ファイヤーに転生したけどこのカントー地方、色々おかしい!?   作:氷水メルク

17 / 54
ファイヤーが言うことを聞かない。指示が足りないようだ。

 どう伝えようかと頭を捻らせていると、ボールの中にいるフシギダネが気のせいか外に出たそうにアピールしてる気がする。

 

「ダネ、ダネダネ! (ここはぼくに任せて!)」

 

 いや普通に言葉が聞こえて来たわ。

 ポケモン同士ならモンスターボールに入っていても会話できるんだな。

 ならここはフシギダネに任せた方が良いかもしれないな。

 色々ポケモンを捕獲しているリーフがなんだかんだ手持ちに残しているポケモンだしな。

 俺はフシギダネのボールにタッチする。

 青い光がリーフの足元に出てきたのと入れ違いになるように俺は自分のボールに戻った。

 

 リーフのことが心配だけど今の感じだとトレーナーとしてダメだ。

 色々気になることはあるけど、俺は新技の練習でもしているか。

 

「もうなんなのファイヤー!」

「ダネ(あれはしょうがないと思うよ)」

「行こっフシギダネ!」

 

 地団太を踏んだリーフは、フシギダネを胸に抱きかかえるとそのまま再出発し始めた。

 しかしなんていうかだな……。フシギダネだと野性戦もトレーナー戦も力不足という他無くて。

 俺はもっと早くフシギダネに戦いの経験をさせてあげるべきだったと後悔していた。

 

 簡単に言えば、見取り稽古するにしたって技を使うのに、身体を十分鍛えていなければ使えるはずがないってことだ。

 あれは同じ武術の稽古をしていく中で、自然と身体が鍛えられて初めて効果を成すものだと俺は勝手に思い込んでいる。

 それに同じ武術なら技に癖なんかも出てくるだろうし、それ良いなって感じたものを何度も練習していけば会得できると思う。

 だがな、フシギダネとファイヤーじゃそもそもタイプだけでなくグループからして違う。

 亀が鳥の動きを真似たって意味なんかないのだ。

 

 そう考えるとゲームのポケモンって見取り稽古だけでレベル100に到達しているわけだが。

 やばいなあいつら。みんな天賦の才能持ってるやん。

 

 つまりは何が言いたいかというとさ。

 

「お願い戦ってよファイヤー!」

 

 道中でのトレーナー戦。

 フシギダネが早々に戦闘不能になって再び俺がバトルに赴いていた。

 んで、さっきからリーフの指示を無視している。シカトぶっこいている。

 いや、躱せとか技名を指示されたら撃つつもりはあるよ。完全にトレーナーを舐めているわけじゃない。

 けどさっきからリーフってば、「戦って!」とか「ファイヤーなら行ける!」みたいなエールしか送ってこないわけで。

 

 ついには相手が特性炎の身体で火傷して勝手に自滅していった。可哀そうなヒマナッツ。

 リーフは俺の翼を掴み振ってくる。

 

「戦ってよファイヤー! 勝てるんだから!」

「ギャーオ(なら指示を出してくれ)」

「ギャーじゃ分からないよ! 今までは聞いてくれたのに……」

 

 なんかアイリスを思い出すなぁ。

 リーフは俺の翼を握りブンブンと振ってくる。それでも効果がないと知るや、見え透いて落ち込み俯いている。

 なんだか悪いことしている気分になってくる。

 それに齢10歳だからもう少し優しい感じで教えて上げられればいいんだけど、如何せん言葉が通じないからなぁ。

 どうしたものか。

 

 なんて悩んでいるときでも、ファイヤーの物珍しさにかトレーナーは集まってくる。

 

 そしてバトルにもつれこんだんだけど……まずいなぁ。こいつら普通に強い。

 パーティーはコータス、カイリキー、ブリガロン。ゲッコウガ、カメックス、オーダイル。

 果ては進化の輝石持ちサイドンだぜ? 

 指示を出してもらって初めて動こうとか余裕ぶっこいていたけど、攻撃を受ければそれはもう痛いし。マジで意識が飛ぶ。

 こちらとしてもそれは嫌だ。というか痛いのが好きな奴なんてまずいない。

 だからついリーフの指示を待たずして勝手に動いてしまう。

 そして俺はサイドンが目を回しているのを上空から眺めていた。

 

 あぁもう、ままならない! 

 

「やっぱりファイヤーは強い! さっきはちょっと身体が悪かっただけなんだよね! けど本当に悪かったら今度はちゃんと言うのよ」

 

 リーフは俺の正面に立つと前屈みになる。それから10代とは思えぬほど成長した物を強調しながら人差し指を立て、注意するように言ってくる。

 俺は目が向かないよう、きちんとリーフの目を見ながら呟く。

 

「ギャーオ(言っても通じねぇやん)」

「うん。ファイヤーも分かってくれたみたいだね。このままお月見山に向けてレッツゴー!」

 

 やっぱり通じてねぇよ。

 これもうメガシンカどころじゃなくZ技すら使えねぇんだろうなぁ。多分あの二人の間で繋がる光が弾かれるに違いない。

 トレーナーとしてポケモンに優しくしてくれる。

 そこに惹かれてリーフのポケモンになったけど、こちらの言い分を聞いてくれないってなると、なんだか少し嫌になるよな。

 俺は少しリーフに対しての好印象を下げながらも進み続け、日が暮れるころにはお月見山の麓に到着。

 ポケモンセンターにて休息を取るのであった。

 

 ちなみにここのポケモンフーズは苦みが強烈なうえに、ゼリーのように柔らかくてとでも食べられたものじゃなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。