ウルトラスクランブルファイト 〜インペリアル・ソウル〜 作:Toran toran
惑星ネアポル。
地球の二分の一程の大きさながら、かつては地球のように文明が栄え、都市が広がり、人型の生命体が生活を営んでいた。しかし、その星の小ささ故にエンペラ軍団からは恰好の餌食となり、長年築き上げてきた文明は一週間も経たずに壊滅。その上、ネアポルに棲む生命体は尽く死滅されてしまった。残ったのはそこに文明があったことの証である廃墟のみ…。
襲撃には大勢の地底怪獣を用いたために地表には地底に通じる穴が多く穿たれ、地下に溜まっていた毒ガスが噴き出して空気中が汚染されてしまっために他の星からの生命体が移住することもできず復興もままならない。汚れた星としてただ漂うことしか許されなくなった悲劇の惑星となってしまった。
そんな生命体が住めるはずもない星に一人の異星人は降り立った。宇宙から飛来して瓦礫の上に着地すると、道に迷う様子もなく、慣れた足取りで一つの建物目指して歩き出した。毒ガスや街中の廃棄物や残骸が腐敗して生じる異臭にも物ともせず、異星人は建物に到着。破壊された入口から入っていく。元々は地球でいうカラオケボックスのような施設だったのだろう。所々欠けた階段を登り、廊下を歩いて一つの部屋に辿り着いた。
扉を開けると、既に二人の人影がテーブルを囲うボロボロのソファーでテーブルを挟むように座り、寛いていた。
「戻りましたぜ。」
「…御苦労だったな。…出来栄えは?」
片方の人影が異星人を労いながら、状況について窺う。
「まあ…まずまずってところかな。邪将の形見のベムスター、レミオに誘き出す囮としては果たしてくれたが、思ってたよりあっさりとくたばっちまった。タイガ…だっけか?タロウの息子もいたのは想定外だったが、それを差し引いてもメビウス、相当なやり手になってたぜ。」
異星人がそう報告すると、もう片方の人影がフンッと鼻で笑った。
「邪将様の改造怪獣を使ってこの体たらく…つまらない囮作戦を展開して惨憺たる結果を送っておきながらよくもまぁ平然と帰ってこられましたねぇ。」
人影は敬語でありながらも厭味ったらしい慇懃無礼な態度で異星人を嘲る。対する異星人もフンッと馬鹿にするように鼻で笑い返して、嫌悪感を隠さない。
「うるせぇ、つまらねーのはテメェの趣味の方だろうが。気に入らねーならテメェでやれ。」
「はあぁ?」
異星人に言い返されて気に障ったのか、先程と違い口調のガラが悪くなる。
「私のぉ、何処がぁ、お前よりつまらねえぇぇと?」
「はあ〜、千年経ってもまだ言われなきゃ分からねーのか?知能は相変わらずだな、トゲボール野郎。」
「あぁ!!??」
ガタッと人影が乱暴に立ち上がる。
「やめろ、ガクレ…。イルーもだ。」
改造ベムスターを使役して暗躍していた鋼鉄の嘴のような口部を持つガクレと無骨な球形の身体に棘を生やしたような姿のイルーによる口汚い罵り合いが人影の一言でピタリと止まった。
―― 目つぶし星人 カタン星人ガクレ ――
―― 光波宇宙人 リフレクト星人イルー ――
「まあ、座れガクレ。メビウスは皇帝を破ってから数千年…。凄まじい程の成長を遂げているとは聞いていた。『敬意』を表する程にな。」
「まあ…ブライクがそう言うならそうなんだろうな。」
ガクレが人影――ブライクの言葉にそう返しながらソファーに腰掛ける。イルーも同じようにソファーに腰掛けた。
「やはり、油断なりませんねぇ。ウルトラ戦士。この作戦が上手くいくのか心配になってきましたよ。」
「あの時から久々に全員集まったんだ。失敗だけは避けたいぜ。」
「既に半分失敗した人がいるらしいですがねぇ?」
「あ?失敗はしてねぇだろうが?」
ガクレとイルーのいがみ合いが再び始まりそうになるが、今度はブライクも相手にしない。
「エルーヴォとガンカノ次第…だな。あの二人なら上手くやってくれるとは思うが、念には念を入れる必要はある。」
「ほう、怪獣を支給したのですか?」
「ガンカノにはな。」
ブライクの言葉を聞いたガクレはハハハ、と笑った。
「エルーヴォはやっぱり受け取らなかったかw」
「あいつにはあいつのポリシーがある…。俺はそれを優先させた。」
「まあ、エルーヴォなら一人でも任務を完遂出来そうですものねぇ。」
イルーがそう言うと直後に、ピコンっとブライクの眼の前にモニターが広がった。内容は宇宙語での文章だった。
「エルーヴォからの暗号メッセージだ。」
「おお、噂をすればか。内容は?」
「ああ…『惑星ジュランに辿り着いた』とのことだ。ガンカノからも惑星コリンボに着いたと既に連絡が来ていた。」
「さて、本格的になってきましたねぇ。」
「俺達もそろそろ移動するんだろ?この星は臭くてたまらねぇ。」
「そうだな、ネアポルは離れるとしよう。」
ブライクはソファーから離れて
「ここからが、我々の再始動の時だ。」
「影の暗殺部隊、『
ブライクはそう宣言した。