2号はとても気性が荒い 作:からやぶスキルリンク
「アギュッ!?」
「グオオォッ!!」
同じ時代、同じ種族のポケモンが戦闘を繰り広げる。片や殴り飛ばされ地に伏して、片や強さを誇示せんと雄叫びを上げていた。同じ見た目のポケモンであろうと、その強さまでもが同じとは限らない。
転移成功例第一号・・・コライドンは、先程タイムマシンによって呼び出された
「まさか、ここまで力の差があるとは・・・!」
呼び出した当人であるオーリム博士は2体目のコライドンの強さ、そしてその気性の荒さに戦慄を覚えた。もう一方のコライドンからは戦意が失われ始め、2匹目のコライドンはトドメを刺そうと腕を振り上げる。
完全に傍観者となっていた博士だったが、気づけば最初に呼び出したコライドンの前に飛び出していた。それは古代への憧れか、それとも愛着か、身を呈してまで守ろうとしたその肉体にコライドンの腕が振り下ろされ—。
「『ふいうち』!!」
・・・る前に、突如現れた黒いバッタのようなポケモンに蹴り飛ばされ、コライドン、並びにオーリム博士へと向けられた攻撃は空を切ることとなった。
「このエクスレッグは・・・。」
「ナイスだ、エクスレッグ!・・・
黒いバッタのようなポケモン・エクスレッグは、このエリアゼロ内にも生息しているが、ここまで動きが洗練された個体はいるかいないか。となれば、そのポケモンはあるトレーナーの手持ちであると言う結論に至るのは難しくもなかった。
「ヒルフ!こんな時に帰ってくると・・・っ!?」
「てんめぇ、何しようとしてくれやがった!?」
駆け寄った勢いのまま博士の白衣を掴み、怒りをあらわにするヒルフ。彼にここまで怒られる心当たりがないオーリム博士は、困惑の表情を浮かべていた。
「なんでこんな状況になってるかは知らねぇけど、何庇おうとしてるんだよ!?まともに攻撃喰らったらどうなるかなんて、アンタの方が良くわかってるはずだろうが・・・!」
「だが、それではコライドンがやられてしまうだろう!」
「それで死んだら世話ねぇだろ!!」
「それで死んでも本望だッ!!」
「・・・・・・アンタ、アンタって人間は・・・。」
オーリム博士の返答を聞いたヒルフは、愕然として白衣から手を離す。だがそんな隙を見逃すはずもなく、非情な古代の龍のは凄まじいスピードで近づいていき・・・。
「アギャアスッ!!」
その間に立ち塞がるようにコライドンが威嚇する。その声を聞いて我に帰ったヒルフは、咄嗟に懐から新たなモンスターボールを取り出して指示を出す。
「バンギラス、吹っ飛ばせ!『ドラゴンテール』だ!!」
「ギイィラアァッ!!」
「グルォ!?」
飛び出たと同時に流れるような動きで放たれた『ドラゴンテール』は見事に命中、効果抜群なのもあってかあまりの衝撃にコライドンは大きく飛ばされた。
「・・・・・・
「・・・結論は変わらないと言ったはず—。」
「ペパー。」
その名前を口にした瞬間、オーリム博士の息が詰まった。そのまま遮るように俺は話を続ける。
「口にはしてないけど、寂しがってます。オラチフ・・・今はもうマフィティフですけど、アイツが一緒にいるから大丈夫って話じゃ済まないんですよ。アンタが、オーリム博士がいないっていうことに変わりはないんです。」
「・・・だが、私は楽園を・・・。」
「その楽園はアンタ達親子がいなきゃ、アンタが望んだ楽園足りえない!違いますかッ!!」
「む、ぐっ・・・。」
「・・・オーリム
—これ以上アンタの家族に寂しい思いをさせないでやってくれ。
そう言い切る前に、バンギラスの巨体が俺の後ろに堕ちてきた。誰がやったのかは確認するまでもない。
「・・・こうなりゃ総力戦だ。オマエら、出てこい!」
残りのモンスターボール4つ全てを投げる。出てきたのはオトシドリ、マスカーニャ、オーロンゲ、そしてブラッキーだ。
4体のポケモンとヒルフは、
「オトシドリ、『がんせきふうじ』!」
「ストォォォック!」
鳥ポケモンでありながら岩技を得意とするオトシドリの『がんせきふうじ』がコライドンを襲うも、関係ないと言わんばかりに突っ込んでくる。だが、この攻撃でコライドンのスピードが落ちたのは確かだ。
「ブラッキー、『サイコキネシス』!マスカーニャは『リーフストーム』だ!!」
「ブラ!」
「ニャアァッ!!」
『サイコキネシス』は素早さの下がったコライドンの動きを完全に捉え、『リーフストーム』は更に動きを封じられたコライドンにクリーンヒットする。ドラゴンタイプを持つため効果はいまひとつのようだが、急所には当たったようだ。
「グルルゥオオォォォンッ!!」
「っ!オーロンゲ、『リフレクター』ッ!」
まるで大型バイクの様な叫びを放ったコライドンは跳び上がり、身体を丸め始める。それを見たヒルフはすかさずオーロンゲに『リフレクター』を指示するが・・・。
「オ、オォ・・・オロッ!?」
「り、リフレクターの上から一撃!?オーロンゲ、すまない・・・!」
物理攻撃に対して強いリフレクターであったが、それ以上にコライドンの技・アクセルブレイクは強力だったのだろう。オーロンゲもバンギラスと同じよう一撃で倒されてしまった。
「グルルゥオォ!!」
「ニャ!?」
「まずっ、『ローキック』!」
勢い止まることなく、マスカーニャに襲い掛かるコライドン。それに対しヒルフは『ローキック』を指示するが、ヒルフのマスカーニャは『ローキック』を覚えていない。残っているオトシドリやブラッキーもその技は使えない。
故に、その指示を出されて動いたのは。
「エーッ、クス!!」
「グル!?・・・ルォ!!」
最初の『ふいうち』以降、影を潜ませていたエクスレッグだ。しかし、コライドンはすぐさま反撃に移り、『ギガインパクト』をエクスレッグ目掛けて放った。
「レ!?」
「・・・よく頑張った、ゆっくり休め。」
耐久が高くないのもあって、一撃でやられたエクスレッグをボールに戻す。残るはオトシドリとブラッキー、マスカーニャの3体。苦しい戦いになるかと思われたが、ヒルフの足に何かが転がってくる。
「?・・・これは。」
「気をつけろ、そのポケモンは特に気性が荒い。繰り出すタイミングは見極めろ。」
「
『タイムマシンで古代のポケモンを捕まえる、か。いやぁ、想像以上に科学って進歩してるもんですねぇ。まぁ、結晶のおかげなんでズルみたいなもんですけど。』
その男はとりわけ優秀というわけでもないが、無能というわけでもない。器用貧乏と言えばそれまでだが、その多角的な才能を持ちながらこの研究についてこれたのは評価している。そのためか、彼には人一倍多く雑務をこなさせた記憶がある。
『うん?なんでこの話受けたか、ですか?・・・まぁ、色々あるっちゃありますけど、今は博士の姿勢ですかね。夢にために一直線に頑張れる人ってのは見てて気持ちがいいんですよ。だからですかね?アカデミーの宝探しが今も続いてるのは。』
そうだ、そんな会話をしたこともあった。確か最後に『ま、俺の場合何か一つに熱中することが苦手だからかもしれないですけどね!』なんて締めていたか。
確かにこの男は一つの事だけに熱中することはないのだろう。
「ブラッキー、よく耐えた!オトシドリの『おきみやげ』が効いたな。・・・マスカーニャ、『トリックフラワー』!最後の一押しだ!!」
「ニャアァァ・・・!」
ただ、この男が本気になって何か一つに熱中する事はある。
「ここだッ!行ってこい!!」
それは決まって、誰かのためだ。
後半と言ったな、アレは嘘だ(配分ミス)。というわけで、この話はもうちっとだけ続くんじゃ。次回エピローグにして完結予定。