新潟大賞典出馬表
| 枠番 | 馬番 | 馬名 | 人気 | オッズ |
| 1 | 1 | カリブソング | 6 | 18.7 |
|---|---|---|---|---|
| 2 | 2 | ハシノケンシロウ | 7 | 19.6 |
| 2 | 3 | セキテイリュウオー | 2 | 3.3 |
| 3 | 4 | キザノハヤテ | 1 | 2.6 |
| 3 | 4 | ニックテイオー | 13 | 143.9 |
| 4 | 5 | シャコーグレイド | 4 | 8.3 |
| 4 | 6 | ミヤシロテュードオ | 15 | 265.7 |
| 5 | 7 | シャンソニエール | 12 | 66.9 |
| 5 | 8 | ツインターボ | 3 | 7.7 |
| 6 | 9 | ホワイトアクセル | 9 | 43.6 |
| 6 | 10 | ナリタチカラ | 5 | 15.4 |
| 7 | 11 | ストロングカイザー | 11 | 45.4 |
| 7 | 12 | ツルマイナス | 10 | 45.1 |
| 8 | 13 | ハヤノキック | 14 | 155.5 |
| 8 | 14 | アローガンテ | 8 | 38.3 |
気が付けばいつの間にやらレース当日。
そして久々にやってまいりました新潟競馬場。
ここにくるのは未勝利戦以来かな?
今回走る新潟大賞典はGⅢの、芝2200mのハンデキャップ競争。
このハンデキャップ競争っていうのが、羽田さんの言っていたハンデ走のことだ。
澤山さんや羽田さんの会話を盗み聞きして、なんとなぁく分かったことなのだけど、どうにもGⅠを勝つような強い馬がザコ狩りするのを防ぐための措置があるみたい。
その一つがこのハンデキャップ競争で、強い馬ほど重たいものを背負って走らないといけないのだ。
これまでの競争成績や、今回一緒に走る相手との力関係。それらを総合的に勘案して、背負うべき斤量(騎手の体重込みの重さ)が決められる。
今回、僕は出走メンバーの中でトップタイの重い斤量を背負わされる。その重さ60㎏。これまでで一番重かったのは57kgらしいので、約5%の増量だな。
たかが5%、されど5%だ。
レース前に何度かこの本番と同じような重さになるように装備を付けられて澤山さんとトレーニングしたけど、今の僕が、この重さを背負って走るのはかなりキツかった。
しかもこの背負う重さは僕以外の馬はもっと軽いわけでしょ? むぅ、このハンデ戦ってのは一筋縄ではいかなさそうだ。
羽田さんは「今回は勝つことは二の次でいい。目標は宝塚だ」ってなことを澤山さんに何度も言ってた。羽田さんも今回が厳しいレースになると思っているようだ。
さてそんな厳しいレースになるであろう対戦相手たちをパドックでいつも通り確認していく。
ふむふむ……まぁブルボンやライスと比べれば今回のメンバーは小粒ぞろいだな。いや、GⅠ馬と見比べるのは酷か。
一応名前も一通り確認しておこう。まぁGⅢにはウマ娘実装組はそうそういないだろうし、一緒に走ったことがある同世代がいるくらいだろうけど。
……と思っていたのだけど。
いましたよウマ娘実装組。
ツインターボ師匠である。
思わず嘶きかけたけどこらえた。ゼッケンの名前見てびっくりしちゃった。
そっか、ツインターボってトウカイテイオーと同世代だもんな。つまり僕とは1個違いだから、かちあう可能性は十分あったんだな……今の今まで失念してたぜ。
しかしそれを意識して改めて見ても、やっぱり見た目はそんな強くなさそうな感じ? これでライスに勝てるとはまだちょっと思えない、かな。
史実だと確かこの秋にアニメ2期でもやった例のオールカマーがあるんだよな? 夏の間に覚醒したりするんだろうか。
そんなことを考えているうちに騎手乗り込みの時間になり、澤山さんがやってくる。
「今日もよろしくな……ハヤテって逃げ馬がわかったりするのか? 今日は頑張ってアイツに追走するぞ」
どうやら今回はそのターボ師匠を追走する模様。
いつも通りの番手に控えての先行抜け出しってわけだ。わかりやすい作戦でいいね。
さて……うぐっ、やっぱり重い。
僕に乗り込んだ澤山さんの重さは去年のレースと数キロしか変わってないはずなんだけど、それでも重いもんは重い。
ハンデ戦ってよく考えられたシステムだ。これなら勝利から遠のいている馬にもチャンスがあるだろうし、そっから調子を上げてデカいレースに挑戦だってできる。今の僕にとっては逆風以外の何物でもないけど。
「頑張って、帰ってくるからな」
澤山さんは何か感じ取ったのかだいぶ弱気。
まぁ僕自身調子が良くない自覚はある。下手すると去年のどのレースよりも「勝てる!」って確信がない。周りの力量を見渡した後でさえ、勝てるかどうかは半々ないくらいかなと予想している。
それとなんというか、こう、心の奥底から湧き上がってくる力がないというか。
むむぅ、レースで走るからには勝ちたい。勝ちたいけど……何だろうかこの感覚は。空気を入れようとしたタイヤに穴が開いているような、そんな感じ。
なにはともあれ菊花賞以来のレースだ、走ってくるとしよう。
──・──・──・──
『スタートしました! さぁハナを奪っていくのはツインターボ。快調に飛ばしていきます』
『一番人気のキザノハヤテはこの位置。中団から全体を見渡します』
『向こう正面に入って先頭はツインターボ。続いて──……』
『……──キザノハヤテまたちょっと位置取りが下がったか。現在最後方から4頭目』
『さぁ最終コーナーまわってハシノケンシロウが上がってきた! シャコーグレイド、ナリタチカラも来たぞ!』
『3頭並んで大接戦ドゴーン!』
──・──・──・──
ハァ、ハァ。
苦しい。
息が詰まる。
全身が重い。
足を止めてしまいたい。
こんなに、こんなにも。
走れなくなっているだなんて。
澤山さん、羽田さん、滝澤さん。ごめん。
ライス、キミともう一度、戦いたかった。
キザノハヤテ
1993年5月16日11R 新潟大賞典 芝右外2200m、晴、良馬場 15頭立て
1着 ハシノケンシロウ 2:13.6
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8着 ツインターボ 2:14.4
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15着 キザノハヤテ 2:17.2
新潟大賞典レース後コメント
15着 キザノハヤテ(澤山騎手・美穂・羽田厩舎)
調整不足だったことは否めない。次戦までになんとかしていきたい。
自分で書いておきながら主人公がこんな負け続けていいのかと自問する筆者