【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち   作:名無しのレイ

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そろそろクズリュウ戦を書いていきたいと思っています。


第88話 人造救世主兼ペルソナ使い発現計画「アリウス計画」の残骸、後編

 過激派の小規模な基地をあかりんごたちと叩き潰した凍矢は、アリウススクワッドの四人を連れて魚沼へと帰還していた。そんな凍矢に対して、旧公民館内部で書類仕事をしている静は、冷たいジト目で睨む。

 

「……また女の子を拾ってきたのですか? 借金まみれなのを忘れていませんか?」

 

 冷たいジト目でこちらを睨んでくる静を前に、凍矢は思わずくぅんくぅん、と尻尾を振りたい気持ちになってしまう。

 確かに借金を抱えているのに、そうポンポンと女の子を拾ってくるな、という静の気持ちも分かる。

 だが、これには理由があるのだ。

 

「で、でも彼女たちは貴重なペルソナ使いなんだ。とある黒札の『予言』だとこれからこの地ではペルソナ使いが必要になるらしいし……。この子たちも行き場がないし……」

 

 それを聞いて、静もはぁ、とため息をつく。元より彼女も完全に反対というわけでない。

 ただあんまりポンポンと大量に拾ってこられると困ると釘を刺すために軽く言っただけである。

 それに、あの忌まわしいメシア教の実験体であれば、救うのに否はない。

 

「分かりました。その代わり……」

 

「うん、きちんと洗脳や後洗脳暗示とか魔術的細工がされていないか調べてもらう。そういうのはあいつらは得意そうだし」

 

 まあ、実際はガイアカレーを食べさせれば例え脳に呪物が植え込まれていようと洗脳されていようと解呪されるのだが、洗脳ではない後催眠やらなにやら小細工がされている可能性もある。

 アリウススクワッドの四人は、至急ガイア連合系列の病院で精密検査を行うことになった。

 

 彼女たち四人は、病院へ運ばれ、綺麗な服に入浴や綺麗な病室、豪華な食事(実際はただの病院食)を取って困惑していた。

 今まで彼女たち四人は実験体としてしか扱われておらず、こんな風に人間扱いされるなどされていなかったからだ。彼女たちは人工ペルソナ使いほど不安定ではないが、それでも現在はLV5とかなり低い。

 だが、凍矢にとっては貴重な「自分の自由に動かせるペルソナ使い」である。彼は彼女たちを使って「ペルソナ関連事件の探知機」として活用しようというのだ。

 

「それで黒札……様。我々に何を望んでいるのですか?」

 

「うん、俺は君たちのペルソナ使いとしての力を求めている。君たちをきちんと人間と扱うし、面倒も見るから君たちの力を貸してほしい」

 

 凍矢にとっては貴重なペルソナ使いを無駄に使い潰すなどあり得ない。きちんとしたデビルハンターとしての待遇を約束するつもりである。これから何が起こるが予測はできないが、手元ですぐ動けるペルソナ使いは絶対に必要だ。その凍矢の答えに彼女たちは否はなかった。彼女たち四人は素直に頷き、凍矢の力になることを誓った。

 

「よし、では君たちに名前を与えておこう。ないと不便だしね。『錠前サオリ』、『秤アツコ』、『戒野ミサキ』、『槌永ヒヨリ』。これが君たちの名前だ。これでよろしく」

 

自分たちの拠点に戻るために、病院から一歩出たアリウススクワッドの四人は思わず目を輝かせた。

 

アリウススクワッドの皆は、外に出て驚いた。魚沼は凍矢の努力もあって大都市化しているが、周囲を山に囲まれた自然豊かな綺麗な土地である。

(妖怪たちもいるために大規模な自然破壊を行うのが難しいというのもあるが)

遠目に見える山々は自然豊かな緑で染められている。今までほとんど外に出てこなかった彼女たちにとっては、緑豊かな自然というのはそれだけで物珍しいらしい。

 それに気をよくした凍矢は、近くの「月岡公園」に彼女たちを連れていく。

 

「わぁああ……!!」

 

ここは、毎年夏と秋に約10,000本ものユリの花が咲くユリの生産地である。

ちょうど秋で満開のユリが咲き乱れているのは彼女たちのお気に召したらしい。

 

「ああ、アツコは花が好きなんだって? 魚沼は自然が豊富だから花はいくらでもあるから。好きなだけ摘んでくれていいんじゃない?まあ、ここのユリは育ててるのだから勝手に摘むと怒られるけど。」

 

四人は無数のユリの花の中を見渡す。特に花が好きなアツコはお気に召してくれたらしい。

 

「……私、花が好きなんです。こんなのを見られるなんて夢みたい。」

 

彼女たちもこの土地を気に入ってくれたみたいだな。ならばこの地を守ってくれるモチベになるからヨシ!!そんな風に凍矢は考えていた。

そして、その後で自分たちの拠点である旧公民館内部へ帰ってきた凍矢は、彼女たちに悪魔たちと戦うための武器を渡す。

 

「これらはロボ部の工場で作られた試作品だけど、シャドウ相手に対しても有効か確認を取る意味合いもあるから、データを逐一収集してほしい。」

 

SIG-SAUER SIG516、スコーピオンEVO3、FIM-92、NTW-20……に似たオカルト兵装が彼女たちの前に並べられる。

これらは、凍矢の切り落とした髪を内蔵してロボ部が作り上げたオカルト兵装である。

銃器に黒札の肉体の一部を組み込んでも十分な威力を発揮できるか、という試作品ででもある。

 

自分の体の一部は呪詛の触媒になるから気をつけろ、とよくショタおじに言われてるけど、よくよく考えると現地人が呪いをかけても大したことないのでは?(ショタおじ基準)という考えにより、凍矢は自分の髪を入れた武装を静配下の直轄部隊、「黒騎士部隊」などに支給している。

(もちろん、これは彼らには黙ってはいるが)

自分の頭髪入りの武器を忠誠と霊的誓約を誓う名家などに与えて地域防衛の底上げなども考えているが、それはさすがにどうか、と検討中である。

 

ともあれ、彼女たちはこれを武装にして戦うための訓練を開始した。

 

「アリウススクワッド、行くぞ!!」

 

 まずは、彼女たちは訓練用異界の『黄泉比良坂』でガキ相手の戦闘訓練を行った。今まで散々武器を扱う訓練を行っていたため、彼女たちの戦闘技術、連携は完璧であり特に訓練をさせずとも実戦に投入できるほどである。

 率直に言えば、現地民である彼女たちは主戦力には含めていない。

 ペルソナ使いならば現地民も十分に強くなれる可能性があるらしいが、今の彼女たちはLV5程度でしかない。

 そのため、凍矢は彼女たちを戦力ではなく『監視員』として活用することを考えている。

 ペルソナによる事件なのかそうでないのかを判断して、ペルソナ事件ならばもっとLVの高い人間を呼び寄せる予定である。

しかし、問題はLV5というLVの低さである。いかに探知機としての役割を担う彼女たちであっても、あまりにLVが低いとその役割を果たすことすら難しい。

 

「うーん、どうしようか……。スライムニキのところに送って鍛えるべきか……。」

 

訓練が終わった彼女たちを見ながら、ぽつりと呟いた凍矢に対して、それを聞きつけたサオリは、必死になって凍矢に対していきなり土下座をする。

 

「お、お願いします。黒札様。もうあの子たちの安らぎの場を奪わないでください。もう、頼めるのは黒札様しか……」

 

「やらないから! 奪わないから! 君たちはスライムニキのところでペルソナ能力の向上をしてもらうだけだから!!」

 

「ごほん。まず、我々は君たちペルソナ能力を非常に必要としている。だけど、今の現状ではレベルが低すぎて危なかっしくて仕方ない。そこで、スライムニキのところでペルソナ能力の修行をしてもらう。その後でこちらに帰ってきて働いてもらう。これでOK?」

 

その凍矢の言葉に、サオリはこくり、と頷いた。

 


 

 今、スライムニキや霊夢、承太郎ニキなどは東京決戦用の【渋谷隠れ家】と通した【第4電脳異界】へと存在している。*1

 だが、ここにはペルソナ使いでしか立ち入りできない場所である。

 この場所にサユリたちは立ち入りできるが、ペルソナ使いでない凍矢は立ち入ることはできない。

 

 向こうの時間とこちらの現実世界との時間は異なる。霊夢によれば、「数十日、数か月でも引き延ばすことは可能」と明言されている。

 短時間でペルソナ使いのLVを上げるにはまさに最適な環境なのである。

 スライムニキなら、カウンセリングや何やらで彼女たちの心を癒してペルソナのLVアップをしてくれるだろう、と凍矢は考えていた。

 そして、サユリたちをそちらに送った後で、凍矢はスライムニキとCOMPを通して通信を取り合っていた。

 

『ふむ……。何で彼女たちのペルソナ能力が弱いのか分析はできたお』

 

 スライムニキ。ガイア連合に属するペルソナ使いで知らない者はいないとされるれっきとしたガイア連合の大幹部である。

 極めて有能ではあるが、戦闘能力に欠けているのに前線に出たがる困った人ではあるが、ペルソナ使いについて相談するならこの人しかいないレベルである。

 

『霊夢ちゃんの発言だけど『特に才能の確立されてない【非転生者】は【心の壁】や【心理的な要因】で【成長が頭打ちする場合】が多い』と言っていたお。多分彼女たちも同じパターンで自分たちを守るための【強靭な心の壁】を作ってしまったため、成長が頭打ちしてるんだと思う』

 

洗脳されていればペルソナ能力はまともに発現しない。できたとしても最低限しか能力は発動できない。

過激派はそこの部分を根底的に勘違いしていたからこそ、彼女たちの能力を阻害して役立たずのゴミ、と判断していたのである。

 

『なるほど……。それで、それをどうにかする手段とかあるの?』

 

『とりあえず『安心感』を与えることが大事だお。自分たちはここにいてもいいという『居場所』それが必要だお。そして、カウンセリングや、他のいろいろな人々とのレクリエーションでコミュを作る。

 ペルソナ能力はコミュが最も重要だから』

 

 以前の彼女たちはLV5ほどだが、精神的な治療を受けて様々な人々とコミュをとることで、たちまちLV30ぐらいまで一気にLVが伸びていったのである。これはやはり心の壁や心理的要因がある程度解決したから一気にLVが上昇した……本来の彼女たちの力が発揮できてきたといえるだろう。

 この場所には、様々な大量のペルソナ使いが存在しており、それら大量のペルソナ使いとのコミュ、霊夢や承太郎ニキ、ハム子ネキなどといった極めて強力なペルソナ使いとのコミュ、さらにマヨナカテレビなどの戦いにより、ペルソナ使いのLVを上げるには最適な環境である。

 それもあってここまで急激なレベル上げが実現したのだろう。

 

『というか……ペルソナ使いには「前向きな性格」「革新的な性格」が形になるものなのに、それとは真逆のニヒリズムを叩き込めば、ペルソナが起動しないのも当然だお。ましてや洗脳なんてしたらなおさら。むしろ起動しているのか奇跡みたいなもんだお。本当に何考えてるんだお……?』

 

 過激派くん、何も考えてないと思うよ。思わずそう口にしたくなったが凍矢は黙っていた。そうなると何も考えていない奴らに自分たちが追い詰められていることになりかねないだからである。

 

『本当はきっちりと精神面を治療したほうがいいと思うけど……。やる夫たちも最終決戦に挑む形になってくるから、そうなったらそっちに帰るのが難しくなるかもしれない。ある程度したらそちらに返すお。』

 

ありがたやありがたや。ここまで一気に強くしてくれるとは、まさにスライムニキは神様そのものである。

LV30ほどの強さならば、何とか一人前程度であり探知機としてもペルソナ事件も大いに役に立ってくれるはずである。

 

『しかし、流石田舎ニキだお。『名づけ』というのは魔術的に極めて重要な意味合いを持つお。彼女たち四人は苗字を与えられた事で魔術的に生まれ変わったのと同じ、精神的にもペルソナ的にも大いに安定してペルソナ使いとして成長することができたお。ここまで見通しているとは……。』

 

『えっ?』

 

『えっ?』

 

『いや、「名前がないと可哀そうだなー」と単にそれだけでつけただけなんだけど……。名付けには重要な効果がある事は知ってたけど、ペルソナ使いにもそんな効果があったのか……。』

 

『………。ま、まあ、結果オーライだお。精神的に安定してペルソナ使いのLVも上がったから文句ないお?』

 

『アッハイ』

 

ともあれ、これで最低限ペルソナ事件を解決したり、探知機としての役割も果たせるはずである。

この後、【荒神 アメノサギリ/イザナミノミコト】が出現したり、心の海に『黄泉比良坂』ができた影響で、こちらの『黄泉比良坂』も連動して周囲でペルソナ事件が以前より多くなったりえらい事*2になったりするのだが……まあそれは別の話である。

 


 

『錠前サオリ』ペルソナ【剛毅】『ジコクテン』LV30

 

『秤アツコ』ペルソナ【女教皇】『サラスヴァティ』LV30

 

『戒野ミサキ』ペルソナ【刑死者】『オルトロス』LV30

 

『槌永ヒヨリ』ペルソナ【隠者】『ラミア』LV30

 

多分、ペルソナ3の召喚器を使ったペルソナ召喚を行う。終末後に現る心の海の『黄泉比良坂』には立ち入ることはできないが、『黄泉比良坂』を監視する監視員の役割と、魚沼近辺のペルソナ異変を解決する役割を担う。

神剣『ヒノカクヅチ』を現世の『黄泉比良坂』に突き立てて結界にして、心の海の『黄泉比良坂』からの影響を遮断できないか実験中。

 

 

*1
小ネタ ペルソナ組 in 東京大破壊現在

*2
《無気力病》や《反転現象(文字通り体の外と内が反転する)》が起きやすくなった。

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