ナルトになったらヒナタが可愛すぎてやばい   作:湯切倉庫

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主人公はメインヒロインとくっつくって誰が決めたんですか?

 オレってばなんでこんなに里の人たちに嫌われてるんだろ?

 

 ふとそんな疑問を抱いたのは、三歳の時。

 人付き合いの基本である挨拶は毎日欠かしていないし、いつだって笑顔でいるよう心掛けてきた。

 それなのに人々のオレを見る目は変わらない。ずっとそうだ。まるで、()()()()()()()()()目。

 

 まあ、揃いも揃ってそっちが化け物なんじゃねーかってくらい怖い顔してるんだけどさ。

 

 実は夢にまで出てきてお漏らししたこともある。マジでこえーの。恥ずかしいから火影のじいちゃんには内緒にしてて。

 

 オレはいわゆる孤児ってやつで両親はいない。

 じいちゃんはいくら聞いても両親がなぜ死んだのか教えてくれないし、二人が眠る場所すら分からないから、墓参りだってできてない。

 

「じいちゃん、父ちゃんたちって犯罪者だったの?」

「……誰かに言われたのか?」

「ううん。なんとなく、そうなのかなって思っただけだってばよ」

 

 火影岩の上に座って、ぷらぷらと足を揺らす。

 そんなオレの隣に立っているのは、この里を代表するなんかスゲー忍、火影だ。どこがどう凄いかはサッパリ。

 イルカ先生の授業で何度も説明された気もするけどぉ……忘れた!

 

 道を歩けば怖い顔をした大人たちに「ほらあの子でしょ、例の……」とコソコソ言われ、そんな親の態度を見て育った同年代の子どもたちには距離を取られたり、酷い時には石を投げられたりした。

 やられっぱなしは性に合わないので、ちゃんと石は投げ返したし、陰口を叩く大人たちは最近開発した“おいろけの術”で撃退済みである。

 

 それでも、やっぱりここまでされる理由が分からない。

 だからもし両親がとんでもない悪党だったなら、彼らの子どもであるオレが嫌われるのも仕方ないのかも、なんて思ったりして。

 

「ナルト。お前の両親は立派な者たちだった」

「…………」

「わけあって今はそれしか言えぬが……時がくれば全て知ることになるじゃろう」

 

 両親の話をする時、じいちゃんはいつも寂しそうだ。だからオレも口を噤むしかなくなる。

 

 立派な人、かあ。じゃあオレが里のみんなに嫌われてるのは自分に問題があるってことだな。

 

 じいちゃんが知ったらさらに曇りそうなことを考えつつ、「よっしゃー!」と叫ぶ。急にオレが立ち上がったせいでじいちゃんはビクッとしてた。

 

「じゃあさ、じゃあさ、オレも立派な人になる! たとえばぁ……火影とか!」

 

 ビシッと指をさす。その先にいるのは、火影であるじいちゃん。

 ぽろりと口に咥えていた煙管を落としそうになってて面白い。

 

「初代も二代目も三代目も四代目も! ぜぇーんぶ超えてやるんだってばよ!」

 

 そんなの、絶対に“立派な人”だ。誰がなんと言おうと揺るがぬ立派さだ。

 

 にんまりと笑ったオレに、じいちゃんは俯く。なぜか目元を押さえて「……そうじゃな」なんてちょっと震える声で言う。

 

「だからさぁ……」

「だから?」

 

 くねくねと腰を動かす。両手を合わせて、ちょっと上目遣いになるのも忘れない。

 

「禁術の一つや二つや三つ……教えてくれってばよ?」

「この話は終わりじゃ」

「じいちゃんのケチ!」

 

 ダメ元だったし仕方ない。ここは諦めるか……と見せかけて〜? 全裸美少女!

 

「おいろけの術!!」

「何をしたってむ……ぐはぁっ!?」

「お触りは厳禁よ♡」

 

 鼻からドクドクと血を流して気絶したじいちゃんの懐を探る。

 火影なんだから、こう、ほら、なんかあるだろ。ちがうちがう。股にあるやつは違くて。

 

「お、ホントになんかあっ……」

 

 イチャイチャパラダイスというタイトルの本が出てきた。タイトルの時点でこれはダメなやつではと思ったが、一応パラパラと捲ってみる。

 

「――早くあの人の太くて熱いものを受け入れたい。じんっと奥が疼いて、耐えきれず身体をくねらせた私を……私、を……」

 

 なっ、なななっ、なんだってばよこれ!?

 

 ぷしゅうっと何かが抜けるような音と共に気を失ったオレは、数時間後、じいちゃんと一緒に木ノ葉病院に搬送された。

 

 すぐに退院できたオレと違って、じいちゃんは輸血までされたらしい。

 エロは身を滅ぼすってハッキリわかんだね、などと思ったりした。

 

 ……これどこで聞いたんだっけ?

 

 

 

「ナルト君、入院中の火影様からキミにって」

 

 火影血塗れ事件の翌日。最後の卒業試験にも落ちて、すっかり自信喪失していたオレの前に現れたのは、優しい笑みを浮かべたミズキ先生だった。

 差し出されたのは一枚の紙。

 

「それは封印の書の隠し場所を記したものだよ」

「でもこれ、ミズキ先生の字だってばよ」

「……そっ、それは違う。ボクの字はもう少し」

「オレってば、ほぼ毎日授業でミズキ先生の字見てるから!」

「…………」

 

 黙り込んだミズキ先生の隣で、紙をじいっと見つめる。

 封印の書ってことは、やっぱり強い術がたくさんあるのかなあ?

 

 

 

 その日の夜。未だに入院中なじいちゃんの屋敷にこっそり忍び込んだ。

 無事に封印の書を手に入れたオレは、多重影分身の術をボロボロになりながら習得したが、次の術を確認する前にイルカ先生に見つかり、ここまでかと肩を落としていたら今度はミズキ先生に命を狙われることになった。

 

 どういうことだってばよ!

 

 どうやらオレは、ミズキ先生の手のひらでくるくると踊る間抜け野郎だったらしい。しかもオレの中に九尾とかいう化け狐がいるっていう盛大な人生のネタバレまで食らった。

 許せないってばよ。ネタバレに配慮出来ないやつは一生ROMれ。

 

「ミズキ先生……オレってば先生に唆されてとんでもないことを……」

「……ナルト」

 

 オレをミズキ先生による攻撃から庇ってくれているイルカ先生が、「お前は悪くない!」と抱きしめてくれた。やっぱりそう思う?

 

「ミズキ先生に言われて火影のじいちゃんを病院送りにしたのも、全部間違いだったってばよ……」

「待て、それはお前が自分で……!」

「ミズキ先生、先生の為に封印の書を持ち出したけど、これ、無かったことにするわけにはいかねェかなぁ……?」

「封印の書は、あくまでお前が自分の為にぬすっ」

「見苦しいぞミズキ! 何の罪もないナルトを利用した挙句、これ以上苦しめるっていうのか?」

 

 イルカ先生が怒った。オレはイルカ先生の胸の中でほくそ笑む。

 最後の仕上げにと、大事に仕舞っておいた紙切れをイルカ先生に差し出す。

 

「これ……ミズキ先生が手書きした封印の書の隠し場所」

 

 ミズキ先生があんぐりと口を開けている。

 これでお前の人生も終焉(フィナーレ)だってばよ。

 

 

 

 なんだかんだでアカデミーの卒業資格を得たオレは、堂々と合格者向けの説明会が行われる教室にやってきていた。むふふ。

 空いている席は、うちはサスケと同じテーブルにしかない。一つ空けて座るとギロリと睨まれた。仕方ないだろ、ここしかないんだから。

 

「な、ナルト君……」

「お前ってば、ヒナタ!」

 

 頬杖をついて、まだかなーまだかなーと退屈していたオレの頭に影がさす。顔を上げると、いつも絶妙に視線が合わない女の子が立っている。日向ヒナタだ。

 

「なに?」

「あ……の、その……」

 

 ヒナタがわざわざオレの席までやってきて、声までかけてくるなんて珍しい。珍しいどころか初めてかもしれない。

 基本的に気が強い女たちで構成されているくノ一クラスでは希少な気弱タイプだ。

 つやつやとした真っ黒な髪に、ぱっちりとした瞳。こんなに可愛いんだからもっと堂々としていればいいのになあ。

 ヒナタはもじもじと指遊びをしていたかと思ったら、ぎゅっと目を瞑る。

 

「これ!! ナルト君に……」

「え?」

 

 つい最近某先生の手書きラブレターを受け取って痛い目をみたばかりなこともあって、つい身構えてしまった。

 ヒナタがくれたのは『御守』と書かれた布袋。まつり縫いはガタガタしているし、『御守』の文字だって歪んでいる。

 

「あ、あのさァ、これってば」

 

 御守りから顔を上げて気づいた。ヒナタの指先は傷だらけで絆創膏が貼られていることに。

 めちゃくちゃベタだ。ベタだけど、胸の奥からじわりじわりと込み上げてくるものがあった。

 

「ナルト君が……ミズキ先生と色々あったって聞いて」

「…………」

 

 ヒナタ、顔が真っ赤。つられてこっちまで赤くなりそう。

 

 オレはずっとヒナタに嫌われてるんだと思ってた。

 だって、目が合ったことなんてほとんどないし、キバたちと話している時に声かけたら逃げていくし、オレのいるグループには絶対に近寄ってこない。

 ヒナタの家は古くから続く由緒正しいところだから、親からアイツとは関わるなとか言われちゃってるんだろうなって。

 

「へへ……ありがとな、ヒナタ!」

 

 だから、すげー嬉しい。

 

 やっと正面から目が合ったヒナタが茹で蛸みたいになったかと思いきや、ふらりと倒れそうになり、ナイスタイミングで現れたキバに「あぶねーあぶねー、ヒナタ、お前はこっちだ」と回れ右されていた。……んん?

 

「ナルト! アンタっていつも邪魔なところにいるのね!」

「ぐえっ!!」

 

 彗星のごとく現れたピンクがオレを足蹴にしていく。サクラちゃんだ。

 

「いたたたた……って、またお前かサスケ!」

「なんだよ」

 

 オレを乗り越えてサスケの隣を確保しに行ったサクラちゃんは、すっかり自分の世界にいる。これはもう暫く帰ってこないな。

 

 なぜなんだ。オレってばまったくモテないのにコイツばっかり。ずるいってばよ!

 

 お行儀は悪いけどテーブルの上に立つ。そんでサスケと至近距離で睨み合う。

 

「サスケェ! 今日という今日は――」

「あっ」

 

 あっ?

 

 どんっと何かに背中を押された。その直後に唇に柔らかい感触……ってこれはァッ!!

 

 ビリッと全身に電気が流れた。

 

「おえっ……てめぇ、ナルト、殺すぞ……」

 

 喉を押さえて吐く動作をするサスケ。唖然としているサクラちゃん。そして――遠くで顔面蒼白になっているヒナタ。

 

「…………あれ」

 

 サスケとの不本意な接触による精神的電気ショックのおかげなのか。オレは全てを思い出した。

 

「…………マジィ?」

 

 オレってばNARUTOのナルトになっちゃってる?

 

 NARUTOあんまし読んでなかったから覚えてないけど……ってか、一、二巻しか読んでなかった気がするけど……。

 あとはネットで流れてくる情報で実はサスケのにーちゃんいーやつとか、最終的にナルトは火影になって結婚して子どもまでいるとか……オレってば本当に火影になんの? スッゲー!!

 

 まてまて、そういえば、主人公(ナルト)ってサクラちゃんとくっつくんじゃないの?

 だってメインヒロインってサクラちゃん……だよな?

 

「ナルト…………あんたね」

 

 ゴキ、ボキ、と骨を鳴らす音がする。

 

()()サスケ君になんてことすんのよォ!!」

 

 うずまきナルト(転生者)、未来の嫁と思われる女の子に顔の形が変わるまでボコられて終了。

 

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