ファイヤーに転生したけどこのカントー地方、色々おかしい!?   作:氷水メルク

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ポケモンタワー

 

 102番道路を通過していくリーフたち一行。

 いつも通りの歩きである。

 今更ながら思ったんだけど、クチバシティで引換券をもらわなかったのと、ハナダシティに行っていないから自転車とか持ってないんだよなぁ。

 ほんと今更ながら、ゲームと比較してしまうのがあれである。

 そんで捕まったカビゴンは未だ起きない。

 ボール越しに見てみると、恐らく捕獲されたことにすら気づいていないようである。

 暢気なものだ。

 剣盾ではのっそのっそと当たり前のように動いていたのにな。

 フジ老人に会うまではカビゴンを使用することはできないな。

 一先ずリーフはシオンタウンのポケモンセンターへと足を運んで回復をしてもらう。

 宿の予約を取り終えて、リーフはシオンタウン名物のポケモンタワー近くまで行くと、見覚えのある少年が色白の女の子に話しかけられていた。

 

「ねぇあなた……幽霊っていると思う?」

 

「……」

 

 無言で首を傾げたレッドは少女に言われるがまま後ろを振り返る。

 しかしその場にはもう既に何もいない。

 

「……!」

 

「あはは、ごめんね、見間違いかも。あなたの肩に白い手が置かれているなんて。……ほんと、ごめんね」

 

 背筋を仰け反らせたレッドに、色白の女の子は両手を合わせて謝ってからその場を去る。

 いや、それ気のせいじゃないぞ。

 俺にもはっきりと見えたから。

 あいつ氷タイプだから寒くなるのは当たり前でしょうよ。

 

「レッドー!」

 

 不自然に首を左右に振るレッドに、リーフは大きく腕を振る。

 レッドはリーフの姿を見かけるや否や、やはり無言ですぐに駆け寄っていった。

 そんなレッドを、リーフは手で顔を隠しながらおかしそうに笑う。

 

「……!」

 

「ほらこれ」

 

 リーフはレッドに図鑑を見せる。

 するとすぐに音声でユキメノコが紹介されているのが聞こえてくる。

 種が分かればもう怖くないのだろう。

 レッドは少し眉を顰め、無言でクスクスと笑うリーフに抗議する。

 

「レッドは相変わらず、怖いのが苦手だね」

 

「……」

 

「私はファイヤーがいるから、夜も明るいよ」

 

「……」

 

「レッドのヒトカゲ、もうリザードンになったの!?」

 

 ちょい待てや! 

 速すぎない? 

 おれ、赤緑はニドキング周回しかやらないからあれだけどさ。

 この時点だとまだ御三家は最終進化には至らなくない? 

 変わり種としてトキワの森でリザードンにする人はいるけどさ。

 でも本当だ。

 レッドのリザード、リザードンに進化している。

 漲る闘志をその目に、おれを見てさらに高ぶらせている。

 フシギソウはまだフシギソウのまま。

 それが少しだけ安心感を与えさせてくれる。

 あと、レッドのピカチュウがこちらに熱烈な視線を向けてきているけど、気づかない振りをしておこう。

 やだよ、あいつわけ分かんないくらい強いから。

 

「……」

 

「うん、今日はもうこれから休むとこ。話ならポケセンでしよ」

 

 そう言って一先ず話を切り、リーフとレッドはポケモンセンターの宿で一夜を過ごす。

 そこで起きた、夜ごはんの時だけ目を覚ますカビゴンとの戦争はまた別の話。

 しいて言うなら食べ物の恨みは恐ろしい。

 なんでピカチュウからライコウ以上のプレッシャーを感じるのか。

 あなた特性プレッシャーじゃないですよね? 

 そうして迎えた次の朝、今度は食事の時だけカビゴンをボールから出さないという手を講じたリーフ。

 しかし悲しいかな。

 ボール越しでも周りは見えるのである。

 これまた朝ごはんの時に目を覚まし、勝手にボールから出てきたカビゴンと激闘を繰り広げるという、朝を迎えた俺たち。

 朝からもう既に妙に疲れた……。

 ポケセンから出た後、レッドはポケモンタワーを指さした。

 

「……」

 

「ポケモンタワーに行くの? なら私も」

 

 リーフの言葉にレッドは帽子を深く被って頷いた。

 こうしてリーフたち一行はゴーストタイプのポケモンを入手しに、ポケモンタワーへと入っていった。

 

 中は案外電気設備が整っているようで結構明るい。

 緑のタイルが敷き詰められたタワー内部の至るところに、石作で出来たポケモンの墓が並んでいる。

 そして早速、墓の後ろから現れたミミカスが上部を動かして挨拶をしてくれる。

 

「何この子、可愛い!」

 

 そう言ってリーフは俺以外のボールを構え、毎度の如く捕獲している。

 ミミカス……。

 良い覚えが何ひとつない。

 何かしら役割遂行するわ、いるだけで一ターン消費するわ。

 ほんと、ミミカスだわ。

 スカーフ付けてないと上から鬼火撃たれるわ、呪いしてくるわ、トリルしてくるわ、トリックしてくるわ。

 ゴーストダイブ、剣の舞、痛み分け、ドレパン、ウドハン、影打ち覚えるわ。

 甘えるまで打てて、身代わり貼って、挙句道連れだもんな。

 こいつほど最後に出てきたときの絶望感ったら、マジでないと思う。

 型多すぎんだよ、ミミカスが! 

 

 そしてもう一匹現れたミミカスを、今度はレッドがゲットしていた。

 アニメの方でピカチュウにめっちゃ恨み持っていたけど、ここのピカチュウなら大丈夫だろうな。

 何ならボールに入ったミミカスが、ピカチュウの浮かべる好戦的な笑みに早速ビビり散らかしている。

 リーフはあのピカチュウの顔を可愛いというけど、こちらからすれば恐怖以外の何物でもないからね、あれ。

 バイバイバタフリーの時にロケット団が言った、「可愛い顔して!」って言いたくなる気持ちがよく分かるわ。

 一階の時点でかなりゴーストタイプのポケモンがいるが、受付のお姉さん曰はく、階を上がるごとに珍しいポケモンが多くなっていくらしい。

 

「レッドは次のジムどうするの?」

 

「……」

 

「準伝説のポケモンと戦いたいって……」

 

「……」

 

「そりゃ、強いほど燃えるというのは分かるけど」

 

 レッドは昨日の夜、リーフから夜通しライコウの話を聞いていたみたいだからな。

 みたいというのは、リーフがライコウと俺の話をずっとしていたからそう思っている。

 ミニリュウが好きな餌に食いつくかの如く、すごい前のめりになって聞いていたもんね。

 

「まってぇ!」

 

 その時である。

 レッドとリーフの足元を小さな影が駆けていった。

 突然の出来事でリーフは足を取られて体制を崩す。

 レッドは驚異的な反射神経で、さも当たり前のように回避していた。

 小さな影を追いかけるようにして、アップヘアーの髪型をした茶髪の女の子が、レッドとリーフの前で立ち止まった。

 

「ごめんなさい! 急いでて!」

 

 ひとつ頭を下げた女の子はまた小さな影を追っていく。

 

「なんだったんだろう。……あっ、ありがとうレッド」

 

 尻もちをついたリーフは、レッドから手を借りて立ち上がる。

 スカートに付いた砂埃をパタパタと叩いて、女の子が向かっていった方向を見つめている。

 

「……」

 

「うん、まぁそうだよね。私たちは三階に行こうか」

 

 特に先ほどの事故について気にした様子もなく、リーフたち一行は三階を再び目的にポケモンを図鑑に記録していく。

 そうして三階の階段が見えてきたときである。

 先ほどの女の子が階段近くで蹲っていたのは。

 

「ダメだよ。カラカラ」

 

 何か泣きながら手に持った骨や足を振り回し、駄々っ子するカラカラ。

 それを女の子は何やら必死に押さえつけている。

 

「カラカラぁ! (フジが危ないよぉ!)」

 

 フジが危ない? 

 ということは原作通りに上にロケット団が向かったのかな?

 どうもガラガラのことで泣いているわけではないようだ。

 

 でも正直大丈夫だと思うよ。

 フジ老人ロケット団が来ていたことにすら気づいていないと思うから。

 それよりこの先どうしようか。

 シルクスコープが無いと先に進めないんだよなぁ。

 

「ちょっとちょっと! 何してるの?」

 

 切羽詰まった雰囲気を醸す女の子の肩をリーフは優しく叩く。

 女の子はリーフに顔だけ向けて乾いた笑顔を浮かべた。

 カラカラを抱いたまま立ち上がり、リーフとレッドにもう一度頭を下げた。

 

「さっきはごめんなさい」

 

「いや、良いの良いの。それでそっちのカラカラはどうしたの?」

 

 リーフの質問に、女の子はカラカラの頭をなだめるように撫でる。

 

「大したことではないの。今朝、フジさんがお墓詣りに行っちゃって。それでカラカラが泣いて、家を飛び出しちゃったの。フジさん、親を亡くしたカラカラにいつも優しくしてくれていたから」

 

 ねっ? と優しい声音で女の子はカラカラに小首を傾ける。

 小さく上下に揺らされて、それでもカラカラは暴れることを止めない。

 ロケット団がいるもんな、そりゃ心配になるわけだ。

 

「カラぁ! カラぁ! カラカラぁ! (違う! 違うの! フジが危ないの!)」

 

「大丈夫、フジさんはそのうち帰ってくるよ。だから家でご飯でも食べよ?」

 

 訴えるようにカラカラは泣く。

 それでも女の子には通じない。

 なんだろう。

 このポケモンの訴えが人間に通じない感じ。

 物凄い既視感を感じる。

 分かる、分かるわぁ。

 カラカラが可哀そうに思えてきたので、おれは自分でボールから外に飛び出した。

 急に外へ飛び出てきたおれに首を傾げるリーフを一旦スルーして、カラカラに話しかける。

 

「ギャーオ(落ち着けって)」

 

「カラぁ! (怖いよぉ!)」

 

 俺の姿を見たカラカラは余計に号泣をし始める。

 どうしよう、思ったより子どもなのかもしれない。

 怖がらせたと思われたのか、リーフに「こらっ、ファイヤー!」と怒られる始末である。

 思わずボールに戻されそうになったけど、レッドが腕を伸ばして止めてくれた。

 俺は心の中でレッドにお礼を言いつつ、懸命にカラカラから話を聞きだそうと努力してみたところ、次第に落ち着いてきたようだ。

 

「カラぁ(フジが危ないの)」

 

「ギャーオ? (どう危ないんだ?)」

 

「カラぁ! カラぁ! カラカラぁ! カラぁ! カラカラ! カラカラ! カラぁ! (実はね! 今日の朝ね! この塔の空にね! 穴が空いていたの! なんかね! それでね! タワーのポケモンがね! 大きくなってね!)」

 

「……ギャーオ? (……それどんな見た目してた?)」

 

「カラぁ! カラカラぁ! (分かんない! 分かんないけどフジが危ないよ!)」

 

 ……どうしよう。

 ……ロケット団より数段やばい。

 




原作だとカントー地方は結構離れているそうですけどね。

ぶっちゃけひとつの型が馬鹿強い奴より、型が多すぎて何してくるか分からない奴が一番の脅威っていうね。
化けの皮で攻撃防げるくせに身代わり貼れるとかダイマキラーにも程があるだろ……。

ところで現在ポケGOでは10月限定で色違いのシャドウファイヤーが出るそうですね。
私は過去にポケGOで色ファイヤーを2体捕まえて、両方とも剣盾に送って夢特性にして友人に布教したことがあります。
その後友人と何度かポケモンをやりました。
片方は孵化要因に。もう片方はシャドウも形もありません。
……真・唯一神様の布教に失敗しました。
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