転生者互助組合外伝 多元世界の転生者   作:ゲーマーN

13 / 14
Fate/Escalation Order -Epic of Beat Remnant-
人理防衛戦Ⅰ 悪性断罪領域 アルダーク 副題「復讐の刃」
第7節 再演、獣の宙域

https://syosetu.org/novel/303505/62.html】の本編です


第7節 再演、獣の宙域

【推奨BGM:色彩 ~雪花の盾~】Fate/Grand Orderより

 

「疑似宝具、展開します!」

 

 魔神の炎を前に、雪花の盾を構えた一人の少女が立ち塞がる。

 

「『超昂展開/人理の礎(ビート・カルデアス)』!! ううううあああああぁぁぁぁっっ!!」

 

(…………ッ、凄まじい威力です。これまでの魔神柱の焼却式とは比較にならないほどにっ……)

 

「……ですが、」

 

(ここを通す訳にはいきません。私の後ろには先輩が……超昂戦士の仲間達がいる)

 

「あ、あぁあああ――――――――!」

 

「マシュ……!」

 

(……先輩の声。それだけで、この地獄の時間を耐え忍ぶことができた)

 

 ミシッ!

 

 英霊と人間の融合……デミ・サーヴァント。『彼女』が融合した英霊の真名はギャラハッド。

 円卓の騎士の一員にして聖杯探索を成功させた聖者であり、英霊としての格はかの魔術王ソロモンにも引けを取らないほどの英霊だ。

 

 彼の護りは、精神の護り。

 

 その心に一切の穢れなく、また迷いがなければ、溶ける事も、ひび割れる事もない無敵の城塞となる。勇志の限り、一切の敵意・悪意を寄せ付けない、まさに「魔を弾く城塞」。

 

(けれど……)

 

 ビキ……ビキビキッ……!

 

(『私』の護りは、その域には達していない)

 

「耐えられない、もうダメ……! 先輩、逃げてください!!」

 

「そんな事が、出来るものか……!!」

 

あの時(特異点F)のように、先輩が私の背中を支えてくれる)

 

 右手の甲から一角の令呪が消え、ひび割れた障壁が修復されていく。それでも、ディストバーンの焼却式は止まらない。留まるところを知らない。今もなお、勢いを増し続ける魔神の熱量は、障壁を容易に歪ませてしまう。

 

(…………)

 

(………………………………)

 

(…………これでも…………)

 

(…………ダメ、なのですか…………)

 

 絶望と諦観が胸を支配する。闇に覆われる彼女の視界に――

 

「いや。無意味だなんて、それこそ笑い話だよ。君にしては諦めるのが早くないかな?」

 

「――――――――え?」

 

 深緑の光が差し込んだ。

 

「ホーリー、サンクチュアリッ……エスカレーション!!」

 

【推奨BGM:outbreak ~FGO~】Fate/Grand Orderより

 

「何故だ! 何故戦部トキサダが消えていない!?」

 

「何故超昂戦士がまだ残っている!? 何故――」

 

「「何故、我らの攻撃が防がれたのだ――!?」」

 

 予想外の事態に動揺する魔神の前に、あの時のようにひとつの星が降り注ぐ。

 

「青い地球を守るため、胸の鼓動が天を衝く!」

 

「あなた、は……」

 

「深緑の光は輝ける宝石。碧盾の超昂戦士、エスカ・エメラル! 悪の現場にただいま参上!」

 

 降り注ぐ星の正体は超昂戦士。深緑の衣装に身を包む、星煌の超昂戦士が其処に立っていた。

 

「エスカ・エメラル? あ、あんた、いったい……!」

 

「あなたが、この世界のトパーズね。わたくしはエスカ・エメラル。この世界とは別の世界……並行世界のダイビートから駆けつけた超昂戦士よ」

 

「へ、並行世界の超昂戦士!?」

 

 疑問に答えたエメラルは、その眼差しをこの時間神殿の主である魔神ディストバーンへ向ける。

 

「未来の次は、並行世界からの邪魔者とはな。だが無駄だ。何もかも無駄だ!」

 

「ハハハ。ハハハハ。ハハハハハハハハハハハ! 今更、超昂戦士が一人駆けつけたところで、獣と化した我らを止められるものか!」

 

「「顕れよ、顕れよ――追憶たちよ、その姿を見せるがいい!」」

 

 七十二柱の魔神柱。その再現個体が一斉に並行世界の超昂戦士に襲いかかる。

 

「誰が、一人と言ったのかしら? 斬り裂けっ! 『雷電大剣(プラズマザンバー)』っ!!」

 

「くくく、これは我が魔法を披露するいい機会じゃな……! 死よ、汝は炎なり! 神の怒り、人の愚鈍、魂を焦がす獄炎なり! いでよ、『アッシュール・フレイム』!!」

 

「消し飛ばす! 『シュラーゲンA・A(アハト・アハト)』の砲撃を喰らいやがれ!!」

 

 紫電一閃。褐色肌の閃忍の大剣が魔神柱を斬り裂く。

 悪魔の如き形相の水色髪の魔女が、ドラゴンをも焼き尽くす炎を顕現させる。

 白髪眼帯の青年が、脇構えに固定した砲塔から真紅の光を解き放つ。

 

「コヤンスカヤ! ターゲットは魔神柱だ!!」

 

「では、参りましょうか。これが皆様の努力の結果。愛らしい破壊の獣。霊裳重光・79式擲禍大社。踏み潰してあげましょう。『霊裳重光・79式擲禍大社(イズトゥーラ・セブンドライブ)』!!」

 

「第一宝具、展開。『星の怒りよ、賢者の威光を示せ(ティンクトゥラ)』!!

 ティンクトゥラ、力を貸してくれ! レガリア…バーストオオオオオォォォォォ――ッ!!」

 

【ハイタッチ! シャイニングストライク! キラキラ! キラキラ! キラキラ!】

 

「ハアアアアアアアァァァァァァァァァッ!!」

 

 玉藻の前に似た英霊が、召喚した戦車の全武装を一柱の魔神柱に叩き込む。

 束ねるは星の息吹。聖剣の一振りに等しい光の奔流が、時間神殿に光の柱を突き立てる。

 淡い水色の鎧を身に纏う魔法使いが、煌輝斧剣で魔神柱を根元部分から斬り裂いた。

 

【フィニッシュタイム!】

 

【ファイナリー! ビヨンド・ザ・タイム!!】

 

【サイキョーフィニッシュタイム!】

 

「世界をあなたたちの好きにはさせない!」

 

太陽(タイヨウ)の力を見るがいい!」

 

「いっけええええぇぇぇぇぇっ!」

 

【タイムジャック!!】

 

【バーニング・サン! エクスプロージョン!!】

 

【キング! ギリギリスラッシュ!!】

 

 天文時計の神騎が、魔力を高収束させることで光の刃を作り出す。

 銀河の騎士が虚空の宇宙に太陽の輝きを創生する。

 仮面の王が覇王の剣を振りかざし、時計の文字盤を模した七色の斬撃を飛ばす。

 

「「ぐああああ――!? なんだ、今度はなんだ!?」」

 

『魔神柱、八柱ともすべて消滅! 凄い! とんでもないエネルギー量だ!』

 

『再現されたのは時間神殿だけではなかったようだね』

 

「ああ、これは――!」

 

『あの時の再演だ! 凄いぞ、次から次へとやってくる!』

 

「この多元世界において終焉に立ち向かう戦士はあなたたちだけではないわ。

 人理保障機関カルデアは一つではなく、地球防衛組織ダイビートも、また一つではないのよ」

 

 その言葉に応じるように、魔術礼装・カルデアを纏った二人の青年が英霊と共に舞い降りる。

 

「頼む、アーサー!」

 

「我が黄金の一刀の輝きを、永遠にその目に焼き付けよッ!! 『エクスカリバー』ッ!!!」

 

「立香!!」

 

「『(りつ)紅破穿雷(こうはせんらい)』!!」

 

 偉大なる王の聖剣が魔神柱を斬り裂き、火雷の閃忍の苦無が魔神柱の瞳を穿つ。

 

「あれ使っちゃおーっと☆ 『……おんぐ だくた りんか ねぶろっと!』」

 

「『太陽のジェラシー』……聞いてください!」

 

「皆、力を貸してほしい!」

 

「うむ! 救星主殿、共に参るぞ! では皆、攻撃開始だッ!!」

 

 混沌を司る宝神姫(レガリア)が己の影より外宇宙の生命体を召喚する。

 聖遺物の適合者と共に戦う超昂アイドルが、音のない世界にその美しい歌声を響かせる。

 異聞帯の救星主が、異聞帯の宝石姫(ジュエルプリンセス)達と共に魔神柱に立ち向かう。

 

「右腕・悪逆捕食(イヴィルイーター)、左腕、天恵基盤(キサナドゥマトリクス)。行くぞ! 『双腕・零次収束(ツインアーム・ビッグクランチ)』!!」

 

【ADVENT!!】

 

「行け!」

 

「命、燃やすわ!」

 

【ダイカイガン! ワタシ! オメガトライブ!】

 

 英霊・天草四郎時貞らしき男がその宝具で複数の魔神柱を闇の中に引きずり込む。

 金色の戦士の召喚した不死鳥が、自由自在に宇宙を飛び回る。

 聞き覚えのある声をした霊体の戦士が、魔神柱に必殺の飛び蹴りを放つ。

 

「七十二柱の魔神が相手ならば……此方も抜かねば、無作法というもの」

 

【カオストリニティ!】

 

「変身!」

 

【投影! トリニティタイム!】

【三つの力! 仮面ライダーウォズ!サタン!ナイア! カオストリニティ! トリニティ!】

 

 混沌の鎧と悪魔の翼を併せ持つ戦士が、胸部と両肩の燃える三眼から闇の奔流を撃ち放つ。

 

『……これは夢か? 計器の故障か? 特異点各地に次々と生体反応が出現している!』

 

『並行世界の同じ組織に所属するという細い糸を手繰ったというの……?』

 

『生体反応、十、二十――まだ増える!』

 

「だが、どうしてだ? 並行世界の彼等にはこの世界を救うだけの理由がないはずなのに……」

 

『そうね。彼等の世界に此方の世界から助けを求めたという訳ではないのに……』

 

 ダイビートは、並行世界の超昂戦士を召喚する技術を保有している。未来人の二人が持参した設計図を元に作られた同位召喚装置は、これまでに何人もの超昂戦士を召喚してきた。超昂アイドルのマリナも並行世界から召喚された超昂戦士の一人だ。

 だが今回は、この世界の側から並行世界の超昂戦士を召喚した訳ではない。並行世界の側からこの世界に戦士達を召喚している。その事実に、この世界の住民は困惑せずにはいられない。

 

「……皆さん、ありがとうございます」

 

 ただ一人、彼等の同類(転生者)である少女を除いて。

 

「東部末端神経、炎焼。敵勢力、なお増大中」

 

「西部自律神経、損壊。敵勢力、二十四騎を確認」

 

「どういうことだ!? 何故、このようなことが起きるというのだ!

 自らを降臨者(フォーリナー)と化すことで抑止力の干渉を防ぎ、自らを(ビースト)と化すことで絶対的な力を得た!

 万に一つも、逆転の芽など無かったはずだ!」

 

「まだだ! 一人でいい、殺すのは一人でいいのだ!

 消え失せよ、超昂戦士! 七十二の魔神全てを以て、貴様達を宇宙の塵にしてくれるわ!!」

 

 魔神の攻撃は勢いを増す。無数の瞳から放たれる光がトキサダを狙い撃ち、魔神柱本体から枝分かれした触手の濁流が超昂戦士達に襲いかかる。その全てを深緑の聖域は通すことなく、並行世界の戦士達は魔神柱を殲滅していく。

 

「第一宝具『星の怒りよ、賢者の威光を示せ(ティンクトゥラ)

 第二宝具『星の鍛匠よ、不壊の武装を我が手に(アダマンタイト)

 そして―――第三宝具『星の祈りよ、封印の城をここに(リア・ファル)』」

 

「今だ! 皆、一斉攻撃だ!!」

 

「立ち塞がる者――全てを貫こうッ! 『ブリリアントクレバス』!!」

 

「この焔が、わたくしたちの征くべき道を照らしてくれる! 『イニシアティブサイン』!」

 

「何があろうと、この先には行かせない…! それが、私の役目! 『クリュスタルス・アニマ』!」

 

「わたくし、もう護りだけではないのよ? 『セイクリッドレイ』!」

 

「我が槍の冴えを見よ! いざ、参る! 『瞬槍・真紅』!」

 

「ではでは、さらなる実験を始めようか! 『メテオリックブレイズ』!」

 

「それじゃあ……ぶっ飛ばすぞー! 『豪気超断絶』!」

 

「――東部末端神経、消滅。第一から第八柱、正常値を維持できない」

 

 救星主(セイヴァー)のサーヴァントが、第二の対獣宝具『星の鍛匠よ、不壊の武装を我が手に(アダマンタイト)』で味方を強化した上で、第三の対獣宝具『星の祈りよ、封印の城をここに(リア・ファル)』で魔神柱の力を封じ込める。

 その直後、星煌進化(イルミナライズ)した七彩煌(スペクトラ)が、異聞帯の救星主の指示で一斉に魔神柱に必殺技を放つ。

 

「それじゃあアタシも思いっきりやっちゃうぞー♪ 『つがー・しゅめっしゅ しゅたん、がしゃんな! おんぐ だくた しゃめっしゅ・らせあいあうか!』 さー☆ かわいいかわいいアタシのペットたちー♪ 『餌の時間だ。獣の眷属を……喰らい尽くせ』」

 

「雷光一閃! 『雷電大剣砲(プラズマザンバーブレイカー)』!!」

 

「見よ、天を焦がし、地を揺るがして、海を割る! 今、必殺の、『アッシュール・フレイム・メギド』!」

 

「今度は『アグニ・オルカン』だ!」

 

「令呪を以て命ずる! アルテラ、魔神柱を薙ぎ払え!!」

 

「マルスと接続する。発射まで、二秒。『涙の星、軍神の剣(ティアードロップ・フォトン・レイ)』!!」

 

「西部自律神経、消滅。第二十六から三十二柱、正常値を維持できず」

 

 異界生物が魔神柱に食らいつく。閃忍が雷神の大剣を振るい、魔女が業火の竜を生み出す。神秘を宿す兵器が唸りを上げ、軍神の剣が落涙の如く降り注ぐ。高威力攻撃の雨霰に、この特異点に再現された七十二柱の魔神柱は次々と消滅していく。

 

「……左右基底骨郭、損壊。我、この宙域からの離脱を提唱する」

 

「何故だ! 何故だ何故だ! 何故貴様は死なない、戦部トキサダ!!」

 

「一人だ! 一人の人間を殺すだけで、何もかも解決する! だというのに!」

 

「「何故だ!!!」」

 

 理解不能の状況に魔神ディストバーンはその頭部を左右に振るしかない。

 

【【ライダー! フィニッシュタイム!!】】

 

【ファイナリー! ビヨンド・ザ・タイム!!】

 

【カオストリニティ! ビヨンド・ザ・タイム!!】

 

【トゥワイズ! タイムブレーク!!】

 

【トゥワイズ! タイムジャック!!】

 

【超ギンガ! エクスプロージョン!!】

 

【カオス! エクスプロージョン!!】

 

 魔神柱の体が崩れ落ちていく中、エスカ・エメラルはこの世界の超昂戦士達に告げる。

 

「魔神柱は引き受けるわ! あなたたちは、ビーストⅠ:IFを!!」

 

「ですが、私達に魔神ディストバーンを討つだけの余力は――」

 

『――――――――それはどうかしら?』

 

 その時、誰かの声が超昂戦士達の身に付けた通信装置から聞こえてきた。

 

「え、っ…………」

 

「っ、今のは……?」

 

「え、え、誰っ…………」

 

『はい、わったしーーーー!』

 

「さやかさん!?」

 

 ダイビート技術部門、高円寺さやか。開戦時に姿を消した彼女が司令室に戻ってきた。

 

『急ぎでいくね! 今からエスカレイヤー達を救出するわ!』

 

「なっ……できるのか!?」

 

『今だけね!』

 

 自信満々に告げるさやかは、時間神殿の上空に存在するピラミッドを睨みつける。

 

『あのピラミッド! 出てる以上は、今この空間と繋がってる! 座標が出せるってこと!

 ビート・ポータルを最大出力。あの三人をあそこから……時間神殿だっけ? そこに再召喚するわ!』

 

「お姉さまを助けられるってこと!? やったぁっ!」

 

『三人の反応、確認! 座標特定できました! 相変わらず、あの物体自体は検出する反応がおかしいですが……』

 

『今は後! ビート・ポータル起動!』

 

「……………………!」

 

 同位召喚装置ビート・ポータルが起動する。その召喚に応じるように三人の超昂戦士が――

 

「…………? 何も起きないわよ」

 

『あちゃ、反応が鈍い………そうか、意識が無いんだわ。向こうの応答が無いと、この形式じゃ……』

 

「……! マスター!! あの三人の魂に声を届けてください!」

 

「魂に声を届ける? だが、ここからでは……」

 

 ――召喚失敗。しかし、鹵獲したはずの超昂戦士を再召喚できるという事実は、ピラミッドを召喚したオルバが焦燥を抱くのに十分なものだった。

 

「……っ、やらせない。閉じて、っ…………」

 

「……………………ッ!」

 

「まずい……空間が閉じる!」

 

「と……っ、止め、なく……ちゃっ……」

 

「…………って、言っても、っ……!」

 

「ここまで、来て…………ッ! させるか! 固まれーーーっ!」

 

「アメイズ!? あんた……!」

 

「っ、うっ…………! 重い……ううん、空間が、固まる……!」

 

 最大出力。限界以上に力を振り絞り、閉じようとする空間の推移を鈍らせていく。

 

「っく、ううううっ…………! やっぱ完全には、無理か……っ」

 

「メドゥーサの、瞳ッ……! く、く、閉じろ……っ……」

 

「マスター!」

 

「…………っ……!」

 

 トキサダは、自らの肉体と精神を侵す異変を感じていた。それは、命の危険を感じるようなものではなく、始まりのあの日に彼自身が抱いた、居ても立っても居られないようなもの。

 

(っ…………あ、これ、は…………っ)

 

(エスカレイヤーが……いや。沙由香がいる)

 

(ハルカさんがいる)

 

(エリスがいる)

 

((((あそこに…………!))))

 

 少しずつ、裂け目は狭まっていく。また、手の届かない所へ、遠く離れようと……

 

「「っ、沙由香あああああぁぁぁぁ!」」

 

『トキサダ!? いえ……!』

 

「「目を覚ませ、ハルカさん!」」

 

「「そして戻ってこい、エリスッ!! 俺の愛する女よっ!」」」

 

『っ……トキサダの中の、あの三人が……』

 

『…………あっ……!?』

 

 トキサダは、本人の同意を得た上で自らの同位存在三人と融合している。その三人が、自らの愛した女の名前を喚ぶ。「音」として外に出力するでなく、「声」として恋人の魂に出力する。

 

「……っ、ぁ、そんな……っ……どう、なって……っ……」

 

「…………ッ……」

 

「あれは……! あの三人、は――――!」

 

「――――青い地球を、守るため……胸の鼓動が天を衝く!」

 

「悪鬼彷徨う現の闇を、払うは月影、我、上弦なり……」

 

「人々の希望を奪い、絶望を撒く魔の尖兵。もはや贖罪の刻は尽きました」

 

 宇宙から降り注いだのは、三条の光。

 それは確かな質量を持って、トキサダの眼前へと――――

 

【推奨BGM:Over Beat (Ha.ver) (Arrange Ver.)】超昂天使エスカレイヤー・リブートより

 

「われ、神騎エクシール!」

 

「想破上弦衆、閃忍ハルカ!」

 

「そしてエスカレイヤー……悪の現場に、只今参上!!」

 

「「「「三人、ともっ…………!」」」」

 

「はい。ただいま戻りました」

 

「聞こえました。届きましたよ、貴方の声が」

 

「ええ。そして……」

 

 三人の視線が、上空へと向けられる。

 

「ッ……クッ、クッククククク……! ハハハハ、フゥハハハハハハハハ!!」

 

 ディストバーンはは笑っていた。

 

「僥倖よ……我が前に現れたかッ、エスカレイヤー……! そして、超昂戦士ども…………!」

 

「決着を付けます、ディストバーン!」

 

「それこそ、望む所だ…………ッ……! どれだけ、この瞬間を焦がれたか……!」

 

 最後の戦いを予感したトキサダは、時間神殿に集められた全ての超昂戦士に声を届かせる。

 

「戦闘スタッフ…………全超昂戦士に告ぐ! 制圧目標、アルダーク首領ディストバーン! 及び、魔神バアル! ここで……決着を付ける!」

 

「……ッ……はい、っ……!」

 

「話が早いのは悪くない。来て早々、接続者(コントラクター)の愛の告白を聞いてしまうとは思わなかったがな?」

 

「……それは、後で事情を話させてくれるか? そちらの事情も、聞かせて欲しい」

 

「いいとも。では幕引きと行こう」

 

 戦士が、閃忍が、神騎が、魔女が、最後の力を振り絞り、自らの武器と視線を魔神ディストバーンに向ける。

 

「ルビー、大丈夫? もう……」

 

「ッ……うん、平気、全然っ……! 肝心な時、だもの……! 立たなきゃッ……」

 

 自分の言葉を力にしたかのように、震える膝を手で支え、ルビーは立ち上がる。

 

「ったく、無茶して……!」

 

「ううん、いく!」

 

「っ、そぉね、なんとか、っ……!」

 

「これで――――これで終わらせてくれるわ! 超昂戦士ども!」

 

「そして、戦部トキサダ!! この時間神殿で滅びるがいい!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。