ファイヤーに転生したけどこのカントー地方、色々おかしい!? 作:氷水メルク
なんとかDLC前に投稿できた。
飛空艇から出て数分後、最後にレッドが遅れてやってくる。
それぞれピジョットやリザードン、アーマーガアを繰り出して、目的地の場所であるナナシマまで飛んでいく。
グリーンの端末を覗いてみるに、ナナシマの4の島のようだ。
ファイアレッド、リーフグリーンのみに登場する島。
後に登場する作品や、リメイク元となった赤緑には登場しない。
個人的にはHGSSとかでも出てほしかった島なのだが、そこは作られた経緯が経緯なのでしょうがないと言うしかない。
ホウオウ、ルギアの演出。三鳥やミュウツーを捕獲できるだけありがたいと考えるべきだろう。
ナナシマの由来は、七つの島があるからナナシマ。
最後のひとつはまた別の理由だったはずだけど……、あいにくと忘れてしまった。
さて、話を戻してナナシマの4の島と言えば……、これまた覚えていない。
目的地まで飛んでいくにつれ、徐々に肌寒くなってくる気がするので、恐らくは四天王カンナの故郷の島だろう。
カンナの故郷と言えばあの氷タイプが多く登場する洞窟のある場所。
今回おれらが向かうのはそこになるだろう。
「準伝説級のポケモンだったら俺が一番乗りな!」
真っ先にそう切り出したのはグリーンだった。
相変わらず自信に満ちた態度である。
その奥に秘めた感情がどんなものなのかは置いといて。
「本来の任務はロケット団だからね、それを忘れないでよ」
「……」
「わーってるって!」
メルクの発言に少し浮かれていたおれも気持ちを切り替える。
このカントー地方では、ただの下っ端が力持ちマリルリを繰り出してくる。
あの時勝てたのは本当に偶然だ。
実際の対戦、マリルリの前にファイヤーを出そうものならアクアテールか、もしくは腹叩いてアクジェで終わる。
またもし、力持ちマリルリじゃなかったとしよう。
それでもアニメでドサイドンを繰り出してくるロケット団がいた。
あの時は目を疑ったものだ。
普通のロケット団員下っ端がドサイドンを繰り出してくるとか、タケシの弟じゃないんだぞってさ。
だからもう、この際ガブリアスを繰り出してきても驚きはしない。
俺に今できるのは準備だけだ。
ネット対戦、想像できないマイナーポケモンを使ってくるトレーナーと対峙した時と同じように。
トレーナーではなくファイヤーという、一ポケモンでしかない俺に出来るのは準備だけなのである。
「それに準伝説だけじゃなくて、パラドックスやウルトラビースト、もしかしたら伝説のポケモンが現れるかもしれないからさ」
メルクの注意喚起にグリーンは表情からおふざけを抜いて頷いた。
タケシのレジロック、パラドックスのハバタクカミと戦っていたのでその危険性は十二分に把握しているためだろう。
今でこそサイドンとギャラドスでレジロックを持っていけているけど、最初の何戦かはその登竜門すら超えられなかったもんな。
タケシのレジロックは何戦もして、対策を組んでようやく切り抜けることができた準伝説級のポケモンだ。
その準伝説級のポケモンを、初見で何とかしないといけない。
流石にハバタクカミクラスがそうそう出てくるようなことは無いと思いたいが……。
どこぞの場所でハバタクカミ大量発生とかあったもんなぁ。
あれと繋がっていないことだけを節に祈るばかり。
レッドも帽子の鍔を握り頷いていた。
そんな会話をしていると、上空から4の島の全容が見えてきた。
4の島はナナシマの中でも小さい部類に入る。
それでも徐々に肌寒くなっているのだろうか。
島に降り立った後、すぐにメルクが俺の近くに寄ってくる。
腕を手で擦りながら「寒寒」言って。
十中八九、肌色成分強めな黒巫女服の格好をしているからだと思う。
グリーンも俺の近くでバッグから防寒着を取り出すと、すぐに上から羽織っていた。
そしてレッドはというと、半袖なのにけろっとした顔で俺たちの方を見てきた。
流石、急な天候の変化が連続して発生するイワヤマトンネルを修行場にする人である。
常識が通用しない。
「んじゃ、ちょっくら話聞いてくるわ」
「ぼくも行くよ」
民家の方に駆け出すグリーンの後ろ姿を、メルクは腕を振って追う。
寒い癖に上に何も羽織らないメルクは馬鹿なのだろうか。
グリーンに追いついたメルクは懐からダイブボールを取り出し上空に放る。
青い光を伴い現れるはファイアロー。
俺が言うのもなんだけど、ダイブボールに入れられるファイアローの気持ちを考えたことがあるのだろうか。
本当、ウルトラボールに捕獲されている俺が言うのもなんだけど。
それにしたってファイヤー使いのリーフに、ファイアローを持ったメルクに、リザードン使いのレッド。
なんだ、この炎飛行同窓会は。
ステロがクッソ痛そうだ。
「……」
レッドは帽子の鍔を掴んで頷き、指さしたフレンドリーショップへと向かって行く。
背負われた黄色いバッグが遠ざかっていくのを眺めながら、俺はふと思う。
……で、いったいどこに居たら良いのだろう。
まぁ色違いのファイヤーがいれば目立つだろう。ポケモンセンターにでも居ればいいか。
三人と一匹で降り立っているのだから、まさか野性のポケモンだとは思われないだろう。
俺はそこで今回のウルトラホールから出てきたポケモンの対策を思考し始める。
まず初めに考えるのは俺の現技構成だ。
熱砂の大地、暴風、燃え尽きる、羽休め。特性は炎の身体。努力値配分はアローラで使われていた育成論をそのまま用いている。
対して剣盾の頃に使用していたファイヤーの技構成は、鬼火、暴風、燃え尽きる、羽休め。
そろそろ熱砂の大地を鬼火にしたい。
この世界で技を覚える方法で今のところ判明しているのは、技の使い方のコツを覚えることだ。
暴風はカスミの時の、確か雨乞いの黒雲に突っ込んでいったときに覚えたものだ。
燃え尽きるは全身の炎を捻りだすようにして覚えた。
羽休めはリーフに飛ぶなと指示されて覚えることができた。
それでここから鬼火の使用方法を考えるわけだけど……、どうすれば良いんだろう。
アニポケではゲンガーが炎タイプのポケモンから鬼火を覚えさせてもらう話が合ったけど。
どこかに鬼火の使い方を教えてくれるポケモンでもいないだろうか。もしくは技マシンとか。
なんて、都合よく行かないのだから考えるわけである。
燃え尽きるとは違う要領、例えば炎を少しだけ飛ばすとかだろうか?
それだと火の粉になりそうなんだよな。
ならば自分の燃えている翼から少し炎を取り出して、相手に放つような感じだろうか。
そもそも演出はゴーストタイプの使う技みたいなのに、どうして炎タイプが簡単に覚えられるのだろうか。
火傷させるほどの火を相手にぶつけて火傷状態にするとか、それ大文字とか火炎放射とか、それこそ燃え尽きるよりも高い火力の炎なんじゃないだろうか?
燃え尽きるに至っては相手を火傷状態にさせる効果無いしな。
こう、自分の高熱の炎を小さな球に圧縮して相手にぶつけるイメージ。
もしくはトレーナーがモンスターボールをぶつけるようなイメージだろうか。
……燃え尽きると違って全部の炎を吐き出すわけじゃないから、その辺り工夫がいるな。
* * *
ポケモンセンターのマスコットになりながらも、鬼火の練習をすること大体三十分ほど。
色違いファイヤーの物珍しさに、トレーナーたちからパシャパシャと許可なくカメラで取られていると、情報収集を終えたであろうグリーンたちが呆れ顔で帰ってきた。
俺に「目印になって助かるぜ」なんて言葉まで送ってきて。
目印になるよう立っていたからな。
そもそもどこを合流地点にするか決めていないトレーナーサイドに問題があると思う。
俺は喋ることもスマホロトムで通話をすることもできないというのに。
いっそ、ニャースみたいにあいうえおから練習するべきだろうか。
グリーンとメルクは俺の近くに集まったトレーナーたちを散らす。
反発してくるトレーナーも中には居たけど、俺がグリーンと協力することで既に野性ポケモンではないと見せつけたおかげで、断念して引っ込んでいった。
そうして最後にフレンドリーショップに行ったレッドが帰ってきた。
「やっぱりここ最近、ロケット団らしき人影を見たってよ」
グリーンはスマホロトムを操作しながらそう切り出した。
恐らく狙いはこいつだろうなんて、レッドと俺に見えるように画面を見せてくれる。
映し出されたのは水色の優雅な尾を持つ鳥。
不遇不遇言われ続けてきたファイヤーよりもさらに不遇な三鳥の一匹。
カントー地方、準伝説級ポケモンフリーザー。
「目撃証言によると、フリーザーは何か月か前に、この場所に飛んできたみたいだよ。ここの島民の何人かが目撃しているって」
メルクはグリーンの言葉を補足してくれる。
「……」
「ごめんね、ボクはお兄ちゃんお姉ちゃんみたいに君の語りを理解できないんだ」
メルクの言葉を真正面に受けてなお眉ひとつ動かさないレジェンド。
威風堂々としたその立ち姿には、既に貫禄があるようにすら思える。
でも、ここでその貫禄は無意味だ。
俺にも理解できていないので、通訳であるグリーンさん頼みます。
「あーつまりだ。こいつは一刻も早く行こうって言ってる」
真剣な表情をしたグリーンはため息交じりに通訳する。
普通に言って。
分かるよ? 言葉話した時点でレッドさんはレッドさんから少し遠くなるみたいなとこあるからね。
でもまだチャンピオンとかじゃないんだからさ。背中で語ろうとするのはちょっと自重してほしい。
それでフリーザーのところに行くって話だけど俺は賛成だ。
しかし妙な胸騒ぎもする。
ロケット団をそう安く見ても良いのだろうかって。ウルトラホールを自在に開けるのにさ。
シャドウポケモンといい、もう少し警戒をしておいた方が良いんじゃないかって。
今まで割となぁなぁで済ませて来れた部分はあるけど、俺の知識の大半がゲームによるものだ。
ゲームでのロケット団ってぶっちゃけて言うと、そんなに脅威ではない。
切り札がミュウツーだし、どこぞの地方の悪の組織みたくがっつりストーリーに絡んでくるわけでもない。
レインボーロケット団とか、ストーリーというかは追加シナリオみたいな面があるしね。
対してアニメのロケット団はというと、今でこそあんまりだけど昔はかなりの強敵だったんだよね。
下っ端にサイドンとリザードンを平然と送れる程度にはさ。
どうしてだろう。今まではこんなに考えることは無かったのに。
恐らくはロケット団という存在そのものが未知だからだろう。
ゲームとは明らかに違うから。
「ファイヤーは賛成みたいだね。ボクも当然賛成だよ。でもその前にね、ひとつ注意しておきたいことがあるんだ」
注意したいこと?
メルクは手を叩いて俺たちの注意を集める。
「シャドウ化にはまだ先がある。もし戦うことがあったら極力技を避けて。人の悪意、闇に染まったポケモンの技は、並のポケモンには耐えられない」
メルクの言葉はどうしてか実感が籠っているような気がする。
少し考える素振りをするように顎に手を当てて、意を決した様子で口を開いた。
この先俺たちは、メルクの言葉を否応なく思い知るような気がする。
「オーレ地方って知ってるかな? ロケット団のシャドウポケモンは、そこからも技術を得ているんだ」
オーレ地方……オーレ地方って!
俺はプレイしたことが無いけど聞いたことがある。
あそこの技術も用いているということは……。
「聞いたことがある。確かポケモンの心を閉ざし、戦闘兵器にする技術を生み出した地方だったか。カントー地方から遠く離れた地方にあるっていう。そこでは確か、ダブルバトルの方が主流なんだよな」
「流石グリーンお兄ちゃんは博識だね」
答えを出したグリーンに、メルクは怪しく笑いかける。
そしてそのダークポケモンをスナッチして心の解放、リライブを行うことが大まかなあらすじだ。
……どうしてだろうか、胸騒ぎがさらに加速した気がした。
確か俺の記憶通りだとスナッチマシンって悪の組織が開発した機械だよな?
コロシアムでは主人公が悪の組織を裏切り、スナッチマシンを強奪。そこから物語が展開される。
ロケット団はそんなオーレ地方の技術をも持っているってことは……。
「気を付けてね。ロケット団がスナッチマシン、ポケモンを奪う技術を持っているかもしれない」
公式の供給源がやばい。
ナナシマについて調べてみたところ、ポケスペでレッドがフリーザー、グリーンがサンダー、ブルーがファイヤーに乗ってナナシマに向かったという情報がありました。
あのチャンピオンズってポケスペからの輸入なんだと初めて知った瞬間でした。
ポケスペは未習なんだよなぁ、読んでおかないとまずいかな。
さてさてオーレ地方、懐かしく感じる読者はいるだろうか。
スナッチマシン、主人公が元悪の組織側、トレーナーからポケモンを奪うという、従来の作品からかけ離れた異色の作品。
毎度思うんだけど、あれ明らかにルンパッパの方が強いよね?
今ならペリッパーとか入れて構築組めそう。
ちなみにファイヤーの鬼火は元々XD001のファイヤーをリライブした時に覚えている技だそうです。
今でも使われるのかな、サンダーの金属音。