誤字脱字は親友だけど直すから見つけたら気軽におしえてください。
読んだ後の苦情・他の方が見て不快になるようなコメントは御遠慮ください。
たまに作者がやってるゲームがひょっこりはんすることもあるけど、生暖かい目で見てね。
転生した、ペルソナ5に。ペルソナ5に。大事なことなので2回言いました。転生したと自覚したのは小学校の時、頭を打った。風船が割れたかのような音の後、頭に詰め込まれる前世の記憶。痛みと見知らぬ記憶を詰め込まれた衝撃で見事気絶した私は、夢の中で今世の自我と前世の自我が合体進化した結果、小学生ながらに大人びた子供となった。まだ無垢な今世の私に、前世の私の思考回路や思想がそのまま定着したような、筆舌に尽くし難い感覚だ。
頭を打ってることを知ってる両親はショックで何か頭に悪影響があったのではないかと心配していたが、私は正気だ。頭もおかしくなってないし、検査も一応したが何の異常もなかった。前世で知識がなかったら私ももっと混乱したのだろうが、残念というべきか幸いというべきか、私はオタクで転生系には理解があるし、前世ではこういう転生系の作品が流行っていたこともあって割とすんなり受け入れた。サンキュー前世の作家・物書き諸兄。
さて、ここがペルソナ5の世界だと言ったが、もしかしてそうでは?と思ったのがビッグバンバーガーだった。
「今日はお昼作る気力ないからこれで勘弁して……」
と、母親に渡された紙袋のロゴにビッグバンバーガーと書かれていたのだ。○ックに勝るとも劣らない、チープで濃い味。とても美味しかったです。
てっきり前世と同じ世界に転生したと思っていた私は、あれ?マ○クじゃないの?と疑問に思い、父親に頼んでパソコンを使わせてもらい、調べた。
ビッグバンバーガー、オクムラフーズの系列店。現社長は奥村邦和。
ンンンンン、なんか覚えがありますなぁ?ふむと考え、思いついた単語をポチポチと検索すると、該当記事が出てくる。
秀尽学園、該当記事あり
鴨志田卓、該当記事あり
斑目一流斎、該当記事あり
獅童正義、該当記事あり
心の怪盗団、該当記事なし
ふむふむ、なるほど。つまりペルソナ5だね、わかるとも。しかもまだ心の怪盗団がない、今の西暦から見ても原作より過去だ。
なるほど……なるほど?というかこの世界はアニメ版とゲーム版ペルソナ5とペルソナ5R、どれだ。特にRかどうかは重要だぞ、登場人物もイベントも追加されてるからな。
とりあえず検索履歴は消しといた。やましいことはないけど、なんとなく。変わりに『ハゲ 治し方』と検索して偽装しておいた。父親に流れ弾が当たったが、最近十円ハゲがどうのこうの言ってたので。
原作のことを忘れないようにノートにでも書こうかと思ったけど、やめた。見られた時のリスクが高すぎる、うちは部屋の主に断りもなく部屋に入り入られがよくあるので親にでも見られた時が恐ろしい。ほら、親って掃除だとか言って勝手に部屋に入ったり、勝手にノートとか見る人もいるから……(実体験)
まあもう1つの理由としては、前世のことは忘れない気がしたのだ。感覚なのでなんとも言い難いが、例えるならそう……今世の昨日の晩ご飯は思い出せないけど、前世の死ぬ前日の晩ご飯は思い出せるというか。ちなみに和風ハンバーグでした、美味しかったです。今世の記憶が水なのだとしたら、前世の記憶は大理石の柱だ。私の心の中心にデンと置かれてて、支柱となっている。
その平凡ながら幸福な記憶は確かに、私の支えとなっていた。
◇
月日は流れて中学生になった。私は宇宙を背負う猫になっていた。原因は隣の席。
「明智吾郎。よろしく、お隣さん」
「……木村です、よろしく」
なーーーーーにが悲しくて明智の隣に座らなきゃいけないんだ!!悲しいかな、名前順です!!え、なんで貴方中学生なんです??私と同い年?what??
いや、好きですよ。推しですよ?ペルソナ5のキャラクターは皆好きだが、あえて1人選ぶなら主人公と明智だ。え、2人だって?しょうがないだろどっちも同じくらい好きで1人に選べんわい!!
しかしそこで恋する乙女や推し活するオタクになれないのが明智クオリティ、何故って人殺しだからだ。二次元だから推せた、同じ次元の人間としてはちょっと関わりたくない、それが高校生の明智吾郎という人間。
しかし今明智は中学生、まさか入学して間もない今の時期に人を殺してはいないだろう、つまり?
_人人人人人_
>推せる!!<
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
おーいおいおい、涙がチョチョギレますよ。オタクにとっては推し活は生命線、しなくては生きていけないもの。なんの後ろめたさもなく推せるなんて幸運だ!!いやまあ、明智が殺人をしなかったら高校生だろうと推すんだけども。
いや待てよ?もしかしたらこれ、いわゆる救済ができるのでは?明智が獅童の駒になるのを防ぐのは恐らく無理だ、憎悪が強すぎる。だが、殺人を防ぐことはできるのでは?甘い考えかなぁ、でも推しに人殺しになってほしくない。そのためにはある程度明智と親しくなること、そして明智にくっついて認知世界に行くことが必要だ。
………あれ、難易度高いな?明智は整った顔、優しげな表情、穏やかな言葉遣いだが、その本性は控えめに言って性格悪い。父親への承認欲求と憎悪が強く、優しげな表の顔は嘘に塗れている。そんな明智と、親しく……?え、無理じゃない?いけるビジョンが全く見えない。
檀上で担任の先生らしき男性が今後の予定について話しているが、そんなものより隣のあの子だ。どうすべきか、そもそも明智に友達いたか?ぼっちというイメージはないが、かといって本心から親しくしている友達はいなさそう(偏見)
というかそういう友達がいないけど、主人公が初めて本心から親しくしたかった男だった、とかだったら私の命がたすかる。主人公と明智はキャラも関係性も好きだ。萌えは健康にいいし、いずれ万病に効く万能薬になる。なので私の目標は明智生存ルートである、シャッターなんかで終わらせはしない。いや、主人公と明智はあの終わりなのが一番の萌えである、という意見もわかる、わかるがどうしても明智生存ルートが欲しい。
何周しても明智生存ルートがないと知って枕を濡らした夜は数知れず。割とガチで絶望したし、明智が死ぬのが辛くてP5Rができなくなった時期もあった。
でも、やっぱりどうしても生きてる明智に会いたくて、主人公と明智が絆を育んでいるところが見たくて、何周もした。
あの結末は明智の自業自得と言う人もいるだろう。他人を害して、殺しまでしておいて、生存ルートなんて何を言っているんだ貴様と言われるかもしれない。
それでも私は、明智の生存ルートを最後まで諦めたくない。ワガママだろうと、それを押し通したい。
今後の予定も配布するプリントも終わって、自己紹介をしようという流れになったらしい。名字故に最初に自己紹介をする明智は、少し緊張したように、はにかみながら名前と趣味を語る。これも演技なんだろうか。
次々と自己紹介を終えて、とうとう私の番。自己紹介、はっきりいって得意ではない。が、どうやら最低限名前と趣味を言えばいいらしいのでマシな方か……趣味…読書って言っておけばいいか。嘘ではない。趣味というほどではないが、読みはする。
「木村蜜柑、趣味は読書です。これからよろしくお願いします」
緊張で顔は強ばっているが、澱みなく言えた。ホッとしながら席につく。その後も自己紹介はつつがなく終わり、担任のじゃあまた明日!の声と共に解散の流れになった。皆が帰ろうと席を立つ。当然、明智も帰ろうとする。
推しだから。大好きだから。どうにかできないかと考え、それでもいい案が思い浮かばず、気づけば帰る時間になっていた。周りは立ち上がってそれぞれ帰る。中にはさっそく仲良くなった子と帰る生徒もいる。
私は焦った。仲良くなるって、どうやって。
あれ、友達って、どうやって作るんだっけ。
わからなくなって、でも明智は今にも帰りそうになってて、混乱した私は。
「明智くん」
「うん?」
「一緒に帰りませんか」
「ごめんね、用事があるから」
断られた。デスヨネ。そりゃ入学初日に異性に1対1で一緒に帰ろうとか、警戒されますよね。私だって断るわ。
「そっか、残念」と言って、1人寂しく帰ることにする。泣いてないやい。
◇
「明智くん、一緒に帰りませんか!」
「ごめんね」
「わかりました!」
桜も散ってそろそろ夏に差し掛かる頃。
私の明智くん一緒に帰りませんかチャレンジは1度の成功もないまま、継続していた。最初は申し訳なさそうにしながら断っていた明智も、最近は心做しか断り方が雑になってきた気がする。もう断る理由も言ってないもんな。
周りからの視線は生温い。クラスメイトからは『明智に一目惚れした木村が猛アタックしてる』と認識されている。推しという意味で惚れてはいるが、恋愛ではないんだよなぁ!
夏が過ぎて、秋。いつも通り明智くん一緒に帰りませんかチャレンジに敗北して、ちょうど通りかかった先生にノートを運ぶのを手伝わされた。そうだ、たまには図書室に寄ってから帰ろうかな。なんか小説を借りていこうと思い至って下駄箱に向けていた足を図書室に変更。
できるだけ静かに開けようと図書室の扉をそーっと開けると、図書室の中が見えた。図書室には図書委員らしき生徒と、何人かの読書中の生徒、そして。
「明智くん…?」
明智がいた。真剣な表情で、シャーペンを持ってカリカリと何かを書いている。たまに本をじっと眺めて、また机に向く。勉強だろうか。
そっか、図書室で勉強していたんだ。いつもここで勉強しているんだろうか、だったら悪いことしたな。毎日毎日一緒に帰ろうと言って、困らせた。推しを困らせるとか万死なのでは〜?自分の今までの行動を省みて、ただの迷惑ファンであると気づく。
そっと図書室の扉を閉めて、そのまま帰路に着く。ごめんなさい、明智くん。私は1人のオタクとして推し方を間違えました。もう迷惑はかけません、本当にごめんなさい。
◇
という訳で翌日から明智に一緒に帰ろうと声をかけるのをやめた。そうなると当初の明智と親しくなろう作戦がご破算になるのだが、どうするかは未定だ。これから考えよう、好感度マイナスからプラスに持ってく方法。
3日経ち、さて授業も終わったし帰ろうかとガタッと席を立つと、隣の席から声をかけられた。
「木村さん、ちょっといいかな?」
「えっ、明智くん?」
話しかけてきたのは明智だった。今まで明智から話しかけられたことはなく、当然の如く戸惑ってしまう。えっ私何かやらかしました……?座っていた明智は立ち上がり、教科書類を鞄に仕舞うと私に向き直った。
「一緒に帰らないかい?」
「えっ」
今日が命日か?