邪神イリスのヒーローアカデミア   作:唯野婆華

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“ゆめ”と“いつも”と“わたしのおはなし”

 太平洋上空。全世界から結集した食人生物――ギャオスの数匹を触手で突き刺し、その臓物を吸い尽くした後で海へと放り投げる。そうして仲間を喰われた事で警戒して俺から距離を取るギャオス共へと接近しつつ触手の先端を開放。全てを切り裂く黄金色の閃光――超音波メスを繰り出し、密集していた十数匹のギャオスを絶命させる。

 その隣を人だった頃に比べれば小さく感じる火球が通り過ぎ、数十匹のギャオスを焼く。

 

『ったく、俺との戦いで消耗していてもそれ程の火球を放てるとは。流石の一言に限るよ、玄武。』

 

 振り向いた先にいる宿敵へと思念を飛ばしつつ、奴の背後に近付いていたギャオスを超音波メスで切り裂く。

 

『……余計な事を。』

 

『そうかい?玄武の割には結構ピンチだったように感じたんだがなぁ?』

 

『……我を玄武と呼ぶな。我はそう呼ばれた個体とは違う。』

 

『……はいはい、分かったよ。』

 

 軽口を叩きながらも触手をギャオスに突き刺し、先程と同じ様に奴らを喰らう。と、同時に上空へと目を向ける。

 

『あの白い奴、絶対俺達が限界に達するのを狙ってるよな。』

 

『そうであろうな。』

 

 視線の先には虎視眈々と機会を待つ白い影――アルビノギャオスが羽ばたいている。空自の戦闘機は全て撃ち落され、残っているのは俺とガメラのみ。幾らか数を減らしたとはいえ、このままではジリ貧。先程からの違和感が奴のせいだとすれば……。

 

『あの白いのを倒せば何とかなる、か。』

 

『どういう事だ?』

 

『あいつ、他のギャオスの脳波を操って無理矢理連携させてるんだよ。だからここまでの群れが共食いどころか仲間割れも起こさない。レギオンなんかと同じようにな。』

 

『それが分かるのもお前が邪神と呼ばれる所以か。』

 

『………別に。“同族”の思念はなんとなく読み取れるだけさ。』

 

 解りたくもないがな。と付け加え、白いギャオスへと超音波メスを振り下ろす。しかし、それらは奴の展開したバリアのようなものに阻まれ、やがて止まってしまった。

 

『チッ。俺もそろそろ限界か。』

 

 超音波メスの放出が安定しない。いくらギャオス共を喰らっていたとはいえ、エネルギー切れのようだ。

 

『ガメラ。仮に、だ。あのバリアさえ展開されなければ、奴を倒せるか?』

 

 三度集まってきたギャオスを切り裂きつつ、愛すべき宿敵へと問いかける。かくいう彼は少し自信げに、

 

『ああ、我に不可能はない。』

 

 などと吐かすのだから頼もしい。

 

『それは僥倖。』

 

 “あれ”は使いたくなかったが、致し方あるまい。覚悟を決め、上空のアルビノギャオスへと飛翔する。それを阻止する為にギャオス共が放つ超音波メスを避けつつ、残ったエネルギーを自らの胸へと収束していく。

 

 少しずつ、されど最速で奴に接近する。あのバリアを破るにはこれを至近距離で放つしかない。

 

 

 

 

 

 

 

――300メートル、エネルギーが太陽の如き灼熱の球体へと変わる。

 

 

 

 幾多の超音波メスが体を掠め、肉を焼いていく。それがどうした。

 

 

 

 

 

 

 

――100メートル、まだ遠い。

 

 

 肉が更に焼かれ、触手が切断される。まだまだ体は動く。

 

 

――50メートル、まだだ!

 

 硬質化した触手の切っ先で防ぐが、とうとう一本の超音波メスが胴体を貫く。

 

――25メートル、あと少し!

 既にアルビノギャオスは戦闘体制を整えている。バリアを突破出来たとしても、俺は死ぬだろう。

 

――10メートル、ガードに使用していた触手を正面に向ける。

――5メートル、灼熱の球体に臨界までエネルギーが注がれる。

0メートル、バリアに衝突し、殆どの触手が弾け飛ぶ。

 

『これでも食らっとけクソ野郎!!!』

 

 火球が炸裂し、バリアが砕け散る。

 

『今だ!殺れ、ガメラ!』

 

 腕の剣を突き刺し、残った触手でアルビノギャオスを羽交い締めにして、俺は奴に思念を送る。

 

『いいのか?お前もただでは済まないぞ。』

 

 今更なんだっての。

 

『覚悟は出来てる。………地球を、日本を任せたぞ、ガメラ。』

 

『……安らかに眠れ、友よ。』

 

 激痛と共に巨大な炎弾が俺と巨鳥の体を焼き尽くす。

 

――じゃあな………、綾奈。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

「お〜い伊栗鼠(いりす)ちゃん。もう放課後です。ほら、起きて。」

 

 放課後、西日の差し込む教室で。肩を揺すられ、目を開くと、幼馴染みのヒミコちゃんが顔を覗き込んでいた。

 

『んふぅ〜?もうガッコ、終わった?』

 

 突然飛ばした思念波にビクともせずに、ヒミコちゃんが質問に答えてくれる。

 

「はい、終わったですよ。ほら、一緒に帰りましょうよ。」

 

『ん〜〜。』

 

 気だるけな返事を返し、空っぽの鞄を手に取る。自分の席から立ち上がり、ヒミコちゃんの隣を歩く。廊下に出ると、すぐにみんなの視線が私とヒミコちゃんに集まる。ちょこっとだけ、そわそわする。

 階段を降りて、靴箱で靴を履き替えて、校門を通り過ぎてもその視線は減らない。やっぱり、そわそわする。

 

「イリスちゃん、まだそわそわする?」

 

『………うん。ちょっぴり、する。』

 

 ヒミコちゃんには分かってたみたい?

 

「退院出来てから、まだ1ヶ月ですもん。慣れなくて当然ですよね。」

 

『そっか………。これじゃあ、ヒミコちゃんがほんとのヒミコちゃんになれないね。』

 

 ヒミコちゃんは血が好きなんだって。間違えた。血だらけの人が、大好きなんだって。“個性”がげいいんらしいんだけど、ヒミコちゃんはそういうヒミコちゃんを隠してるんだ。理由は………わすれた!

 

「気にしないでいいです。イリスちゃんと一緒なら私、優等生でも苦しくないんです。」

 

『それなら、よかった?でもでも、私のお部屋ならバレないから、いつでも遊びに来てね。』

 

「ありがとうなのです。」

 

 おはなししてたら、いつのまにかお家についてた。

 

「じゃあ、バイバイ。イリスちゃん。」

 

『ばいばい、ヒミコちゃん。』

 

 ヒミコちゃんとばいばいして、お家の中にはいる。かばんを置いて、たたみのお部屋に入る。

 

『ただいま。おとーさん、おかーさん。』

 

 お部屋のおぶつだんから、“おかえり”は返ってこなかったけど。その奥のお部屋からおばさんの声が聞こえた。

 

「おかえり、伊栗鼠ちゃん。」

 

『ただいま、おばさん。』

 

 お返事して、おばさんのいるキッチンに入る。いつものかっぽうぎ?を着た、白い髪のお姉さん。おばさんって呼ぶようにおねがいされてるからおばさんって呼んでるけど、ほんとはお姉さんって呼びたいなぁ。

 

「いつも通りお風呂は沸いてるから、晩ごはんの前に入ってきてね。」

 

『はーい。』

 

 またお返事して、お風呂の方へ行く。だついじょで服を脱いで、おふろばに入る。鏡に写るのはわたし。白くて先の方だけオレンジ色になってるながーい髪。もう高校生なのに全然おっきくならないお胸と、普段は服の中に隠してる触手。お口もおはなもないけど、真っ黒なおめめだけはあるお顔。

 これがわたし、邪神伊栗鼠(じやがみいりす)。みんなから不気味と罵られる、わたしのすがただ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「それで、邪神伊栗鼠の現状は?」

 

「暫く暴走はしないだろうというのが、ホークスからの報告だ。」

 

「………自我が崩壊し、不安定な状態だという話だったのでは?」

 

「どうやら記憶の欠損と、幼児退行程度で済んだ様です。例の少女が必死に呼び掛けたおかげでしょう。」

 

「ひとまず最悪は免れたか。」

 

「ええ。ですが彼女の個性は……、余りにも危険です。下手したらオールフォーワンを超えるヴィランになりかねない。」

 

「………現状、我々に打つ手はない。捕縛などもってのほか、彼女のカウンセリングすらも出来ん。何かしらの対策を考えねば……。」

 

「でしたら、彼女と対峙したサー・ナイトアイの意見がよろしいかと。」

 

「…………、そうだな。彼女を、雄英高校へと編入させ……………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒーローとして迎え入れる。」

 

 




 ヒロアカ世界にガメラのイリスをぶち込みたくなったのでぶち込んでみました。プロローグです。続きは筆が乗ったら出します。
 本編でも言及しましたが、イリスちゃんのビジュアルはロリ体型で背中に触手あり。髪色はONEちゃん、髪型はIAちゃんの姉妹ハイブリッドでお顔はガメラ3の初期のイリス(幼体)よろしく黒い目だけがついてる感じです。なので幼少期からテレパシーで会話してます。ヒロアカ世界に則るなら異形系の個性になります。
 まあ、イリスなので色々と出来ますが。
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