銭と課金のノスタルディア ~異世界行ったのに、仲間増やすにはガチャしか手がないんですが~ 作:Rameso
事情を軽くハンプに説明して、ついでに宿の主人には今日も宿泊したいと告げる。
訝しげな表情を崩そうともしなかったが、金を払う分には構わないとのことだった。
昼下がりまで特にやる事もなかったので、自身の部屋で備品整理を行う事にした。
緊急用のポーションや、干し肉。きらきらと光り輝く大根と黒光りした銃。
十連ガチャから出たブリオの武器、防具に、エンタルという銃士の武器だ。
「ブリオの物はともかく、この武器なんか使い道がないからなぁ」
黒輝と銘が彫られたマスケット銃を見て、ハンプは目を見張る。
「なんと……その武器は業物ですな。銃がこの世に出てからまだ日は浅いですがその技術を欲しがる人間は多いですぞ」
「そうなのか」
「旦那様、やはりガチャとは空恐ろしい力です。僭越ながら、くれぐれも力の扱い方を間違えぬよう」
やけに警戒しているハンプを横目に「まぁ、この力にも制限があるし気をつけるようにする」と返した。
それにしても、黒輝か。
売れたら胡椒買える分くらいは資金が手に入らないかな。
不埒な事を考えていることがハンプにも分かったのか、「辞めておいた方がよろしいかと」と、注意された。
「このようなマスケット銃を市場に流せば、旦那様はランベルト帝国の関係者と思われます。ますます立場が悪くなりますぞ」
「そのランベルト帝国は、エッツラウプとは敵対しているのか?」
「いえ、明確な敵対状態ではありませんが、お互い国境沿いの砦を挟んで小競り合いを起こしている関係ですぞ」
とてもとても協力的な関係とは言えないと言い放ち、ハンプが難しい顔をした。
そういえば、アプリでも国が三つ出てきたなぁとふと思う。
王国と、帝国と、聖国だったと思うが、主に王国でメインストーリーが進むので強く意識していなかった。
まぁ、キャラの名前や性能を覚える方が先だったしな。俺は悪くない、うん。
「とにかく、その銃を売り払うにしろ何にしろ今回の騒動を治めてからの方がよろしいかと」
「確かにそうだな」
「……勿論、欲しがる商人は数多にいるでしょう。それだけの価値がこれには御座います」
星四つの武器ね、一応今回のガチャの大当たりではあるんだよなぁ。
だけど、そもそも帰属性があって名前を冠した人物しか装備できなかったのだ。
その為、キャラの強化素材に使ったり、合成して星の位階を上げるくらいにしか使わなかった。
実際に現地に来たら金策手段という選択肢もあったんだなと目から鱗が落ちる思いだ。
アプリ時代は曜日限定のダンジョンや、イベントで金策をしていたのだが、
現実にはイベントダンジョンなんて無いのでこの地に根差した方法を取らないといけないってことか。
これは改めて認識をしなおす方がいいなと思うのだった。
ふと気付けば指定された時間が近づいており、ハンプを宿に残し、足取りは重いままだが詰め所に向かう。
「ふん、ようやく来たか。本来あり得ないことだが姫殿下直々の指名だ。さっさとこちらへ来い」
門番として立っていたエステルの部下らしき若い騎士が、俺を高圧的な態度で出迎える。
流石に不快だったが、今更こいつごときにまともに応対しても仕方がない。
「はいはい、騎士様はお偉い事で」と軽口を返した。
「貴様、先ほどから無礼にも程があるぞ。騎士とは王国を守る要。冒険者風情に侮られては仕事にならないのだ」
「けれど、それならばまずヴェロニカ姫を見失う方が悪いんじゃないのか?」
「……エステル様を侮辱する気か、貴様」
いや、別にエステルを侮辱したつもりはないんだけど。
確かにヴェロニカ姫様付きだって言ってたから主にあいつの責任なんだろうけどさ。
なんせ絡まれてもこちらに利益なんてないのでパンと手を叩く。
「はいはい、そこまでだ。俺は別に罪人として呼ばれたわけじゃないだろう?」
「どうせそうなるのは分かりきってる事だ、異端者め」
ばちばちと俺に強い敵意を向けるこいつに苦笑を返しながら歩みを進めると、やがて大きな扉が見えてきた。
「ここから先に、姫殿下がおられる。無礼を働けばそっ首を叩き切られると思え」
ぎいいと大きな音を立てて扉が開かれると、そこには昨日と替わらず容姿だけは美しいヴェロニカ姫の姿があった。
横にはエステルと騎士団に続き、アンクが控えており、さらに法典を持った見慣れない老人が居た。
「──―この度は、我らの召喚に応じていただきご足労でした。"自由の旅人 ヴェリ"よ、呼び出された理由は分かっていますね?」
ヴェロニカ姫が、猫娘がガチャで見せる"例の煽るような笑顔"を讃えていて、嫌な予感がした。
「さて、姫殿下の御前で恐縮だが、簡単に自己紹介を」
横に控えていた老人が、今回の法務官だと名乗った。
厳かに姫に対しての賛美を述べ、王国法の正大公明さの前口上を述べ、くるりと俺に向き直る。
「さて、"自由の旅人 ヴェリ"。此度は、姫殿下の危機を救ったということ、であるな。
ただし、こちらの"陽光の騎士 エステル"及び"シスター アンク"よりそなたは危険な異端者であるとの訴えも受けている」
険しい形相の老人は、俺の事を値踏みするようにこちらを凝視する。
だが、頭をさげた時に見えた頭頂部を見て、俺はつい笑いを噛み殺してしまう。
「!! 貴様、姫殿下の御前、しかも、このような静粛な場で笑うだと!」
「レイク、この場で貴公の発言は許可されていない」
エステルが、先ほどから俺に突っかかってきていた若い騎士を真顔で睨む。
小さく「申し訳ございません」とレイクと呼ばれた騎士は呟いた。
こほんと、老人は咳払いをして、俺に意見を促す。
……いやいやいや、てっぺんだけ禿げてるのは卑怯だろ。
しかも、ただ禿げてるんじゃなくて禿げの部分になんか「マジ卍」みたいな文字が書いてるし。
この国本当にやばいだろ。お前の頭頂部が陽光神だよ、ちくしょう。
笑いを嚙み殺しながら「い、いえ、俺は異端者ではありません」と咳き込みながら告げる。
「ふむ、それでは二人の訴えは嘘であり、"自由の旅人 ヴェリ"は、陽光神の敬虔な信徒であるということか」
「!! そうです、異端者ではないと言うのであれば、陽光の洗礼を受けなおすべきです」
「"シスターアンク"、まだこの場であなたの発言は許可されて無いわ」
急に挟み込まれたアンクの発言を制してヴェロニカ姫が、くすくすと笑う。
アンクは顔を真っ赤にしながら「す、すいません」と恐縮しきりである。
教会関係者がお手数をおかけしましたと、老人が姫に向かって、さらには俺に向かい頭を下げる。
……だから、本当やめてくれって。剃ってるのかよ、それ。剃ってるんだな! 産毛生えてるよな!!
心を無するように努力しながら「いえ、俺は陽光の信徒になる気はありません」と何とか答える。
「なるほど、陽光の信徒ではない、だが、異端者でもない。そう言いたいのだな?」
「そんな理屈は通らない。それに国教で陽光神が定められているのだ、それに従わないなどありえん」
「エステル。……何度も言うようだけど、まだあなたの発言を許していないわ」
「!! 姫様、失礼しました!」
ぺこりとエステルがヴェロニカ姫に向かって頭を下げ、ついでに老人も頭を下げた。
……こ、こいつら、完全に俺を殺しにかかってきてやがる……!
というか、いちいち俺に向かって頭を下げるなよ!
「お、俺は、違います、俺は、……」
「陽光神ではなく射幸神の信徒――なのよね、ヴェリ君は」
「!! 姫様、姫様の発言はまだ許可されていませんよ!」
「エステル、あなたに対しては減給一ヶ月の処分をくだしましょう」
「……そんな、ご無体な! それだけはご勘弁を!」
ついには主従関係による、小芝居が始まってしまった。
ヴェロニカが、俺に向かって助け舟を出したことにエステルがあろうことか口を挟む。
……何故か分からないが何も言わずに、すぅーっと静かに老人が俺に向かって頭を下げる。
……もう見ないからな! 俺はお前の頭を見ないようにするからな!
「静粛に、静粛に!」
老人が大声を出しながら、全体に向かって頭を下げる。
その場を抑えるには有効な手だったのだろう、すぐさま場が静まる。
……おい、レイク、この野郎ちょっと笑っちゃってるじゃないか。
ちょっと親近感沸いたじゃないかクソ野郎。
「ごほん、さて、"自由の旅人 ヴェリ"。姫殿下が先ほど述べた言葉に相違はあるまいな」
「そ、そういありません」
声が震えてしまい悔しいが、ええいままよと答える。
「なるほど、貴様はやはり邪神──―遮光神の信徒という訳か」
ううむと老人が強い視線でこちらを睨みつける。
いや、それくらいは確かに想定はしていたんだが、続く言葉が想定外だった。
「それでは、判決を言い渡す。死刑!」
は。
は?
はっ?!
「王国法で定められておる。信仰は自由であるが、遮光神を信仰するものは如何なる場合でも死に処すと」
その言葉を待っていましたと言うように、エステルとレイク以外の騎士達が後ろの扉からぞろぞろと俺に向かって歩き出す。
中には既に腰から剣を抜いている者もおり、こちらに対して恐ろしいほどの殺気を浴びせる。
おいおいおい、結局最初から殺す気だったということか。
俺だってまだこんな所で死にたくはないので、逃げる空間を即座に探す。
「お待ちなさい、私は遮光神ではなく、射幸神と言いました。私を救った人物に私から不義を成させるのですか。──―騎士達よ、控えなさい」
恐ろしいほどの迫力を持って、ヴェロニカ姫がその場を制す。
騎士達は、しばし間を置いた後に、悔しさや憎しみを露わにしながらすごすごと場に戻っていった。
「へぇ、姫を守る偉大なる騎士様たちは、こういう腐ったやり方をするんだな」
わざと不快の念を強めて、大声でやつらを罵倒する。
本当に腐ったやり方だ。油断を誘って、隙を見て殺してしまうって事か。
じわじわとひりつくような熱を感じながら、頬を伝う汗は冷え切っていた。
「此度の騎士団の不手際は弁明の仕様もありません。責は騎士団に取らせるようにしましょうか」
その言葉に、騎士団の連中が「そ、そのような事!」と青ざめた顔をする。
まさかの事態に、エステルなど青色を通り越して顔を白くさせていた。
当然だろう。"信仰は自由と王国法で定めている"と"向こうからはっきり"言ってきたのだ。
その上で、まさかの姫の御前での失態。つまりこれらの騒動は全てエステルやアンク等の教会関係者が起こした暴走。
さらに言えば、姫を逃した罪。その姫を助け出した俺に対しての無礼。
ヴェロニカ姫は、蒼白になっている辺りをちらりと見回した後、
それでも憮然としている俺に向かって"煽るような笑顔を向けた"。
「ですが、"自由の旅人 ヴェリ"よ。そちらも怪しまれるような行動を起こしたのは事実では?」
その提案はまさに、悪魔的な囁きで、ここに居る俺以外の全ての射幸心を煽るものだった。
「──―そこで、私、ヴェロニカ・エッツラウプは命じます。遺恨を残さない為に、ヴェリ、あなたは自ら決闘で無実を証明するのです。
なぁに、私を救い出したあなたならとっても簡単な事でしょう?」
……騎士に囲まれている中で断れる訳もない。事実上の命令に俺は「オウマイゴッド」と呟くのだった。
「あら、この紅茶はお口に合わなかったかしら? 聖国から取り寄せた最高級品なのだけれど」
「……」
裁判が終わり、俺は詰め所内の来賓室に通されていた。
中は高級そうな家具や調度品に囲まれており、かと言って成金趣味を感じさせない品の良さを感じさせた。
俺はヴェロニカ姫と二人きりでテーブルを挟んだ対面をしていた。
騎士団は断固として反対していたが、「私に、これ以上不義理をさせる気ですか」と一喝。
部屋の前に騎士を複数人控えさせる事ということで無理やりに納得させていた。
だが、先ほどの騎士団達の言動や、ヴェロニカ姫の発言。正直な所、何もかも信用がならない状況である。
芳醇な香りな紅茶を差し出されたが、一口つけた後は警戒して残すようにした。
俺がだんまりなのを見て取った後に、ヴェロニカ姫は不敵に笑う。
「むふふん、もはやあなたと私は共犯者なのよ? 悪いようにはしてないつもりだけれど」
「……心証は悪いぞ」
「……だけど、あなたをあのまま返してしまうと私はエステルを処分をする事になったでしょうね」
「……」
はぁ、と心の底から大きなため息をつく。
決闘の話をヴェロニカ姫から言い渡された後に、にわかに騎士団は沸き立った。
王国法には双方が十分まで納得しない場合は、決闘により決着を決める手段も取れるとある。
勿論、一方的に決闘を申し込まれる側は拒否する事はできる。
拒否したからと言って、本来の裁判としての結果は覆る事はない。
しかしながら、裁判結果が覆らなくても「決闘から逃げた」との評判は被せられてしまう。
商人や町人などであれば、それでも問題はない。本来、武が評価される基準ではないからだ。
だが武力や戦闘力を持ってこの世に立つ人間においての意味合いは全くもって違う。
特に、冒険者のような自由業において、悪評が流れると言う事は致命的だ。
依頼を受けれない、仲間に断られる。いや、パーティは組めるのだが必然的に層は変わる。
悪評が流れる者は悪評が流れる者としかパーテイを組めないのだ。
命をかけれない、信頼できない者同士では、もはやまともな依頼はこなせない。
特に、ヴェリの今までの"自由の旅人"としての名声が反転して、全て悪評に変わる可能性は見過ごせない。
俺自身というよりは、魔物であるハンプの為にも避けなければいけないことだった。
街に残っても射幸神の信徒としての評判は残る。
さらに、エステルが処罰されるということで騎士団からの恨みを買う。それも避けなければいけない事態。
決闘の勝者は相手に対しての罪を決めることが出来る。ようするに無理筋を取れる。
つまりは、俺は勝った上で、騎士団に対して一切を不問とすると言うことによりこの場を納めなければならない。
だが──―
「決闘までに信頼できるパーティを作れるかが問題なんだよなぁ……」
なんと決闘というのが、一対一で行うものではないのだ。
……つまり、ルールはアプリのノスタルディアストーリー内でのいわゆる対人戦と同じ方式を取る。
三対三、六対六のどちらかを選び時間を区切った上で、勝負を行う。
何故ならば冒険者は基本的に"タンク、アタッカー、ヒーラー"と役割を分けており、
仮にタンクとヒーラー同士の諍いが発生した場合、当事者がタンク対ヒーラーになってしまう可能性がある。
だが、決闘は必ずしもタンク、アタッカー、ヒーラーを揃える必要はなく、例えばタンク、タンク、タンクなんかでも可能はある。
つまり一対一の決闘では相当に有利不利が生じてしまうけど、三対三にしたのだから後は自分で考えてねということらしい。
大概の場合、冒険者は駆け出しであったとしてもパーティを組んでいる。
そのような場合は元々組んでいたパーティ同士で決闘を行うことが多い。
だが、俺の場合、そのパーティを元々組んでいないのだ。
商人であれば代理を立てたり、町人でも血気盛んな者であればギルドで傭兵を集う場合がある。
しかし、冒険者が傭兵を募ったり、代理を使った前例はほとんどない。
勿論ルールとしては問題は無いのだが、何か理由があってパーティを組めない冒険者とのレッテルが貼られてしまう。
組めるけど組んでない人間と、組もうとしても組まない人間では周りからの評判が違ってきてしまうのだ。
──―ここに来てヴェリのぼっち設定がボディブローのように利いてきたなぁ。
ようするに「おーい、お前らグループ作れー」と言われて、
相手が仲の良いグループ作れてるのに、俺だけ先生連中とグループを作っているような感じだ。
深い理解が無い相手同士では連携も取りにくいし、なによりなんか心が抉られる。
「……正直、冒険者ギルドに応援を頼むって線はないわよ。そもそも、頼んでも来てくれないと思うわ」
思考の海に沈んでいると、ヴェロニカ姫が追い討ちをかけてきた。
騎士団との決闘、しかも王族が決闘の音頭を取っている案件。こんなもの、相当な地雷物件だ。
冒険者ギルドからの斡旋制度はあるのだが、実力不足や半端者が送られる事が多く機能はしないだろうと。
「むふふん、何を心配する事があるのかしら。あなたには私と言う救いの神がいるというのに」
ヴェロニカ姫はその申し訳ないのだが、あまり立派とは言えない胸を大きく張った。
どう考えても救いの神というか厄病神だと思うのだが、強くは言えない。
……まぁ、ヴェロニカ姫がいなかったとしても、エステルとアンクが洗礼! 洗礼! と言ってたし確かに詰んではいたのだ。
こちらの世界に移転してから本当に碌な目にあっていない。
「そう悲観するものではないにゃ、ヴェリ君。君には射幸神様からのガチャという能力があるじゃにゃいか。
それに、我輩は君を毎日でもサポートする用意があると伝えた筈だったけど?」
あえて、猫娘の時のおどけた口調で言うと、くすくすとヴェロニカ姫は嘲るように嗤った。
「これが今日の分の契約石にゃ、さぁ、元気にいってみましょう。だってこのまま負けるなんて"つまらない"でしょ?」
パチッと指を鳴らすと荘厳な音がして、いつものようにガチャの門が現れた。
完全に乗せられてしまっているのは分かるのだが、他に俺が取れる手段がない。
ええいままよ、とヴェロニカ姫から手渡しで貰った契約石を掲げる。
「むふふん、いやよいやよもガチャのうちってことだにゃ」
どういう原理か分からないが、またしても異空間に飛んでいた。
壮大な音楽が鳴り響く、異様な空間。
目の前には猫耳を装着して、キャットテールの装いをしている姫。
「……着替えるのが早いんだな」
「にゃははは、我輩は怪盗、こんな技は朝飯前にゃ。さて、今回は三回分しかないのにゃ。だからこそ、一個一個に期待にゃ」
あぁ、ログインボーナスだから石が少ないのか、と何故か納得した。
アプリの一週間初心者ボーナスって初日分はそこまで多くは貰えなかったよなぁ。
七日目は限定ガチャチケットとか貰えるのかなぁと思いつつ、あまり深く考えないようにする。
しかし、改めてだが疑問に思うことがあった。
「そもそもだが、契約石ってどういうものなんだ」
「契約石は魔術の触媒にゃ。マジックバッグの拡張や、戦争で疲れて動けない騎士団のスタミナ回復に使われるのにゃ」
結構に貴重な物らしく、ダンジョンに自生してるものをこつこつと王国主導でかき集めてるらしい。
魔術行使の際に触媒として大きな役割が期待できるとの事なので、宮廷魔術士や治癒術士が基本的には溜め込んでいる。
ヴェロニカ姫は王族の一員ということで、比較的その辺は融通してもらっているらしい。
「まぁ、駆け出しの冒険者にはまず手に入らないものにゃ。……我輩のクエストでも受けない限りは」
「……なるほど、供給源はあくまで限られてるって訳か」
「報酬で、いくらか用意する気はあるにゃよ。でも、ヴェリ君がそもそも戦力増強してくれないと困りはするのにゃ」
つまり、冒険者としてのバックアップはするから私の言う事を聞いてくれと。
ヴェロニカ姫の意思で動く、自分自身の手駒となりうる戦力を作りたい、そういうことなのだろう。
「そんなこと言ってるうちに、一発目がきそうにゃ」
激しい明滅が起こり、音楽が鳴り止む。
それと同時に、ヴェロニカ姫が嬌声をあげる。
「おっと、これはいいものだにゃ!」
その言葉に俺は少し興奮した。そう、これは確定演出だ。
星四が最低でも保障されている時に出る言葉であり、流石に胸が躍った。
「これは……」
「これは?」
「なんと……! 星五つ、"竜滅姫 テオドラ"のアニマにゃ!」
「おぉ! かなりの当たりじゃないか!」
……キャラクター本人が召還されるわけではないが、それでも星五つが来るとは幸先が良い。
そもそもブリオの件があったので、星三つが最低保障ではない可能性がある。
それを考えるとかなり良い結果だろう。
「続いて、……お、なんと、星四つ、"剣聖 ダレス"のアニマにゃ!」
これも、相当に良い結果と言える部類だろう。
剣聖ダレスは星四でありながらリセマラを終えてもいいくらいの性能だ。
キャラクター本人が召還されるのであれば……だが。
まぁ、アニマが揃っていけば召喚できるチャンスはある。将来的な希望は持てたということだ。
「最後には……お、これは!!!」
ヴェロニカ姫は大げさにポーズを取って、俺の方を煽るような目で見てくる。
あ、はい。
「これは……!!!」
はい。
「なんと……?!!」
はいはい。
「ブリオのアニマにゃ!」
はい、碌な結果じゃないって知ってました。
「──―終わり、以上、閉廷にゃっ!」
「次も頑張ってれっつごー、なのにゃ!」
「終わりにゃ!」
唐突にぷつんと景色が揺らぎ、姫の部屋へと戻ってきた。
なんというか、何だろう。
「……あの、結局、仲間増えてないんだけど」
手には立派に光り輝くテオドラのアニマ、それには劣るが眩いダレスのアニマ、あと生臭いブリオの何か。
いや、ちょっと無理やりテンション上げてみたけれど結局何も解決していないんですけど。
「ちっちっちっ、甘いね、ヴェリ君。我輩は別に契約石を使う召喚魔法を使えるだけじゃにゃい」
ヴェロニカ姫はにゃはははと笑って、先ほどよりはみすぼらしいガチャの門を呼び出す。
あぁ、もしかしてこの流れはあれか。
「ヴェリ君、別に契約石を使った神技じゃなくても奥義で呼び出せる程よい召還魔法もあるにゃ」
「……もしかして"奥義 フレンドポイントガチャ"とかじゃないのかそれ」
「お、良くわかったにゃ! 出るものは神技よりもしょぼくはなるけどはそれでも神の御業なのにゃ」
射幸神の信徒のヴェリ君ならきっと使えるはず、ということらしい。
うん、一日一回無料でポイントガチャは引けますね、はい。
フレンドポイントがこの世界で何に当たるのかは分からないが、アプリのお陰で仕組みの理解は早かった
「それじゃあ、レッツゴーにゃ。あ、ヴェリ君なんか適当にそれっぽいポーズ取ってみてくれにゃいか」
なんか、おざなりだなぁと思いつつ、適当に契約石を掲げる時と同じ素振りを見せる。
しゅんと一瞬で景色が変わった。あ、なんだかんだできちゃうんですね。
フレンドポイントとは……と思いつつもそういうものとして理解するしかない。
先ほどよりは若干しょぼくなった音楽を聴きつつ、俺は苦笑いをした。
「やっぱり、我輩が見込んだだけはあるにゃ。こんな簡単に奥義まで使えるとは」
うんうん、とヴェロニカ姫は頷く。
いやぁ、我輩は門を呼び出すしかできないからとの事。
「どうして姫は、こんな召喚魔法を使えるようになったんだ?
「いやぁ、経典を禁書庫で見つけなければ多分我輩も普通に姫様やってたと思うのにゃ」
どうやら子供のときに、エッツラウプ王城内で他の王子達とかくれんぼをしてた時に見つけたらしい。
興味本位で見てるうちに家庭教師から教わる陽光神第一の内容に疑問を持ってしまう。
経典を読んでる内に、気付けば門の召喚や他の魔法を覚え試してみたくなったと。
そこから、隙を見ては城から抜け出して行動を起こしてきたとの事。
「……エステルをもっと労わってあげた方がいいんじゃないか」
「あの子に苦労をかけてるのは分かるのだけれど、でも、我輩、いや、私にしかできない事は多いのよ」
その口調はいつものふざけた物ではなく、相当の真剣味を帯びていた。
ついつい言葉に詰まってしまう。
「にゃんてね、結局のところ、我輩はわくわくしてないと生きられないのにゃ」
先ほどの表情などまるで無かったかのように、ヴェロニカ姫はくるりと回った。
「さ、そろそろ結果が出そうにゃ」と音楽が鳴り止むと同時に明滅が起こる。
「おっと、物語に新たな風を起こす人物の登場にゃ!」
ヴェロニカ姫が柄にも無く興奮している。
これはキャラクターが出る確定演出。アニマ、武器、防具よりも希少価値が高い
無料ガチャで出るのはブリオと同レベルのレアリティが多いが、それでもありがたい。
「これは……!!!」
例によって、ヴェロニカ姫が結果報告をじらす。
「"アタッカー"の姿が見えるにゃ、さぁ、その姿をここに現すにゃ」
お、アタッカーか。俺と被るけど結構よさげじゃないか。
攻撃ができる人物が増えるだけでも相当にありがたい。
"魔術士 アデル"とか"狩人 エデッタ"が出るといいなぁと期待に胸を膨らます。
比較的星が低くても彼らはスキルが扱いやすいのである。
とにかく遠距離攻撃ができる人物が欲しい。
「さぁ、我が声に応じるのにゃ。ようこそ、"旅商人 リズ"。 さぁ、新しい冒険の幕開けにゃ!」
ヴェロニカ姫が声をあげると、むくむくと光が人の形を作っていく。
リズ、りず。
あ、昨日、門の前で合った胡椒売りの女の子。成程。
「私の名前はリズ! 私は戦闘では役に立たないけど、お金の管理は任せといて!」
お決まりの紹介ボイスが流れる。
うん、自分で戦闘では役に立たないって言っちゃってるよね。
必ず紹介ボイスは言うんだなあ。と、にわかに思っていると、
不意にリズは「え、姫様?! って言うか、ここどこなのよ、何で私自己紹介してるのよ!?」と叫んだ。
うん、ポイントガチャなんだ、すまない。
それと、意思関係なく勝手に喋るのか、怖いなぁ。
リズの事を、ギラギラと目を輝かせながら見ているヴェロニカ姫の姿を見て、現実逃避にそんな事を考えるのだった。
それはいいけど、決闘どうするんだよ、これ。
刹那、ヴェロニカ姫はわけも分からず狼狽するリズに向かって、自分の猫耳をすぽっと被せた。
普段なら間近で見る事などできない高貴な人間。
さらに、起こされた行動の訳の分からなさに彼女は狼狽していた。
「いいじゃない、結構さまになってるわよ、キャットテール」
「え、ええ?! ひ、姫様、お戯れはよしてください!」
「ええじゃないか、ええじゃないか」
あー、本当自由だなこの姫。
「つまり、私はあなたをスカウトする訳よ」
「す、すい、申し訳ございません。僭越ながら私目にはこの状況が飲み込めません!」
「いいのよ。フィーリングで感じれば、あと語尾ににゃんって付けてちょうだい」
「ひっ! ……に、にゃん?」
「グッドよ。グッド。そうそう、その調子」
わちゃわちゃと楽しそうにしている姿を働かない脳で眺め、衣服に姫が手をかけそうだったので慌てて後ろを向いた。
やる事もないので、手に持つテオドラとダレスのアニマをじっと眺めた。
光を発しながらも、ほのかに暖かい。
数を揃えるまでアプリでは何にも使えなかった、だがここは現実に近い。
今回の決闘になにか利用方法がないものだろうか。
「もういいわよ、ヴェリ君」
どうも一段落ついたようなので、ヴェロニカ姫の方に向き直ると、
そこには綺麗に正装した姫と、髪色以外はキャットテールに見えるリズが居た。
「良くもまぁ、ここまで短時間で化けさせたな、正直リズとは絶対分からない」
「むふふん、私の変装技術を舐めちゃいけないわよ」
「うぇぇん、もうお嫁にいけません……にゃん」
さめざめと泣きまねをするリズに向けて、ヴェロニカ姫は不敵に笑う。
「そうね、あなたには様々な支援を約束するわ。だから協力してくださる?」
「僭越ながらその支援内容を具体的に教えていただければ非常にありがたいですにゃ」
「なるほど、根性は及第点ね」
いいわね、あなたと姫が親指を立てると、「照れますにゃ」とリズは答えた。
流石商売人である、転んでもただでは起きない図太さを感じさせた。
「まず、あなたが扱ってる商品の買い上げ、そして貴族への口利きかしらね」
「なるほどなるほど。それは確かにありがたいですにゃ」
「後は正直な所、働き次第ね。そもそも何を取り扱ってらっしゃるの」
「胡椒が中心ですが、需要に応じて何でも商っていますにゃ」
そう言えば、胡椒を売りに来たと最初に会った時に言ってたな。
ここいらの飯もまずいことだし、「出来たら、俺にも売ってくれないか」と言ってみた。
リズは急に口を挟まれて少し表情を変えたが、即座に切り替えし「是非是非にゃ」と愛想良く答えてきた。
「胡椒を商っているということだけど、食用以外に使うって言ったら怒るかしら」
ヴェロニカ姫の発言に「いえいえ、とんでもございませんにゃ」と媚びるようにリズは応じた。
「なるほど、それが戦闘用だと言ってもあなたは怒らないってことよね?」
「当然でございますにゃ! 浅学なもので考えがいたりませんでしたが、自由に使えるのであれば!」
「リズ。胡椒を使ってそこに居るヴェリ君と一緒に、あなたには決闘に参加して欲しいの」
「なるほどなるほど、私が決闘に参加ですね、喜んで参加させていただく……にゃ?」
さーっと、リズの顔が青ざめた。
あぁ、こいつ阿諛追従に必死できちんと内容聞いてなかったんだな。
だが気丈にも「え、ええ! 当然ですにゃ! 私目でお役に立てるなら」と言った事は褒めるべきだろう。
「むふふん、勿論あなたには剣を持って戦えなんて言わないわ。だけど、仮にも私の代理なのだから堂々としてて欲しいわね」
「にゃるほど!」
「まぁ、"自由の旅人"とまで言われる彼ならきっとあなたを上手く導いてくれるわ」
ヴェロニカ姫は、俺の方にちらりと流し目を送った。
……つまり数合わせを上手く使って、さらにキャットテールの名声を損なわないように決闘に勝てとの事だ。
無茶振りにも程があると思うが、やるしかないのだろう。
「はい、仲間になったのだから握手をしましょう」
「"自由の旅人"と一緒に戦えるなんて本当に光栄だにゃ! よろしくにゃ!」
にこやかに握手を促すヴェロニカ姫と、手を差し出す新生キャットテールことリズ。
その手を取って握手を交わそうとしたら、いやに強く握られる。
ふと、リズの表情を見ると、笑顔を見せつつも立て筋が五本入っていた。
あ、こいつ、嫌々やってるんだろうなぁ。
「とりあえず、よろしく。力を合わせて一緒に勝とうぜ!」とわざとらしく返すと、うんうん、青春だわとヴェロニカ姫は喜色を浮かべたのであった。
「それでは、ここでとりあえずはお開きにしましょう」
ぱんとヴェロニカ姫が手を叩く。
そのまま俺たちを部屋から退出するよう促したのだったが、急に湧いてきたリズの説明はどうするのか聞いてみた。
「彼女には堂々とこの部屋から出て行ってもらうわ」との事。
「つまりキャットテールと私は別人であるとこの場でアピールしてもらいたいのよ」
「なるほど」
「頑張りますにゃ」
決闘の際に、ヴェロニカ姫は発起人として立ち会わなければいけない。
なのでキャットテールとしては参戦できないのだ。
つまり、騎士団にこの場で別人であると見せ付ける必要があるとのことだ。
「お待たせしましたわ、騎士団の皆様。扉を開けて頂戴」
ヴェロニカ姫が手に持つベルを鳴らすと、じっと聞き耳を立てていたのかの如く瞬時に扉が開いた。
なだれ込むように入ってきた騎士団連中は、キャットテールの姿を見てぎょっとしていた。
「なっ?! なんでにゃんこがここに紛れ込んでいるんだ!」
特にエステルが狼狽していたが、ヴェロニカ姫は気にせずに「侵入してきたのよ」と言い放った。
「えっ、私の警備体制ひどすぎ……?」と言われたかのように落ち込むエステルを無視しつつ、
「どうやら、決闘にはこの子猫ちゃんも参加したいみたいね」と姫は言い放ち「そうですにゃ」とリズは追従した。
あの短いやり取りでどうやってそこまで心を掴んだのか、リズとの掛け合いはバッチリだ。
ざわざわと騎士団が騒いでる中で、「それに、あの農民も解放してくださらない?」と姫は言った。
「なんと、ヴェリだけならまだしも農民にまでご慈悲を与えると?」
「そもそもこのまま行くとあなた達だけに非がある事になるのよ?」
「ですが、如何に王国法では問題なかろうが、あの農民の行動や形相は治安維持としては大いに問題があります!」
何とも不服な感情を隠せない騎士団連中に姫はパンパンと手を叩きあわせた。
「私が発案した決闘という決着方法に問題があるということですか? それこそ不敬ですわよ」
その言葉に騎士達は冷や水を浴びせられたかのうように即座に動く。
「おい、あいつを牢屋から出せ。くれぐれも丁重に扱うんだぞ」
「は、はいっ! 分かりました」
「レイク」とエステルから呼ばれた若手騎士が指示を出し、騎士達がばたばたと足早に去っていった。
すぐに、ブリオは騎士に連れられてきたが、ヴェロニカ姫の姿を見て、顔を青ざめさせた。
「ひ、ひえええ、もしやあなたさまは、姫様だべ? ありがたや、ありがたや」
ははーっと土下座しだした事にヴェロニカ姫は苦笑する。
「あなた方が農作物を育ててくれているから国は成り立っているのです、面を上げてください」
にこやかに返すヴェロニカ姫の言葉にブリオは感じ入ったように、さらに頭を下げた。
「はー、なんともなんとも。おらぁ、今まで一生懸命に生きてきて良かったべ。牢屋に入れられた時は乱暴されると思ってぶるぶる震えてたんだべ」
「なんと失礼な。確かに貴様の身元は預かったが、理由無く我らは暴行を振るいはせん!」
レイクが憮然とした表情でブリオに向き合った。
「ひっ、やめてくれ……おらにひどいことする気だべ?」
何故か手をクロスさせて体を守るブリオ。
なんだか嫌だったので、俺は急いで発言を止める。いやいや、やめようね。うん。
「それで、結局のところ私としては三対三で決闘を行うのがいいと思うのよね」
ごほんと流れを打ち切るように咳ばらいをした後に、ヴェロニカ姫は発言した。
騎士団は少しざわついたが「姫様がおっしゃるのであれば」と納得をする。
「それでは当事者である私が出させていただこう」
「エ、エステル様が出るのであれば、俺も参加させていただきます」
エステルとレイクがいの一番に手を上げた。
そこに裁判時から残っていたアンクが「陽光神を汚す者は許せません。参加させていただきます」と発言。
どうやら、ブリオの方を睨み付けている事から相当に彼を憎んでいるようだ。
騎士団は「いや、シスターに危険な事をさせる訳には」と参加を否定しているようだが、相当に意思は固いようだ。
……え、まさかなんだが、相手方全員、現実時代の俺のスタメンじゃないか。
それに対して(中の人は)素人、商人、農民のへっぽこ三人組で戦わなきゃいけないのか俺。
「いいじゃないの、当事者同士で決着をつける事を私も望むわ」
そう言って、ヴェロニカ姫はにやりと不適に笑う。
騎士団はまたしても黙り込んだ。
「は、なんのことだべ? おらぁ、そこのめんこいしすたあさんに何かしただ?」
どうやら、ブリオは状況を把握しきれていないみたいであり、きょろきょろと伺うように当たりを見回している。
そこで、「あなたは自由の旅人の味方として決闘に参加するのよ」とヴェロニカ姫が言ったのだが、
ブリオはそれを言われても事態が飲みこめてないようだ。
「おらが決闘? ……と言っても、とりあえず、おらぁ、この大根踊りしかできないべ」
すっと、どこに忍ばせていたのか、大根を取り出すブリオ。
こんな踊りしか出来ないんだがいいのか? とどうも体がうずうずと蠢きだしている。
アンクは「即刻やめなさい!」と踊りだしそうなブリオに向けて警告する。
「ほほっほ」
「やめなさい!」
「ほほい!」
「やめなさい、神への、いえ、生きとし生けるもの全てへの侮辱ですよ!!」
「ほほっほい! ほほっほい!」
軽快なステップを刻みだしたブリオを俺はすっと羽交い絞めにする。
ぶるぶると筋肉の躍動が直に伝わって凄い気持ち悪かったが、それを我慢する。
「それで、決闘はいつ行うことにするんだ」
動き出すブリオのせいで声帯が震える俺の発言を受けて、姫は考え込む。
「そうね。私と騎士達は王都に帰らないといけないし、明後日の朝一番なんてどうかしら」
「ふん、今すぐにでも貴様に剣を向けることはできるんだぞ」
レイクは鼻を鳴らすが、姫様のご意思に従うべきだとエステルから注意をされた。
俺もそれについては構わないと答えた。
「それではこの騒動はとりあえず──―終わり、以上、閉廷です! では、皆様、解散いたしましょう」
ヴェロニカ姫は騎士団と俺達に散るように告げて、優雅な所作で手をふるのだった。