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夢を見ていた。
AFOから逃げた時からだろうか定かでは無いが、切裂は暗い窮屈な場所にいた。そこには自分以外にもう一人幼い少女がいた。どこか見覚えのある女の子、夢を思い描いていそうな女の子が涙を流していた。
「どうしたの?なんで泣いてるの?」
切裂咲はその少女に問いかける。
「どうしてそんなことしてるの……ヒーローになりたいんじゃないの……」
遠い昔、もう思い出すことの出来ない古い記憶。少女から言われたそんな言葉。
「もうやめて……痛いよ……このままじゃ死んじゃう……」
「カハッ」
急な息苦しさで目が覚める。今まで何をしていたのか思い出せない。痛みも感じない。視界が眩む。そんな中近くにグラントリノがいることに気づけた。
「おい轟!力貸してくれ!!俺じゃコイツ抑えられねぇ!!」
「……うあん……といお」
「目ぇ覚めたか!意識あるな!これ以上個性使うんじゃねぇぞ!!」
「ご老人なんだその少女は、ボロボロじゃないか!!自傷の個性の持ち主だったな、何故こんなことに……」
近くにエンデヴァーもいた。眩んでいた視界が徐々に見え始めてきた。前方に萎んだオールマイトとAFOがいる。片腕だけを普段から見ている姿をしていた。
「『筋骨発条化』+『瞬発力×4』+『膂力増強×3』+『増殖』+『肥大化』+『鋲』+『エアウォーク』+『槍骨』確実に殺せる様に、僕が掛け合わせられる個性たちで君を殴る。」
多くの個性を同時にに使っているためかその左腕はあまりにも不格好な姿となっていた。しかしその一振をくらおうものならたとえオールマイトでも命はないだろう。そんな一撃に耐えられる人間など一人しかいない。それは誰もが理解していた。本人すらも理解している。だが周りの人間がそれをさせない。
「やめろって言っただろ!!(クソッ!体を動かす個性だァ!?そんなチンケなもんじゃねぇよ!ただ体破壊するだけじゃねぇか!!)おい轟!手ぇ貸せ!!」
「全くなんなんだ!!こんな体で何をしようと言うのだ!!」
動こうとする切裂をグラントリノとエンデヴァーが抑える。自分なら盾になれる事を理解していた。だからこそ動こうとするがヒーローはそれをさせない。そんな時オールマイトとAFOがぶつかり合う。AFOの攻撃をいなしオールマイトは拳を放とうとする。
「残念だったねオールマイト」
「!!」
AFOの右腕が膨らんでいた。何度も見せられたそれが準備されていた。
しかしそれが使われることは無かった。
「(腕が上がらない!?何故だ?)」
AFOの右腕は上がらなかった。一つの可能性を思い出し切裂へと目を向ける。辺り一帯を破壊したおかげで瓦礫の山が出来上がっており。割れたガラスや陶器、上手く割れ鋭利になった瓦礫がそこら中にある。体を傷つける道具は山ほどある。
右肩を破壊するのではダメだ。うる覚えだったが「君にも超再生をあげよう」とAFOは言っていた。ならばAFOも持っていてもおかしくは無い、仮に自傷の個性を使って傷を負わせたとしても超再生で治されては意味が無い。超再生が治せないであろう怪我をする、もしくは再生速度を上回る速さで怪我を与え続ける必要がある。AFOは誰よりもこの個性に詳しいと言っていた。ならばこれも知っているのだろう。この個性に悩まされたから知っている。治癒できない怪我の仕方を。
「(そうだったな、体になにか刺したままなら常に怪我をし続けているのと同じだ。いくら超再生でもアレをされれば治せないな。)」
グラントリノ、エンデヴァーを振り切り、切裂は近くにある物を手当り次第右肩に刺す。健を切れれば早いのだろうがそこまで切れ味のいいもの等ここには無い、なら肩を動かせなくなるほど物を刺せばいい。痛みなど関係なく体が動かされる。
「全く……本当にいい個性だ。」
「君という奴は……さらばだオール・フォー・ワン
UNITED STATES OF SMAASH」
AFOの顔面にその一撃が突き刺さる。
「一つ教えておこうAFO。体を操る個性?そんなんじゃないさ。友を助け、友と向き合い、他者を守る。その為に必要な後一歩を押してくれる、勇気の個性だ。」
それを言うと右腕を上げる。スタンディング。
No.1ヒーローとして最後の
オールマイトの勝利後ヴィランが収容されると同時に救助活動が開始される。
「おい!この子かなりマズイ!治癒系の個性持ちこっちに回せ早く!!」
「何したこうなるんだよ……全身バキバキじゃないか」
「おい!肩のやつ触んなよ!!」
「内臓が潰れて……折れた骨が肺に刺さってる……応急処置したらすぐ病院へ!!」
何人かの医師が切裂の元へと集まり、処置をしていく。余りにも酷い状態らしい。応急処置が終わると担架に乗せられ救急車に運ばれる。オールマイト、グラントリノ等がそれをそばで見守る。
「……おーる……まいと」
「切裂少女すまない……今はとにかく休んでくれ」
「……おもいだしたの……むかし……ゆめ」
おぼつかない言葉でオールマイトへ声をかける。
「……ひーろー……なれる?」
「ッ!あぁ……なれるとも!!私は君に助けられたのだから……君はヒーローになれる!!」
「……フフ」
不器用な笑みを浮かべて切裂咲は目を閉じた。
気がつくとまたあの場所にいた。少しだけ違い窮屈さは無くなっていた。あの幼い少女は目の前におりこちらを向いて微笑んでいた。
「ありがとう」
コレで『自傷少女は個性を呪う』終わりとなります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
何となく書いてみようと始めて、小説というものを初めて書きました。実際3話位で飽きて辞めてしまうんじゃないかと思っていたのですが最後まで書ききれました。(最後雑になってしまいましたが……)
感想欄でのアドバイスや、面白い等の文字を見る度に何度も元気ずけられました。評価も良くて☆5ぐらいになるんじゃないかとも思っていたのですが☆9に入れてくれた方も多く嬉しい悲鳴でした。
本当にありがとうございました。