ウルトラスクランブルファイト 〜インペリアル・ソウル〜   作:Toran toran

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暗躍の憤怒②

マックスはマックスギャラクシーの先端に黄金に輝くエネルギーの刃を生み出すと、ルガノーガーとガンカノに斬り掛かった。

身軽に回避するガンカノと大柄故に機敏に動けず、防御に徹するルガノーガー。マックスはガンカノに斬撃で牽制し、比較的攻撃を直撃させやすいルガノーガーを狙った。

両手の顔で攻撃を捌こうとするルガノーガーだが、マックスギャラクシーによる斬撃は皮膚を傷つけることも敵わなかったマクシウムソードの刃よりも威力が高く、身体中の装甲を貫通してダメージを確実に与えていく。

打撃を織り交ぜながらチョップの要領でマックスギャラクシーで何度も斬りつけると、目の前に右腕の薙ぎ払いが迫ってきた。

ドガッ!と顔面に直撃してよろめいていると、今度は胴体に衝撃が走った。両腕による強烈な突きをかまされたのだ。

 

「デェェヤァァァァ…!!」

 

腹を抑えて苦しんでいると、背中にドゴッとガンカノが左腕を叩きつけてきた。身体を地面に叩きつけられるマックス。ガンカノは足元で横たわっているマックスの腰を思いきり踏みつけた。体重を乗せたスタンピングがマックスの身体を潰そうとする。

マックスもガンカノの脚を掴んで抵抗しようとするが、その度にガンカノもマックスの腕や脚を踏みつけて抵抗を潰す。

ルガノーガーも抵抗ままならないマックスに近づき、脇腹を蹴りあげる。

 

ギガアアアァァァオォォンキィィィィ!!!

ヴヅヅヅヅヅヅヅ…!!!

 

2体のスタンピングに為す術もなくなっていると、マックスは痛めつけられながらも地面に何か異変が起こっていることを感じた。

 

これは――揺れ…?

 

そうマックスが感じたと同時に、ズドン!!と大地が大きく揺れだし、各地に小さな地割れが生じて中から紫色の光が漏れ出した。

 

(闘いの余波で…鉱石が…!)

 

ドンッッ!!!と再びの揺れ。ガンカノとルガノーガーもその巨体でありながら急な揺れに耐えきれず、バランスを崩してマックスから足を離してしまった。

 

「…!!ジェェアアアア!!!」

 

マックスは気力を振り絞って立ち上がり、ガンカノの胴を薙いだ。ガンカノの身体に袈裟懸けの傷が刻み込まれ、堪らず後ろに倒れた。

 

「ジュアッ!!」

 

ルガノーガーにはマクシウムソードで牽制しようと頭に左手を添える…。が、ここで再び胸の中に激しいものが込みあげてきた。

2度目に味わう急に訪れるこの感覚。この闘いとも日々の業務とも関わらずに日常生活でも味わっているこの感覚。マックスはその正体に気づいた。

 

それは『ストレス』。

 

マックスがちらりとガンカノへと視線を向けると、ガンカノの顔面のクリスタルが先程違和感を感じていたタイミングと同じように紅色に輝いていた。

ガンカノが特殊な能力でマックスの胸中に存在するストレスを強制的に増幅させていたのだ。

さらに言えば不愉快かつ気味の悪い感情の正体は『イライラ』。マックスはイライラに起因する興奮状態に無理矢理されたことで集中力を奪われていたのだ。

 

――憤怒(ラース)――

 

それがガンカノの()()()()

 

それに気づきながらもマックスはマクシウムソードをルガノーガーに投擲する。だがやはり、マクシウムソードはルガノーガーにはかすりもせず、軌道を修整しようにもマックスの脳波でコントロールされているマクシウムソードの操作は困難であった。

ルガノーガーはそんなマックスの状態など知るかと言わんばかりに両肩をスパークさせて先は回避された電撃をマックスに浴びせる。

 

「ジェアアアアアアア…!!!」

 

バリバリバリと電撃がマックスの全身を流れ、身体中から痛々しく火花が散る。

やがて電撃は止むも、今にも力尽きそうなマックス…。

そのマックスに、ガンカノは残酷にも胸から数条の光線を撃った。回避行動も取れないマックスは一つ足りとも避けられず、直撃を許して吹き飛ばされてしまった。

 

「ダアァァァ…ッッ…!!」

 

受け身も取れず、激しく身体を叩きつけられて地を転がり、再び立ち上がることもままならないマックス…!パワータイマーの点滅は速くなり、体力も限界に近づいていた。

 

ガンカノは余裕綽々でマックスにトドメを刺すべく近づく。ルガノーガーも主人に付いていく形で咆哮をあげながら歩みを進める。

絶体絶命――そんな時だった。

 

2体の間を光球がすり抜け、2体を吹き飛ばした!

不意打ちを受けてそれぞれ倒れるガンカノとルガノーガー。

光球はそんな事はお構いなく、マックスに近づくと減速して傍に着地した。

 

「これは…!」

 

マックスが驚愕の声をあげていると、光球は輝きを増し、割れるようにその外殻を消滅させた。

ガンカノは立ち上がりながら、その光球の様子に既視感を感じていた。

いや、既視感どころではない。()()()()()()()()なのだ。

 

光球の中からは、もう一人の人影が姿を現した。

マックスと同じ赤い体色、胸には形状は違えどパワータイマーを備えた巨人。

 

ウルトラマンゼノンがそこに立っていた。

 

「無事か、マックス!!」

 

ゼノンはマックスの下に駆け寄ると、マックスのパワータイマーに右手を翳し、橙色のエネルギーの波動を送り込んだ。パワータイマーは点滅したままだが、点滅の速度は緩やかとなった。

 

「ゼノン!すまない…!」

「今送れるエネルギーはこれが限界だ。立てるか?」

「あぁ…!」

 

ゼノンの肩を借りながらよろよろと立ち上がるマックス。

 

「どうして…私の状況が分かったんだ…?」

「私がこの付近を通りがかった時、お前がマックスギャラクシーを召喚したのを感知し、只ならない事態だと把握した。この2体が相手だったか…!」

 

マックスが一人でゴドレイ星人とルガノーガーを相手にしていたのを見て、苦虫を噛み潰したような声を上げるゼノン。

 

「目的は分からない…。この星で膨大なエネルギーの使用は危険である、そう警告しても奴は承知した上でゲーキンド鉱石に何かを打ち込んだ…。」

「何だと…!?なんてことを…!!」

「ここで止めなければコリンボが危険だ!」

「分かった…!私はルガノーガーを引き受ける。ゴドレイ星人との決着は任せたぞ!」

 

2大ウルトラマンvs宇宙人&凶獣

タッグマッチの幕が開いた!

 

ゼノンはルガノーガーに飛びかかり、マックスは駆けてくるガンカノを迎え撃つ。

地を蹴り、ルガノーガーの頭を回し蹴りするゼノン。着地すると両手に光を纏わせ、ルガノーガーの胴体に手刀を浴びせる。刃となった光の軌道によって手刀の威力が高まる。そして手刀を浴びせた跡が残る部位に中段蹴りで追い打ちをかける。

 

ギァァァァァオォォォォンキィィィィイィィ…!

 

対するルガノーガーは口の中を青白い光で満たし、ゼノンに向けて発射する。青白い熱線がゼノンの頭部を中心に降りかかり、咄嗟に両腕で防ぐゼノンだが、その威力に後ろへと下がっていく。

 

「ゼヤアッ!!」

 

ゼノンは気合を入れて両腕で熱線を振り払う。そして身軽に身を翻してローリングソバットをルガノーガーの腹に叩き込んだ!!

 

ヴヅヅヅヅヅヅヅ…!!

 

一方で激しい肉弾戦を演じるガンカノとマックス。

すると不意に、ガンカノが両腕を顔の前でクロスさせた。交わった両腕から発するのは眩い閃光!!

 

「ジェアアッ!!??」

 

突然の目眩ましに怯んでしまったマックス。ガンカノはその隙をつき、鋭い爪でボディブローを繰り出す。

一撃、二撃、三撃!

最後に前蹴りを繰り出してマックスを蹴り飛ばす!

背中から地面に叩きつけられるマックス。

間髪入れずにガンカノは胸から光線を撃ち出す。光線の滅多打ちに遭うマックス。ガンカノは今度こそは油断せずに速攻でトドメを刺す…つもりだった。

対してまだ倒れた状態であるマックスは、右の拳を握りしめ、そして何かをガンカノに投げつけた。

 

いや、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

マックスギャラクシーは剣先となっていた翼を再び展開させ、光輝く金色の鳥となってガンカノへと突き進んでいく。

 

ヴヅヅヅヅヅヅヅ…!?

 

ガンカノはその予想外の行動に回避を遅らせてしまった。

マックスギャラクシーが肩口に直撃して、そのダメージで今度はガンカノが倒れた。

 

分離されたマックスギャラクシーはガンカノを掠めても止まらず、飛行を続ける。

そして、ゼノンの下へ!

 

「ジェェアアアアアア!!!」

 

ルガノーガーの首元に後ろ回し蹴りを極めていたゼノンはそのままの勢いで飛来するマックスギャラクシーを右手首に装着する。再び翼が閉じ、短剣へと姿を変えるマックスギャラクシー。その剣先から極太の光の刃、ギャラクシーソードが生成される。

 

「ディヤァアアアァァァァァ!!!」

 

そして、錐揉み回転をしながら、ルガノーガーを袈裟懸けに斬る!!

ズバンッッ!!!と激しいスパークが起こると共にルガノーガーの胸元からバラバラと破片が飛び散る。ルガノーガーの胸部に備わる装甲板が破壊されたのだ。あまりの衝撃にバリバリと空気が震え、周囲を土埃が盛大に舞う。

 

…キイイイィィィィィィ…!!

 

ルガノーガーは致命傷を負い、もはや金切り声しか挙げられなくなってしまった。

 

マックスは走ってガンカノに接近しながら、後頭部に右手を翳した。マクシウムソードの投擲か!そう判断したガンカノは内心ほくそ笑みながら顔面のクリスタルを紅色に輝かせた。

 

間抜けめ!その攻撃は当たらんぞ!ガンカノはそう思った。

 

が、マックスは右手を翳したまま、クルッとその場で身を翻した!!ガンカノは想定外の行動に判断が鈍った、それが命取りとなった。

 

マックスはそのままガンカノへと振り向き、取り外して逆手で持ったマクシウムソードをナイフのようにガンカノの顔面を斬りつけたのだ!!

ズシャッ!と斜めに切り傷が生じ、紅色に輝くクリスタルが粉砕される。

 

ヴヅヅヅヅ!!!

 

ガンカノは後ろへと倒れ、マックスはそんなガンカノを背にし、ルガノーガーの方向を向いて左手首を胸の前に翳してマックススパークを発光させ、空へと掲げた。マックススパークに光が集結し、やがて翼を広げた鳥のようなシルエットが浮かび上がる。

ゼノンもマックスギャラクシーを分離させると、両腕を胸の前に翳し、パワータイマーを発光させると左右に大きく広げた。光の粒子がパワータイマーへと収束していく。

 

「シュワァァァァァァァァァ!!!」

「ゼヤアァァァァァァァァァ!!!」

 

二人は腕を逆のL字に組み、マックスは虹色の、ゼノンは橙色の光線を発射した!!

 

マクシウムカノンゼノニウムカノン!!

 

2大ウルトラマンのW光線がルガノーガーの先程装甲板を破壊された胸部に直撃する!!

致命傷に更に高熱の光線を流し込まれて悶え苦しむルガノーガー。

 

キィィィイイィィアアアアァァアアァァ…!!

 

やがて、ルガノーガーの身体が瞬間膨れ、大爆発を起こした。残るはガンカノのみ。

マックスはガンカノの方向へと向き、ゼノンから分離し、コリンボ上空を滑空しているマックスギャラクシーを再び装着した。

 

「ジェア…!」

 

マックスは左掌をマックスギャラクシーの青いクリスタル部分に撫でるように翳す。

それに反応してクリスタルが輝き、剣先に今度は短い光の刃が生成される。

 

「ハアアアアァァァァァァ…!!」

 

そして右腕を後ろにひきしぼり、正拳突きのように勢いよく前に突きだす。

剣先から必殺光線、ギャラクシーカノンが放たれた!

 

顔面に深い切り傷を残すガンカノはフラフラと立ち上がるが、同時に光線が胸元に飛び込んでくる。一撃必殺の光線が胸の外殻と肉を抉り、やがて内部へと達する。

 

ヴヅヅヅヅ…ヅ…ヅヅ…ヅヅヅ…。

 

電子音のような声がバグを起こしたように乱れる。やがて、声は聞こえなくなり、顔面のクリスタルも胸元のクリスタルからも光がフッ…と消えた。

事切れたガンカノ。光線が止まると直立の姿勢のまま後ろへとゆっくり倒れる。

ガンカノを仕留めた手応えがあるのかマックスは正拳突きの姿勢を崩さなかった。

 

その確信の通り、ガンカノの居た場所から爆発が生じた。炭化した肉片が激しい爆炎と共に周囲に撒き散らされる。

 

「ゼノン!」

 

マックスはゼノンに声を掛け、駆け出す。ゼノンも頷き、マックスと同じ方向に駆け出した。

三体の強敵は撃退したが、問題はまだ解決していない。コリンボの地下に眠るゲーキンド鉱石群が未だ暴走を続けている。今も地鳴りや地震が発生し続けている。

マックスとゼノンはガンカノが暗黒のエネルギーを打ち込んだ巨大クレバスに近づき、その中を上から覗き込む。地下のゲーキンド鉱石は紫にギラギラと輝かせ、煙のような危険なオーラを濛々と立ち昇らせて激しい熱気が地上へと吹き出している。

 

「ゼノン、やるぞ!」

「ああ!」

 

二人は合図を出して、両腕を地下に向けて突き出した。二人の腕から青色の穏やかな波動が流れ出す。

鎮静光線。ゲーキンド鉱石に蓄積された熱量と相殺させて、暴走を抑えようと試みる。

容易ではなかった。全てのゲーキンド鉱石を鎮静化させ、元の血の色に戻すまで長時間鎮静光線を浴びせ続けていた。

マックスギャラクシーによるエネルギーのバックアップがあったとはいえ、膨大なエネルギーを使い、マックスとゼノンは疲労により肩で息をしていた。

 

「なんとか…収まったな…。この惑星の自壊は免れた…。」

「ありがとう、ゼノン…。君が来なければコリンボの命も危うかった。」

「しかし、分からない…。何故、あのゴドレイ星人はこんな自殺行為に及んだんだ?エネルギーを照射した後、すぐに逃げてもよかったはすだ。」

 

本来ならする必要もないマックスとの戦闘。ガンカノの戦闘能力なら追跡されても強引に振り払うことも出来たかもしれない。仮にマックスが残って鉱石の鎮静を試みても一人だけでは間に合わない。それに、鉱石の暴走には時間も掛かっていたためにすぐに惑星を破壊するには照射したエネルギーも少なかったのだろう。

それが、ガンカノはわざわざ配下の怪獣まで召喚して戦闘することを選んだ。

コリンボの破壊だけが目的ならこんな行動はありえないはず。となれば…。

 

「ゼノン、打ち込まれたエネルギーはまだ残っているか?」

「?…あぁ。一つ、エネルギーの残留がある小さな破片をサンプルとして科学技術局に回すつもりだ。…もしや、この()()()()()()()()が目的か…?」

「解析を急いでもらおう。これは何かの陰謀かもしれない。」

 

マックスとゼノンは、鉱石のサンプルを手に、惑星コリンボから飛び立った――。

 

 

 

 

 

 

 

ゴドレイ星人 ガンカノ 戦死…

 

 

ガンカノが戦死したという知らせはブライクの下にも届いた。

ブライクは…静かに俯いた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある小惑星の地下。そこには、様々な装置が配備された薄暗い空間があった。

中には巨大な檻や生体カプセルが並び、壁には電子ムチやククリナイフのような凶器が並び、全体的に危険な空気が漂っている。

ローブを深々と被った男は一人、作業を続けていた。まるでファンタジーに出てくる怪しい魔導師のような出で立ちの男。

作業に集中しているのか、背後にある入り口の扉が開いたことには気づいていなかった。

地下空間に入ってきたのは、ブライクとレギュラン星人エルーヴォの二人。

 

「いるな…育獣士…。」

 

ブライクが声を掛けると、彼に『育獣士』と呼ばれた男が驚いた様子で振り向いた。

 

「ブ、ブライク…!どうした、何のようだ!?」

「お前が手塩を掛けて育ててくれたルガノーガーとヘルベロスが死んじまったよ…。俺の仲間と一緒になぁ。」

 

エルーヴォが何処か苛立っている口ぶりでそう答えると、男は俯いた。

 

「そ、そうか…ソイツは気の毒だったな…。」

 

男が残念そうに言うと、エルーヴォはズカズカと男に近づいて両手で胸ぐらを掴みあげ、グイと手前に引き寄せた。

 

「気の毒ゥ!?怪獣達を虐待するのが趣味なテメーが気の毒だとぉ!?心にも無ぇこと言ってるテメーはここで始末してやるぜぇぇぇ!」

「な…何の話をしてんだよ!?」

 

エルーヴォの激昂に困惑する男。しかし、ブライクは動じることなく、静かに男に告げる。

 

「お前は気づかれてないと思ってるようだが…俺達は既に知っている…。お前の趣味をな…。」

「そーに思ってたってことは俺達をナメてたってことだな!やはりここで死んでもらおうかっ!」

「ま、待てって…!ブライク、止めろ!エルーヴォを止めろぉ!」

「止めてほしくば…俺達と一緒にタピオスに来い。」

 

男の必死の懇願を冷徹に返すブライク。男はタピオスの名前を聞いた途端に、胸ぐらを掴まれたまま驚愕の大声をあげる。

 

「タピオスゥゥゥ〜〜〜〜!?怪獣墓場の付近のか!?あそこの暗黒エネルギーの濃さは知ってるだろ!?皇帝の力を受け継ぐお前らならまだしも、俺はそこまで耐えきれねぇんだぞ!?」

「拒否するか、確かにここで始末するがいいな。」

 

ブライクの言葉に合わせて、エルーヴォが「んん〜〜〜!!??」と顔を近づけて威圧する。

 

「な、何で…!可愛いもの好きなエルーヴォなら分かるが、ブライクまで…!」

「お前…別次元の宇宙の奴らとつるんでるらしいな…俺達の許可も無く…。」

「そ…それは…!」

「アビウ星の奴らのことだぁ!!アイツらと組んで密かに怪獣売買ビジネスをおっ始めるつもりだったようだなぁ!!俺がその前にぶっ潰しちまったがな!!」

 

男は弱い者いじめが好きなクズな性格をしているが、怪獣の改造や調整においては倫理的かどうかはさておき、優秀ではあった。怪獣の調達は男自身では出来ないため調達用の戦闘員を雇わなければならなかったが、怪獣の使役には不慣れかつ、大規模な闇組織と結託してことで目的達成の前に目立ってしまうことを恐れたインペリアル・ソウルは男の手腕を見込んでその立ち位置を引き受けていた。互いの利害が一致したのだ。

そして、インペリアル・ソウルが連れ込んできた怪獣を男が使役しやすいように調整し、インペリアル・ソウルの戦力として売ってその性能によって男に報酬が支払われる。そういった内容でインペリアル・ソウルと男は取引をしていたのだった。

しかし、インペリアル・ソウルはその取引の中で一つの()()を取り付けていた。それは男が所持する宇宙中の怪獣の分布のデータをインペリアル・ソウル以外には公表しないことだった。男は公私問わずに怪獣を効率よく確保できる『狩り場』の情報を多く所持していた。

うっかりデータを公開してしまえば、ヴィラン・ギルドのような別の組織が怪獣やその地域自体を横取りしてしまう可能性が出てくる。シマを確保するためにも、データは男とインペリアル・ソウルの間だけでやり取りすることを条件に付けた。

しかし、男はアビウ星人が高い性能のレーダーを所持し、それを活用して別宇宙にも手を広げた怪獣売買を繰り広げていると知り、インペリアル・ソウルを裏切ってでもアビウ星人に結託しようとしたのだ。自身が持つM78ワールドの怪獣の情報を取引材料として…。

 

「お、お前にアビウ星人の宇宙船が盗られたと聞いてまさかとは思っていたが…!そこまでぇ…!」

「アビウ星のレーダーが今回の作戦に高く貢献してくれることが分かったことは棚からぼたもちであったが…。それでお前の裏切りがチャラになるわけではないぞ。」

 

ブライクがそこまで言うと、エルーヴォは右手だけ離して掌にエネルギーを集中させ始めた。小さな紫の光球を生成し、バチバチと放電させる。

 

「わ…分かった!タピオスに同行する!だ、だが俺は何をすればいい!?戦闘は得意ではないぞ!」

「ガクレ、イルーと共に鉄砲玉となり、ウルトラマン達を足止めしろ…。」

「ウルトラ…ッ!?」

「そーか!嫌か!じゃぁー!さらばだ!!」

 

尻込みする男にエルーヴォは右手を振り上げ、生成した光球を男にぶつけようとする。殺傷能力の高い攻撃だと判断したのだろう、男は慌てた。

 

「やる!やるよぉ!!やればいいんだろぉぉぉ〜〜〜〜!!??」

 

今にも泣きそうな…いや、既に半分泣いているような声で男はヤケクソに承諾する。

断ればこの場で処刑される。だったら一か八かウルトラマンと闘って運良く生き残れることを祈るしかないと考えたのだ。

エルーヴォはフンッと男の胸ぐらから手を離す。

 

「ううぐ…!!…て、てかよぉ、出発はいつだ!?」

「今だ…。すぐに支度しろ。」

「今…。ぐ…ぐ…!糞…!」

 

男は纏っていたローブを脱ぎ捨てる。頭部の巨大な1対のヒレ、細身な身体、その前後を彩る市松模様、ちぢれっ毛なロングヘア、鋏になった両手。

男の異星人…いや、地底人としての姿が顕となった。

 

 

ー 地底エージェント ギロン人 ー

 

 

「やってやるよぉ!!ウルトラマンが何だ!!やってやらぁぁぁ!!!」

 

ギロン人は声高に叫び、ブライクとエルーヴォに連れられて地下空間を後にした。

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