アクアダインであってもダメージが減少されてしまうということだ。
炎の壁の前では、凍矢得意の冷却系魔術も封じられる。
鉄壁の要塞と化したヒノカグツチに対してもはや打つ手はない……ように見える。
「このッ!!」
ほむらと凍矢は、とっさに冷凍弾を装填し、ベレッタとジャッカルPに切り替えて攻撃を仕掛ける。それら冷凍弾の効果は、見事にヒノカグツチへと通用していた。
特にレアな魔銃であるジャッカルPからの冷凍弾攻撃は、あのヒノカグヅチにも十分に通用するダメージを彼に与えていた。
「そうか……『炎の壁』はあくまで冷凍系魔術を封じるだけ。冷却系の物理攻撃に対しては無意味か。それなら!!」
それに気づいた彼は、ベルトを腰に巻き付け、水色のナックルを取り出しベルトに叩き込む。
『Are you ready!?』
「出来てるよ。……変身ッ!!」
それと同時に、凍矢の全身が瞬時に氷に包まれ氷像になった後それが一気に砕け散る。
次の瞬間、そこにはメタリックブルーの装甲に赤色の光り輝くツインアイ、まるで鎧騎士にもロボットのようにも見える青い騎士風のデモニカ。
これこそ、凍矢用にカスタマイズされたG4X展開式デモニカ『グリスブリザード』である。
「おおおおっ!! 食らえ! 【
グリスブリザードのパワーアームから繰り出される猛烈な吹雪をまとった拳の一撃。
それはヒノカグツチの胴体に深々と突き刺さり、彼の放つ業火を冷却化させながら吹き飛ばす。
「がぁあああっ!!」
吹き飛ばされたヒノカグツチは、深々と周囲の壁に叩きつけられてかなりのダメージを負う。
グレイシャルアタックは、貫通&自身を会心状態にするというスキルを持つ。
それをまともに食らっては、いかにヒノカグヅチといえどただではすまない。
【火之迦具土】 の効果で、敵全体を消沈にする効果が発動するが、それでも関わらず凍矢は叫ぶ。
「つまり……氷結系の打撃や斬撃なら『炎の壁』は防ぐことはできない!! ほむら!!」
「了解ッ!」
そういうと、ほむらは、自らの鞘に刀を入れて再度抜き放つ。ほむらが装備しているのは『冷却の鞘』*4この鞘は一時的に自分の刀の属性を冷却属性に変化させる力を持つ。
ダメージは増えないが、属性が冷却になっただけで十分。ほむらは手にした二刀の刀で炎に包まれたヒノカグツチの肉体を縦横無尽に切り裂いていく。
氷結の効果が宿ったその刃はヒノカグツチの肉体である火炎を切り裂いていく。
『ぐぬぅううう!! 舐めるな!! 【紅蓮の手刀】ッ!!』
ヒノカグヅチは、両手に火炎の剣を作り上げて凍矢たちに攻撃を仕掛けていく。
だが、ダメージを食らいながらも火炎耐性を持っているほむらは、『無銘の刀』を鞘に納めると空いた片手でノロイ酒の入った小瓶を叩きつけて、ベレッタを抜き放ち、ベレッタの内部の冷凍弾を叩き込んでいく。
「舐めてるのはそっちでしょうが! アタシと! アタシの師匠を甘く見るな!!」
>虚弱効果!!
>FREEZ(凍結)!!
ノロイ酒と冷凍弾の効果により、ヒノカグヅチはFREEZ(凍結)状態へと追い込まれる。
そして、その隙を逃す凍矢ではなかった。
【タルカジャ】+【チャージ】=【エクシードチャージ】
G4Xデモニカに内蔵されているスキルを発動し、さらにデモニカ内部の『氷結ガードキル』を発動させる。
「【氷結ガードキル】【氷結ハイブースタ】【ブフバリオン】【飛び蹴り】!! 食らえぇえ!」
「【グレイシャルフィニッシュ】ッ! 」
ガードキルが入っている上に、飛び蹴り扱いになるこの攻撃は魔術攻撃ではなく物理攻撃に分類される。
体中からブフバリオンの猛烈な吹雪を噴出させながら、そのまま真っ直ぐヒノカグツチへと飛翔して飛び蹴りを叩き込む凍矢。
いかに『炎の壁』であっても物理攻撃は無効化できず、【火之迦具土】でも弱点である氷結系の攻撃を減少させることはできない。
燃える人影であるヒノカグツチは、その胴体の中心部に強大な冷気の力を秘めた飛び蹴りを叩き込まれ、その燃える炎を冷却させられ、凄まじい水蒸気爆発と共に砕け散り、炎で出来た肉体の半分以上を消滅していた。
これにより、凍矢たちの勝利が確定したのだ。
ボロボロになって吹き出す炎も絶え絶えなヒノカグツチだが、彼らの強さに満足したように頷く。
『うむ。良し。ならば行くがいいほむら。貴様の切り開く未来を我に見せてみせよ。
我は貴様を見守っていることを忘れるなよ』
彼にとってほむらは、自分の娘のような物だ。その娘と師匠が果たしてこの終末を乗り切れる力があるか?
凍矢はほむらを預けるのに足りるのか? 彼はそれが知りたかったらしい。
約束通り、高位分霊は本霊から力を引き出し、それをほむらへと与える。
これによって、ほむらのレベル上限は50にまで上昇した。
これだけの力があれば、現地民と侮られる事もないだろう。
『そして、そちらの者にはこの「すきるかーど」と渡しておこう。恐らくは貴様の役に立つはずだ』
そう言いながらヒノカグツチが手渡してくるスキルカードは【反気旺盛】*5
これは、極めて優れたカウンタースキルである。これさえあれば、クズリュウ戦にも役に立つだろう。
『心せよ。【クズリュウ】は『
えぇ……。クズリュウあのバグ動作マジでやるの? 勘弁してほしいなぁ……。と凍矢は心の中で呟く。*6
ゲームでは単なるバグなのだが、メガテン世界ではその概念が昇華され『主人公に対して集中攻撃を仕掛ける』という概念になったらしい。
『しかし、貴様の運命力は低い。【クズリュウ】もお前を『
つまり、運命力が低いのを逆に利用しろ、バグにはバグで対抗しろ、という事だ。
運命力の低い彼は、クズリュウからしたら『力があるだけのモブ』にすぎない。
そんな『力のあるモブ』である彼に対してクズリュウが迷っている間にボコボコにしろ、ということである。
『では、ほむらを頼んだぞ黒札よ……。貴様にならほむらを託せる。ほむらを幸せにしてやるがいい……』
えっ? ちょっと待って? まるで娘を託す父親みたいな事言うじゃん? その彼の突っ込みは間に合わず、ヒノカグツチは、そのまま姿を消していった。
ヒノカグツチ「うむ、ワイの娘を頼んだやで黒札よ……! (後方父親顔)」
凍矢「なにそれ……。知らん……。こわ……」
ほむら「レベル上限が上がった! わーい!!」
碧神 凍矢 男・20歳 転生者・覚醒済 Lv65
ステータスタイプ:【魔】中心の魔術師タイプ
耐性:破魔無効、凍結無効、衝撃耐性、精神無効(装備)、呪殺無効
スキル:ブフ系呪文全て、ブフバリオン、マハブフバリオン、復讐の氷拳、コンセントレイト、吸魔、氷結ハイブースタ、大魔脈、氷結貫通、アクアダイン、マハアクダイン、反気旺盛
特殊スキル:ブフストーン作成、凍結弾付与作成、低レベル覚醒者への教育スキル、アクエスストーン作成
装備:無銘の刀、ジャッカルP、カジュアル装備一式、電撃の鞘、火炎弾、冷凍弾
展開型G4Xデモニカ『グリスブリザード』
COMPソフト【ナース・コール】【Mr.サプライズ】【百太郎】【ギボ・アイズ】
仲魔:式神【破裂の人形】 Lv63
ステータスタイプ:パワー型前衛
耐性:物理耐性、精神状態異常無効、呪殺無効、氷結無効、火炎耐性
スキル:怪力乱神、万物粉砕、モータルジハード、物理貫通、物理ハイブースタ、挑発、かばう、食いしばり、防御形態、メギドラオン、トラポート、反気旺盛
汎用スキル:会話、食事、調理、房中術、変化A、高速飛行、交渉、事務仕事
装備:試作型プラズマソード、モーフィング装甲(現在はカジュアル系装備一式と同程度の防御力)ラウンドシールド、バスターランチャー
人間形態:シンデレラガールズの高峯のあ。
仲魔:霊鳥スザク(元アガシオン) Lv55
物理耐性、火炎無効、衝撃耐性
マハラギバリオン、アギバリオン、ムドダイン、マハムドオン、マカカジャ、マハスクンダ、トラエスト、ラクカジャ、タルカジャ、エネミーソナー、テレパシー、火炎ギガプレロマ、火炎貫通
仲魔:地母神キクリヒメ Lv55
衝撃無効、破魔耐性、魅了耐性
ザンダイン、マハザンダイン、ジオダイン、マハジオダイン、マハタルンダ、メディラマ、サマリカーム、ディアラハン、乙女の仲裁、常世の祈り、衝撃貫通
事務員:九重 静 LV25(移植手術によりLV上限25)(デモニカLV30)
スキル:マハザンマ、ムドオン、ベノンザッパー、掃射、急所射撃、突撃
装備:バッシュザブラックナイト(デモニカ)(内装はG3Xに換装、外装甲だけバッシュ)
スキルカード【物理耐性】【一分の活泉】
アクセサリー 【鋭敏のピアス】(睡眠・混乱・魔封・魅了」無効)
『GM-01 スコーピオン(調整済み)』『GS-03 デストロイヤー』『無銘の刀』
イヌガミ(LV25)
高級アガシオン(LV25)
転生体:秋葉ほむら LV35(LV上限50、ヒノカグヅチ本霊からの力を得て上限アップした)
【ホノカグヅチ】の転生体だが、彼女にはその自覚はあんまりない。
神の転生体の中でも現地民にしては優れた素質(LV35上限)と豊かな生体マグネタイトを所有している。
ステータスタイプ:パワー型前衛
耐性:火炎耐性、精神無効
装備:【備前長船】【無銘の刀】【冷却の鞘】【退魔銃(ベレッタ M92FSのモデルガン改造銃)】【凍結弾】【アルメーブラウス】【アルメースカート】【お守り】
アクセサリー 【鋭敏のピアス】(睡眠・混乱・魔封・魅了」無効)
スキル:アギバリオン、マハラギダイン、ハマオン、ポムズディ、紅蓮の手刀(剣に炎を纏わせる) 火之迦具土、火砕裂破、火炎ハイブースタ
特殊スキル: 魔剣ヒノカグツチ(劣化)生成スキル*7
イヌガミ(LV25)
高級アガシオン(LV25)