転生者互助組合外伝 多元世界の転生者   作:ゲーマーN

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執筆意欲が下がりに下がり……
けれど、このまま放置するのも勿体ないので未完成のまま投稿します。


第1話 2020:ボクが魔王で仮面ライダー[未完]

 オレンジ色の光が照らす店内に四人の少年少女の姿があった。黒髪の少女と金髪の少女が異能満載の超次元ポーカーを繰り広げる姿に苦笑する少年の向かい側の席には、優雅に食後のコーヒーを楽しむエメラルドグリーンの長い髪の少女が座っている。

 ふぅ、とコーヒーカップをソーサーの上に下ろした翡翠の少女は、徐ろに『真・逢魔降臨暦』と記された本の頁をめくる。

 

「この本によれば、普通の高校生・南雲ハジメ。

 彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っていた」

 

 その本は、魔物の血の如き赤黒い魔力が逆巻く金色の魔王の姿を映し出す。森羅万象を冒涜する大魔王の姿に眉を顰めた翡翠の少女が頁をめくると、その次の頁には蛍光イエローの鎧を身に纏う過去と未来を繋ぐ王の姿が映っていた。

 

「だが、南雲ハジメは仮面ライダーゼロワンの力を得ることで、オーマジオウに至る未来とは異なる可能性に辿り着く」

 

 新時代の幕を開く令和の象徴、仮面ライダーゼロワン。

 その力を宿す鎧を身に纏うジオウの両隣に、二柱の黄金の王が並び立つ。

 

 仮面ライダーオーマジオウ。

 仮面ライダージオウ オーマフォーム。

 

 黄金の王達は、対峙する偽りの黄金の王と別次元の戦いを繰り広げる。

 拳の衝突に空間が軋み、時間が歪み、世界が悲鳴を上げる死闘の先に待ち受けるものは――

 

「僭王との戦いはまたいずれ語ることにしましょう。今は……」

 

 真・逢魔降臨暦を脇に置いたウォズは、共に在る三人の少年少女に視線を戻す。

 

 大魔王の力を受け継ぎ、全ての時代を知ろしめす最終王者。南雲ハジメ。

 闇に苦しむ人々を救い、未来に光を取り戻す真の救世主。白崎香織。

 運命(さだめ)の鎖を解き放ち、真実の歴史を詳らかにした小さな鬼神。アレーティア。

 

 最後に彼女。過去と未来を読み解き、正しき歴史を記す預言者。ウォズ。

 自分達の切り拓いた新たなる歴史の一頁を眺めながら、ゆっくりとコーヒーに口を付ける。

 

「『須臾(しゅゆ)』」

 

「『虚光(きょこう)』」

 

 時間停止の再生魔法『須臾(しゅゆ)』を行使する香織に対抗するように、アレーティアは時間の流れを操作する『虚光(きょこう)』の再生魔法を発動する。異なる時間流に身を置くことで時間停止を回避したアレーティアは、空間魔法『界穿(かいせん)』で香織の札を覗き込む。

 

「……幻術?」

 

「ふふっ、流石だね」

 

 だが、それを許すほど香織は間抜けではない。光の屈折を利用した幻術でトランプの柄を隠していた彼女は、その幻術を破られるより先に『界穿(かいせん)』に蓋をする。神代魔法と神代魔法、無駄に洗練された無駄のない無駄な技術の応酬に、観客の二人は苦笑いするしかない。

 

「……やれやれ。この二人は本当に負けず嫌いだね」

 

「まったくよ」

 

 五人目の声。視線を向けた先には、エプロンを身に着けた少女――園部優花が立っていた。

 そう、この店は園部家が経営する洋食レストランだ。この店の料理とコーヒーの味がお気に入りのハジメは、店の人間が嫁の一人とその家族という気安さもあり、家族や友人と共に、或いは一人でこの洋食店をよく訪れている。

 今日もまた、この店のコーヒーを楽しむために、ハジメは嫁たちと共に外出していた。

 

「その内、優花の淹れるコーヒーも飲んでみたいな」

 

「まだ勉強中よ。……けど、いつかね」

 

「うん、楽しみにしてる」

 

 お互いに微笑み合う。片手の指先で紅色のスカーフをクルクルと弄る優花は、嬉しそうな表情のまま片足の爪先で床をトントンする。超次元ポーカーをしていた二人もその様子に気付くと、優花に向けて「こやつやりおる」と言わんばかりの名状し難い表情を向ける。

 神を討ち、救世を成し遂げた最高最善の魔王とその伴侶。彼等は普段通りの平和な日常を送っていた――この時までは。

 

「――ッ!?」

 

 突如として彼の全身に悪寒が走る。人の領域、否、神の領域すら超越した王が本気で警戒するほどの何かが起きる。それを直感した魔王は、自らの固有魔法で臣下達に絶対の護りを敷く。

 

 ――固有魔法 時の王者

 

 過去と未来、全ての時を統べる魔王の権能。時間と空間、世界の境界すら越えた先にいる自らの臣下の足元に金色の歯車を展開、特異点の性質を付与することで時間の干渉を拒絶する。突然の事態に困惑する臣下達は、しかし、直後に襲いかかる漆黒の波紋に顔を強張らせる。

 

 滅、亡、暗、殺、戦、争、悪、憎、死、獄、愚、蔑、凶、邪、虐、痛、怨、恨……

 

 魔王の双眸は、その波紋の中に満たされた悪意を確かに捉えていた。この世全ての悪を煮詰めたかのような禍々しい悪意を前に、流石の王も背筋を震わせる。

 

「今、何が起きたの?」

 

「分からない……けど、良くないことが起きたのは間違いないよ」

 

「どうやら、その予想は正しいみたいだよ」

 

 カッ!っと、ウォズが視線を向けた方向からやけに見覚えのある銀色の光が降り注ぐ。その光が五人の下に辿り着くよりも先に、黄金色の光が空中に魔法陣を描いていた。

 

「『界穿(かいせん)』」

 

 空間と空間、二つの空間を繋げる空間魔法が銀色の光を発砲者の背後にそのままお返しする。数秒後、銀光は音もなく霧散する。銀光の術者が消滅したことで術式が終了したのだ。

 

「……今の、神の使徒の『分解』だよね?」

 

「うん。でも、なんで……」

 

 二人を除き、神の使徒は全滅している。その二人も魔王の伴侶である以上、彼女達が魔王に『分解能力』を行使する理由はない。夫婦喧嘩ならば話は変わるが、今のように関係ない人間を巻き込むような真似はしない。

 

「流石は魔王、そう簡単には倒れないか」

 

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