ファイヤーに転生したけどこのカントー地方、色々おかしい!?   作:氷水メルク

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願い事があったら積んでた

 

 これで一体目か……。特防にはあんまり振ってないけど、岩技を受けるよりかはマシか。

 というか同じ電気でもピカチュウの方が遥かに痛ぇよ。やっぱあいつの電力おかしいって。

 カスミはスターミーをボールに戻し、「よくやったわ」と感謝の言葉を投げる。

 

「あなたのファイヤーすごいわね! スターミーの十万ボルトを耐えるなんて」

「私のファイヤーなら余裕余裕!」

「けど、この子はどうかしら! 行くわよッ! マイステディ!」

 

 続く二匹目はシャワーズ。

 まぁた面倒くさいの来たよ。

 カスミってシャワーズ持っている描写あったっけ? もう今更か。

 願い事を持っていないのを祈るしかないか! 

 

「シャワーズ! 熱湯!」

 

 意外とシャワーズって特功高いからな。当たるわけにはいかない! 

 俺は頭上を飛んでシャワーズの放つ熱湯を避ける。

 やっぱり空はアドバンテージ、なんて考えていたからだろう。

 

「シャワーズ! 水中へ!」

 

 シャワーズは水中へ潜り込むと、そのまま水と自分の身体を同化させ、カクレオンのように自分を隠してしまった。

 

「ファイヤーだけで勝てるほどバトルは甘くないわよ! シャワーズ! どくどく!」

 

 害悪型じゃねぇか! 

 頭上から降ってくる明らかに食らってはいけない毒の塊を避ける。

 

「シャワーズ! 凍える風!」

 

 最初に出せよこのシャワーズ! 起点づくりやん! 

 

「ほらほらっ! このままだと何もできないわよ!」

「ファイヤー! どうしよう!」

「それを考えるのがトレーナーでしょ!」

 

 まったくだよ! 

 俺は熱湯、凍える風を受けるの覚悟で水の中へと飛び込んだ! 

 俺ならできるはずだ。水中だと余計にシャワーズの姿は見えない。

 見えないなら無理やり引きずり出してやんよ! 

 俺は水中で翼をとにかく動かしてやる! 無茶苦茶に! 指向性を込めて動かしてやる! 

 

「シャワ! シャー! (馬鹿めッ! 所詮は鳥頭よッ!)」

 

 なんか妙にムカつくなこいつ。誰が鳥頭だ、誰が! 

 畜生やってやる! ファイヤーが水中だとなんもできないとでも思っていんのか! 俺は思うけど! 

 サトシだったら絶対やる! あの少年だったらこの無茶苦茶をぶっつけ本番で間違いなくやって見せる! 

 ここで俺が負けたら裏はフシギダネとピッピだけ。勝てるような気がしなくもないけど、裏が分からない以上俺が勝つしかない! 

 だったら上からシャワーズを捉えられない以上やるしかない! 

 

「シャワ! (これで終わり!)」

 

 見えないけど目の前で熱湯が放出した。

 しかし熱湯は俺が翼を振った勢いで生まれた水流によって霧散していく。

 

「シャワ!? (まさか!?)」

 

 エアスラッシュほどの火力は無い。当たるとも言わない。

 けど攻撃する直前なら必ず止まるし、何よりこれほどの水流であればお前を自ら押し出すことだってできる! 

 シャワーズを宙へ押し出し、再びエアスラッシュを叩きこもうと両翼を振りかざし、

 

「シャワーズ! 凍える風!」

 

 空中で体勢を立て直したシャワーズの凍える風を俺はまともに受けてしまう。

 寒っ! まるで夏場のプールサイドで熱された身体に冷たい水を浴びせられた気分だ! 

 炎タイプを失った俺には効果抜群。痛いは痛いが、ゴローニャの雷パンチほどじゃない。やっぱりこいつは、

 

「いっけぇ! ファイヤー!」

 

 エアスラッシュをかき消すように撃てば、こちらに軍配が上がる。風なら飛行タイプの専売特許だからな。

 リーフの言葉通り、寒々しい身体に鞭を打ち、エアスラッシュをシャワーズに打ち込む。

 一撃じゃ足りない。

 さらに空中へと押し出したシャワーズに連続でエアスラッシュを撃ち続ける! 

 まだだ。まだまだ終わらない。

 シャワーズは天に向かって叫ぶ。

 願い事かと勘ぐった俺だったが、頭上に広がったのは黒い積乱雲。落ちてきたのは一滴の雫。

 雨乞いか? 

 ならこのまま押し切れる! 再びシャワーズにエアスラッシュを打ち込もうとして、赤い光がシャワーズに投射される。

 

「審判! シャワーズは戦闘不能判定にしておいて!」

 

 カスミの言葉に審判は頷いて返し、リーフへ赤旗を上げた。

 唐突な勝利判定にリーフは小首を傾げる。

 

「なんで?」

「あのねぇ? あのままじゃ一方的にやられていたでしょ。引き際を見極めるのも大事なの。それにさっきからあなた、指示もほとんどしないであたふたしっぱなし。ほんとにファイヤーと戦っている気分だわ」

 

 情けないと首を振ったカスミは最後のボールを手に取る。

 最後の最後で黄色のボール。もう嫌な予感しかしないんですけど。絶対出るよね。こんなの出るに決まっているよね!? 

 雨に濡れたカスミは黄色いボールにひとつ口づけをし、俺を見定めるように目で突き刺す。

 

「それもここで終わり! 世界の美少女おてんば人魚! いっけ! マイステディ!」

 

 青い光を突き破り、登場したのはムール貝に近い形の殻を閉じたポケモンだった。

 おいおいおい、ここでこいつかよ。見覚えしかないぞ! おい! 

 あの青いからに描かれた遺跡に描かれる絵のような黒い線。中から腕を広げて現れる、薄青色の長い髪を持つ黒い別嬪。

 姿を現すと同時に、フィールドは色の煙で覆われる。

 

 アローラでも行ったときに捕まえて来たんか? もう震えが止まらないんだけど……。いや震えしかないんやけど……。

 唯一と言っていいほど違う部分があれば、眼鏡。赤いレンズにギザギザのついた黄色いフレーム。

 

「さぁ、上げていくわよ! カプ・レヒレ!」

「レヒィ! (ヤケモーニングですなWWW)

 

 こいつヤケモンじゃねぇか! 

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