個性:自傷
自身を中心に半径5m以内の人物に自身の怪我を押し付ける個性
明らかに強力な個性。そんな個性をこの男は他者に与えたという。
「つまらない冗談だな
「人を価値の分からないみたいに言うのはやめてくれよ。僕だってこの個性を渡すのはかなり躊躇ったさ。だから調べ尽くした。この個性については君やコレよりも詳しいよ。限界も知ってる。どうすればコレを壊せるかもね。」
AFOと呼ばれた男が笑みを浮かべながら話し出す。この男の話が本当ならば自傷の個性所有者を殺害できてしまう。
「6年前、君が僕を殺した時にはコレを渡したことを後悔しそうだったよ。……いや、既に後悔した後だったな。あの男の絶望する顔を見れなかったのだから。」
「あの男?」
「コレの父親さ」
切裂を見せつけるかのように持ち上げる。個性を渡した理由は父親だという。
「かつて【鬼神】がヴィラン組織を潰したのは知っているだろ? アレが潰した組織の中に僕の研究施設もあったんだ。だから仕返しにどうすればアレが嫌がるかずっと考えてた、結構時間が経ってしまったがね。
そしたら彼は家庭を持ったそうじゃないか!
親になったそうじゃないか!
なら彼から大切なそれを奪ってやろうとコレに自傷を与えた!
警戒心の薄い幼子に近づくのはそう難しくなかったよ。僕の目論見通り個性を扱いきれず周りの人間は離れていった。けれどあの家族は壊れるどころか絆を深めていった。コレと出会うのが後数年遅ければ複製を渡せたんだけどね。」
「貴様!そんな事のために切裂少女まで巻き込んだのか!!」
「落ち着け俊典!!そうやって挑発に乗って6年前、腹に穴を開けられた!!奴と言葉を交わすな!……それに今は嬢ちゃんが人質兼盾になってやがる!冷静さを欠けば取り返しのつかねぇことになんぞ!!」
切裂がAFOの手の中にいる。下手をすれば人質に怪我を与えてしまうこととなり、それは自分へと返ってくる。そして尚且つAFOは切裂の頭を持っている。彼の個性は他者の個性を奪い、個性を与えることの出来るもの。既に奪う準備は出来ている。自傷の個性もAFOはこの場の誰よりも詳しく、切裂が持っている知識だけでは太刀打ちできない。現状を打開するには切裂を救い出すことこれが鍵となっている。
「(動け、動け、動け……)」
「おいおい、あんまり暴れないでくれ。君の手足は折っているのだから暴れても無意味だよ。」
何とかして逃げようと体を揺らすが折れた手足が動かず何も出来ない。
「(動け、動け、動け……この男から離れろ……そうすればオールマイトがきっと倒してくれる……倒すために動け……)」
「君が動いてなんになる?そもそも今ヒーロー達が攻めあぐねているのは全て君のせいだろ?たとえ君が逃げたところでその力を欲しがる人はごまんといる。君がいるところに不幸が訪れる。
君は呪いそのものだよ。」
バシッ
男の手が力ずくにはらわれる。
「ッ!よくやった嬢ちゃん!!」
折れているはずのその手で振り払う。その一瞬を見逃さずグラントリノのが切裂を回収する。
「ありがとう……切裂少女!!」
「何故だ……なぜ動ける……」
グラントリノが切裂を回収すると同時にオールマイトが殴りかかる。AFOはその拳を受け止め、突如動いた切裂に動揺を顕にする。しかしすぐにそれは消え笑みにも似た表情を浮かべ始めた。
「あぁ……そうか……
まさかとは思っていたがやっぱりか!
まるで物語の様じゃないか!
それが君か!
それが……
それが一つ目か!!」