ファイヤーに転生したけどこのカントー地方、色々おかしい!?   作:氷水メルク

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ロケット団対策本部

 

 ギャーオ。

 どうも、俺です。

 ファイヤーです。

 今、カントー地方のどこかしらの上空を飛んでいます。

 どこかは分かりません。

 ゲーム世界と似通った部分こそあれど、完全に一致というわけではない。

 なのでニビシティかなと思って飛んでみれば、まったく別の町だったりするわけです。

 

 お前強すぎて頼っちゃうからとリーフに追い出されて三日経過しました。

 いつも頼りに頼ってきたリーフが立派に目標を見つけちゃって、っとどこ目線なのか分からない程度に感動したり。

 でも、相変わらずポケモンに三か月後に帰ってきてと言ってくる辺り、やっぱりリーフだよなぁとも思うわけです。

 

 マジで今何月だろう。

 俺ってば炎タイプだから年中あったかいんですよね。

 冬とか秋とかであれば涼しさとか感じられるんだけど、流石に春夏と来ると無理。

 暑さの違いとかそんなに感じ取れない。

 リーフとの旅でここまで来るのにそんなに時間が経ったようにも思えない。

 カレンダー見ようにもファイヤーが町に降り立ったら問題だろう。

 こちとら色違いな上に夢特性の準伝説だし。

 町や橋の上に現れるユクシーとクレセリアが異常なのである。

 そういやサンダーは追い出されていたっけか。

 昔、ファイヤーとサンダーを一緒のパーティに入れたら、麻痺と火傷で大喧嘩したものである。

 

 で、一番の問題を上げるとしよう。

 マジでこの後どうしよう。

 

 一番良いのは知っている人間が近くに居れば良いことなんだろうけどさ。

 そんなに都合の良いことなんて起こるわけなく……、

 

「カメックス! ハイドロポンプ!」

 

 あった。

 聞き覚えのある声に首を傾けてみれば、グリーンが見覚えのあるムウマと戦っていた。

 ポケモンタワーに居た、あの一回り身体の大きなムウマ。

 対するはグリーンのカメックス。

 空中へと飛んだカメックスはグリーンの指示を受けて、砲塔の照準をムウマに合わせた。

 ムウマ相手にやり過ぎのような気もするけど、邪魔しないで見ていよ……。

 

「ムウ(遅いわ)」

 

 ……あのムウマ、なんか異常に速くない? 

 マチスのライコウ、いやレッドのピカチュウ以上の速さだ。

 改めてこの世界どうなっているの? 

 ムウマとかピカチュウって一般ポケモンだよね? 

 準伝説の目を持ってしても追いつけないなんてことあるの? 

 ファイヤーって素早さ種族値90しかないけどさ。

 普通のピカチュウ、カイオーガと同じくらいだけどさ。

 にしても速い。

 ゴーストタイプの型に嵌らないトリッキーな動き、そしてグリーンのカメックスを完全に手玉に取るかのようなあの態度。

 たまにカメックスの攻撃が入っているのに、意にも介していない姿には怖気すら覚える。

 進化の輝石ムウマってあんなに固かったっけ? 

 俺には進化の輝石を持っているようには見えないけど。

 

「行けっ! ウィンディ! サイドン!」

 

 グリーンはさらにウィンディとサイドンをボールから飛び出させる。

 一対三!? 

 流石にそれは卑怯なような……なんて、俺は少し顔を引きつらせる。

 

「ウィンディはニトロチャージ! サイドンは十万馬力!」

 

 詰め込んだニトロを爆発させ、ウィンディは烈火を纏う。

 推進力を得たウィンディはグングンと加速して、怒涛の勢いで突き進む。

 サイドンはしこを踏んで、徐々に力を蓄えていく。

 大地を踏み砕かん勢いで飛び出して、ウィンディの勢いに合わせて突撃する。

 

「ムウマ。ムッ(痛いのは嫌だから止めてちょうだいな。ねっ、お願い?)」

 

 ムウマは囁くような言葉でウィンディとサイドンに媚びる。

 戦いの最中に相手が見せた甘えに、ウィンディとサイドンは動揺する。

 見るからに攻撃力は落ちて、初動よりも動きが悪くなる。

 その一瞬の隙をムウマは目を光らせる。

 ムウマは自分自身の影に潜り込み、ウィンディとサイドンの背後へ回り込むように再び姿を現した。

 

「今だ! カメックス、ハイドロポンプ!」

 

 グリーンの指示を受けたカメックスよりも、ムウマの方が早い。

 月のエネルギーがムウマに満ちる。

 濃縮、圧縮された月の一撃は、星屑の海を駆け分け疾駆する。

 放たれたカメックスのハイドロポンプなぞいともたやすく押し返す。

 瞬間、今までに無いほどの怖気が身を伝った。

 

 進化の輝石を持っていないムウマとは思えない耐久力。

 ライコウを上回る素早さ。

 それでいてあのピカチュウに匹敵するこの攻撃力。

 

 ──こいつ本当にムウマか? 

 

 今まで傍観を決め込んでいた俺ですら、翼を畳んでムーンフォースの元まで急降下する。

 なんせ迫力が準伝説のそれだ。

 いや、もしかしたらそれを優に超えている。

 こんなのを受けたら、半減でもない限り一溜りも無いだろう。

 

「カメックス! 甲羅に──なんだッ!?」

 

 月の絶撃が爆ぜる直前、俺はカメックスを庇うように割り込んだ。

 身体のあらゆる節々が悲鳴を上げた。

 カメックスに身体を受け止めてもらうも、まだ威力を抑えきれない。

 そのまま二転、三転してようやく勢いが止まり切った。

 

 効果今一つなのにも関わらず、なんて威力だ。

 マチスのライコウの十万ボルトを軽く上回っているんじゃなかろうか。

 こんなのがいるとか、そりゃゲンガー、ヨノワール、シャンデラが怯えるわけだ。

 

「ファイヤー!? しかもこいつは」

 

 カメックスを庇うようにして割り込んだものの、かっこ悪いことに俺はそのカメックスの手を借りて立ち上がった。

 

「カーメッ。カメック(助かった。ってお前、確かあのトレーナーの)」

 

「リーフがどこかにいるのか? いや、それはいい。行けるかファイヤー?」

 

 当然! 

 ムウマにめっちゃ似ている奴にやられたとなれば、準伝説の恥だ。

 ただでさえあのフリーザーよりも弱いっていうのにな! 

 俺はグリーンの言葉に応えるように声高に猛り、翼を広げて炎を噴く。

 

「なら行くぞっ!」

 

「ムッ(流石に分が悪いわね)」

 

 ムウマは呆れたように首を横に振ると、そのまま自身の影に潜り込んでいった。

 しばらく警戒してみるが、出てくる様子はない。

 どうやら逃げたようだ。

 グリーンはひとつ「ふぅ」と一息を付くと、カメックスたちをボールに戻した。

 それから改めて俺に向き直る。

 

「お前、リーフのファイヤーだろ?」

 

 俺は首を縦に振って肯定する。

 

「あいつ近くにいるのか?」

 

 その答えには首を横に振る。

 グリーンは少し怪訝な顔を見せる。

 

「いないのか?」

 

 その答えには首を縦に振る。

 グリーンは顎に指を当てて何やら考え込む。

 そりゃ、ファイヤーだけこんなところにいるとかおかしいよな。

 グリーンはスマホロトムを取り出すと、何やら電話を掛け始めた。

 スマホロトム……いたの? 

 リーフのところにいたころ、スマホロトムとか見ていないんだけど。

 

「リーフか? お前んとこのファイヤーがここにいんだが?」

 

 グリーンはそうして会話を切り出した。

 最初こそ怪訝な顔から、徐々に納得した風な顔となっていき、最後には険しい顔つきとなっていた。

 

「お前、三か月後って。ファイヤーは人間じゃねーんだから」

 

『けど近くに居たらどうしても頼っちゃいそうで』

 

「あぁ、分あーった分あーった。じゃ、こっちでこいつ預かっておくわ」

 

『うん、頼んだ!』

 

 グリーンが通話を止める。

 後ろ頭を掻きながら「ったく、あいつは」と呆れたように呟いている。

 いや、ほんとうちのトレーナーが申し訳ない。

 できる限り邪魔にはならないようにするんで。

 続いてグリーンはまたどこかに電話を掛けだした。

 

「あぁ、こちらグリーン。マルバ博士、例の古代パラドックスポケモンを逃がしました」

 

 古代……パラドックスポケモン? 

 パラドックスって言うと、確か理論上あってはいるけどあっていないみたいな、なんか逆説がどうのって話だよな? 

 古代パラドックスポケモン? 

 この世界ってそんな変なのまでいるの? 

 剣盾とかやっていたけど聞いたことないんだが。

 となるとレジェンドアルセウス関連? 

 あれにあんなよく分からないムウマが登場したってことか? 

 不気味すぎるわ。

 

「ハバタクカミ。……はい、想像を絶する力を持ったポケモンでした」

 

 なにその、ハバタクカミ? 

 それ本当にポケモンの名前なの? 

 なんか、全然ポケモンらしくないというか……見た目まんまじゃない? 

 動詞だし。

 ウルトラビーストにも、ズガドーン(バースト)とかデンジュモク(ライトニング)とかウツロイド(パラサイト)とかいたけどさ。

 グリーンがちらと俺を見て、スマホロトムを向けてくる。

 画面に映っているのは博士っぽい恰好をした男性。

 髪は白色に染まり切っておらず、堀の感じからしてみても初老に入りかけって感じである。

 

「ファイヤーが仲間になりました。俺のポケモンじゃないですが」

 

 今更ながらこの世界のグリーン、こんなにまだ若いのに敬語を使えている。

 なんか驚きかもしれない。

 ファイアレッドやったことあるけど、敬語使いそうにないもんな。

 アニメとか特に使いそうにない。

 

「はい、分かりました。そっちに向かいます」

 

 その言葉を最後にグリーンはスマホロトムを切った。

 

「つーわけで、三か月暇なんだろ? 力貸してくれよ」

 

 どういうわけなのか分からないんだけど? 

 あと、そういうの事前に言ってから決めさせてくれない? 

 俺は首を縦に振ってからもう一度考える。

 グリーンはいったい、何をしているんだと。

 

「よーし、んじゃ決まりな? 付いてこい」

 

 グリーンはピジョットを繰り出し、乗り込んだ。

 とりあえずグリーンに付いていけばいいんだな? 

 説明とかされていない……まぁ、ポケモンなのでされるわけが無いのだけど。

 それでもどこか一抹の不安を感じずにはいられない。

 

 そうしてグリーンに付いていくことしばらく、俺は暗がりな人気の無い森の入り口に降り立った。

 トキワの森……じゃないよな? ここ。

 七島……にしてはカントー地方を出たわけでもない。

 恐らく、ゲームでいう木々に囲まれたどこか何だと思う。

 グリーンはピジョットを戻し、森を進んでいくので俺も追いかける。

 それからまた少し進んだところに、何やら飛空艇らしき乗り物があった。

 森の闇に溶け込んだ黒色の迷彩。

 グリーンが入り口まで進んでいけば、隣のパネルから無機質な声が聞こえてくる。

 

『いないと困る』

 

「ブースター」

 

『地震で倒れる』

 

「エンテイ」

 

『ファイヤーが』

 

「にらめつける」

 

『よしっ、入れ』

 

 合言葉と思しき言葉で飛空艇の玄関の扉がスライドした。

 ふっざけんな! なんだその合言葉! 

 唯一王と唯一神と真・唯一神じゃねぇか! 

 あとさらっとブースター以外ただの罵倒じゃねぇか! 

 フリーザーの吹雪、サンダーの雷、ファイヤーのにらめつけるじゃねぇんだぞ! 

 エンテイは……知らないけど。

 

 もっとファイヤーの強い部分あっただろ! 

 耐久に振ればウーラオスの水流連打を二発までなら耐えるとかさ! 

 炎の身体さえ発動できれば続く三連撃目を耐えられるから、羽休めで勝てるんやぞ!

 燃え尽きるとか使う必要ねぇんだぞ! 

 それと、後ろにファイヤーがいんだからそんなの合言葉にすんなや! 

 

 グリーンの後ろを追いかけていくと、やがて複数の液晶パネルが設置された広い部屋へと出る。

 その真正面に立つのは先ほどスマホロトムの画面に映っていた男性、マルバ博士。

 他にも何人かトレーナーがいるようだ。

 中にはカスミやタケシといった、見知ったジムリーダーの顔もちらほら。

 ……気のせいか四天王すらいない? 

 招集された人たちって、もしかしてかなり手練れのトレーナーだったりするのだろうか。

 その中でも見覚えのないトレーナーたちはグリーン、それから俺を見ると物珍しさからかスマホロトムを向けだした。

 

「なんだあのファイヤー、個体としては最高じゃないか。しかもよく鍛え上げられている」

 

「色違い……、それも炎の身体ですって!? 特性パッチが使われるなんて、相当なファイヤー好きがいたものね」

 

「特性パッチって相場確か300万は行くよな。準伝説用となればさらに値が張る。良いよなぁ、オレ準伝説まだ一匹も持ってねぇんだよな」

 

 なんだそのポケモン対戦勢の基礎情報。

 この世界でもそれを聞けるとは思わなかった。

 もしかして厳選とかしていらっしゃる? 

 卵を持って砂浜ダッシュする王子様とかいたりする? 

 

 まず人のポケモンの個体値を調べられるのか。

 ランクマッチであくまで実数値を見ることができる程度なのに。

 でも、俺のファイヤーはただの鍛えた個体なんだよね。

 先天的なものではなく、あくまで後天的な物だ。

 全個体値鍛えたならそんなに珍しくないと思う。

 

 それと特性パッチあったのか。

 なら別に色違い夢特性持っていても変じゃないと思うけどなぁ。

 相当なファイヤー好きってところが妙に気になるけど。

 鼻に付くとかじゃなくて、純粋に準伝説級でもファイヤーに使うなんてありえないみたいなニュアンスに聞こえたのよね。

 あの合言葉といい、もしかしてこの世界でもファイヤーって弱い部類だったりします?

 そんなガチ勢たちの会話は置いといて、マルバ博士が手を叩いて迎え入れてくれた。

 

「ようこそグリーン君、歓迎するよ」

 

「任務失敗したがな」

 

「ハバタクカミは最上位凶悪ポケモンの一匹だ。むしろ、任せてしまってすまなかったね」

 

 マルバ博士の当然とも言うべき物言いに、グリーンは多少イラついた様子でそっぽを向いた。

 やっぱあのムウマ……じゃなくて、ハバタクカミだったか。

 あれ最上位凶悪なんだ。

 見た目ムウマのくせに道理でクソ強いわけである。

 

「そしてそちらのファイヤーが」

 

「あぁ、だちのファイヤーだ」

 

「……もしや、メルク君の言っていた女の子かな? 色違いのファイヤーを使っていた……、名前は確かリーフ君だったか」

 

「なんだよ、知ってんのか」

 

「彼女にも声を掛けたんだが、エリカ君から力不足だと断られてしまってね」

 

 さらっとメルクの名前を口にするマルバ博士。

 あの幼女と繋がりがあったのか。

 グリーンに与えられた任務とか考えるに、ある程度実力が保証されていれば呼び出されているってことか。

 なら確かに、今のリーフじゃ力不足だ。

 エリカもこれに呼び出されているのだろうか。

 

「……」

 

「おぉ、レッド君」

 

「やっぱお前も来たか、レッド!」

 

 マルバ博士の言葉に振り向いてみれば、確かにレッドが立っていた。

 足音が鳴っていたけど大して気にならなかった。

 まぁ、グリーンがいるならレッドも来るよね……じゃなくて!

 

 どうやってこの人、合言葉を突破したの!?

 

 あの合言葉の人も表情から言葉を読み解く能力持ちだったのだろうか? 

 まさか、レッドが喋ったとか……ないよね? 

 どこかのゲームで言葉は不要! とか言うくらいだし。

 ……まさかね? 

 レッドは俺の姿を見るや首を傾げ、手のひらで軽く撫でてくる。

 何やら驚きの表情を浮かべ、グリーンを見て頷いていた。

 

「始まるみたいだぜ!」

 

 グリーンの言葉通り、マルバ博士は白衣のポケットからリモコンを取り出し操作する。

 複数のモニターが起動するが、ポケモン世界の言語なのでなんて書いてあるかは分からない。

 だけど画面に映っているライコウやトルネロスたち準伝説、ウルトラビーストにハバタクカミや何やらメカっぽい不気味なポケモンの写真群。

 招集されたジムリーダーや四天王たち。

 マルバ博士はリモコンで画面を指しながら宣告する。

 

「では始めようか。ウルトラホールを開き、過去未来並行、あらゆる世界からこの世界に強力なポケモンを呼び込む元凶、レインボーロケット団。その撃破及び、呼び出された強力なポケモンたちの対策会議を」




『いないと困る』

「ブースター」

 炎タイプなのでブイズを作る際、いないと案外困る。

『地震で倒れる』

「エンテイ」

 本当はフレドラ関連にしようと考えたが、剣盾で貰えている上に聖なる炎を覚えるため、中々ネタにしにくい。
 炎の牙しかないのも過去の話。
 そういうことで調べてみたら何やら面白そうな話が。 

『ファイヤーが』

「にらめつける」

 言わずと知れたファイヤー様が真・唯一神様であらせられる由縁でございます。



 この世界でのファイヤーの強さは言わずが花でしょう。
 まぁ、想像の通りでございます。

 ちなみに耐久振りのファイヤーであれば、ムーンフォースは意外と耐えられます。
 そりゃ半減ですからね。
 シャドボも普通に耐えられます。
 ファイヤーの名誉のために書いておきます。
 まぁ特防は85とネッコアラ、ドーミラー、スリープより低いんですけどねw
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