ファイヤーに転生したけどこのカントー地方、色々おかしい!?   作:氷水メルク

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 遅れた理由?
 他の小説を書いていました。いやー、うどんとカレーで真面目に戦争するのはきついっす。ということで、久しぶりの投稿です。


二度目の敗北

 あのメルクって女の子。

 本来の原作には登場しないどころか影も形も……。

いやそこはもういい。そこは野性のポケモンの時点で手遅れだ。

 第一リーフとレッドが双子という強大な差異があるんだ。そこは本当にもういい。

一番の問題は……リーフが塞ぎこんでしまったことだ。

 

 今までファイヤー一辺倒、ファイヤーさえいれば勝てると思い込んでいたところに、何もさせてもらえず敗北。

その上、ファイヤーの攻撃は痛くないとの発言。

 リーフからすれば屈辱に他ならない。いやむしろ、自分がここまで歩んできたもの、ポリシーを全否定するものだったに違いない。

 そもそもあの子の言葉通りだ。

 

 だってファイヤーは特功に努力値を4しか振っていない。

 それでも勝てていたのは元々ファイヤーの特功が高いからに他ならない。

 耐久型のファイヤーで攻撃一辺倒。

 俺からすればそれこそ舐め切っているわけだが、年相応の少女であるリーフには通じない。

 

「偶々よね! うん、きっとそう。バトル直後だったもの!」

 

 多少表情に影がありながらもリーフは5番道路を元気に進んでいく。

 元気に見えるだけで道行く新しい野性のポケモンに目を向けていない。

 今までが今までだけあって相当重症かもしれないな。

 

「私のファイヤーは強いもん」

 

 信頼してくれるのは嬉しいけど流石にバンギラスは無理。

 なんて考えているうちに、リーフはヤマブキシティに続くゲートへと入っていく。

 先へ進もうとして警備員にリーフは呼び止められた。

 

「待った、そこの嬢ちゃん。ここから先は通行止めだよ」

 

「何かやっているの?」

 

「さてね、工事でもしているんじゃないか? とにかく、ここを通りたいなら地下通路へ行ってくれ」

 

 リーフは訝し気な表情ながらも「分かりました」と頷いてゲートを出る。

 地下通路へと降りていく。

 そこにあった通路は一本道ながらもケンタロスが十匹並んで通れそうなほど広大であった。

 

「なんだか気分悪いわ」

 

 リーフの歩く速度が自然と速くなる。

 分かる。

 落とし物とかあるんだろうけど……今と違って光っているわけじゃない。

 ロケット団が占拠しているという噂とか、マサラタウンの曲が流れている理由とか深く考察されていたよなぁ。

 俺も地下通路何もなさ過ぎて飽きたからなぁ……。

 ……あれ? ロトムいるじゃん。

 ロトムだけじゃない。ビリリダマ、コイル、エレキッド、デンジムシ、ギアルもいる。

 落ち込んでいたリーフも新しいポケモンを見つけたとなれば、瞳を輝かしてボールを構えていった。

 

 こんなところにも野性ポケモンが登場するようになって……。

 ロトムとかウォッシュにすれば俺より使いどころ多いよね。

 最も、リーフは自分のお気に入りで進めたいタイプなのでロトムを捕まえるだけ捕まえて即ボックスにしていたようだけど。

 

 地下通路から出てきたリーフは6番道路へ出てきた。

 野生のポケモンはプリン、ブルー、ガーディ、ヒメグマ、ゴマゾウ、エネコ、プラマイ、フォッコ、シュシュプ、マーイーカ、ペロッパフもいる。

 ……もう驚かないね。

 地下通路含めて6番道路で出会ったトレーナーとの戦いは全戦全勝。

 ボスゴドラから始まり、ギルガルドとかカジリガメとかね。

 それと妙に固い奴もいたなぁ……。

 なんか岩の形をしていて飛び散った破片が妙にしょっぱい奴。

 あの破片すぐに硬化してくるからすんごい苦戦した。

 おまけに火傷状態にならないわ、自己再生するわ、破片で固めようとしてくるわ。

何だったんだ、あれ。

 図鑑ではキョジオーンって紹介されていたっけ。

 今度戦う時があったら注意しよっ。

 

 なお、立て続けに勝ったためかリーフさんの機嫌は全回復。

 あの時は調子悪かっただけだとステップでもしそうな表情である。

 リーフの力になれるのは良いんだけど……、このままだと俺、過労死するかもしれない。

 

 そうしてやって来ましたクチバシティ。

 通常のストーリー通りならサント・アンヌ号に行くのだけどリーフ曰はく、

 

「ジムに勝ってから乗りたい!」

 

 とのこと。

 クチバシティといえば他にもカモネギを交換してくれる人とかポケモンだいすきクラブとかいるんだけどね……。

 いやカモネギに関してはさっきガラルの奴見たんだけどさ。

 何ならネギガナイト使ってこられたし。

 

「余裕よね。うん、今まで通りに行けば絶対に勝てる」

 

 ポケモンだいすきクラブに関しても、わざわざ手に入れなくてもいい自転車を手に入れる必要性があるのかどうかって感じだし。

 

 そんなこんなでリーフはポケモンセンターに向かい、意気揚々とジムへ出陣。

 クチバジムといえばゴミ箱が広がっているイメージだけど。

 意外にも入ってすぐの場所にバトルフィールドが広がっていた。

 

「すいませーん! 誰かいますか!」

 

 声を張り上げたリーフへ呼応するかのように、バトルフィールドにぱっと照明が当てられる。

 

「ウエルカムトウークチバジム! ユーがチャレンジャー?」

 

 照明に照らされたのは迷彩服を着たアメリカ人。

 サングラスと逆立つように生えた黄色い短髪頭が特徴的な男。

 大柄で軽く二メートルはありそうである。

 隣には女性、それと雷を意識したバンダナとコンセントの形をした髪型が特徴的な男性。

 リーフは俺のボールを構えて見せる。

 

「はい、勝ちに来ました!」

 

「オー! やるきまんまんネ! けど、ミーはマチス。つよいよ! ハンパなパワーならユーのポケモンみんなビリビリネ!」

 

 リーフとマチス、互いに火花を散らす。

 両者共にバトルフィールドの端に立ち、審判のいつもの口上が述べられる。

 

「行けっファイヤー!」

 

「ゴー! レアコイル!」

 

 この日、リーフの考えが甘いのだと思い知らされる。

 

  *  *  *

 

 俺の意識が遠のいていく。

 最後の力を振り絞り相手を睨みつける。

 けれど相手は俺の眼光など意にも返さない。

 持ち上げた頭すら鉛のように重たくて。

 

「ファイヤー! 戦闘不能!」

 

 審判の無慈悲な判定のみが下されるのだった。

 

 聞き覚えのあるポケモンセンターの回復音。

 急に夢から覚めた時のように、俺はハッと起き上がって辺りを見渡す。

 広大な宇宙。

 

「……ファイヤー、……フシギダネ、……ピッピ」

 

 それと天蓋から見えるリーフの重く苦しげな表情。

 それだけで俺は何があったのかすぐに察した。

 

「ギャーオ(負けたのか)」

 

 それもそうかと俺は一匹ため息をつく。

 マチスの最後の一体、俺よりも速い準伝説だったからな。

 ステルスロックみたいな絡めてとかじゃなく、純粋なパワー勝負で押し切られた。

 レアコイルも強かった。

 スカーフ巻いていたし。多分あれ最速だと思う。

 上からかみなり打たれて消耗したのもひとつの要因。

 リーフはポケモンセンターの近くにあるベンチに腰を掛けながら、俺のボールをいじくる。

 

「私のファイヤーがアタッカーに向いていない。私のファイヤーに見合った戦い方」

 

 俺はこの時、喉に異物が詰まったかのような感触を得ていた。

 これは多分、遂にばれてしまったかといった感情ではない。

 遂にリーフが理解したのかという感情だ。

 俺の元々の技構成は鬼火、羽休め、燃え尽きる、暴風。

 これでアタッカーをやれって言う方がきついのである。

 ブオーと重く高い汽笛が鳴る。

 リーフはハッと顔を持ち上げて、港に止まっていた船を見る。

 

「サント・アンヌ号」

 

 リーフはショルダーバッグの中からサント・アンヌ号のチケットを取り出した。

 

「世界中のトレーナーが集まる場所」

 

 リーフはチケットをしばらくの間見つめた後、何かを決意したかのように走り出した。

 

「くよくよしている暇なんてないよね!」

 

 目指すは世界中のトレーナーが集まるサント・アンヌ号だ。

 





 どうせ二回戦うので……。
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