夢女子製造機とエロイラストが多い二人と幼馴染なんだが……   作:ヤマナミさん

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二の話 -仕事-

「おい、スゲーナ絶壁ス。書類持ってきてやったぞ」

 

絶壁(チリ)のもとに書類を届け、そう声かけた瞬間にグーパンされたヤマナミです。やろう、俺のネクタイを思い切り引っ張って反動利用してパンチしやがった。なんだそのヤンキーみたいな戦法。マイッキーくんもびっくりだよ畜生。

 

「ヤマナミ、この書類記述不足や。はよ書けアホ」

「はい、ごめんなさいパイセン」

 

チリはヒラヒラと書類を渡してくる。この書類はさっき女帝に絞られて必死に書いた『エリアゼロ警備』に関するものだ。

『大穴脱走事件』から時間は立ったが、なんとか対策が出来上がったので四天王各位に見せに回っている。

 

「でもパイセン、なにが足りないんだ? 対策案に関しては、正直いうけれどこれ以上ない警備案をだしたんだが」

「脱走したポケモンの相性を考慮したスリーマンセルでの警備隊、警察との緊急組織体制案。ちゃんと裏どりもとれて問題ないかと思うんやけど……」

「どうよ俺の完璧な案! 『さすがヤマナミ、巨乳の子からキャーキャー言われる男前や』と言えよチリ」

「ギャーギャー悲鳴があがるの間違いやろ。じゃあツッコむんやけど、例えばこのスリーマンセル。人が増えるのはええけれど、この人数どう賄うんや?」

 

長い足を組み、書類をトントンするチリ。ジト目を俺に向け、ため息が漏れると同時に引き出しから一枚の紙を出してくる。

 

「リーグ所属の警備委員は、自分含めて30人。10チームで大穴周辺を囲むとなると、どこかしか空いている場所ができるやろ」

「うぅ……でも、そこは警察と連携して」

「アホ。なんも練習もしていない、突発チームができるのが目に見え取るわ。そんなん、実践投入とか馬鹿にしとるんか」

「はい……」

 

たしかに、このリーグの最大問題は人だ。パルデア地方を支えるリーグは常に人員不足、けれども下手に人を多く補充しない。

理由は簡単。うちは学歴や資格、職務経験などは二の次三の次。一番大事なのは、『ポケモン』だ。おもにポケモンバトルが強ければ強いほど良い。というか、バカみたいに強ければだれでもうちに入れる。

 

というと、ヤマナミは強いのかと思う君たちよ。別に俺は強くはない、強くはないが、元の世界に帰るために様々なことに手を出した結果、それをトップに目をつけられてここにいるのだ。

ちなみに、俺警備委員の委員長ぞ。偉くてモテてほしいのだ。

 

「あと、再発時の警察との緊急組織体制のコレ。なんで自分の名前ないねん」

「……え」

「自分、いちおう警備委員のトップやろ。何全部の指揮権ウチらに任しとんねや」

「いや、そういうめんど……大事なのは、上司であるチリたちに任せよう、かなと」

「いまめんどうってほざきおったわ、こいつ…」

 

イライラしているのか、チリは再度足を逆に組みなおす。

とりあえずと、書類に再提出と赤文字で書かれ返された。大学の論文提出よりむずかしいぜ…。

 

「はぁ、ヤマナミ。今日夜空いとるか?」

「夜か? 別になんも……いや、待ていまスケジュール確認するわ」

 

懐から手帳をだし、今月の欄を開く。

 

「ほうほう、今日は……うん、空いてないな。すまんなチリ」

「ほんとかいな? チリちゃんに、そのスケジュールみせんかい」

「や、やめろ! 俺のプライベートをのぞき込むとか、なんて変態チックなんだチリ!」

「誰が変態や! ほら、かさんかい」

 

力づくで俺に卍固めして極めるチリ。背中にはなんと空しいスゲーナ絶壁スがあるため、あまりいい思いはしないが、女性特有のいい匂いがしたのでこれで許してやろう。

チリは無理やりスケジュール帳を取り上げ、中身を確認したとたんギラリと睨んでくる。

 

「なんや、この真っ白なスケジュール! 書いてあるところも、ほぼ業務と関係ないやんけ! しかも、今日なんか『夜、PPEX』とか悲しいわ! なにゲーム予定をわざわざかいとんのや」

「仕方ないだろう!? 今日ナンジャモちゃんがPPEX配信するから、もしかしたらマッチングするかもだろう! ファンなら常識でやるわボケ!」

「理由がアホすぎるわ!」

 

うるせぇ! ナンジャモちゃんとボイスチャット越しで話せるかもなんだぞ! そんな夢を邪魔する絶壁は、俺が許さねぇぞ。

チリはキレながらも、また赤ペンでスケジュール帳に何かを書き込む。

 

「自分の今日の予定は『チリちゃんと宅飲み』や。よかったな、一人寂しく過ごさなくなって」

「はぁ! なんでお前とまた飲まなきゃいけねぇんだよ? もう今月だけで3回目だぞ」

「しょうがないやろ、こういう職や。いろいろ溜まってるんやから、こういう機会がなければやっていけへんわ」

「俺の方が溜まっとるわ、二つの意味で!!」

「なにいっとんねん!!」

 

俺もこういう職で、なかなか家に帰れていない。なので、本当のプライベート空間で過ごせる日々を大事にしてるんだけれど、このチリのせいで発散できるもんも発散できない。

俺は今日こそ自分の家に帰り、AとVを見てナンジャモちゃんとコラボするんだ!

 

「絶対宅飲みなんかしないぞ、チリ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………うぅ……あれ、昨日どうしたっけ」

 

意識を取り戻し、朝日が目に染みる今日。まだ眠気があるのに、久しぶりの休みなのか少々早起きしてしまった。

と、自分で頭の整理をすると目の前には―――。

 

「んん……」

 

「……あぁ、またこれか」

 

いつもスーツで決めている女が、薄いTシャツで俺のベッドに似ている姿を見て、俺は……うん、まぁ反応しちゃうよね。

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