ファイヤーに転生したけどこのカントー地方、色々おかしい!?   作:氷水メルク

11 / 54
VS魔改造タケシ2

 出てきたのは岩団子の身体を持つポケモン、ゴローニャ。

 今度はカントー地方のゴローニャだ。

 

「岩石封じ!」

「躱して熱砂の大地!」

 

 アルマジロのように丸まり、その場で回転しながら岩石を飛ばすゴローニャ。

 翼をはためかせた俺は落ち着いて岩石封じの動きを観察する。

 封じという名前だけはある。

 岩石の弾幕に隙間は無い。

 避ければ避けるほど被弾の確率は上がる。

 ……だったら、

 

「ギャーオ! (あえて突っ込んでやる!)」

 

 当たると思った攻撃にはエアスラッシュをぶつけろ! 

 避けられそうなら身を畳んででも間を縫え! 

 一撃でも受けたらその時点で痛手は避けられない! 

 

「ゴローニャ! 後ろだ!」

 

 タケシの指示にゴローニャはわざわざ後ろへと向き直り岩石を飛ばす。

 左右に飛び回るたび、ゴローニャはタケシの指示を受けて軌道を調整する。

 なるほど、もしかして前が見えていないな。

 試しに動き回ってみればゴローニャは必ず、前回転して正面に攻撃を放つ。

 だったら後ろ、と見せかけて横に飛び出し熱砂の大地をぶつける。

 その一撃でゴローニャは回転を止めた。

 まだ戦闘不能にはなっていないようだが、追撃で熱した砂を飛ばす。

 

「跳べッ! ゴローニャ!」

 

 再びゴローニャは回転すると、そのままの勢いで空中に飛び上がる。

 

「そのまま押しつぶせ!」

 

 だから甘いっての! 

 頭上から降ってくる岩団子の横をすり抜ける。

 このまま墜落したゴローニャに熱砂の大地をぶつけて——、直後ゴローニャの目が俺に注がれた。

 

「雷パンチ!」

 

 ゴローニャの右手が電気に包まれる。

 まずいと咄嗟に火炎放射を放つも止められない。

 ゴローニャの雷パンチが腹を穿つ。

 爆発的な威力が瞬間的に叩き込まれた俺は、フィールド外の壁にめり込んだ。

 いてぇ……なんてものじゃない。

 タイプ不一致だってのに弱点なせいか一瞬意識がぶっ飛ぶかと思った。

 頭の奥がガンガン来る。

 身体全体が芯から痺れる感じがするわ。

 次いで訪れるは極寒。

 凍傷やけどみたいに身体が冷たくなっていく。

 麻痺でも引いたか? 

 それでも俺はまだ戦える。まだまだHPは残っている。

 再びゴローニャの前を飛び立つ。

 

「このファイヤーは良く鍛えられている。判断力に技、実行するだけの力と耐久力。だが、トレーナーがまるで追いつけていない」

 

 ここまでのバトルの間、リーフの様子はといえばタケシの言葉通りだった。

 俺とゴローニャのバトルに目が追い付いていない。

 正確には目まぐるしく変化するバトルの状況に、次に何の指示を下せばいいのか分からずあたふたしている。

 俺の目からはそんな風に見える。

 もしかしたら俺が勝手に動いているってのも原因の一つかもしれないが。

 指示を出されたらその通りに動く気ではある。

 けど出されるのを待っていたら攻撃を受けるんだよ。

 あれだな、もし俺にメガシンカがあったとしたら間違いなく暴走コースだわ。

 

「ゴローニャ! とどめの岩石封じ!」

 

 ゴローニャが回転を始めた。

 来るっ! 

 

「ファ、ファイヤー。えっと!」

 

 容赦のない岩封に固唾を飲みながらも、俺はエアスラで粉砕する。

 爆炎が一帯を支配する。

 一秒すら遅く感じる。

 俺は煙が晴れるのを待つことなく火炎放射をゴローニャに放つ。

 しかしそれは相手も同じ。

 

「そのまま雷パンチ!」

 

 右手に電気を纏ったゴローニャが煙幕の中を突っ切ってくる。

 だから俺は翼を折り畳み、顔を逸らしながら急降下する。

 頭上をゴローニャの雷パンチが通り過ぎる。

 下ががら空きだ! 

 俺はゴローニャの腹にエアスラを打ち込む。

 おまけに地面に降り立ったついでに熱砂の大地を飛ばす。

 ドガンとタケシの元にゴローニャは落ちていく。

 動かないゴローニャに審判は顔を近づけると、旗を振って戦闘不能と裁定を下す。

 

「なるほど、確かに羽ばたくのを止めれば、その場から動くことなく落ちることができる。考えたな」

「ギャーオ! (褒めていただいて嬉しいよ)」

「だがこれではチャレンジャーとバトルしているというより、ファイヤーとバトルをしているって感じだな」

 

 本当にね。俺もそう思うわ。

 決して信用していないわけじゃないのよ、これは本当に。

 今回の戦法もリーフと飛べるようになる練習をしていたから思いついただけだし。

 あれやってなかったら間違いなく今の一撃でやられていたと思う。

 んで、その肝心のリーフといえばやっぱり状況の変化についていけていないようだった。

 多分、俺が勝手に動いていて、気づいたらゴローニャを倒していたって考えていそう。

 

 タケシはゴローニャを戻すと、「よくやった」と労いの言葉をかけた。

 リーフはとりあえずといった様子で俺に声を掛けてくる。

 

「よく分かんないけど、このまま行けそう!」

「これは忠告として言っておく。お前はまだファイヤーを使うべきじゃない」

「なんで? 現に岩タイプにも勝って見せたじゃない!」

「ファイヤーの実力を自分の実力と勘違いするな。だが」

 

 タケシは黄色と黒を基調とした、ハイパーボールを握りこんだ。

 

「俺はタケシ。岩タイプのエキスパート。ファイヤーにストレート負けするとあれば、ジムリーダーとしてのプライドに傷がつく。全力で行くッ!」

 

 我らがメインヒロインさんは上半身服を脱ぎ捨て、強靭な肉体美を見せつけると、両腕を自分の前にクロスして見せた。

 

「この石、砕けるものなら砕いてみよっ! ゆけっ、レジロック!」

 

 タケシの号令を上げると、黄色と黒を基調としたハイパーボールを振りぬいた。

 天を駆けるボールは最高到達点へと至る前に、パカンと上下に開かれる。

 ボールの中から飛び出した青白い一筋の光束は楽しそうに地面へと流れ落ちる。

 青白い光はやがて胴体と頭部が粗く削れたゴーレムを形成した。

 赤褐色と茶色に彩られた岩の身体、頭部と思しき部位は点々でHと掘られている。

 見間違うはずもない。

 レジロック。

 タケシが三匹目に繰り出したのは準伝説のレジロック。

 とんでもない防御力を誇る岩石の巨人。

 

「レジジジジジ」

 

 レジロックは電力でも供給されたかのように頭部のHを光らせると、無機物な岩石の両腕を振り上げた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。