ぴゅあ×ぜろ★みらくる   作:いぶりがっこ

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鈴蘭の花言葉:「約束」「純粋」「幸せが戻ってくる」


第二話「ほしにゆうきを」

――夢を見ていた。

 

夢の中は、懐かしいヴァリエール邸の一室で、

そこで彼女は、腕の中で安らかに寝息を立てる少女を見ていた。

 

(これは…… 私?)

 

まどろみの中で、ルイズが奇妙な呟きを漏らす。

少女の頬に伝う涙の跡に、言いようの無い愛おしさがこみ上げてくる。

 

(ううん、これはきっと、ちいねえさまの)

 

奇妙な夢だった。

その夢の中では、ルイズは姉であるカトレアの視線で、

泣き疲れて眠る幼いルイズを抱いていたのだ。

周りの光景が、はっきりと夢であると自覚できるほどの非現実感。

それでいて、ずっとその世界の中でまどろんでいたいような、

深い安心感がそこにはあった。

 

(こんな変な夢を見るのは、きっと――)

 

と、不意に腕の中の少女から重さが掻き消え、自由になった両手が空を掴む。

急速に覚醒を始めた意識と共に、思い出の室内がゆっくりと遠のいていく……。

 

 

 

「……ん」

 

カーテンの隙間より差し込む光を受け、重いまぶたをゆっくりと開く。

小鳥のさえずりに辺りを見回せば、そこはいつかのヴァリエール邸ではなく。

見慣れた魔法学院の自室であった。

 

寝ぼけ眼でルイズがわが身を省みる。

胸元には誰もいない。

ただ、ベッドのぬくもりの残滓と、腕に残るかすかな痺れが、

そこに確かにいたであろう、少女の存在を窺わせるのみであった。

 

「ユーリ……?」

 

自然とこぼれ出たルイズの呟きは、早朝の静寂の中にかき消された。

 

 

―― 一方、そんなルイズの言葉が届いたものか。

 

「ひゃあっ!?」

 

同時刻、ルイズの探し人である皐ユリーシアは、トリステイン魔法学院の

石ひとつ無い平坦な渡り廊下で、器用にもすっ転んでいた。

バランスを崩した勢いで、手にした籠がひっくり返り、

衣服や下着の類が派手に散乱する。

 

「う、ううっ…… は、早く拾わないと」

 

「あらあら、大変ね」

 

「えっ?」

 

後方からの声に振り返ると、学院付きのメイド服姿の少女が、

ユーリ同様に洗濯籠を手に、パタパタと近づいてくる所であった。

 

「手伝うわ」

 

「あ、あの! 大丈夫ですから」

 

「あら、貴人の下着をいつまでも廊下にバラ巻いてちゃダメよ」

 

いたずらっぽい声色でユーリをからかいながらも、

少女は働き者らしい機敏さで洗濯物を拾っていく。

そのテキパキとした所作に、われに返ったユーリも慌てて作業に戻る。

最後の下着を収め、籠の上で、二人がじっ、と向かい合う。

 

「ねぇ、あなたはどこの子? 学院では見ない顔だけど?」

 

「あっ、私! 皐ユリーシアって言います。

 えと、私はあの、ルイズさんの……」

 

「ルイズ……?、あ! じゃあ、あなたがミス・ヴァリエールの……」

 

ようやく得心がいった、と言う風に、少女は黒髪を揺らしたが。

その内に、いかにも年頃の少女らしく、

やや大げさにぷっくりと頬を膨らませて言った。

 

「まったく、ミス・ヴァリエールも人使いが荒いのね。

 いくら自分の使い魔だからって、

 こんな小さな子をいきなりこき使ってるなんて……」

 

「ち、違います! ルイズさんは何も言ってません!

 私が勝手にやってるんです、だって……」

 

「?」

 

「だって私、これからルイズさんの所でお世話になるんだし、

 それに、ユーリはもう、子供じゃないから!」

 

「…………」

 

声高に子供じゃないとユーリの姿が面白かったのだろう。

しばしの沈黙の後、少女はふっ、と苦笑をこぼすと、

洗濯籠を両脇に抱えて歩き出した。

 

「水場に行くんでしょう? ついてきて、案内するわ!」

 

「あっ、わ! 自分で持ちます~!」

 

「あら? 早く洗濯を終わらせて部屋に戻らないと、

 授業に向かうミス・ヴァリエールの支度を手伝えないわよ?」

 

「あぅ…… じゃ、じゃあ、お願いします、ええと」

 

「シエスタでいいわ、ここで分からない事があったら何でも聞いてね、ユーリちゃん。

 ……あら?」

 

振り向いたシエスタの黒い瞳が、ふと、ユーリの右手に吸い寄せられていく。

視線の先、ユーリの小さな指先では、

玩具のように大きな宝石のついた指輪が、赤い輝きを放つ。

不意に黙り込んでしまったシエスタに、ユーリがきょとんと小首をかしげる。

 

「……? あの、どうかしましたか」

 

「ええと……、ユーリちゃんはその指輪をはめたまま、

 洗濯をするのかな、と思って……」

 

「え? ……あ!? は、外します!」

 

気が動転したのか、あたふたと指輪をポシェットにしまうユーリの姿を、

シエスタはしばしの間、じっ、と見つめ続けていたが、すぐに先ほどの笑顔に戻ると。

軽やかな足取りで水場へと歩き出した。

 

「もう、朝起きたらいないんだから、心配したわよ」

 

「ふぇ、ゴメンなさい」

 

ややあって室内に戻ってきたユーリの姿に、ルイズが安堵のため息をつく。

今回のユーリの行動は、少女の善意から出たことであったし、

よもや右も左も分からない場所で動き回ったりしないだろうと、

タカをくくっていた自身の迂闊さもあって、

これ以上、強くたしなめるのも、今のルイズにはためらわれた。

 

「本当にあんまり気を使わなくても良いのよ。

 特にユーリの場合、まだここに来たばかりなんだから」

 

「あの、でも……」

 

「……?」

 

「わ、私、ルイズさんの使い魔だから」

 

「……あ」

 

その言葉にルイズが気づく。

とっさに脳裏を駆け巡ったのは、昨晩のユーリとの会話である。

 

 

 

『あの、使い魔の仕事って、何をすれば良いの?』

『そうね、一般的には、例えば主人の護衛とか、かしら?』

『えっ!? ご、護衛?』

『……いいえ、ゴメン、忘れて』

 

『ほ、他には?』

『あと、仕事とはちょっと違うけど、使い魔は主と感覚を共有したりとか……』

『感覚の、共有?』

『……できる訳ないわよね、契約に成功してないんだから』

 

『……えと、何か、私にも出来そうな事は』

『うん、使い魔の種類によっては、秘薬の材料を集めたりもするわね』

『で、できるよ! 私だって、少しだったらエレーナお姉ちゃんに教わってるんだもん』

『……ロバ・アル・カリイエの秘薬の材料って、こっちでは取れないと思うんだけど?』

『あ……』

 

『…………』

『あの、ね、ユーリ』

『…………』

『あ、そうよ! 主の身の回りの世話も、使い魔の大切な役割なの! 掃除とか洗濯とか!』

『――! できる! できます! できます!』

『そうね、後で何か考えておくから、その時はよろしくね』

『うん!』

 

 

 

 

(そっか、昨日の話を、ユーリはずっと気にしてたのね)

 

正直なところ、ユーリに使用人の真似事をさせるのには、

ルイズの中でためらいがあった。

だが、同じ貴族であっても、ハルケギニアとロバ・アル・カリイエの住人では、

価値観が違うのかもしれない。

そんな事を考えながら、目の前でうつむく少女をあらためて見つめる。

責任感の強いユーリには、むしろ何か仕事を与えて置いた方が、

気が休まるのかもしれないと考え直した。

 

「洗濯、ありがとね、ユーリ」

 

「……えっ?」

 

「着替えるわ、手伝ってくれる、ユーリ」

 

「は、はい!」

 

あくまでそっけないルイズの言葉に対し、ユーリはすぐに表情をはなやかせた。

 

 

「はぁい、元気してる? ルイ……あっ」

 

「――キュッ!?」

 

「……?」

 

見た!

見られた!

見てしまった!?

 

一瞬にして室内の空気が凍りつく。

軽口を叩いて部屋の扉を開けたキュルケも、

その場に居合わせたルイズも声一つ上げることが出来ない。

ただ一人、状況を理解できないユーリだけが、

不思議そうに両者の顔を交互に見返していた。

 

迂闊に室内に踏み込んだ、

キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーの

瞳に飛び込んできたのは、

年端もいかない少女を満足げにかしずかせ、ニーソックスをはかすべく右足を差し出す、

桃色頭の少女の姿であった……。

 

「…………」

「…………」

 

「…………」

「…………」

 

「…………」

「……何か、言いなさいよ」

 

「あの、さ、今更、遅いかもしれないけど、あなたの将来に関わる事だから、

 仕えるべき主人は、もっとちゃんと選んだほうが良いわよ……」

 

「なんでイキナリ初対面の使い魔の方に話しかけてんのよ!!」

 

――酷い、事になった。

 

「……ごめんなさいヴァリエール、真剣に引いたわ」

 

「な、な、な、何よウルサイわねアンタのトコはどーだか知らないけど

 トリステインの貴族は下僕がいる時は一人で着替えたりはしないんだ

 からそんな事よりいったい何の用なのよキュルケこんな朝っぱらか

 らレディの部屋をノックもせずにいきなり開けるなんてアンタちょっ

 と常識ってモンが足りてないんじゃないのッ!!!!」

 

「あの、ルイズさん、暴れるとニーソックスが……」

 

「はけるッ! 自分ではくからァ~!!」

 

悲痛な叫び声を上げつつ、ルイズがニーソックスをひったくる。

キュルケは、見て見ぬ振りをした。

 

「そ、それで、本当に何の用なのよ、ツェルプストー?」

 

「あたしにふさわしい最高の使い魔が召喚できたから、見せびらかしに来たんだけど、

 いいえ、あなたのご自慢の使い魔に比べたら、ホント大したものじゃ無いから……」

 

「見るわよ! 見るに決まってんでしょ!

 何よ! もっといつもの調子を出していきなさいよ」

 

「……そう? それじゃ入って、フレイム」

 

ようやく主から声がかかり、大きな影がのそりと姿を見せる。

満足そうに喉を鳴らすその姿に、二人があっ、と声を上げる。

 

「これって、サラマンダー、よね?」

 

「ええ、そうよ、これは正真正銘の……」

 

「すごいっ! すごいすごい! 可愛いー!」

 

キュルケの自慢を遮りつつ、興奮したユーリが火トカゲへと近付く。

少女が好意を持っているのが分かるのだろう、

フレイムの方でも鼻を鳴らし、ちょこちょこと近付いてきた。

 

「ちょ、ちょっと!? 危ないわよ! ユーリ」

 

「失礼ねぇ、私の使い魔が危ないわけが無いでしょ。

 ……それにしても、物怖じしないお嬢さんね」

 

やや当てが外れた風に、キュルケが髪の毛をいじる。

ハルケギニアの常識からやや外れたユーリの性格は、

奔放なキュルケであっても調子を狂わされるらしかった。

 

「キュルケさんのお供はトカゲさんなんですね。

 わっ! しっぽが燃える!?」

 

「ええ、そうよ、その子は火竜山脈で生まれたサラマンダーなの」

 

「え!? じゃあ、本物!

 スゴイ! ルイズさん、本物のトカゲですよ!

 誰かが変身してるワケじゃありませんよ!」

 

「……誰かが化けてたりしたら、そっちの方がよっぽど凄いわよ」

 

興奮からおかしな事を言い出したユーリに、ルイズがため息交じりの突っ込みをいれる。

それにしても……、と、すっかり打ち解けた使い魔たちの姿を、呆然と二人が見つめる。

 

「わっ、わっ! そんなに抱きつかれたら暑いよ~」

 

――大型動物と戯れるあどけない少女。

 

「……あ! 見て見て! ルイズさん!

 フレイムさんが、背中に乗せてくれました」

 

何と言うか……、すっごい癒される。

 

「ああもう! ホンットに可愛いわね」

 

「え? ひゃっ!?」

 

「ちょ、ちょっと! 何やってんのよキュルケ!」

 

ルイズの静止も聞きもせず、キュルケは使い魔ごとユーリを抱きしめると、

腕の中であたふたともがく少女に怪しく語りかけた。

 

「ねえ、ユーリちゃん、だっけ……?

 ヴァリエールの使い魔なんかやめて、ウチの子にならない?」

 

「え、え? ええっ!?」

 

「あなたならフレイムともうまくやっていけそうだし

 あたしはどっかの誰かさんみたいに、こき使ったりはしないわよ?」

 

「……真剣にぶっ飛ばすわよ、キュルケ」

 

「冗談よ、そろそろ行きましょ、フレイム」

 

わなわなと杖を掲げるルイズに対し、キュルケは軽く肩をすくめて部屋を出る。

やや名残惜しそうにしながら、のそのそとフレイムが後に続く。

 

――と、不意に意地悪な笑みを浮かべ、キュルケが再び顔をのぞかせた。

 

「そもそもユーリちゃんを盗ったりしたら、

 アンタは誰にソックスをはかせて貰えば良いのよ、て話だしね」

 

「キュルケェ――ッ!!」

 

「あっはははは!」

 

勢いのままに投げつけた枕が、閉まる扉に阻まれてばふんと跳ねる。

大きく息を一つ尽いて、ルイズが吐き捨てる。

 

「まったく、朝っぱらからロクな事しないわね、アイツは」

 

「だ、ダメだよルイズさん、友達の事をそんな風に言っちゃ」

 

「友達~? アイツがそんな殊勝なヤツに見える」

 

「きっと、ルイズさんの事を気にして来てくれたんだよ。

 人間の使い魔なんか召喚して、落ち込んでないかって」

 

ユーリの言葉に、ルイズが訝しげな視線を向ける。

ルイズから見れば、キュルケは使い魔をバカにするため、

真っ先に現れたとしか思えなかったのだか、

妙に大人びたことを言う少女の横顔に対し、それ以上の反発する事はできず、

その場はただ「そうかしら」と、口中で呟くにとどめた。

 

 

「みなさん、春の使い魔の召喚は、無事に成功したようですね」

 

教室に集合した若い主従達を前に、教官のシュヴルーズが満足気に目を細める。

春のはじめに教室に集合した使い魔達を眺めることは、

このふくよかな中年の女性の楽しみであった。

 

ひとしきり教室を見回した後、教室の片隅に目をやり、

シュヴルーズがのんびりとした調子で再び口を開く。

 

「おやおや、ミス・ヴァリエールは随分と変わった使い魔を召喚したのですね?」

「はい!」

 

教師のとぼけた口調に対し、主人ではなく、使い魔のユーリが溌剌と答える。

子供らしい元気な返事に、シュヴルーズがうんうんと、再び満足そうにうなずく。

 

ルイズはその間、やや気恥ずかしげに頬を紅潮させていたが、

ともあれ、無事に授業は始まった。

使い魔の件に関し、心無い学友からの罵声の一つも覚悟していたのだが、

机の高さに合わせたお子様用の椅子の上で、

向学心をあらわにする少女を馬鹿にできる外道など、早々いるものではない。

 

(……って言うか、ユーリ、やけに張り切っているわね。

 あんまり子供が興味のある話でも無いと思うのだけど)

 

チラリと覗き見たユーリの横顔は、先ほどの陽気さとは打って変わり、

真剣そのものであった。

ふっ、とルイズの脳裏に、姉のようなメイジになりたいと言う、少女の言葉が蘇る。

 

(そう言えば、留学がどうとか言っていたし、

 ユーリって、実は凄い勉強ができるのかしら……?)

 

「あの、ルイズさん」

 

「えっ、何、ユーリ?」

 

「シュヴルーズ先生は、何をしようとしているの?」

 

ユーリにうながされ、ルイズが視線を教卓へと戻す。

少し目を話した隙に、授業が大分進行していたらしい。

 

「ああ、【錬金】を実演するつもりなのね」

 

「れんきん?」

 

「見ていて……」

 

まじまじと覗き込むユーリの瞳の先で、シュヴルーズの杖先が淡い輝きを放つ。

ほどなく、机に置かれた小石が、黄金色の金属へと変化を始めた。

 

「わっ! 小石が金に」

 

「ううん、あれは真鍮。

 ああいう風に、魔法で物質を作り変えるのが、土の系統のメイジの得意技よ」

 

「すごい……!」

 

「土の【錬金】だけじゃないわ。

 例えば水のメイジなら、医学や薬学といった具合に、

 各系統の魔法は、ハルケギニアの人達の生活基盤を支えているのよ」

 

「へぇ~」

 

「……? あなたの国にも、魔法はあるんじゃなかったっけ?」

 

「えっ!? あわ、えぇと……

 私たちの国では、魔法は一部の、ちょっと特別な仕事にしか使いません」

 

「そうなの? なんだか不便そうね……」

 

どこか慌てた風なユーリの態度に不信を覚えつつも、ルイズは会話を受け流した。

話が故郷の事に及んだ時、困ったようにうつむいてしまうのが少女の常である事を、

短い共同生活の中で、ルイズはすでに学習していた。

 

「ところで、ルイズさんは何の系統の使い手なの?」

 

「……えっ!?」

 

「ミス・ヴァリエール」

 

一転、動揺の声を上げたルイズに対し、シュヴルーズの指名が飛ぶ。

 

「せっかくだから、その可愛らしい使い魔さんの勉強のために、

 あなたに【錬金】の実演をしてもらいましょうか?」

 

「……はい」

 

音も立てずにすっくと立ち上がったルイズの姿に、ざわり、と教室の空気が一変する。

 

「ルイズさ~ん! がんばって~」

 

異様な緊張感が教室に満ちる中、場違いにのんきな声援が教壇に飛ぶ。

壇上のルイズはひとつ深呼吸して、卓上の小石に杖をかざし、口早に詠唱を唱える。

 

――刹那、閃光、そして、爆風が教室を包んだ。

 

たちまちパニックを起こした使い魔たちが暴れ出し、

室内に阿鼻叫喚の騒ぎが巻き起こる。

爆心地のルイズはと言えば、眼前の惨劇を意にも介さず、

憮然としてボロボロになった制服の煤をはらう。

衝撃でお子様椅子ごとひっくり返ったユーリは、

しばし、呆然と天井を見上げていたが、その内にはっと顔をあげた。

 

「……ちょっと、しっぱ」

 

「すごい! すごいよ! ルイズさん」

 

「……へっ」

 

場違いな歓声に顔をあげる。

そこには、きらきらと眩いばかりの眼差しを向けるユーリの姿があった。

 

「ルイズさんは、爆発の魔法の得意なんだね!」

「…………」

 

「こんなすごい魔法、私、初めて見ました!」

「…………」

 

「あ、でも、いきなり魔法を使うのは、ちょっと、やりすぎかも……。

 私、びっくりして転んじゃったよ~」

 

「…………」

 

「ルイズ、さん……?」

 

シン、と静まり返った室内に、興奮冷めやらぬユーリもようやく異変に気づいた。

きょろきょろと辺りを見渡す。

ルイズを見つめる生徒たちの瞳は、一様に冷たい。

なぜ、みんながそんな表情をしているのか、今のユーリには分からない。

確かに、室内であんな魔法を使ったルイズは迂闊だったかもしれないが、

それでも、強力な魔法を簡単に使って見せたルイズに、

称賛の声があっても良いのではないか?

 

心臓が早鐘を打ち、言いようのない不安が少女の中で急速に膨らんでいく。

慌てて壇上のルイズを見る、うつむいた彼女の、その表情は読み取る事はできない。

 

「あの、ルイズさ」

 

「……少し黙っていて、ユーリ」

 

「え?」

 

何を言われたのかも分からず、茫然と、ユーリがルイズを見つめる。

ルイズは……、最後まで目を合わせようとはしなかった。

 

 

黙々と。

黙々と。

黙々と。

 

傾きかけた陽光の差し込む教室で、黙々と、二人が片付けを続ける。

大物の処理は一通り終わり、後は、煤だらけになった室内を掃き清めるだけだった。

 

ちらり、とユーリが背中越しにルイズを見る。

ルイズは相変わらず無言で手を動かし続けている。

ユーリの方から話しかければ良いのだろうが、先のいさかいもあり、

話を切り出す機会を掴めずにいた。

 

――と、その時、あくまでユーリに背を向けたまま、ルイズが重い口を開いた。

 

「……ごめんね、ユーリ」

 

「えっ! え、え?」

 

「さっきの事」

 

「あ! へ、平気です」

 

慌ててユーリが言葉を探すが、短く要領を得ないルイズの口調は、

相変わらず暗いままで、会話は上滑りしていくばかりである。

 

「もう、日が暮れるから、先に部屋に戻ってて…… 後は、私一人で大丈夫だから」

 

「さ、最後まで手伝います! 私、ルイズさんの使い魔だから」

 

「ううん、私の失敗が原因だから」

 

「…………」

 

初めて見たルイズの落ち込む姿に、ユーリが話題を探すが、かけるべき言葉が分からない。

夕暮れの教室で、淡々としたルイズの独白のみが響く。

 

「【錬金】だけじゃないわ。

 今までも、私はいろんな種類の魔法を試した…… でも、いつも今日みたいになった。

 まわりのみんなが、私のこと『ゼロ』って呼んでたのは、そういう意味なの」

 

「そ、そんな事、ないよ。

 ほら、ルイズさん、私を召喚する魔法には成功したじゃない!」

 

「でも、契約の印は出なかった…… 儀式は失敗したわ

 あなたは、私の失敗に巻き込まれて、ここにやって来たの。

 ……ごめんなさい、ユーリ」

 

「そんな……、そんな事、ないもん!」

 

「ユーリ?」

 

ぱたぱたと駆けていく足音に、あわてたルイズが振り返る。

ユーリは部屋の隅で何かを拾い集めると、すぐに彼女の前へと戻ってきた。

 

「どうしたの、ユーリ?」

 

大きく息を切らせた少女の顔を、改めてルイズが覗き込む。

ユーリが他人を気遣う性格である事は、ルイズもすでに知っている。

だが、今の少女の悲痛な表情からでてくる言葉は、ただの同情やなぐさめではあるまい。

彼女は何か、もっと自分にとって大切なものを守ろうとしているのだ。

 

「ルイズさんが『ゼロ』だなんて、そんなのは嘘だよ。

 絶対に、ルイズさんも魔法を使う事ができるようになる、だって……」

 

「…………」

 

「だってルイズさん、すごく頑張っているから!」

 

「……あ」

 

手渡された書物をみる。

表紙が大きく傷ついたそれらの書は、ルイズの教科書である。

先の爆発で積もったガレキの中から、いつの間にか、

ユーリが拾っておいてくれていたのだろう。

 

ゆっくりと本を開く。

めくっていくどのページにも、ルイズが手ずから加えた注釈が、

びっしりと記された教科書だ。

たとえ文字の読めぬ異邦人であっても、この本の持ち主が、

並々ならぬ勉強家であることだけは、即座に理解できるだろう。

 

不意にルイズの脳裏に、真剣に授業を受けるユーリの横顔が蘇る。

優秀なメイジになって、人々を幸せにしてあげたいと、満面の笑みで語った少女。

そして、おそらくユーリは、その言葉にふさわしいだけの努力を積み重ねている。

 

きっと彼女が守ろうとしているのは、ルイズではなく、彼女自身の夢なのだ。

途方も無い夢を実現させるために頑張っている少女だからこそ、

人知れず努力を積み重ねるルイズには、

報いるものがあるハズと、そう信じて疑わないのだ。

 

現実と言うものを知らない、わがままで煩わしく、

そして、まばゆいばかりの少女の瞳。

 

「……ユーリは確か、お姉さん達みたいなメイジになりたいんだっけ?」

 

咄嗟に話題を変え損ね、ルイズが気まずげに視線をそらす。

 

「そうです。

 エレーナお姉ちゃんの作ってくれた杖を使って、

 ローザお姉ちゃんみたいに世界中を飛び回って、みんなを幸せにする。

 それが、私の夢」

 

「素敵な、目標だと思うわ」

 

「でも、本当はもう一つ……」

 

「……え?」

 

妙に口ごもったユーリの言葉に、きょとんとしたルイズが顔をあげる。

ユーリはしばし、どこか迷ったような仕草でもじもじとしていたが、

やがて、意を決したように口を開いた。

 

「あの……! ルイズさんには『王子様』はいますか?」

 

「え? へ、え!? お、王子?

 あの、憧れの人、とか、そう言う事?」

 

「はい!」

 

あまりに予想外の言葉に、ルイズが呆けたような視線をユーリへと向ける。

だが眼前の少女の瞳は、まさに真剣そのものであった。

この質問は、冗談だとか、何らかのなぐさめだとか類のものではない。

 

「ええと、そ、そうね……」

 

なるべく少女の期待に応えられるよう誠意をこめ、ルイズが自らの気持ちを整理する。

 

「……私があなたくらいの年の頃には、いたと思う。

 魔法に失敗して落ち込む私を、いつも慰めてくれた、優しい人。

 でも、それはあくまで子どもの頃の話で、最近はほとんど会う機会も無いから……。

 だから……、その人がユーリの言う『王子様』になるのか、良く分からない、かな?」

 

「そう、なの?」

 

「ユーリにはいるのよね、その…… 大切な人」

 

「……うん」

 

ややうつむき、小さな頬を紅潮させて、ユーリがゆっくりと口を開く。

 

「一度、隣の国に行った時、

 私が困っている時に助けてくれた、背が高くて、優しい男の人」

 

「隣国って、昨日ユーリが言ってた、留学先の国の人?」

 

「うん、

 その人は、私よりずっと大人の人で、私の事なんか覚えていないと思うけど……。

 でも、もう一度、向こうに行って、その人とお話ができたらいいなって思います」

 

「……あ、それで」

 

思わずルイズが、初めてユーリと出会った時の事を思い出す。

ファースト・キスを奪われ、ユーリは、泣いた。

 

「どうかしたの、ルイズさん?」

 

「う、ううん! えと、ユーリはその『王子様』との思い出が、本当に大切なのね」

 

「……うん」

 

頬を染め、恥ずかしげにはにかむ少女の笑顔に、

ぎゅっ、とルイズの胸が締め付けられる。

姉のような立派なメイジになる事。

もう一度留学して、『王子様』に会う事。

ユーリの抱く二つの想いは、彼女の中で何ら矛盾する事無く、

一つの目的となって少女を支えている。

 

(自分は、自分はどうだったろう、私にも何か、ユーリのような夢はあったのかな?)

 

茫然と、ルイズが思考を泳がせる。

ハルケギニアにおいて貴族とは、魔法を使える者の事を指す。

始祖ブリミルに連なる奇跡の力を行使し、世界の秩序を守れるからこそ、

メイジは特権階級として、人々の上に君臨できるのだ。

名門ヴァリエールに生を受けた者として、

それにふさわしい力を得るべく努力することは当然の義務である。

 

だが果たして、幼いルイズが魔法の力を望んだのは、

そんな強迫観念に駆られての事だったのだろうか?

 

……

………

…………。

 

「……ねえユーリ、今度は、私の家族の話も聞いてくれる?」

 

「えっ! は、はい」

 

思いもよらぬ言葉に、はっと表情をあらためるユーリの前で、淡々とルイズが口を開く。

 

「私の家にも、ユーリと同じように、二人の姉がいるの。

 上の姉はエレオノール姉さまと言って、アカデミーで魔法の研究をしているわ。

 頭が凄く良くて魔法も出来るけど、お母様に似て規律に厳しい人だから、

 私は少し苦手、かな?」

 

「あ、でも、勉強を厳しく教えてくれるのは、

 その人の優しさだって、前にクロワが言ってました」

 

「まあ、今ならそうも思えるけれど、

 私もずっと小さな頃の話だしね……。

 それで、そう言う時に、いつも私を助けてくれたのが、下のカトレア姉さまなの。

 

 毅然とした態度のエレオノール姉さまと違って、

 穏やかで優しくて、いつも笑顔を絶やさない人で、

 私はちいねえさまって呼んで、いつもあの人の後をついて回っていたわ」

 

「へ~! ステキな人ですね、何だかウチのローザお姉ちゃんみたい」

 

「うん、でも、ずっと一緒にはいられないの」

 

「……えっ」

 

「病気なの、ちいねえさま」

 

ルイズは一度そこで言葉を切り、室内に沈黙が満ちる。

ユーリの表情がみるみる陰るのが分かる。

こんな話、赤の他人、それもこんな心優しい少女に話すべきではない事は分かっている。

 

だがそれでも、ルイズは話さずにはいられなかった。

大切な夢を教えてくれたユーリに、どうしても知っておいてもらいたかったのだ。

 

「はっきりとした病名があるわけではない。

 ただ、体を巡る水の流れがおかしいんだって、

 高名なメイジが何人も診て、その度に首を振るったわ。

 私が物心ついた時から、何回か倒れてるし、

 ずっとお嫁に行かずに屋敷にいるのも、そのせいなの……」

 

「…………」

 

「出来る事なら、私が、私の魔法で、ちいねえさまの病を治してあげたい……」

 

「……それが、ルイズさんの夢?」

 

ユーリの言葉に、ルイズが静かにうなずく。

それは確かに、ルイズが初めて魔法を求めた時に抱いていた想いだ。

年を重ね、現実を知り、誰にも言えないまま口に出せなくなり、

しまいにはルイズ自身も忘れていた。

大切なもののハズだった、ルイズの夢だ。

 

「……でも、忘れちゃダメだよね。

 きっと、ちいねえさまも覚えていないだろうけど、それでも私『約束』したんだから」

 

「ルイズさん……」

 

「ありがとう、ユーリ。

 大切な私の夢、思い出させてくれて」

 

切なげに、それでも気を張って、ルイズが穏やかに笑う。

見ているユーリの胸が締め付けられるほどの、悲しい笑顔だった。

 

 

――夜。

 

ユーリはひっそりとベッドを抜け出し、

廊下の窓からハルケギニアの星空を見上げていた。

日中にみたルイズの笑顔が胸を締め上げ、どうしても眠りにつく事が出来なかったのだ。

 

「ルイズさん……」

 

ポツリ、とユーリが呟く。

 

ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。

このハルケギニアの地に来て、初めて出会った人。

全ては自分の責任だからと、

右も左も分からないユーリを保護してくれた、責任感の強い人。

常にユーリの身を案じ、自分が故郷に帰れる術を探している、とても優しい人。

 

初めて彼女の持つ書物を目にした時、ユーリは思わず目を見張った。

フィグラーレの住人である彼女に、もちろん、ハルケギニアの文字が読めるハズはない。

だが、ほとんどのページに記された手書きの注釈の指し示す意味は明白であった。

 

この本の持ち主は、

姉のローザやエレーナに勝るとも劣らぬほどの努力を積み重ねている。

ユーリの憧れとする女性の姿、ハルケギニアの貴族の手本たる姿がそこにはあった。

 

――だが、その努力は、何ら報われてはいない。

 

貴族であれば、誰であっても魔法を使える世界にあって、

ただ一人だけが魔法を使えない。

どれほどの修練を積もうとも、想いのかなう事はない。

 

それは想像するに、あまりにぞっとするほどの無力感であり、

またそれが、自らが理想とする女性の身の上に起きている出来事であるがゆえに、

一層の冷たさを増して少女を苛むのだ。

 

「何か、私にも出来る事があれば良いのに……」

 

自分が無力な子供である事は、ユーリも自覚している。

まして、フィグラーレの存在を隠し通さねばならない異世界では、

学んだ力を使う事も出来ない。

それでもユーリは思わずにはいられなかった。

 

何か自分に、奇跡が起こせたならば……。

 

「……えっ?」

 

突如、赤い光を放ち始めた右手の指輪に、ユーリが驚きの声をあげる。

この指輪の反応が示すものはただ一つである。

輝きはやがて凝縮され、一条の光となって天空の一点を指し示す。

 

「まさか!」

 

光の行方を目で追いかける。

満点のハルケギニアの星空、光の先に見えたのは、虹色の弧を描く一筋の流れ星……。

 

「そんな、ハルケギニアに【星のしずく】が降るなんて……!」

 

ユーリが思わず息を呑む。

 

 

――星のしずくのひとつぶは、夜空に舞い降りる奇跡の輝き。

 

 

レトロシェーナの夜空に人知れず降り注ぐ、その液体は、

ステラウェバーと呼ばれる職人達の手によって、

様々な形に加工され、フィグラーレの人々の生活基盤を支える礎へと変わる。

 

フィグラーレの魔法……『言葉』とは、ともすれば容易く水と交わり消えてしまう、

この余りに儚い光の粒を汲み上げるために存在するのである。

 

そして、さまざまな言葉を行使して、

降り注ぐ星のしずくをすくい上げるのが『ステラスピニア』である。

ユーリの憧れの姉、ローザの職業であり、ユーリ自身の目指す『夢』そのものであった。

 

舞い落ちる星の行方を、ユーリはしばし呆然と見つめていたが、

その内に窓から身を乗り出し、きらきらと瞳を輝かせた。

 

どうすればルイズを幸せに出来るのか、今はまだ、ユーリは答えを持ち得ていない。

だが、星のしずく、フィグラーレを支える奇跡の力を使えたならば、

何か彼女の助けになれるかもしれない。

十全とは言い難いが、幸いユーリには、

プラム・クローリスで学んだスピニアとしての力も、

姉のエレーナより学んだステラウェバーとしての知識もある。

 

だが、一点の光明を見出したかに見えたユーリの顔が、再びさっと陰る。

 

この世界にはクロワが、ユーリが付き従えているべきお供がいない。

彼女に預けておいた『レシピ』……ユーリの使える言葉を記した本も、当然手元にはない。

 

未だ初心者であるにも関わらず、星のしずくをすくい上げるという難事を、

少女はひとり、今まで覚えた言葉のみで、

しかも、こちらの世界の住人に知られる事なく成し遂げねばならないのだ。

 

「それでも、私、ルイズさんに……」

 

ユーリは震える手つきでポシェットを明け、中から可愛らしい小瓶を取り出す。

小瓶の中には、小さくて丸い、飴玉のようなものが入っていた。

 

「お姉ちゃん、私に……、私に勇気を下さい」

 

祈るように小さくつぶやき、中身の一粒を口に含む。

ユーリが飲み込んだそれは、ただのキャンディではない。

幼い身で故郷を離れ、遠くレトロシェーナの地で、学園対抗戦に臨むユーリのためにと、

姉のエレーナが調合の仕方を教えてくれた、特別製の変身薬であった。

 

「クローチェ!」

 

確固たる想いを込め、ユーリが右手をかざす。

満ち溢れる光と共に、手の内の指輪は、

羽飾りのついた銀色のスプーンのような細長い杖、――『レードル』へと変化を遂げる。

 

『スピリオ・クローチェ・デル・スド』

 

瞳を閉じ、ユーリが詠唱を紡ぐ。

淡い光がただちにユーリの全身を包み込み、小さかった手足が緩やかに伸び始める。

胸元が膨らみ、か細い体が柔らかに丸みを帯び、

愛らしいボブカットの緑髪が、鮮やかなロングヘアーとなって風をはらむ。

光の中、幼い少女は、瞬く間に年頃の乙女へと成長していた。

 

外見の成長と共に、まとう衣も変化を見せる。

薄桃色のブラウスに、クリ-ムイエローのプリーツスカート、純白のリボン。

御伽噺の海賊のような形のピンクの帽子に、スラリと伸びた脚に映えるサンダル。

それは、彼女通う学園、プラム・クローリスの制服であり、

同時に、ステラスピニアが星のしずくをとる時の、正式なスタイルであった。

 

そしてそれ以上に、外見の変化が少女にもたらしたものは大きい。

敬愛する姉・ローザもかつて纏った言う学園の正装が、

幼いユーリの心に勇気をくれるのだ。

この姿になるとき、自分は無力な少女、皐ユリーシアではない。

伝統あるプラム・クローリスを代表して、

星のしずくに臨むステラスピニア【プリマ・プラム】である、と。

 

「きっと、出来る、一人でも……」

 

自らに言い聞かせるように小さくうなずき、夜空へ向け、再びレードルを構える。

 

『アラ・ディウム・メイ!』

 

詠唱に一握りの勇気を乗せて、今、一人のスピニアが、

双月の照らすトリステインの夜空へと飛び立っていた……。

 

 

 

 




ステラスピニアの説明のため、はるばるレトロシェーナから星のしずくに出張ってもらいました。
さよならギーシュ・ド・グラモン。
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