【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち   作:名無しのレイ

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第92話 最終決戦、神霊クズリュウ戦、後編2

 

 ──―ロボ部が作り出したとある開発生産用異界。

 そのオカルト機械に満ちた異界内部では、ロボ部の黒札たちが大混乱に陥っていた。

 それは【デウスエクスマキナ】を具現化するための膨大なエネルギーを賄うためである。

『獅子の心臓』を持っていない神霊である【デウスエクスマキナ】は具現化するのに膨大なエネルギーを必要とする。それを維持するために彼らは駆けずり回っているのだ。

 

「第一番から第十番までの核融合炉&マグネタイト炉停止!! 第十一、第十二番の核融合炉もまもなく停止するぞ!!」

 

「あああ!! エネルギーが足りねぇ~!! このままだと【デウスエクスマキナ】を維持できなくなる!!」

 

「仕方ない!! 封印された”アレ”を使用するぞ!! 試作型無限電力炉、有限霊力炉【フソウ】と【ヤマシロ】二基を起動する!!」

 

「ショタおじにガチで怒られた奴じゃん! ホントにやるの!?」

 

「きちんと準備しておいて何言ってんだ!! これも予想していたんだろうが!!」

 

「それだけでも足りないだろうから……【フソウ】と【ヤマシロ】を暴走させてマイクロブラックホールを生成。二つのマイクロブラックホールで縮退炉を形成する!!」

 

「縮退炉ォ!? マジかよ!! というか無限電力炉ネタでブラックホールって絶対やばいやつじゃん! *1!」

 

「うるせ~! やるしかないんだ! いくぞ!! 縮退開始ッ!! *2

 

「くそ~!! 縮退開始ッ!! マイクロブラックホールの生成完了!! 縮退炉*3起動開始ッ!!」

 

「今じゃ! 縮退炉のエネルギーを【デウスエクスマキナ】に!! これで多少は持つはずだ!!」

 

「うおおお! これで何とかなれ~!!!」

 


  

 I'm innocent hatred.

 

 I'm innocent rage.

 

 I'm innocent sword.

 

 I'm DEMONBANE.

 

 

 召喚された【デウスエクスマキナ】はクズリュウと対面しながらその竜体に拳を叩き込んでいた。

 

 

 殴る

 殴る殴る

 殴る殴る殴る殴る

 殴る殴る殴る殴る殴る

 

【デウスエクスマキナ】はその拳をクズリュウへと叩き込んでいく。

【デウスエクスマキナ】の質量は、それだけでも十分な武器になりえる。

 質量と巨大な概念が乗った拳に、クズリュウの表面は吹き飛ばされていく。

 それだけではない。クズリュウの霊質もクトゥルーの因子も同時に吹き飛ばされているのだ。

 

 しかし、これでは「必殺技」が足りない。

【デウスエクスマキナ】には当然のことながら『シャイニング・トラペゾヘドロン』など存在しない。

 おまけに平行宇宙から無限のエネルギーをくみ上げる『獅子の心臓』すらない。

 ロボ部が、何とかマイクロボラックホール二つからなる縮退炉を形成したから何とか動いているだけである。

 その縮退炉から発生する膨大なエネルギーですら、【デウスエクスマキナ】を現世に降臨させているので一杯一杯である。

 このまま持久戦に持ち込まれればこちらが不利なのは明らかだ。ならば、ほんの少しでも効率よくダメージを与えなければならない。

 

『【山津波】──―」

 

「させるか! 食らえ!! 『アトランティス・ストライク』!!」

 

 その瞬間、【デウスエクスマキナ】は、クズリュウに対して回し蹴りを胴体部へと叩き込んだ。

 空間を歪曲させる猛烈なエネルギーと同時に、グライ系の猛烈な重力波がクズリュウへと叩き込まれる。

 純粋な質量を得た猛烈な勢いのその蹴りを食らって、クズリュウの竜体はその体を大きく揺らす。

 その【デウスエクスマキナ】の蹴りの威力で、クズリュウは思わず大きな悲鳴を上げる。

 

『ギュァアアアアン!!』

 

 悲鳴のようなクズリュウの叫びで、【山津波】の発動は停止される。

 その口を開けたクズリュウに対して、【デウスエクスマキナ】はそのまま両手でクズリュウの口を抑え込むと、上顎部と下顎部を無理矢理こじあげて固定する。

 クズリュウの肉体で最も弱い部分はどこか? それは、口の中から先、つまり体内である。

 その間に片腕に魔銃『イタクァ』を召喚して、クズリュウの口の奥深くへと突っ込み、引き金を引く。

 

「旧支配者イタクァよ!! わが力を増幅せよ!! 

【氷結貫通】【コンセントレイト】【氷結ハイブースタ】【マハブフバリオン】!!」

 

 魔銃『イタクァ』の弾丸に凍矢の冷却攻撃を上乗せして、そのまま引き金を引く【デウスエクスマキナ】

 しかも一発だけではない、残り五発全てクズリュウの口の中、喉の奥深くへと氷結の弾丸を叩き込む。

 

「【氷結貫通】【コンセントレイト】【氷結ハイブースタ】【マハブフバリオン】!! 

【氷結貫通】【コンセントレイト】【氷結ハイブースタ】【マハブフバリオン】!! 

【氷結貫通】【コンセントレイト】【氷結ハイブースタ】【マハブフバリオン】!! 

【氷結貫通】【コンセントレイト】【氷結ハイブースタ】【マハブフバリオン】!! 

【氷結貫通】【コンセントレイト】【氷結ハイブースタ】【マハブフバリオン】!!」

 

 巨大なリボルバーが回転し、弾倉から巨大な猛烈な冷気を纏った弾丸が射出され、クズリュウの喉奥へと叩き込まれていく。先ほどの【山津波】のお返しと言わんばかりに、イタクァと凍矢の冷却魔術が融合したイタクァの弾丸は喉奥へと吸い込まれ、さらにその奥の体内へと叩き込まれる。

 旧支配者イタクァは、ハスターの部下であり、いわば氷の神性でもある。

 氷の神性ではあるが、同時に風の神性でありハスターの配下でもあるため、クトゥルーの因子を含むクズリュウに対しては相性がいい。

 

『ガ……ガァアアアアアアアア!!』

 

 さすがに喉奥やその奥の食道までガチガチに凍らされては、いくらクズリュウと言ってもたまったものではなかったらしい。

 喉が完全に凍り付いてもそれでも悲鳴が出せるのは、さすがに超絶的存在というべきか。凍矢はイタクァにさらに自分の冷気を注ぎ込み、その弾丸を「神獣弾」へと変化させる。

 

「【デウスエクスマキナ】!! 魔銃『イタクァ』神銃形態!! イタクァよ!!汝にわが力を授けん! 

【氷結貫通】【コンセントレイト】【氷結ハイブースタ】【マハブフバリオン】!!」

 

 元々、凍気を操る凍矢と、氷の旧支配者イタクァは極めて相性がいい。イタクァの弾丸はその魔力によって「神獣形態」へと変貌し、クズリュウへと突撃していく。

 クズリュウへと命中すると、その凄まじい冷気はクズリュウの肉体全てを完全に凍り付かせる。

 そして、それが砕け散ったと同時に、またさらに新たな首が生えてくる。

 

 >神霊くとぅりゅう(九頭竜) LV75

 

 そろそろアラナイズの表示もやばくなってきているのを凍矢は感じ取った。

 先ほどの再生よりも、さらに異形度が増しているのも見れば容易く理解できる。

【デウスエクスマキナ】自体のエネルギーも気になるし、短期決戦で勝負をかけなければならない。

 コックピット内で【デウスエクスマキナ】を操縦している凍矢は『アル・アジフ』に対して言葉を放つ。

 

「『アル・アジフ』!! 何か必殺技はないのか!? このままだと千日手になるぞ!!」

 

「うむ! ある!! それはロボ部が開発した縮退炉のマイクロブラックホールじゃ!! これをあやつに叩き込んで『レムリア・インパクト(仮)』とする!! しかし、エネルギー源をそのまま叩きつけるのじゃから、外せばこちらの終わりじゃな!!」

 

 そのアル・アジフの言葉に対して、凍矢は迷いなく答えを返す。

 

「構わない! やってくれ! このまま持久戦になるよりマシだ!!」

 

 その彼の言葉と共に、縮退炉からマイクロブラックホールが転送されるための術式が展開され、それを開封するための詠唱を凍矢は唱える。

 

「光射す世界に、汝等暗黒棲まう場所無し!」

 

 その詠唱と共に、【デウスエクスマキナ】の両掌に縮退炉からのマイクロブラックホールが二つ転送される。

 掌に召喚された有限霊力炉「フソウ」「ヤマシロ」から生み出され、縮退炉のマイクロブラックホール。

 それと同時に【デウスエクスマキナ】のエネルギーはみるみるうちに低下していった。

 それも当然だ。自分の動力炉を取り除いたようなものなのだ。

 エネルギー不足になっていくのは当然である。

 

「渇かず、飢えず、無に還れ!」

 

 まだ動けるうちに、両足からエネルギーを噴出し、【デウスエクスマキナ】は一気にクズリュウへと跳躍して接近する。両手の掌に黒い球体を維持しながら、【デウスエクスマキナ】はその両掌を一気にクズリュウへと叩きつける。

 

「うぉおおおおおお!! くたばれッ!! ダブル・レムリア・インパクト!!」

 

 二つの掌底が叩き込まれた瞬間、クズリュウは悲鳴を上げるが、それも無意味。無限熱量ではないが、全てを食らいつくす二つのブラックホールはクズリュウの肉体を粉微塵に引き裂き飲み込んでいく。

 もはやクズリュウは悲鳴も上げられない。肉体すら維持できず、素粒子にまで潮汐力で砕かれていき、一気に巨大化しつつあるブラックホールへと飲み込まれていった。

 強力な重力によって引き裂かれた土や岩石は降着円盤を形成。潮汐力によって素粒子まで分解される際に、その摩擦熱に超高熱のプラズマを発生させる。

 そのプラズマは、【デウスエクスマキナ】に乗っている凍矢たちには問題はなかったが、動力源を失った【デウスエクスマキナ】は急速にその肉体を薄れさせていった。

 

「うむ! どうやらここまでのようじゃな! エネルギー不足で【デウスエクスマキナ】をこれ以上維持できぬ!! 妾もロボ部に帰るぞ!! グッドラックじゃ!!」

 

 その言葉と共に、『アル・アジフ』も【デウスエクスマキナ】も姿を消し自分たちの居場所へと帰っていく。それなら俺たちも連れていってくれ!! と叫びだしたい所だったが、それどころではなかった。

 二対のマイクロブラックホールはのたうち回るクズリュウの肉体を飲み込んで消滅していく。

 いかにクズリュウといえど、ブラックホールの破壊力には耐えられない。その肉体を素粒子へと変換していく。

 だが、制御を失ったマイクロブラックホールは、クズリュウを飲み込み、粉砕しながらどんどん巨大化して異界の全てを飲み込んでいく。

 普段ならそのまま消滅するはずのマイクロブラックホールは一気に制御を失ったせいか、クズリュウを飲み込んだせいか消滅せずにどんどん膨れ上がっているのだ。

 

「……ヤバい!! マイクロブラックホールが暴走してる!! 地球を飲み込むほどじゃないけど、この異界ぐらいは飲み込むぞ!!」

 

「マスター!! 大至急脱出を!! この異界から脱出して空間断絶を利用して閉鎖、異界をパージすれば問題ないと判断します!!」

 

 その瞬間、『破裂の人形』は戦闘機形態へと変形し、凍矢やキクリヒメ、スザクはその機体に捕まると必死で高速離脱していく。

 変形解除した魔翼機バイアクヘーも同時に出口に向かって飛翔していく。

 以前のクトゥグァ暴走の際のように、この異界を完全空間遮断で閉鎖してパージすれば、自然に自滅して消滅するから外界には一切問題ないはずである。

 しかし、それには「脱出できれば」という言葉がつく。脱出できなければ、このままブラックホールに飲み込まれるだけである。

 

 漆黒の事象の地平面(シュヴァルツシルト面)が膨れ上がって全てを飲み込む中、『破裂の人形』と魔翼機バイアクヘーは必死で空を飛翔し、異界の出口へと翔ける。

 

「頑張ってくれ『破裂の人形』!!こんなところで死んでたまるか!!一万二千年後に「オカエリナサイ」するのなんてまっぴらごめんだ*4!!」

 

「意外と余裕ありますねマスター!!ともあれ振り落とされないようにしてください!!ここで振り落とされたらブラックホールに飲み込まれます!!」

 

解き放たれた矢のように、一直線に超音速で異界出口へと飛翔・上昇していく『破裂の人形』と魔翼機バイアクヘー。それを追いかけるようにブラックホールも巨大化していくが、それより早く彼らは出口を通して通常空間へと帰還する。そして、帰ってきたと確信した瞬間、凍矢は対クズリュウ異界を完全遮断した。

 

「うぉおおおおお!!対クズリュウ異界完全空間遮断!!パージ開始!!そのまま自滅しろぉおおお!!」

 

その瞬間、閉じた異界の穴の先で表現し難い音と漆黒の光が凍矢の霊感に響き渡る。対クズリュウ異界ごとブラックホールは飲み込んで自滅したらしい。

そして、これによってクズリュウとの繋がりである地脈も寸断。もう新しい首を送り込んでくることはできない。完全に倒すことはできなかったが、大封印は維持されたままで、首を何本も失ったクズリュウは数千年もの間、傷を癒すための深い眠りにつくだろう。

 

「俺たちの―――勝利だッ!!!」

 

それを確認した凍矢は、『破裂の人形』に掴まったまま、新潟の空を飛行しながら拳を振り上げて宣言した。

それが、クズリュウとの闘いの幕引きだった。

 


 

 〇これ渦動破壊神にならないの? 

 ・そもそも『獅子の心臓』がないので長時間戦えない。

 ・この世界を創造したのはアザトースじゃなくて鳩(多分)なので必死になって戦う必要がない。

 ・普段は他の形状(生産用形態)などに変形して封印されている。

 

  


首を数本引きちぎられたクズリュウは、その痛手を癒すために、大封印に封印されながら数千年の深い眠りにつきました。

凍矢としては十分勝利条件を満たした事になります。

     

*1
真4のホワイトメンルート的に考えて、無限電力炉をブラックホールにするのはやばいでしょ。

*2
トップをねらえ! 好き的に言ってみたかった模様。

*3
マイクロブラックホール二つを使用してエネルギーを引き出す方式

*4
トップをねらえ!のアレ




とりあえず、あと一回掲示板回をやって完結にしたいと思います。
書きたい外伝がまだまだあるので完結してもまだまだ続けたいと思います。
よろしくお願いします。
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