ラビット小隊とどちらがいいか迷いましたが、結局アリウススクウッドの四人になりました。メルキセデク登場すぐ後ぐらいの話になります。
それは、とある電話から始まった。
「もしもし、あ、くそみそニキ*1? 確かそっちも色々と忙しかったんじゃ……。えっ? 黄泉比良坂がこれから厄ネタになるから注意しろ? ペルソナ使いを集めておいた方がいい? マジかぁ……」
それを聞いて、凍矢は思わず天を仰いだ。
S県の霊的守護を行うために結成された霊山同盟支部のトップである鷹村ハルカの師匠である阿部 清明。
彼は人間としてはアレだが、未来を予知する占術、予知能力者としては超一流の凄腕である。そんな彼からの忠告ならば注意を払わないといけない。
大至急、凍矢はペルソナ使いを集めたり、黄泉比良坂の結界の強化に入った。
「とりあえず、スライムニキに連絡を取ってペルソナ使いたちの情報を得ないと……。ただやっぱり手元にすぐさま動けるペルソナ使いが欲しいよなぁ」
スライムニキに連絡を取れば、ペルソナ使いの支援は受けられるかもしれないが、彼らもメメントスやら何やら手一杯なのは理解できる。
そうなれば、手元に自由に動けるペルソナ使いが欲しいのは当然といえる。
さて、どうしたものか、と考えているうちに、彼の元に別の連絡が入ってきた。
それを聞いた彼は、至急動くことを決意した。
──―山形県の離島、飛島。
佐渡島、粟島との航路を持ち、人口数十人ほどの小さな島。そこに蠢く組織の影があった。
粟島と同じく、ここにも過激派が根を巣くっていたのである。そこに設立された小さな基地。
自然に隠れるように作られた基地の中の部屋で、四人の少女たちが並んでいた。
長身でロングヘア、すらりとしたスタイルで顔の下半分をマスクで覆った少女。
顔の全てをマスクで覆った小柄な少女。黒いマスクで口を覆っている首元や手首に包帯を巻いた少女。
片目を髪で隠したサイドテールのおどおどした少女。
その少女たちに対して、メシア教の司祭の服を纏っている男は言葉を放つ。
「アリウス1、アリウス2、アリウス3、アリウス4。皆揃ったな」
彼女たちは、元【神取グループ】とメシア教の合同計画『アリウス計画』で作られた人工異能者現地人たちである。メシア教は日本の霊能力者をほぼ全て根切りにしてきたが、そんな中、血筋に関係なく偶発的能力に対して恐怖を抱いていた。
それこそが『ペルソナ能力』である。もしこの能力が大量発生したら、せっかく根切りにして落ち着いた日本の霊的環境がどうなるか分からない。そのペルソナ能力のデータを採取するための実験体兼人工救世主の素体として作られたのが彼女たちである。彼女たちには普通の名前すらも与えられていない。
もしかしたら、ペルソナに聖人のペルソナを具現化できるのではないか? と特にアリウス2は貴重な聖人の血を使用して作成された存在であり、”姫”と呼称されることもある。
だがしかし、実験台として作られた彼女たちは、ペルソナ能力は有しているが、神取グループの必要とする能力に達せず、もう一方のメシア教へと身柄を輸送させた。
過激派は、そんな彼女たちをガイア連合が所有する『ペルソナ使い』に対抗するため、ペルソナの能力を調べるための研究対象として、徹底的に研究されていたのだ。
「……さて、役立たずで用済みの君たちには最後の役に立ってもらおう。渡したCOMPを新潟の大都市各地で発動、天使様を召喚しろ。君たちの命は天使様の生贄になるのだ。感謝するがいい。アリウス2だけは貴重な聖血から生み出された存在だ。その血の一滴まで絞り出してやらんとな。」
だが、その研究も終了し、役立たずとなった彼女たちは、召喚テロの材料として扱われる事に決定された。
大都市内部でCOMPに入った天使召喚プログラムで天使を召喚し、邪教徒どもに天罰を与える。
当然、彼女たちの生気、MAGは全て吸い取られ死亡することになるが些細なことである。
むしろ、天使様に対して自らの命を捧げられるのだから喜ぶべき出来事である。
「お前たちは役立たずのゴミである。その廃棄物に利用価値を与える我々に感謝したまえ。ではいつもの言葉を言うがいい。『全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ。死こそが我々の救済である』と」
「「「「『全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ。死こそが我々の救済である。』」」」」
研究者の言う通りの言葉を、アリウス計画の四人は繰り返す。
これは言葉による洗脳である。何千回と同じことを言わせて、実際にそうであると彼女たちを洗脳させる。
その効果は、実際に彼女たちの精神を虚無的なニヒリストへと変貌させていた。死んだ瞳で洗脳の言葉を吐く彼女たちは、まさに人形そのものである。
そんな中、彼女たちの中の一人、アリウス1は心の中で呟いていた。
……思えば、何もいいことのない人生だった。神取グループの研究体として生まれ、次はメシア教の過激派の研究体として扱われていた。
もういい。さっさと楽にしてくれ。生きているのなんてつらいだけだ。
だが、せめて他のアリウスの皆は、アリウス2は生きていてほしい。私たちが、私が功績を上げれば、アリウス2は生かしておいてほしい、という嘆願も聞き入れられるはずである。
彼女は心の中で、そんな事を考えていると、突然ずしん! と建物全体が大きく揺れた。
しかも、それは一度だけでない。二度、三度と連続で起こっているのだ。恐らく外部からの攻撃を受けているに違いない。
そして、次の瞬間、外部からの攻撃により、天井の一部が砕け散りそこから空が見える。
空では異形の小型の戦闘機のような物が光翼と轟音をまき散らしながら高速で飛行しながら、吊り下げている巨大な砲台でこの建物を外部から攻撃しているらしい。
「うおおお!エントリィイイ!!」
その空いた天井の穴から、一人の人間と、戦闘機モードから人型へと変形した『破裂の人形』が飛び込んでくる。空からメキドラオンによる砲撃を行った『破裂の人形』は、そのまま空いた穴から基地内部へと飛び込んできたのである。
新潟の粟島で過激派の基地を発見した凍矢たちは、辻野あかりたち*2が組むグループ「#UNICUS」たちと連絡を取って、粟島と航路がある山形県の離島である飛島を探索を行った結果、見事に過激派の基地を発見したというわけである。
「クソっ!! 背教者どもめ!ならばよかろう!!私の真の力を見せてやろう!!これこそが―――。」
「遅い。」
次の瞬間、そのメシア教の服を着た司祭は、両手両足を『破裂の人形』の刃によって切り裂かれ、地面に血を吹き出しながら倒れ伏した。
呆然としているアリウススクウッドの四人の前で、両手足を切り飛ばされた司祭は哄笑と共に肉体が再生され、グリフォンの翼を持った男の姿へと変貌した。
「ふ……ふはははは!我こそは堕天使フルカロス!!序列41番の地獄の大公爵。30の悪魔の軍団を率いる大悪魔よ!!だが今の我は堕天使ではない!!今の我は天使フルカロス!!堕天使から天使に帰依した者よ!!我が望みが叶った以上、この望みを汚すわけにはいかぬぞ!!」
>フルカロス LV31
堕天使フルカロス。それはソロモン序列41番の地獄の大公爵であり、グリフォンの翼を持った男の姿で現れる。風と海を支配し、人々を溺死させ、軍艦を転覆させる力を持つとされている。
フルカロスは、天使に戻ることを熱望しており千年後に第七座天使に戻るとされているが、メシア教に媚びを売ったことによって、天使へと複位を行ったらしい。
「種族……元パルーシ*3?なにこれ。まあいいや。」
だが、そんな望みなど、凍矢にとってはどうでもいいことである。彼がやるべきことは一つだけだ。
「あっそう。なら死のうか。お前の望みなどどうでもいい。他人に迷惑をかけるな。」
この後、無茶苦茶フルボッコにされたフルカロスは絶叫しながら消滅することになった。
Q:なんで新潟にこだわるの?
A:過激派くんがボッコボコにされた上に穏健派が財布代わりに使われて面目丸つぶれだから意趣返し。なお逆にボコボコにされた模様。