ファイヤーに転生したけどこのカントー地方、色々おかしい!?   作:氷水メルク

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化石ポケモン

 

「ここの化石達は何万年も前の世界を歩いていたとされています。今では化石を復元して元のポケモンがどういった姿をしているのか確認されていますね。しかし復元させる機会も完璧ではなく、現代に蘇った化石ポケモンたちも昔は違う姿をされていたと言われています」

 

 まぁ、明らかにウオチル、パッチラ共は違うけどね。かせキメラだからね、あいつら。

 けどそうなんだよ。化石から復元されたポケモンたちが、基本的に共通したタイプを持っている。

 岩タイプ。

 とある考察によれば化石の復元、つまり石の復元が不完全で残ってしまったことから岩タイプになってしまったという説がある。

 この説を助長しているひとつの要因として、ゲノセクトが挙げられる。

 あいつらは人間の手によって改造を施され、背中にキャノン砲を付けられ、鋼タイプが追加されたと言われている。

 ほかにも同じくキメラのシルヴァディ。こいつも人が作り上げたメモリによって自分のタイプを変化させることができる。

 人工的にそうであれと作られたポケモンだからそうと言われてしまえば首を縦に振らざる負えない。

 しかし人に手によって復元された化石ポケモンたちが、こうであれとタイプを曲げられた可能性がないわけではない。

 原型がどうとかそういった話を抜きにしても、人間の手によってポケモンにタイプが追加されたり、変化するのは実証されているのだ。

 

 それで冠にいる化石連中だが、まぁこいつらも復元された奴と同じく岩タイプを持っている。

 だから数万年の時を生き残っていた。というよりかは、冠雪原に化石ポケモンを逃がした奴がいるといった方がしっくりくる。

 そして俺たちは何百ものポケモンを一斉に逃がす存在を知っている。というよりか、心当たりがないなんて絶対に言わせないのだが。

 トレーナー(おれら)だ。

 俺らの手によって逃がされた化石ポケモンたちが、冠雪原で生態系を作り上げているといった方が分かりやすいわけである。

 

「とはいえ、決して岩タイプを持っていないという証明にもなっていません。同じロコンでも地方によってタイプが違いますから。たまたま岩タイプを持っている化石ポケモンだけが発掘された可能性もございます」

 

 そういったことをゲノセクト、シルヴァディの下りは無しで職員の女性はリーフに説明していた。

 こういうトレーナーのエゴを感じる話って、リーフの歳だとやっぱり怒りを覚えるんだろうな。拳を固く握りしめ、絞り出すように言葉を吐き出した。

 

「古代の時代から現代で蘇ったばかりのポケモンを逃がすなんて……。そんなのトレーナーのすることじゃない」

「あなたはきっとお優しいんでしょう。その清い心のまま自分のポケモンたちと接してあげてください」

 

 そうとう言葉を選んだな。

 ポケモン厳選。強い個体以外はボックス行き。そこからもう二度と日の目を浴びることなく放置されるのと、どっちがマシって言われたら答えようがない。

 職員の女性はリーフの肩に手をやると、白衣のポケットから小箱を取り出して見せた。

 

「話を聞いていただいてお礼にこれを。もしも現代に復元させたのなら、大切にしてあげてください」

 

 小箱の中に入っているのは……ここからだと見えないな。

 これ以上天幕に近付くと外に出ちまうし。

 リーフは職員の女性から手渡された小箱を受け取ると、その中身を手に取り掲げて見せた。

 

 リーフの手にあったのは丸い琥珀だった。

 天井に付けられた庫内灯を反射させる山吹色のそれには、何か生物の欠片のようなものが中心で眠っていた。

 もしかしなくてもこれって、職員の女性は今まさに俺の答えを口にする。

 

「秘密の琥珀」

「秘密の琥珀?」

「中にポケモンの遺伝子が入った琥珀です」

「ポケモンの……遺伝子が、この中に」

「いつかあなたが必要とするかもしれません。だから、大切にしてあげてください」

 

 リーフはひとつ「はい……」と頷き、琥珀を元に戻してショルダーバッグにしまい込む。職員の女性はリーフに「ありがとう」と言葉をかけると、ひとつ軽く手を叩いた。

 

「暗くしてごめんなさい。お詫びといっては何だけど、ニビからハナダに行く途中にあるお月見山ではね、満月の日にピッピのダンスが見られるの。三日後には満月になるから、行ってみたらどうでしょうか?」

「……はい、ありがとうございます」

 

 浮かない顔つきのままニビ科学博物館から出てきたリーフは、ポケモンセンターへと向かって行く。

 

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