ファイヤーに転生したけどこのカントー地方、色々おかしい!?   作:氷水メルク

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戦闘狂ピカチュウ

 

「なんだよー、またか!」

「……」

 

 バトルの結果はレッドの勝利だった。

 あのピカチュウおかしいって。紫のオーラを放っていないのに、なんであんな強いんだよ。

 シャドウ化……ダークポケモン……でもないんだよなぁ。

 下手したらあいつだけでストレート勝ちできるぞ。

 グリーンはゼニガメをボールに戻すと、リーフへと目をやる。

 

「リーフもやろうぜ!」

「私今回パース! 昨日からもう疲れちゃって」

「ファイヤーとも戦いたかったんだが仕方ないか。だがそうなるとこの橋、ゴールデンボールブリッジには挑まないってことか?」

「ゴールデンボールブリッジってこの橋?」

「そうだ! トレーナーに五連勝すると景品をもらえるとのことだ。レッドもその腹なんだろ?」

「……」

 

 レッドらしいと笑うリーフ。

 なんでこの人たち何も喋らないレッドと意思疎通できるん? 前から思っていたけど。

 幼馴染の力ってスゲー。

 

「一番乗りは俺がいただくぜ! そんじゃーなーバイビー!」

 

 グリーンはレッドとリーフを置いて、さっさとゴールデンボールブリッジを渡っていく。

 この調子だとグリーンひとりで渡り切るだろうな。

 

「さっきも言ったけど昨日色々あって疲れてるんだよね。一緒に行っていい? お昼ご飯奢るから」

「……」

「やったー! じゃ、行こっ!」

 

 レッドの了承を得たリーフはゴールデンボールブリッジへと歩を進める。

 ひとり目突破、二人目突破とレッドは並みいるトレーナーを打倒していく。

 

「つえぇ……」

「また負けた」

「もっと鍛えないと」

 

 五連勝した後、ヒトカゲをボールに戻すレッド。何か不思議に思ったのか、リーフは横からひょっこりと顔を出す。

 

「レッドってさ。どうやってタケシに勝ったの?」

「……」

「フシギダネを使って? 勝てるものなの? へぇー、つるの鞭ってそんなに強いんだ!」

「……」

「ピカチュウって水技覚えられるんだ。タケシ戦のためにアイアンテールも覚えたって」

「……」

「ん? ファイヤーで勝ったよ。タケシは本当に強かった! もう負けるかもって」

「……」

「馬鹿言わなくてもいいじゃん! ファイヤー入れば勝てるんだから!」

「……」

「そうだね、だから私も勝ちを信じることにした。もう、負けるかもなんて思わないよ」

 

 双子ってテレパシー使えるのが普通なのか?

 片側から見ればリーフの独り言にしか聞こえんのだが。

あと会話しながらトレーナーを倒してあげるな。可哀そうだから。

文字通り相手にされていない状態だから。無言で目もくれず、双子とはいえ女子と目と目で繋がる会話をしている状態だから。

ほらっ、相手トレーナーめっちゃ悔しそうに表情歪めているし。

 

こんな調子でレッドとリーフは世間話に花を咲かせながら、最後のロケット団員まで打倒しやがった。

 シャドウ化したポケモンは既に保護済み。レッドのフシギダネによってロケット団を拘束して終了した。

 レッド強すぎない? 主人公だし強大な敵としても出てくるから特に気にしていなかったし、何なら使っていたポケモンもコラッタとかその辺だったからってのもあると思うけど。

 シャドウ化したポケモンをこうもあっさり……。

 

 リーフとレッドはジュンサーさんを呼び出し、ロケット団を突き出した。

 その時ジュンサーさんから、「二度もありがとうございます!」と敬礼されたけど、レッドさんや何をしたんですか?

 泥棒でも捕まえたんですか? あっ、やっぱりそのイベントはレッドさんがやったみたいですね。

 ジュンサーさんの口から泥棒逮捕の協力って出てきましたし。

 我らがリビングレジェンドさんはロケット団の使っていたシャドウポケモンを受け渡す。

リーフもお月見山で捕獲したマリルリとブロスターを受け渡していた。

 なお、マリルリとブロスターを見たジュンサーさんは、

 

「よく保護できましたね。これジムリーダークラスのポケモンたちですが大丈夫でしたか?」

 

 なんて謎の機械をモンスターボールにかざしながら驚いている。

 その後、「最もトレーナーはそうでもないみたいですが」と続けた。

 

「……」

「ジムリーダーが強くないってそれ本気で言ってる?」

 

 リーフさんリーフさん、多分それ我らがメインヒロイン、タケシの使用したポケモンがイシツブテとイワークだからじゃないでしょうか?

 最初っからレジロックを出すほど鬼畜じゃないと思いますよ?

 ジムリーダーに位置できるって本来相当な実力者だから。

 

 ジュンサーさんはハナダシティで二度もロケット団が動いていたのを重く見たのか、厳戒態勢を敷くようだ。

 ゴールデンボールブリッジに警備を置き、通る人ひとりひとりをチェックし始めた。

 

 これじゃあマサキイベントをこなせない。

 先に渡ったグリーン辺りが取ってきてくれればいいんだけど……。

 第一ピッピと合体しているかどうか分からないし。

 

 リーフは約束通りレッドに昼食を奢っている。

 お互いの全ポケモンも一緒に外へ出ている。

 

「ピカッ! (バトルしないか!)」

「ギャッ。ギャーオ(嫌だわ。お前強いし)」

「ピカピッカ! (えぇー、バトルしよ!)」

「ギャーオ(揺すられてもやだ)」

 

 ピカチュウは俺がいくら言っても引いてくれない。こいつ意地っ張りだな?

 これでも体力自体は回復している。単に疲労を回復できていないだけで。

 マリルリ、ブロスターと戦って、次のジムは水タイプ。荷が重い。

 フシギダネが戦えたら楽できるのに。というか準伝説を使われなければ……なんて、タケシの前例があったのにそんな馬鹿なことあるわけないよな。

 

 心が重いせいかポケモンフーズの味が分からない。いつの間にか無くなっているし。

 ……フシギダネか。俺の近くで膨らませた腹を叩いている。器用だなお前。

 そんなフシギダネをヒトカゲの後ろからチラチラ見ているレッドのフシギダネ。

 わっかりやす。後ピッピさん、ひとりで食べていないでこの戦闘狂から助けてほしい。

 このピッピ、俺の隣で食べてはいるけど一言も言葉を発さないほど控えめなんだよな。

 

「ピッカチュウ! (じゃあそっちの主人について教えて!)」

 

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