ファイヤーに転生したけどこのカントー地方、色々おかしい!?   作:氷水メルク

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魔改造トキワの森

 

「ギャーオ! (よしっこい!)」

 

 俺ことファイヤーが外に出てくると大体委縮してしまいバトルにならない。

 特性プレッシャーではないんだけどな。多分、準伝説ってだけで放たれる何かしらのオーラがあるんだろう。

 もしくは相手からしてみれば巨大に見えているからとか。

 今は強大なポケモンから逃げるっていう描写ないけど、昔は割とあったからなぁ……そういうの。

 それでリーフは相手ポケモンが固まっている隙にボールを投げて捕獲する。

 逃げる相手は指示なしで俺が動いて止める。

 この世界、瀕死状態にしたせいで捕まえられなくなるとかないんで。

 

  *  *  *

 

 ひとまず今行ける範囲に生息しているポケモンを全て捕まえ終えたリーフは、改めてトキワの森にやってきていた。

 鬱蒼とした暗がりの森を照らすように、落ち着きを感じさせる木漏れ日が差し込む。

 その光景はまさしく天から注がれる観音様の手といった感じだ。

 トキワの森は虫タイプのポケモンが多く存在している。

 虫取り少年からしてみれば穴場の場所だろう。

 

 虫タイプが嫌いなトレーナーというのは過去に登場したことがあるのだが、マサラタウンという田舎で育ったリーフは平気だ。

 むしろ新しいポケモンと目を輝かせている。

 次々と図鑑に載っていないポケモン、捕獲していないポケモンを見つけてはモンスターボールで捕獲していく。

 気分はそう、ポケモンGOだ。

 そうして奥へ奥へと進んでいき、正規の道から外れてしまうリーフ。

 新しいポケモンが出てくるのも相まってより迷いやすくなっているトキワの森だが、そうなってもいいようにリーフの手首には青い機械仕掛けのリストバンドが付けられている。

 もしも迷子になってしまった時、これで連絡をすれば救助班が助けに来てくれるんだとか。

 正直迷子になったら、俺の背に乗って飛べばいいと思うんだけど……。

 特性炎の身体だからね、しょうがないね。

 

 キャタピー、トランセル、ビードルにピカチュウ、はてはカイロス、ヘラクロス、ストライクにモンメンとカントー地方に出現しないポケモンも一緒に捕獲していく。

 ハネッコにコロボーシ、アゴジムシ、名前忘れたけどてんとう虫みたいなエスパータイプになるポケモンもいるやん! 

 なにこの魔改造トキワの森。

 虫タイプと草タイプなら何でも居そうなんだけど。

 フシギダネどころかフシギバナも居たし。

 そのためかリーフさん。

 

「モンスターボール無くなって来ちゃったなぁ」

 

 そう言って残り少ないモンスターボールをショルダーバッグの上から覗いている。

 

「お金稼がなくちゃ、どこかにトレーナーいないかなぁ……。レッドとグリーンには勝てたけど……」

 

 一度野性ポケモンの捕獲を止め、リーフはどこかにトレーナーがいないか探し始める。

 すると、同じくトキワの森にいる野性のポケモンを捕まえるために来ていたのだろう。

 何人かのトレーナーと遭遇した。

 あちらのトレーナーもリーフと同じようにボールが底をついてしまったのだろう。

 リーフから話しかけるまでもなくバトルが始まってしまうのだが……。

 

「ファイヤーとか反則だろ!?」

「これで10連勝目ね!」

 

 知ってた。

 トキワの森にいるためか、相手ポケモン妙に虫タイプと草タイプが多いんだよね。

 そいつらには例外なく火炎放射で焼き払う。

 たまに岩タイプとかも混じっていたけど俺、熱砂の大地を使えるから大して苦にならなかった。

 携帯用ボックスで手持ちポケモンを交換して挑んでくる相手もいたけど、返り討ちにしていく。

 大量の経験値が美味しいです。

 一番ビビったのは手持ちがエンペルト、ハガネール、アローラゴローニャだと思う。

 あれは完全にファイヤーだけをメタって来ていたね。どのみち全員弱点付けたので楽勝だったけど。

 攻撃躱せるし。

 いや嘘、エンペルトの耐久力とハガネールの頑丈がきつかったです。

 割と真面目に序盤で出てくる相手達じゃないでしょ君たち。

 それとなぜアローラのゴローニャを持ってきた。

 無駄に弱点増えるだけでしょうが。

 そして勝ちすぎてしまったためか、現在のリーフさん。

 

「ファイヤーさえいればバトルは楽勝ねっ!」

 

 と、最初の勝てるかどうかの不安感はどこへやら。

 完全に有頂天になってしまっているご様子。

 その考え危ないからね。

 ファイヤーさん、岩タイプの技四倍だからね。

 こう見えてストーンエッジとかぶつけられると一撃で沈むこともあるんだからね。

 とはいえ実際、リーフの快進撃を止めてくれるトレーナーがいないのも事実。

 しかも俺だけでストレート勝ちしているせいで戦意喪失してしまったのか、遂には誰一人として挑みに来なくなってしまった。

 そうなるまでにお金を十分稼げたので、リーフさんは非常にホクホクとした顔で野性ポケモンの捕獲に戻っていました。

 

 なんでだろう。

 今のリーフ、非常に危ない状態な気がする。

 最初こそリーフの力に成れることは俺の望みであった。

 けどこれは違う。

 リーフはこのバトルの最中、一度として俺以外のポケモンを繰り出していない。

 決してフシギダネを信用していないわけではないのだろう。

 あくまで現パーティーの中で俺が強すぎるから使っているだけなのだろう。

 今回はいなかったけど、戦う相手からしてみればたかがファイヤーって思う人だっている。

 グリーンのように人のバトルを見て研究し、ファイヤーを必ず倒せるパーティを組んでくるかもしれない。

 実際何度か危ない試合があった。

 そのたびに俺は、リーフの指示を聞かず独断で動いて打倒してきた。

 はっきり言って、トレーナーとして未熟どころか絆が繋がっていない状態といっても過言じゃない。

 それを今のリーフはまるで分かっていない。

 鼻歌交じりにスキップをするリーフ。

 もう既にその目は次のバトルにも勝てる気でいるんだろう。

 非常にまずいな。

 それでいて今の俺はリーフのポケモンだから、わざと負けるなんてことはできないし、そのつもりもない。

 注意しようにも口から出るのは雄たけびのみ。

 これでリーフに届くはずもない。

 

 冒険をするだけならそれだけでもいいじゃないかという思いと、それだけじゃ絶対にダメなんだという嫌な予感。

 どこまで行っても拭い取ることができないこの不安感を、俺はボールの中で気合の雄たけびを上げて塗りつぶす。

 負けて出鼻をくじかれるよりかは全然マシだ!

 くよくよタイムに5分も掛けられるか! 

 ジムリーダーならその辺理解してくれるだろうし、最初のジムならきっとトレーナーに見合うポケモンを使ってくれることだろう! 

 

 なんて……この時考えていた俺はいったいどこまで馬鹿何だろうと思い知らされる。

 俺の知るトキワの森に生息しないポケモンが出てくる時点で、そう簡単にうまくいくはずなかったのだ。

 そして、盲目なまでに前だけ見ていた俺たちは一切気づくことは無かった。

 

 トキワの森から出る直前、リーフの背後を木陰から覗く全身黒一色の男が居たことを。





 一応ファイヤーは神通力を覚えることができるので話そうと思えば話せるのかもしれません。
 もっともこのファイヤーはUSUM産ですが。
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