ファイヤーに転生したけどこのカントー地方、色々おかしい!?   作:氷水メルク

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VSカスミ

 

 ハナダシティに戻ってきたリーフとレッド。

 レッドは既にカスミに勝利しているようで、ジャケットの裏に付けたブルーバッジをリーフに見せた。

 そうなるとレッドはもうここにいる意味は無いのか。

 レッドは帽子の鍔を握り頷くと、クチバシティへの道のりを歩み始めた。

 リーフは手を振ってレッドの後ろ姿を見送ると、顔を引き締めてハナダジムへと赴く。

 ロケット団を壊滅させるためには力が必要だからな。手っ取り早く身に着けるには今まで通り、ジムに挑んだ方が良い。

 けれどリーフから感じるあの不安感は未だぬぐえない。

 

 早く、ファイヤーだけじゃ絶対に勝てないことを分かってくれればいいのだけど。

 

 ハナダジムの自動ドアをくぐり、中に入ったリーフ。

 一番最初に聞こえてきたのは、水を掻きわける音だ。

 広がっていたのは市民プールのような内装をしたハナダジム。

 プールにはレーンが敷かれており、そこでビキニを着た女性や短パンを履いた男性が泳ぎの勝負をしている。

 天井はガラス製になっており、天から降り注ぐ陽光がジムの中を照らしている。

 近くにはタケシのジムにもあった、サイドンのような像。二階も同じ作りとなっている。

 傍に立っていたあの男性がリーフに「オッス未来のチャンピオン!」と声を掛けて美味しい水を配っていた。

 

 ついに来たか。二つ目の関門。

 気合を入れていかないと間違いなく負ける。

 対策として燃え尽きるを覚えてきているから、タケシ戦のようにはいかないと思うけど。それでもエアスラッシュじゃ火力不足だろうな。

 

「待ってた! あなたがタケシに勝ったファイヤー使い?」

 

 弾ける炭酸のようにパチパチと高くやんちゃな声。

 散々アニメで見たへそを外に出したコーデに、水色の紐でサイドテールに結ばれたオレンジ色の髪。

 

「バッジひとつだっけ。じゃ、メガシンカは無しで」

 

 カスミが腰に手を当て、挨拶がわりにリーフへウインクを送っていた。

 

  *  *  *

 

 岩肌に囲まれた水のフィールド。

 リーフの向かい側にはカスミが立っている。

 今回ジムトレーナーとは戦っていない。

 なぜならカスミの方から、準伝説を持っているなら戦っても無駄に体力を減らすだけだと言ってきたからだ。

 あちらは俺自身を相当高く買っているらしい。

 そもそもジムトレーナーの役割、自分にすら勝てなければジムリーダーに挑戦する資格という物だ。

 この考えに当てはめると、リーフはジムトレーナーと戦うまでもなく戦う資格ありと判断されたことになる。

 タケシのようにジムトレーナーを回避できるならしても良い。

 ジムはバトルだけじゃなく、トレーナー自身の知恵や発想力も試しているのだから。

 

 そんで、リーフは早々にバトルフィールドの方へと案内されていたのだ。

 あそこ本当に市民用に開放されているプールらしい。どおりでトレーナーらしくない、子ども連れの親子とか居たわけだ。

 

「使用ポケモンは三体! 道具の使用は禁止! 交代はお互いに禁止されていない!」

「分かりました!」

「私のポリシーはみずポケモンで攻めて攻めて……攻めまくることよ! 行けっ! マイステディ!」

 

 カスミが放り投げたボールから登場したのは、中央の宝石が光り輝く二つのヒトデが重なったようなポケモン。

 

「スタッ! (了解!)」

 

 ゲームならエースとして出してくる、スターミーだった。

 リーフはいつも通り、俺のボールを手に取り外へ飛び出させた。

 

「ギャオー! (相性不利ももう慣れたな!)」

「いきなりファイヤー?! しかも色が違う!」

「ファイヤー! 燃え尽きる!」

 

 おっし! 序盤からだな。

 翼や頭から出血大サービスの如く炎が噴き出す。俺は体内で煮えたぎる熱を全て、全身から火炎という形で溢れさせた。

 マグマの温度を優に超える、鉄を簡単に溶解させる圧倒的熱量が渦を巻く。

 炎は不死鳥の形を勝手に形成し、スターミーへと羽ばたいた。

 

「水中へ!」

 

 スターミーは水中へと潜り込む。

 遅れて不死鳥はスターミーを追いかけ、水面へと突っ込んでいく。

 スターミーならまず間違いなく無事だ。意外と特防高いからな、あいつ。

 どこから飛び出すか目を凝らす。するとリーフさんからとんでも指示が。

 

「ファイヤーも水の中へ!」

 

 マジで言っている? 

 炎タイプ失ったからそれでも良いと思うけど、流石に格好の的だと思うぞ。

 リーフに何か指示があると考えた俺は水の中へと飛び込む。

 ざぶーんと水飛沫が宙を登る。水が耳に入り、聴覚が聞き取り辛くなる。

 視覚もほとんどぼやけていて見えにくい。けど微かにスターミーの居場所を特定できた。

 

 来るっ! スターミーがその身を横回転させ、まるでカッターのように飛んでくる。

 水中のせいで身動きが取りづらい! 成すすべなくスターミーの連撃を受ける。

 やったなと反撃にエアスラッシュを食らわせようとして、風の刃が出てこないのに気づく。

 翼をはためかせても何も出てこない。最後にスターミーの攻撃を腹に受け、水の中から追い出された。

 

「ファイヤー!」

「そりゃそうなるわよ。燃え尽きるで炎タイプを消したのは良いけど、そのあとを考えてなかったようね。スターミー! 止めのハイドロポンプ!」

 

 スターミーの宝石部から高出力、高圧力な水のブレスが迫りくる。

 

 ナイス判断だリーフ! 

 

 俺はわざわざ地上に出てきてくれたスターミーを迎えるように、空中を自在に飛んでドロポンを避ける。

 落ちていくスターミーの真下までくると、そのままエアスラッシュでスターミーを打ち上げた! 

 

「スターミー! 態勢を立て直して!」

 

 カスミの指示にスターミーは岩肌へと飛び移る。

 

「スタッ! (まだいけるッ!)」

 

 自信満々に手? のようなものを動かさせ、ボッ! とその身から火傷痕を現させた。

 燃え尽きるで炎を失っても、炎の身体の効果は発動する。なんか矛盾しているような気もするけど、発動するのだから問題ない! 

 

「ファイヤー! エアスラッシュ!」

「スターミー! 十万ボルト!」

 

 この十万ボルトは甘んじて受ける! これを耐えた後、俺のエアスラッシュで反撃だ! 

 

「スタァ……(ここまでか……)」

 

 エアスラッシュによって吹き飛んだスターミーは、水面に浮かびながら宝石を明滅させる。

 即座に審判は、スターミーへ戦闘不能の判定を下した。

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