| 枠番 | 馬番 | 馬名 | 人気 | オッズ |
| 1 | 1 | ヤマニンミラクル | 6 | 28.6 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | メイキングテシオ | 7 | 31.8 |
| 2 | 3 | サンキンタツマー | 15 | 95.1 |
| 2 | 4 | メイショウセントロ | 18 | 137.5 |
| 3 | 5 | ワカサファイヤー | 11 | 68.3 |
| 3 | 6 | グラールストーン | 10 | 50.3 |
| 4 | 7 | ミホノブルボン | 1 | 1.7 |
| 4 | 8 | ライスシャワー | 3 | 10.7 |
| 5 | 9 | ランディーバーン | 16 | 106.9 |
| 5 | 10 | マチカネタンホイザ | 4 | 16.8 |
| 6 | 11 | ヘヴンリーヴォイス | 17 | 116.7 |
| 6 | 12 | キョウエイボーガン | 12 | 72.8 |
| 7 | 13 | ヤングライジン | 13 | 76.2 |
| 7 | 14 | バンブーゲネシス | 8 | 34.0 |
| 7 | 15 | セキテイリュウオー | 14 | 85.1 |
| 8 | 17 | キザノハヤテ | 2 | 4.1 |
| 8 | 16 | スーパーソブリン | 5 | 26.0 |
| 8 | 18 | ダイイチジョイフル | 9 | 35.8 |
皐月賞の時も人が多いと思ったけど、今日はあの時を上回る人出の多さだった。
人が多いだけでなく、大多数がある一つのことを願うような、偏った熱気も感じる。
毎度恒例のパドック。
相変わらずミホノブルボンは強そうだ。しかし、スプリングステークスや皐月賞で見た時のような、圧倒的な強さではなくなっていた。
ブルボンに追いつけ追い越せと、僕含め他の馬の実力も上がってきているのだ。
特にライスと、何気にマチタンもかなり仕上がってきているように見える。2頭とも最後に差し切るだけの筋肉をつけてきていた。
なるほどこれは、なかなかに厳しい戦いになりそうだ。
……うん。
手段は問わない。
ライスを心無い非難から守るために。悲劇の運命から救うために。可哀そうと言わせないために。
僕が勝ってみせる。
──・──・──
「生島さん、僕はぶっ叩いて逃げますから……」
俺がその言葉を聞いてしまったのは偶然だった。
キョウエイボーガンの増永騎手が、ミホノブルボンの生島騎手に向けて、悲壮感と決意がないまぜになった様子で逃げ宣言していた。
キョウエイボーガンは菊花賞に出馬すると発表した時から逃げ宣言を行っていた。それを改めてやっていただけといえばそれだけなのだが。
(先輩の無敗三冠がかかってるんだもんな)
彼らは同じ栗東所属で、かつキョウエイボーガンに乗る増永はまだまだ若手(とはいえ俺とは違ってGⅠを勝ったことがあるのだが)。
キョウエイボーガンの勝ち筋は成績からして逃げ切りしかない。菊花賞でも逃げるのは当然の流れだ。
しかしそれはつまり、先輩が乗るミホノブルボンの逃げを邪魔することに他ならない。同じ栗東所属同士で潰しあう展開になりかねないのだ。
増永は何とかそれを避けたいのだろう。それがさっきの発言の真意だ。
ぶっ叩いて、大逃げする。ミホノブルボンの遥か前方に逃げてしまえば、潰しあうことにはならないだろうとの願望が透けて見える。
そんなことに配慮しなければならないほど、世間はミホノブルボンの三冠を望んでいる。
この熱狂の一因は恐らく、昨年の夢を今年に重ねている人がいるのだろう。無敗二冠後のケガで菊花賞を回避せざるを得なかったトウカイテイオー。対して、今年の無敗二冠馬ミホノブルボンは、菊花賞に挑むところまでこぎつけた。
もし仮にブルボンの三冠を阻むものが現れたら、きっとブーイングを飛ばす人がいるだろう。
「ふぅー、でも俺は、俺たちの競馬をするだけだ」
例えブーイングを受けようとも、俺たちが狙うのは勝利ただ一つ。
やることはいたって単純だ。逃げるミホノブルボンに追走して、最後の直線で抜き去る。
何度も何度もイメージトレーニングした。夢に見るほどまでに。
差し切れなかった夢もあれば、軽々と1着になった夢もあった。
今朝は僅差で勝てた夢だった。きっとこれは正夢になる。
問題となりそうなのは、同じ戦法を取るだろう馬がいること。
最もミホノブルボンを抜くのに適したポジション争いが発生すると思われる。
そこで生きてくるのがハヤテのスタートダッシュだ。大外枠になったことが気がかりといえば気がかりだが、スタートダッシュに秀でたハヤテならそれでもなお主導権を握りに行けるだろう。
スタートで有利なポジションを確保し、逃げるキョウエイボーガンとミホノブルボンの後ろに付ける。それさえ上手く出来れば、ハヤテの優勝は難しくない。
「大丈夫、俺たちなら、ハヤテとなら、勝てる……!」
──・──・──
騎手乗り込みの時間となり、澤山さんが「よろしくな、ハヤテ」と言って僕に乗り込む。少なからず緊張しているようではあるが、皐月賞の時のように集中力につながる適度な緊張だと思う。
今日は先行策で行くと聞いている。
ブルボンとキョウエイボーガンって馬が先頭を取り合うだろうから、その2番手3番手につけ、最終直線でブルボンを差し切って勝つ。一昨日、僕の馬房の前でわざわざ僕にも説明しながら作戦会議してたからな。羽田さんや澤山さんのやりたいことはよくわかっている。
……ごめん、それじゃ勝てないよ。
──・──・──
今日のハヤテは絶好調だ。
静かに闘志を燃やしているのが乗っている俺にまで伝わってくる。
遂にゲート入りとなった。
「行くぞ、ハヤテ」
全頭がゲートに収まり。
そしてゲートが開く。
俺が手綱を操作すると同時かそれより早く、暴力的な加速力が俺に襲い掛かる。
「っ良し!」
これまでにないほどの素晴らしいスタート!
あとは逃げるであろうキョウエイボーガンと、ミホノブルボンの後ろに……
後ろに……?
後ろの様子を窺う。
キョウエイボーガンが必死に俺たちに追いつこうとしているところだった。
ミホノブルボンは、さらにその後ろ。
馬群はもっと後ろ。
俺とハヤテは、先頭をつっ走っていた。
──・──・──
『第53回菊花賞。ゲートに全頭収まって……スタートしました』
『18頭が第3コーナーに向かいます。最初に飛び出たのはミホノブルボンとキザノハヤテ、ですがキョウエイボーガンが前に……』
『おっとキザノハヤテ中々譲らない! 逃げる逃げる! キザノハヤテ鞍上澤山が手綱を引いているがこれはかかってしまったか!?』
明日も更新、というかここからクラシック編が終わるまでノンストップで毎日更新予定。
しばらく感想を返信しないorそもそも見ないつもりなのでどうぞ遠慮なく思いの丈をぶつけておいてください。
次回、菊花賞で勝つために出来ること