ファイヤーに転生したけどこのカントー地方、色々おかしい!? 作:氷水メルク
ロケット団がウルトラホールに目を付けた?
待った待った!
「それってどういう……?」
俺の言いたい言葉をリーフが代弁してくれた。
「ロケット団は別世界の伝説ポケモンに目を付けた。世界を渡ればその数だけ伝説のポケモンがいる」
……俺は軽くショックを受けていた。
その光景、ポケモンホームで見たことがある。
ボックスいっぱいに敷き詰められたホウオウの光景を。
ロケット団はそれをしようとしているってことか。
リーフは声に怒気を乗せる。
「そんなの……」
「あぁ、容認できることではない。ひとつの組織が強大な力を得ると世界の均衡が崩れる」
グラードン一匹に対してカイオーガ三匹、みたいなことになるわけだ。
どうしようもない感情が全身に流れる。
だって同じことを俺もやっていたから。
ガラル地方でカイオーガ六匹のキャンプとか。
ゲームでは何気なくやっていたけど、考えてみたらあれ結構やばいことをしているよな。
……でも、ポケモンGOの世界では割と似たような光景を見るような。
リーフはスカートのすそを強く握りしめる。
「元々この世界にも伝説とされるポケモンは多い。海や虹の神、大地や海を作った者とその均衡を宇宙から見守るもの、時間や空間、別世界のシンオウ様。理想と真実、そしてその穴を埋めるものに、生命、破壊、そして秩序を定める者。そんな伝説のポケモン相手では、最強のポケモンをコンセプトに生み出したあ奴ですら力不足だった」
申し訳ないが、ミュウツーは伝説のポケモンの中だと弱い部類だと思う。
ホウオウ、ルギア、カイオーガやディアルガにイベルタルを見ていると。
あれらと比べると、最強をコンセプトに生み出されたにしてはどうも見劣りする。
何なら十字の爪を食い込ませ、火山を這いずっていたあいつよりも弱い。
エスパータイプが強いのは初代くらいなものである。
リーフは小さく呟く。
「ウルトラホール……」
「私は今のロケット団がどの程度の規模になっているか想像つきません。もしかしたらまだ、伝説のポケモンを捕まえられていない可能性だってあるでしょう。ですがもし、この先ロケット団に会うことがあれば気を付けなさい」
フジ老人は優しく諭すように忠告をしてくれる。
もしかしたらロケット団員たちが当たり前のように、伝説のポケモンを使ってくるかもしれないと。
ファイヤーじゃ誰にも勝てないんだけど。
せめて準伝説なら勝てるんだけど……。
勝てるとしてもザシアン、ザマゼンタくらいなものだ。
フジ老人は「あともう少し待ってくだされ」とリーフたちに言って、机に手を付いて立ち上がる。
しばらくして小さな木箱を持って戻ってくる。
「これを持っておくと良いでしょう。ポケモンを大切に出来るあなたたちなら」
フジ老人から渡された木箱をリーフとレッドは開けた。
中身をリーフが手に取っている。
握られているのは……キーストーンだ。
リーフがメガシンカを使えるようになったってことか!?
レッドが貰ったのも同じ物のようで、リーフと似た仕草で握っている。
リーフはキーストーンをまじまじと見る。
「これって確か、ファイヤーと戦ったトレーナーが持っていた石」
「キーストーンとメガストーン。ポケモンとトレーナーの持つ二つの石が共鳴し合うことで、ポケモンは更なるシンカを遂げる。カロス地方の伝承、メガシンカ」
「メガシンカって確か……」
その伝承、さっき普通にトレーナーたちが使ってきましたけどね。
バーゲンセール並みの叩き売りされているメガシンカえぇ……。
その後、リーフとレッドはフジ老人から説明を受ける。
最初にメガシンカ現象が起こったのはカロス地方らしいんだけど、ダイマックスと違ってキーストーンとメガストーン、あと絆さえあればどこでもメガシンカできるからね。
というか、カロス地方で発見されたわりに一番最初にメガシンカしたのはレックウザらしいんだよね。
わざわざカロスに行ってメガシンカしたのだろうか……。
あと絆が必要とか言われている割に、ゲーム的にはそんなもの無くてもメガシンカできるが答えである。
一通り説明を受けたリーフとレッドは、フジ老人にお礼を言って外へ出る。
フジ老人も二人の旅に祝福を祈ってくれたのだった。
「……」
「今日はタマムシシティまで行くの? じゃあ私も」
「……」
「それね、今考えているんだ」
リーフとレッドは、タマムシシティへの道のり、8番道路を進んでいく。
キーストーンを太陽に掲げ、リーフは意気消沈した声で話す。
「レッドはさ、ヨノワールとゲンガーに勝ったじゃん。なのに私はシャンデラ一匹、倒せなかった」
「……」
「ポケモンのおかげって、前にもそれ別の奴から聞いたわ」
メルクだったか。
自分がすごいのではなく、ポケモンがすごいとか言ってきた幼女。
バンギムドーとかめったメタにメタってきておいて、どの口が案件だよなあれ。
あいつそのうちトノグドラとか使ってくると思うぞ、多分。
リーフはキーストーンを握り締め、木箱の中に戻した。
「ファイヤーだけじゃ勝てない。だから私は強くなりたい。でもファイヤーを使わないと勝てない」
「……」
「そう、ジレンマ。あのバトルから、私はなんの経験を得られたのかなって」
リーフの言葉をレッドは何も言わずに受け取る。
俺は少なくとも経験を得られたけどな。
ピカチュウとは戦うなっていう経験が。
リーフの言葉に首を傾げていたレッドは、突如として立ち止まる。
どうしたのと言葉を掛けるリーフに、レッドはベルトに付けたボールを突き出した。
「……」
「バトル? 私とレッドが?」
「……」
「無理無理、勝てないよ。やる前から分かり切っている」
「……」
「そこまで言うなら……」
何も言ってないと思うけど。
リーフとレッドは少し離れてお互いにボールを構える。
そうして始まったバトルはやはりというかなんというか、レッドの一方的な試合展開だった。
リザードンがフシギソウとピッピを押しのけて、カビゴンは起きる間もなく戦闘不能になって。
レッドのピカチュウやフシギソウが出る場面は何一つない。
リーフは俺のボールをぎゅっと握る。
歯を噛み締めてこらえる姿は痛々しくて見ていられない。
目元を震わせて、今にも泣きそうで。
リーフは俺のボールを投げることなく戻した。
レッドはリザードンの頭を撫でてからボールに戻す。
「……」
「何が言いたいの?」
「……」
「バトルでそれが言いたかったってわけ?」
リーフはひとつ大きく息を吸い込んだ。
はぁーと息を吐いて、瞼をぐっと強く閉じた。
「はいはい、どうせ私と私のポケモンたちは弱いよ! 私の切り札はファイヤーだけだよ!」
そう叫んでリーフはレッドを置いて走り出す。
わき目も振り返らずにタマムシシティへと繋がる地下通路を目指して。
走る。走る。走る。
どうしようもない気持ちを振り払うかのように。
地下通路ではリーフの足音が無機質な壁に当たって反響していた。
さっきの発言から考えるのに、レッドはリーフとそのポケモンたちを侮辱したってことか?
まさか、あのレッドが?
ゲーム、アニメ、各種メディア媒体を見るにレッドはそういうことを言いそうにない。
この世界のレッドは違うってことか?
あのピカチュウを見ているとそんな感じしないけどな。
レッドはピカチュウの言葉通りゲンガーに空のボールを投げなかった。
ポケモンの言葉が通じていないはずにも関わらずだ。
それほどポケモンと通じ合うことの出来ているレッドが、リーフのポケモンを侮辱するだろうか?
分からない。
分からないけど、俺に出来ることは多分何もない。
リーフを信じることだけしよう。
地下通路を抜けた先では、黒く染まった曇り空が広がっていた。
ポツポツ、と雨のしずくが落ちてくる。
雨音は次第にポタポタと変わっていき、終いにはザァーザァー振りへとなっていく。
その雨の中をリーフは傘も差さずに走る。
このままでは風邪をひくかもしれないと判断した俺は、ボールから飛び出てリーフの頭上を飛ぶ。
リーフは一度、俺を見たっきり何も言わずに走り続けた。
リーフはタマムシシティのポケモンセンターに付いた。
雨は止みそうにない。
リーフは俺たちを回復してもらうと、昼食を取る。
食事中、リーフとフシギソウたちは一言も喋ることがなかった。
* * *
時計を見て15時くらいであろうか。
土砂降りだった雨は少しづつ落ち着いてきたのを確認したリーフは、何も言わずに立ち上がり外へ出た。
ゲームセンターにデパート、食堂やらを無視して。
傘を差して向かう先は、どうやらタマムシジムのようだ。
フシギソウのボールを握り締め、なんかジムを覗いているおっさんを無視してジムの扉を潜った。
世界が変わる。
タマムシジムの内装は、一言でいえば小さなポケモンたちが住まう明るく和やかな森だ。
植物で作られた緑のアーチ、ジムの中なのに天へと伸びる木々。
ガーデニングとか詳しくないから分からないんだけど、見ていて正直あんまり面白くない場所だ。
ポケモン廃人、RTAとかしているとゆっくり楽しむことが難しくなるからね。
こういう感想になるのは仕方ない。
普段のリーフなら目を奪われそうな光景なのだが、今のリーフにはそんな余裕がないようだ。
「ジムに挑みに来たよ! 誰かいないの!」
返事はなかった。
帰ってくるのは温かな風くらいなものである。
「誰かいないの!」
やはり返事はない。
リーフは少し足音を強めにジムを歩き回っていると、すぅすぅという寝息が聞こえてくる。
音のある方向に歩いてみれば、大きな木に着物の女性が寄り掛かるように寝ていた。
濡れ羽色のショートヘア―に紅のカチューシャ。
それとこのマイペースな感じ、間違いなくジムリーダーのエリカだ。
「あの」
リーフはエリカの前でしゃがみこみ、その肩を優しく揺する。
二回、三回揺すったところでエリカは眠り眼を擦りながら、瞼を開いた。
「あらあら、誰でしょう?」
「リーフ、ジムに挑戦するために来た」
「まぁまぁ、試合の申し込みですの?」
聞いているだけでも調子が崩されそうな、モモンの実のよりも甘い猫撫で声。
エリカはひとつ大きな欠伸をして、着物に付いた土を払うことなく立ち上がる。
ジム前なのにこうもマイペースをされると、こっちまで思わず欠伸が出そうになりそうだ。
いや、寝ないけどな?
「リーフ……、あらあらそうあなたが。ファイヤー使いのリーフですのね」
「……ファイヤーは使わない。ファイヤーが居なくても、私は勝てるんだから!」
「何か訳ありですのね? でもわたくし、バトルで手は抜きませんわ」
エリカは着物の裾からモンスターボールを取り出した。
そのまま投げようとするエリカに、リーフは「ちょっと待って!」と声を張り上げた。
「あらあらなんですの? ……まぁまぁ、ここはバトルフィールドではありませんでしたわ」
ポヤポヤと今にも寝てしまいそうなエリカに、リーフは「調子が崩れる」とため息をつく。
今度こそエリカとリーフはバトルフィールドに赴く。
芝生に囲まれた土のフィールド。
「もう一度仰いますが、わたくしバトルでは手を抜けませんの」
「分かってる!」
リーフの言葉を皮切りにエリカから放たれる雰囲気が変化する。
さっきまでのお日様ポカポカって感じの空気から、一気に緊張感の流れる冷たい空気に。
リーフもそれを感じ取っているのか、フシギソウを握るボールに力が入っていた。
「行きますわよ、リーフィア!」
「行って! フシギソウ!」
お互いのボールが弾け、リーフィアとフシギソウが一斉にフィールドに登場する。
リーフィア?
意外……ではないんだけど、今までのジムリーダーって先発は赤緑で出す奴が出てきていたから少し驚いた。
っと、バトルが始まる。
俺が知っている限り、フシギソウの技は確か宿木の種、ツルの鞭、種爆弾、眠り粉なわけだけど……。
あれ、有効打何ひとつなくね?
「リーフィア、リーフブレード!」
「フシギソウ、ツルの鞭!」
指示を受けていち早く駆けだしたのはリーフィアだ。
「フシッ! (当たれッ!)」
「リーファ! (遅い!)」
フシギソウは当てずっぽうにツルの鞭を振り回している。
しかしそんな物が当然、ジムリーダーのポケモンに当たるはずない。
リーフィアのリーフブレードは、フシギソウのツルの鞭すら斬り伏せて叩き込まれる。
救いなのはリーフィアの攻撃は草、毒タイプのフシギソウにはあまり通らないってところか。
「リーフィア、瞑想ですわ!」
「今がチャンス! フシギソウ、宿木の種!」
リーフィアが瞑想?
っておい、草タイプに宿木の種は!
フシギソウは自身の蕾を向け、リーフィアに宿木の種を放つ。
しかし植え付けられた宿木は、芽生えることなく弾かれた。
ポケモンへの指示を止めたリーフに、エリカが解説をする。
「あらあら、草タイプに宿木の種は効きませんわ」
「じゃ、じゃあ眠り粉!」
「あなた、本当にここまでバッジを集めてきた方かしら? 草タイプには毒の粉や眠り粉、キノコの胞子といった粉の技も無効化致しますの」
一瞬、毒の粉なら何とかなりそうとか考えた俺も馬鹿だったわ。
そう、早く交換しないと手遅れになる。
でもリーフは交換をしない。
「種爆弾!」
「リーフィア、躱しながら瞑想ですわ」
フシギソウは何度も何度も種爆弾を放つが、リーフィアの軽やかな身のこなしの前では無力だった。
リーフィアは冷静に心を鎮め続けている。
交換!
交換しないとあれではフシギソウが可哀そうなんだけど!
突如としてエリカは両手を上に広げる。
「リーフィア、日本晴れでございますわ!」
リーフィアが天に向かって「リーフェ! (天よ晴れろ!)」と吠えれば、フィールドは途端に強い日差しに包まれた。
「そしてバトンタッチ」
リーフィアは流れるようにバトンを投げ、自動でモンスターボールへと戻っていく。
クルクルと自由落下するバトンを、受け取るのはエリカの二匹目のポケモン。
「行きますわよ、フシギバナ!」
ボールが弾けて現れたのはフシギソウの進化系フシギバナ……。
フシギバナ!?
そういえば確かにポケモンワールドトーナメント、通称PWTで持ってたわ……。
いや、そうじゃない。
瞑想を積んだリーフィアのバトンタッチで現れたってことは。
天井に放り投げられたバトンを、フシギバナはキャッチする。
その瞬間、フシギバナからオーラが吹き荒れる。
リーフィアの能力変化を受け継いだのだ。
「行きますわよ、ヘドロ爆弾!」
「種爆弾!」
力の差とはこういうことを指すのだろう。
「フシッ……(あっ……)」
「バァナ!! (進化して出直してこい!!)」
フシギソウの種爆弾はいとも簡単に、フシギバナのヘドロ爆弾に飲み込まれた。
そして無防備なフシギソウへと突き刺さった。
立ち煙が晴れた先、フシギソウは自身の腹を地面に付いて目を回していた。
「フシギソウ!」
リーフの悲痛な言葉が木霊して、悔しそうにフシギソウをボールに戻した。
……これは単なる知識不足だ。
分かっていればこんな光景、広がっていない。
「クッ、行ってピッピ! マジカルシャイン!」
「フシギバナ、ヘドロ爆弾ですわ」
ピッピの放つマジカルシャインは、しかしフシギバナのヘドロ爆弾によってガラスのように砕け散る。
フシギバナのヘドロ爆弾は勢いを止めることなく突き進み、結果広がったのはフシギソウの二の舞だった。
リーフはピッピを戻す。
悔しさを隠しきれない様子で歯を噛み締める。
俺の入ったボールに手を伸ばし、遂には投げようとしたのでその前に俺は飛び出した。
無論、バトルに参加しないためである。
「ファイヤー! 行って!」
叫ぶようなリーフの言葉に俺は首を振る。
ここはもう不戦勝になってもしょうがない気持ちでいっぱいで。
それでもリーフのために。
「行ってよファイヤー!」
「ギャーオ(リーフのためにならない)」
「行ってってば!!」
その目に涙を浮かべてリーフは絶叫する。
……それでも、俺は出ない!
アイリスのドリュウズ、俺は今心底お前を尊敬する!
こんな状態でも、俺の心はすんごい揺れまくっている。
女の子を泣かせるとかこのままもう出て行って戦った方が良いんじゃないかな? って思う程度には揺れまくっているから。
「あらあら、試合は一時中断にしましょう」
「……もう良いよッ! 弱虫ファイヤー! 行ってミミッキュ」
リーフは俺をボールに戻すと、続く三匹目であるミミカスを投げる。
まぁ、その結末はあっけないものなのだが。
一ターン動けると言っても所詮は一ターン。
今のミミッキュにフシギバナをどうにかする手段なんて無いのである。
ミミッキュは簡単に目を回し、リーフの負けがエリカから申告される。
こうしてリーフはまたも、ジムリーダーに惨敗を記した。
リーフのフシギダネは最近、フシギソウになったばかりです。
つまりレベルが最低でも16しかないわけです。
ピッピはそれよりも低い。
ミミカスはそれより少し強い程度です。
カビゴンはポケモンの笛が無いので寝ています。
これで四番目のジムリーダーに勝てるとでも?
一度これ感想にも書いたことがありますが、私はポケモンのGTSで仮想通貨なるものがあると聞いてやってみました。
ともっこを犠牲に、トリミアンキングダムカットやクイーンカットをゲット。
目先の色違い原種ファイヤーに釣られて、トリミアンやオーガポンと交換しました。
まぁ、それで手に入った色違いファイヤーは改造で。
これを流すわけにもいかず逃がし、結果的に言えばオーガポンをこちらが損する形となりました。
おのれリアルロケット団業者め!!