真人が盗み出した呪胎九相図を受肉させたら、とんでもない奴らが現れた! という作品です。何でも許せる方向け。一年ほど前に発作的に書いたものなので、続きません。

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呪胎九相図が本当に宿儺の指並みの呪物だったら

 特級呪霊花御による、呪術高専東京校への襲撃。その事件の裏で行われた、何者かの襲撃によって呪胎九相図の一番から九番全てが奪われた。

 

「あー、大変だった。一番から九番全部取ってくる必要あったの?」

 実行犯である真人は、床に並べた異形の胎児が浮かぶ瓶を眺めながら、自分にそう指示した人物を振り返る。

「私は『できれば全部』と言ったはずだよ。幾つか欠けても構わないと思っていたけど、本当に全部盗み出すとはさすがだね」

 額に縫い目のある男、夏油はそう言って真人を労う。

 

「ところで、これって受胎させる人間は誰でもいいの?」

「ああ、そのはずだ」

「ふうん。じゃあ、さっさと受肉させようか。九つもあるんだし」

 

 そして適当に攫ってきた九人の人間を使い、九相図達は受肉を果たした。

 そして、長男である脹相が「兄弟だけで話をしたい」と言った事で、真人達がアジトとして使っている廃墟の一室に、九人の異形の兄弟が集まった。

 

「呪霊側に付くかは、様子を見る。奴らが作る未来が俺達にとって都合がいいか判断がつかない」

「確かに、あいつら胡散臭いからね」

「兄者がそう言うならぁ……」

 脹相の言葉に、次男の壊相と三男の血塗はすぐに同意した。しかし、四男以下にはすぐには頷かなかった。

 

「それは呪術師共に付く余地があるという事かネ? 兄さん」

 四男の膿爛相は、甲高い声をした奇妙な男だった。髪を顔の周りに固めて鬣のようにし、黒と白に塗り分けられた特徴的な顔つきをしている。

 

「呪術師は気にくわないか? 膿爛相」

「いや、私は呪術師に……人間に興味深々だヨ。ああ、何人かで良いから捕まえて、受肉するまでに考えていた数々の研究を実践してみたくてたまらなイ! ドロドロになるまでネ……!」

「そうか。もし呪術師側に付く時は、生け捕りにした呪詛師を貰えるよう、お兄ちゃんが頼んでみよう」

「本当かイ!? 感謝するヨ、兄さん!」

 

 無邪気(?)に喜ぶ弟に頬を緩める脹相。

「俺はどっちでも構わん。ただ、五条悟と宿儺には興味がある。どれほどの強さか、戦ってみたい」

 次に口を開いた五男、青瘀相は膿爛相とは対照的に背が高いだけではなく、逞しい筋肉を誇る大男だった。青黒い肌に白い髪、そして長く尖った耳に顔の右側に浮き出た黒い痣。まるで魔王のような風貌だが、その瞳には闘志を滾らせながらも理性的な光が宿っている。

 

「五条悟と戦いたいのか、青瘀相?」

「できればな。もっとも、五条悟はともかく宿儺の方はどちら側に付いたとしても戦う事になるだろう。……そんな気がする」

「そうか。その時は頼りにしているぞ、弟よ」

「もちろんだ、兄弟」

 

「私は……呪霊側に付くのは気が進みません、兄上」

 六男、噉相は呪霊達に対して明確な嫌悪を現した。顔の左側に炎のような痣がある以外は人間にしか見えない彼は、考え方も人間に近いのかもしれない。

 

「噉相は、人間の方が好きか?」

「好きという訳ではありません。ただ、あの真人という呪霊と夏油と言う人間は、あまりにも命を軽視している。そんな者達が、我々兄弟の命を大切にするとはとても思えない」

 

「そうだな、噉相。まだ何方に付くかは決められないが、奴らに対しては油断しないようにしよう」

「ありがとうございます。兄上」

 

「私は……できればどちらにも付きたくはない。我々兄弟だけで、何処かでひっそりと平和に……まるで日向で育つ植物のように暮らせればそれでいい」

 そう述べる七男散相は、体毛の無い薄紫色の肌に、先端が尖った二本の耳が頭頂にあり、目は猫のような縦長の瞳をした、血塗と同様に一目で人間ではないと分かる容姿をしていた。

 

 そして細身だが引き締まった筋肉の付いた肉体を隠すのは、髑髏マークの付いたショートパンツと手袋、ブーツのみ。その露出度の多さは壊相に匹敵する。

 

「散相、お前の願いはよく分かる。だが、俺達兄弟が平和に暮らすためには、しなければならない事が多すぎる」

「脹相兄さん、邪魔をする奴らは……呪霊も呪術師も全て私の爆弾で消し飛ばしてやればいい!」

「散相、落ち着いてくれ。ここには兄弟がいる。九人揃った俺達は無敵だ」

 

「そうだ、散相兄さん。平和に暮らすためにも、私は様子を見るという兄さんの意見に賛成だ。呪霊側だけではなく、呪術師側の情報が無ければ判断できない。最優先なのは、我々の身の安全だ」

 そう理性的に意見を述べる八男、骨相は名前のとおり骨しかないように見える男だった。

 

 二メートルを超える長躯は白い骨しかなく、その上からローブを纏っている。例外は赤い瞳と、腹に浮かぶ紅い宝玉ぐらいだ。

 

「めんどくせぇな。散相の兄貴が言う通り、邪魔する奴らは適当に殺ればいいだろう。どうせ戦って面白い相手なんてそういないんだしよ」

 そう気怠そうに言うのは、九男の焼相だ。ジャージの上下にニット帽を被った彼は、一見するとどこにでもいる少年に見える。

 

 しかし、その顔をよく見れば誰もが彼の事を忘れられなくなるだろう。どこかの五条悟並みに整った顔つきに、赤い髪に……何よりも紅玉のような瞳が美しい。

「その通りだ、骨相、焼相。お兄ちゃん達と一緒に頑張ってくれ」

「……仕方ねぇな」

 こうして、呪胎九相図は形だけは呪霊側に与したまま、呪術師側の情報を集める事にした。

 その目的は、兄弟全員の生存と不自由のない生活である。

 

 

 

〇設定

 

・脹相、壊相、血塗

 

 弟たちに負けないように強化されている。反転術式、領域展開、全て習得済み。三人とも花御や漏瑚より強い。

 

 

 

・入れ替わった人達

 

 呪術廻戦の世界観なので、霊圧や魔力ではなく呪力で呪術を使う。

 また、九相図の一員なので元のキャラクターがどんな性格であったとしても兄弟愛がマックス。

 

 

 

・膿爛相……涅マユリ

 

BLEACHの涅マユリの外見と能力を持つ。斬魄刀は刀の形をした式神として持っている。また、開放型領域展開で金色疋殺地蔵(こんじきあしそぎじぞう)のような、ウイルス散布を行う事が可能。

 

 また、補肉薬や義骸等も制作できる。

 

 呪術師(人間)を実験体にしたいので、呪霊側に付きたい気持ちもあるが、極論を言えば実験動物が貰えるなら、そして兄弟と一緒ならどっち側に付いても構わないと考えている。

 

 

 

・青瘀相……ハドラー

 

 ダイの大冒険の魔軍司令ハドラーの外見と能力を持つ。人格は戦士として覚醒済み。ベギラゴン等は使えないが、呪術で似たような事が出来る。

 ヘルズクローや、複数の心臓も完備。また、死んでも復活するが、そのために必要なのは暗黒闘気ではなく兄弟達の呪力。

 

 呪術師と呪霊、どちらにも思うところはなく、ただ強い相手と戦いたいと考えている。

 受肉初期の状態はダイと初めて戦ったのと同じ状態(一級呪霊相当)だが、復活する度に強くなり最終的に超魔生物と同じ形態(特級呪霊相当)に進化する。

 

 

 

・噉相……戦国縁壱

 

 鬼滅の刃の公式チート。五条悟の無限も、多分斬れる。しかも、反転術式で傷を癒しても継続してダメージを与え続ける事が可能。ただ、受肉したばかりなので刀を持っていない。

 人間に対して思い入れは無いが、百年以上胎児のまま生まれる事が出来なかったので命の価値を重く考えており、兄弟以外の命も尊いと感じている。

 

 この人がいるだけで脹相たちは呪霊側に付く事が出来ない。

 

 

 

・散相……キラークイーン

 

 ジョジョ第四部のラスボスの吉良吉影のスタンドの外見と能力、そして吉良に近い性格を持つ。

 

 兄弟が平和に、そして穏やかに暮らせるなら兄弟以外の存在がどうなっても構わないと考えている。まだ無自覚だが手フェチ。

 絶望すると、第三の爆弾を発動させる。

 

 

 

・骨相……モモンガ

 

 オーバーロードのモモンガ様の外見と能力を持つ。ただアンデッドではなく受肉体なので、飲食と睡眠は可能(必要とは言ってない)

 位階魔法のうちいくつかは呪術で再現できる。また、術式でアンデッドを召喚(創造)可能。

 

 慎重な性格の持ち主だが、やろうと思えば大都市を一人で壊滅させることが可能。

 

 

 

・焼相……ゼルマン・クロック

 

 Black Blood Brothersのゼルマン・クロックの外見と能力を持っている。

 見た対象を燃やす「視線発火」も健在であるため、五条悟も視界に入れば燃やせる。無限があろうなかろうと、「視える」なら防げない。

 

 吸血鬼ではなく受肉体なので、日光や銀等吸血鬼特有の弱点はない。代わりに、吸血によって回復する事も出来ない。

 

 享楽的な性格で戦いが好き。退屈が嫌い。

 




 so-tak様、70-90様、誤字報告ありがとうございます。早速修正しました。


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