ファイヤーに転生したけどこのカントー地方、色々おかしい!?   作:氷水メルク

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チーム結成

 

 レインボーロケット団。

 確か全世代に登場する野望を叶えた世界線のボスたちを集結し、そのトップとしてサカキが君臨した組織。

 アローラ地方で登場して、ルザミーネの城を占拠していたんだったか。

 グラエナとかクロバットとか、あらゆるポケモンがマスターボールに入っているの、当時は勿体なとか思った。

 こうしてファイヤーとして転生した今だと、ポケモンの意思をガン無視して強制的に捕まえてくるの、流石の悪の組織だわって感じだけど。

 

「レインボーロケット団の所在地は未だ掴めていない。謎が多いままだ。なので君たちには、ロケット団が人為的に開くウルトラホールを閉じてもらいたい」

 

 モニターにウルトラホールがでかでかと表示される。

 続いて表示されたのは、そのウルトラホールから強力なポケモンたちが出てくる動画だ。

 そこにはアローラロコンやヒトモシといった、カントー地方には本来生息していないポケモンたちも含まれている。

 

「御覧の通りだ。もう既にカントー地方の生態系は崩れかかっている。ウルトラホールが放置されれば、本来生息するポケモンたちの数がさらに減少すると現在予想されている」

 

 特定外来生物問題! 

 そういやゲームでも持ち込まれたことで繁殖したとか、そんなポケモンがいたような。

 道理でカントー地方では見ないはずのポケモンたちをその辺で見るはずだ。

 全てウルトラホールが原因かよ。

 

「奴らの目的はそこから登場する強力なポケモンの捕獲にある。ウルトラホールを閉じて行けば、おのずとロケット団の足取りを掴めるだろう」

 

 しかしとマルバ博士は次なる動画を開いた。

 それはウルトラホールから出てきたポケモンたちが、特殊なオーラを纏う場面を映した動画だった。

 オーラを纏ったポケモンたちは見るからに通常の個体より大きく、力強くそして素早かった。

 あっという間に現地のポケモンたちを蹂躙し、中にはファイヤー、フリーザーまでもが一瞬でやられる動画まで見せられる。

 

 こう、自分と同じ種族が簡単にやられるところを見ると思うところがあるよな。

 あと、なんでサンダーはある程度戦えているの? 

 最終的にやられていたけど。

 

 一番おかしいのはあのハバタクカミだ。

 なんでこいつ、メガマンダの攻撃を意に返さず、メガマンダよりも速い動きでメガマンダを一撃で屠っているわけ? 

 流石にメガシンカ軍団が相手だと勝てないみたいだけど、こいつ一匹で五匹中三匹もやられているんだけど。

 

 次に出てきた光景に、この場にいる俺というファイヤーを含んで、トレーナーの大多数が息を飲んだ。

 動画内の調査隊なんて思わず顔をしかめているほどだ。

 

 なんか、ハバタクカミが15匹以上いるんですけど……。

 たった一匹で準伝説やメガシンカを蹂躙していた奴が、異常な数いるんですけど。

 これ一体一体が、あの頭おかしい実力をしているわけ? 

 当たり前のように700族を屠れるわけ? 

 

 メタルクウラなの? 

 世界の終わりなの? 

 どこの地方だよ、絶対に行きたくない。

 こんなのが生息できている地方とか戦闘種族以外の何物でもないだろ。

 メガルカリオとメガバシャーモとメガハッサムが対処に当たる場面で動画が切れた。

 

 ……こんなのがゲームに居たらそれこそ環境で輝きまくってんだろうな。

 良かった、こんなのがゲームに居なくて。

 

「一番の問題はその強力なポケモンの対処だ。このポケモンたちはウルトラホールから発せられるエネルギーを浴びた影響か、通常よりも遥かに強力な個体となることが確認されている」

 

 俺はこの場にいるトレーナーたちに更なる緊張感が走ったのに気づいた。

 

 ……こ れ よ り さ ら に つ よ く な る の ? 

 

 素の実力で他どころか多を圧倒できるポケモンが? 

 さらに能力上昇するの? 

 いや待って帰りたい! 

 準伝説なら勝てるとかイキってたあの頃に戻りたい! 

 帰して! 

 リーフの下に帰して! 

 

「今見てもらったのは最上位凶悪ポケモン、ハバタクカミだ。流石にこれレベルは早々いない。ジムリーダー、四天王以外のトレーナーたちには最高でも上位レベルの対処に当たってほしい」

 

 ……ジムリーダー、四天王、レッドとグリーン以外のどのトレーナーも安堵の息を漏らす。

 無論俺も。

 そりゃそうだわ。

 これレベルを当たれとか誰もが逃げだすだろ。

 

「出来ることなら捕獲して元の世界に返すのが一番だ。無論、ポケモンの意思が第一優先。そのトレーナーと一緒に居たいとポケモン自身が言うのであれば、その意思を尊重してやりたい」

 

 何やら「えっ?」とか「マジで?」といった声がところどころ上がってくる。

 俺も一瞬マジで? とか思ってしまった。

 この任務、裏を返せば大量に準伝説のポケモンを捕獲できるチャンスだ。

 ハバタクカミももし捕まえることが出来て、トレーナーに懐いてくれたら、あれをそのまま使えるってことだろ? 

 現在ファイヤーなのにトレーナーの癖が抜けきっていないせいか、すごい魅力的な作戦に思えてくる。

 あっでも、流石に無いか。

 最上位凶悪ポケモンだもんな。

 こう考えるとUSUMの主人公って自分から他の世界に出向いて、無理やり自分の世界に連れてくるわけだから始末に負えないような……。

 マルバ博士はひとつコホンと咳き込んで静粛にする。

 

「流石に伝説のポケモンは禁止だ。世界の秩序が崩れる。許されるのは準伝説、幻、ウルトラビースト、パラドックスまでだ」

 

 ……待って? 

 ウルトラビースト許されるの? 

 ウルトラビースト許されるのは流石にまずくない? 

 あっでもあいつらって、いきなり別世界に連れて来られた警戒からあの凶暴性なんだっけ? 

 じゃあ……問題ないのかなぁ? 

 でもアクジキング辺りは大問題だと思うけどなぁ、大して強くないけど。

 

 パラドックスも……。

 ハバタクカミってやばい数いたけど、もしかしてこいつ伝説のポケモンじゃない? 

 ……いや、深く考えないようにしよう。

 なんか怖いし。

 

「話を戻してウルトラホールにはひとチーム、できれば四人で対処に当たってもらいたい。準伝説等の強力なポケモンを持っているトレーナーはひとり減らした三人で。申し訳ないが、最低でもバッジを三つ以上所持するトレーナーはそういない」

 

 そういや、剣盾で炎タイプのジムリーダーであるカブに勝てる人は早々いないとか聞いたことがあるな。

 アニメでもマチス相手に多くのトレーナーが負けていたっけか。

 ゲームをやっていると感覚がおかしくなるけど、本来あっちの方が普通なんだよな。

 トレーナーを始めて少しの時間でチャンピオンになる主人公とか、マジで頭おかしい。

 多くのチャンピオンがそこに至るまで年単位の研鑽を積んできたはずなのにな。

 アイリス然り、ポケモン然り、やっぱ才能って大事なんだなって。

 

 んで、準伝説を持ったトレーナーが三人でひとチームなのは分かった。

 じゃあさ、準伝説ポケモンのファイヤー張本人である俺はどうすれば良いわけ? 

 今この説明ってあくまでトレーナーに対する物だよね、当たり前だけど。

 ポケモンはどうすれば良いの? 

 まさかトレーナーが力不足で準伝説ポケモン一匹だけが来るとか予想できるわけないのは分かるけどさ。

 

「チームに付いてこちらから指示することは無い。ウルトラホールや強力なポケモンの情報についてはこちらから指示を送る。もしチームを作れないトレーナーがいれば、気兼ねなく端末で伝えてほしい。くれぐれもひとりで挑むような真似だけはしないでくれ。他に何か質問があるものは聞いてほしい」

 

 マルバ博士が話を締めくくると、モニターは眠るように消えていった。

 早速とばかりにトレーナーたちがガヤガヤと集まり、チームについての相談を始めていく。

 熱心なトレーナーは積極的に手を伸ばし、マルバ博士に質問をしている。

 で、俺は誰のポケモンになるわけ?

 俺のトレーナーはリーフしか認めていないから、誰のポケモンにもなりたくないけど。

 リーフの代わりとしてここにいればいいの? 

 流石に一匹で六匹分の活躍をするのは無理に等しいよ? 

 

「……」

 

「今は俺のポケモンだ! リーフに預かれって頼まれたからな」

 

「……」

 

 レッドが俺をちらりと見る。

 俺はレッドのポケモンじゃないから、言葉をちゃんとしてくれないと理解できないんだけど……。

 多分、グリーンを現在のトレーナーとして認めるかどうかってことだろうか? 

 話の流れ的に。

 うーん、申し訳ないんだけどグリーンをトレーナーとして見るのは無理かな。

 知らない仲ではないんだけどさ。

 俺からグリーンに向けている信頼感の多くは、どちらかといえばゲームによるものが大きいからさ。

 言ってしまえばグリーンに対しての信頼感と、レッドに対する信頼感ってほぼほぼ同列なのよね。

 むしろレッドの方が少し上と言っていいかもしれない。

 

 ただ、レッドと共に行動するかと問われるとそれも難しい。

 なんというかピカチュウが怖い、以上。

 ボール越しにピカチュウの姿を見れば、物凄い嬉々とした顔で電気を漲らせているからさ。

 絶対休憩の合間合間とかにバトルを強請られるじゃん。

 休憩にならない奴じゃん。

 

 その辺りを総合すると、リーフから直接頼まれたグリーンと共に行動するってのが一番かな。

 別に嫌いってわけでもないし。

 グリーンの「ギャー!(よろしくな!)」という言葉に返答しようとした時である。

 

「じゃあそのファイヤー、ボクが借りてもいいかな?」

 

 久しぶりに聞き覚えのある鈴のようによく通る声。

 前と変わらない黒巫女服のメルクが、俺の所持論争に割って入ってきた。

 グリーンが訝し気な眼差しをメルクに向ける。

 

「誰だよ」

 

「ボクはメルク、優秀なポケモンたちに囲まれた無能なトレーナーだよ」

 

「へぇ~、その無能なトレーナーさんがこのファイヤーに何の用だよ」

 

 無能なトレーナーに食いついて、途端に勝気な顔へと変化するグリーン。

 メルクは口橋に指を当て、これまた妙な色気を感じる怪しげな笑みを作り上げる。

 

「前に戦ったことがあるんだよ。ファイヤーの使い手、リーフとね」

 

「へぇ~、負けたから分析したいってか?」

 

「分析というのは間違ってないね」

 

 分析も何も手も足も出さずに倒してくれたのはどこのどいつだよって話だけどな。

 というか、お前はこの二人と比べてもっと無いんだが? 

 リーフに敗北を教えてくれたのは感謝するけどさ。

 それでも俺はお前のことを知らないし、どちらかといえば胡散臭いとすら思っている。

 バトルを見ただけで俺がアタッカー気質じゃ無いとか言ってくるし。

 自分は弱いとか言っておきながらメッタメタに対策してくるし。

 レッドとグリーンにあった、ゲーム分での信用もない。

 何よりお前の近く妙な寒気がすんだよな。

 

「じゃあこうしよう。ボクと君たちでチームを組まないかい?」

 

「チームだぁ?」

 

 グリーンの視線にレッドは頷いた。

 メルクはさらに続ける。

 

「こうすれば平等でしょ? もしお兄ちゃんたちがボクを弱いと判断したなら、その時点で切ってくれて構わない。どうかな?」

 

「いいぜ! レッドも良いだろ?」

 

 俺としては一緒にいるのすらごめん被りたいところなんだけど。

 まぁ、誰かの手持ちって扱いではなくチームの一員として扱われるなら文句はないかも。

 どうせ今からチームを組むとなると、グリーンは大丈夫かもだけどレッドがね。

 それに、メルクがこうも俺にちょっかい掛けてくるのも気になるし。

 

「……」

 

「ギャーオ(分かった)」

 

「んじゃ、決まりってことで! 改めて俺はグリーン、こっちがレッドだ」

 

 メルクはグリーンと握手をすると、続いてレッドとも握手を求めていた。

 最後に俺の翼に触れると改めて、怪しげな笑みを浮かべながら頭を下げた。




誤字脱字報告、本当にいつも助かります。
ありがとうございました!

裏話、本当はメルクはレッドとグリーンと戦ってから仲間になる予定だった。
のだが、蓋を開けてみればグリーンがかませ、レッドさん超接待という宗教になったので捨てました。
この名前でグリーンに勝った余裕余裕とかやるの、普通に気持ち悪いしね。

内容
ハバタクカミVSウインディ
パワージェム
ハバタクカミVSサイドン
ムーンフォース。サイドンの特防は45。
ハバタクカミVSカメックス
十万ボルト

ストレート負け。

ハバタクカミVSピカチュウ
ランドロスVSピカチュウ
ここでメルク降参

調べてみたところCS特化ハバタクカミは、A252振り優先度+2のバチバチアクセルでワンパンらしいっすね。
ほんと、先制技の火力じゃない。

また特功に振ったピカチュウが、H252振りのランドロスに波乗りを撃った場合、確定二発だそうです。
しかし素早さ種族値の差で、ランドロスの攻撃をピカチュウは優に避けることができてしまうんです。
構図としてはサブサブサーフをぶつけ、返しの岩石封じをバチバチアクセルでアニメのように返し、続く二撃目のサブサブサーフを叩き込む。
これだけで勝てます。
おまけに相棒ピカチュウは通常個体よりも特攻種族値が高いので。
あくまで相性が悪かったの一言なのですが、怪しげなオーラを出しといて蓋を開けてみれば手も足も出ずに敗北とか……。
最後の一匹は想像にお任せします。

そんな内容ですが、ボツになったためメルクの手持ち含めて消えました。
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