ファイヤーに転生したけどこのカントー地方、色々おかしい!? 作:氷水メルク
高レベルの準伝説を捕獲できればエンディングも同然。
序盤から高レベルのスイクンを入手。
特に技を変える必要はなく、意識してレベル上げをする必要もない。
ただ準伝説のポケモンが持つ個体値と高レベルの力を振るうだけ。
後はそのまま回復なり能力上昇の支援をするだけで、エンディングを迎えるのに5から7時間あれば到達できる。
とある作品での常識だ。
まぁ、序盤からレベル60もあるポケモンを出してくる奴がいたらそれこそクソゲーとしか言いようがないわけで。
低レベルのポケモンを繰り出す奴しかいないから、レベルと種族値の差による暴力が成立するわけである。
そこでだ。
もし、もし、自分が準伝説のポケモンであるファイヤーに転生し、とある新人トレーナーに序盤から捕獲されたとしよう。
異世界転生で、自分の使っていたファイヤーになっていて、それも努力値と性格ほぼほぼそのまま状態と来ている。
俺を捕まえてくれたトレーナーもポケモンに優しい可愛い少女と来ている。
いやぁ、人生楽勝ムード。
真・唯一神とか呼称する奴はみな一睨みで散っていく。
なんて、そんなはずはなかった。
「ゆけっ、レジロック!」
タケシの号令を上げると、黄色と黒を基調としたハイパーボールを振りぬいた。
天を駆けるボールは最高到達点へと至る前に、パカンと上下に開かれる。
ボールの中から飛び出した青白い一筋の光束は楽しそうに地面へと流れ落ちる。
青白い光はやがて胴体と頭部が粗く削れたゴーレムを形成した。
赤褐色と茶色に彩られた岩の身体、頭部と思しき部位は点々でHと掘られている。
見間違うはずもない。
レジロック。タケシが三匹目に繰り出したのは準伝説のレジロック。
とんでもない防御力を誇る岩石の巨人。
レジロックは電力でも供給されたかのように頭部のHを光らせると、無機物な岩石の両腕を振り上げた。
対してこちらは……
「誰がきてもわたし達なら勝てる! 続いていくよっ! ファイヤー!」
ファイヤーへと転生した俺の主人、リーフは溌剌とした勢いで拳を突き出した。
あの、タイプ相性ってご存じでしょうか?
炎飛行タイプの私めに岩タイプのレジロックはその、辛いにもほどがあるといいますか何と言いますか。
いくら対戦用に鍛えられたポケモンでもこれはきついといいますか、なんというか。
今すぐ後ろに残っているフシギダネに変えていただきたいのですが……。
なんて思念を送ってみようにも俺の口から出てくるのは「ギャーオ!」という雄たけびのみ。
これをご主人は「気合十分だね!」とまるで理解していない様子で両肘を曲げてポーズをとる。
……マジかよ。
いやけど分かっている。フシギダネでレジロックを相手にするのは正直言って無理に等しい。
しかもこんな最序盤で。
だったらせめて準伝説らしく、後続に繋がる動きをしないと。
……誰だよ、序盤で準伝説のポケモンを捕まえることができたら余裕とかぶっこいてた奴。
一発ぶん殴りたい。とどのつまり俺か。
ディアルガの力で過去に戻れれば今すぐにぶん殴ってきている。
ここで最初に立てた論の結を今言おう。
そんな甘い
思えばバトルタワーにいるトレーナーってなんであんなに準伝説のポケモンをポンポン繰り出してくるのだろう?
少し訂正しよう。なんで準伝説を容易く葬れるポケモンを繰り出してくるのだろう?
準伝説のポケモンなど意にも介さぬ万夫不当なトレーナーが世界各国から集っているから?
なるほど、非常に納得のゆく答えだ。
では次にこう考えよう。
そんな
もっと言えば現実に生きていて、当たり前のようにバトルタワー上層の方で出てくるジムリーダーたちは、挑戦者の実力を測るという名目上でぬるい手加減をしてくれるだろうか?
もう一度言おう。数分前までマジの真・唯一神になっていた俺をぶん殴りたい。
「レジロック! 岩石封じ!」
「ファイヤー! 熱砂の大地!」
タケシの指示を聞いたレジロックは両腕を振り上げる。
すると、レジロックの周囲を青白く発光する岩が躍りまわる。
振り下ろされた両腕。一撃でも受けたらただじゃすまない状況下。
俺はこなくそーという思いを前面に吹き出し、翼をはためかせ岩の巨人へと突撃していった。