| 枠番 | 馬番 | 馬名 | 人気 | オッズ |
| 1 | 1 | ボストンキコウシ | 12 | 154.5 |
|---|---|---|---|---|
| 2 | 2 | メジロパーマー | 3 | 5.9 |
| 2 | 3 | マルトラック | 14 | 331.4 |
| 3 | 4 | キザノハヤテ | 2 | 2.7 |
| 3 | 5 | オースミロッチ | 4 | 19.6 |
| 4 | 6 | メイショウビトリア | 8 | 37.9 |
| 4 | 7 | タニノボレロ | 6 | 24.5 |
| 5 | 8 | コウエイダッシュ | 7 | 32.4 |
| 5 | 9 | グレートロングラン | 13 | 261.4 |
| 6 | 10 | ヒシマサル | 1 | 2.2 |
| 6 | 11 | ニシノブルース | 11 | 82.5 |
| 7 | 12 | タイイーグル | 10 | 75 |
| 6 | 11 | エリモパサー | 5 | 24.2 |
| 8 | 14 | アローガンテ | 9 | 70.3 |
| 8 | 15 | エイシンウイン | 15 | 446.2 |
「いいか澤山、レース間隔はギリギリなんだ。絶対に、無理させるんじゃないぞ。あくまで目標は菊花賞だからな」
「はい。今回は皐月みたいな強引な競馬にはしないつもりです」
「うん、それがいい。勝てるに越したことはないが、別に賞金不足で足切りされるなんてこともないんだし、何よりまずは無事に帰ってきて次に繋げられるようにな」
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僕が気付いたのはレース直前のパドックのことであった。
「ひん?(あれ?)」
ブルボン、いなくね?
まん丸のパドックだから前後1、2頭のゼッケンの確認がしづらいのだけど、あの栗毛でムキムキなブルボンらしき馬がいないのはわかる。
というか一頭も見たことのある馬がいない気がする。メジロパーマーというウマ娘に実装済みのお馬さんこそいるものの、馬としては初対面。
ブルボンとライスの出た菊花賞前哨戦は京都レース場だったと思ったんだけど、まさか……記憶違いだった!?
うわぁやらかしちまった!!
「おぉっ、どうどう、久しぶりのレースで緊張したか?」
パドックを一緒に回る宮尾君が引綱を引っ張って僕を落ち着かせる。
ぐぬぬ、やらかしてしまったのは仕方ない。
元々、前哨戦では勝負できないだろうなと思ってたんだ。
運よくプラスになったかと思ったけど、それがゼロだっただけ。マイナスの事態ではないからセーフセーフ、ノーダメージだ(精神的には大ダメージ)。
「うーん、今日はまた一段と発汗してるっすねぇ。「とまーれー」おっと、止まって止まって」
しかしこれでいよいよ後戻りできないというか、残された歴史改変のチャンスが菊花賞だけになってしまったぞ。
ダービー回避してしまった時点で半ばわかっていたこととはいえ……だからこそ、春シーズンはもっと上手く立ち回れたんじゃないかと後悔がつのる。
いや、終わったことを後悔してもしょうがないんだけど、こればっかりはどうにも性分なのか考えずにいられない。
「ハヤテ、久しぶりのレース頑張ろうな」
澤山さんがいつものように僕に一声かけ、僕の背中に跨る。
むむぅ、色々と思うところはあるけどそれはひとまず置いといて。
目の前の復帰戦に集中するとしますか……!
地下馬道を通ってターフへ移動する。
その間に今回の出走メンバーを振り返っておこう。
このレースに出走しているお馬さんとは全員初対面だと思われるのだけど、どうやらこのレースはメジロパーマー号(2歳年上)が出走していることからわかるように、年上のお馬さんも出ているようだ……っていうか1頭を除いてみんな年上っぽい気がする?
唯一同世代かなぁっていうお馬さんも、同世代で強い馬なら皐月賞で一緒に走っているはずだから初対面なのはおかしいし、なんかめっちゃ強そうに見えるから若作りなだけなのかもしれない。
僕の馬の本能だと、その若作り(仮)さんが今回一番気を付けるべき馬になりそう。
ウマ娘にもなっているメジロパーマーはその若作りなお馬さんには見劣りするような気がする。
でも確か史実だと宝塚記念を勝ったタイミングじゃないか、コレ?
えーと、ライスが出走する最初の有馬での優勝馬がパーマーだったはずで、パーマーはグランプリ春秋連覇してたはずだから……うん、つい数か月前に宝塚記念を勝っているはず。つまり今がちょうど勢いに乗っている時期。
見劣りするからと言って油断していい相手ではない。
地下馬道を抜けるとスタンド横に出る。
おぉ、池だ。コースの真ん中にでっかい池が見える。
京都競馬場はライスと関わりが深い競馬場というだけあって、前世で旅行計画を立てようかと思っていたくらいには色々調べていた(結局仕事が忙しくて旅行しにはいかなかったけど)ので、情報として円形パドックやコース真ん中に池があることは知っていた。
それでもこうして自分の目で見るとちょっと感動するものがある。
池を横目に見つつ軽く返し馬をしてスタート場所へ。
しばらく輪乗りをしているうちにいよいよゲート入りに。ゲート内に誘導された後はじっとスタートを待つ。
ガチャン!
「よし」
約半年ぶりのレースでもスタートは抜群に決まった。澤山さんからもお褒めの一言。もっと褒めてくれてもいいんですよ!
さて、スタート時点では真っ先にゲートを飛び出せたけど、そこからメジロパーマーが強めに追って先頭を奪取していく。澤山さんはこれには追随せず静観の構え。今回も番手で勝負するつもりらしい。
なお、僕のすぐ外側からスタートしたお隣さんも番手で勝負するようだ。でも残念でした、内側は譲らないぜ!
スタンド前を通り過ぎて最初のコーナーへ入っていく。
先頭はパーマー。1.5馬身程の差で僕とお隣さん。その後ろもそれほど間を置かずに馬群は一塊になっている。
うぅむ、同世代しかいなかった皐月賞やスプリングステークスから考えるとこのペースに皆ついていけてるのはちょっと驚きだ。もっと馬群がばらけそうなものなのに。
やっぱり年上のお馬さんたちもただ年齢を重ねたわけじゃないってのがよく分かるな。
なお、今回一番強そうに見えた若作り(仮)さんは馬群の結構後方にいる。差し追込み馬なのかな?
さてそんなことを考えているうちにコーナーを回り終わって向こう正面に入ったわけだが……おおぅ、坂が見える。
中山競馬場や東京競馬場の最終直線にある坂よりもっと大きく見えるぞ。あれが噂に聞く淀の坂か。真正面から見るとさながら壁だな。
レースは進行していよいよその坂へと突っ込んでいく。
いくけど……うん? 見た目ほどきつくない、かも。少なくとも中山より楽な気がする。勾配が緩いのかな? はっ、若しくは僕の鍛錬の成果!?
今の体力ならこっからスパートかけてもゴールまで持ちそう。さぁ澤山さん、スパートの指示を!
「……」
えぇっと、あのあの、スパートはまだですかね?
いやまぁ体力が持つかどうかなんてホントに走ってみないと本当のことは言えないから、そこは素人考えの僕より経験豊富な澤山さんの判断で行きたいところなんですが。
あっ、そうこうしているうちにお隣さんが位置取り上げ始めた。パーマーのすぐ外を回ろうとしている。
間に入るのは厳しそう。なので、僕は前がパーマー、右横は内ラチ、左斜め前がお隣さんに塞がれてしまうような形に。
これは、やばくないか?
「む、流石にちょっと不味ったか」
僕とほぼ同時に澤山さんもこの状況に気付いた模様。
だよね、これじゃスパートしたくてもできないじゃん!
後ろに一度下がろうにも後ろにも後続馬が差を置かずに追走してきているから身動きが取れない。完全に囲まれてしまっている。
そうこうしているうちにお隣さんはパーマーに並んでいく。このお隣さんの後に続いて外から抜かせばいいのだろうか?
馬群は最終コーナーへと入っていく。
と、ここでパーマーが若干膨らんで内側に少しスペースができた。
「! ここだっ」
それに目ざとく気付いた澤山さんが内に向かってスパート指示。
エッ内なの!? コーナーで内に寄せるのキツイんだけど!!
それでも何とか内側へ寄せ、ちょうど内ラチのない区間に入ったこともあって内側からパーマーに並び、そして追い抜かす。
しかし先に動いたお隣さんはさらに先を行く。
くっそ、追いつけるか!?
あとはもう200mくらい。しかしその差は2馬身程。
ぐんぐん差は詰まるものの、それ以上に速くゴール板が近づいてくる。
もう少し、あともう少し僕にスピードがあれば!
結局、並びかけようとしたその瞬間、ゴール板前を通過した。
「あー、届かなかったか。まぁ古馬相手の復帰戦でクビ差2着なら十分だろう。まだ余力はありそうだし、これなら菊で勝てる、うん、勝てるぞ……!」
ゴール板を通り過ぎて減速していく中で澤山さんがブツブツと呟いている。
うぅむ、菊花賞で勝てそうってことは朗報だけど……
今回はなんか不完全燃焼!!
1992年10月11日11R 京都大賞典 芝右外2400m、曇、良馬場 15頭立て
1着 オースミロッチ R 2:24.7
2着 キザノハヤテ 2:24.7
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京都大賞典レース後コメント
2着キザノハヤテ(澤山騎手・美穂・羽田厩舎)
1着は逃したものの、復帰戦としては及第点だと思う。京都競馬場にも、長距離にも、十分適応できそうな感じがある。
菊花賞はポンポン更新予定
次回更新は来週水曜で、次々回更新は金曜で、そっからしばらく毎日更新……できたらいいな