あとランキングにACの二次創作が増えてきましたね。私も描きたくなってきたなぁ
追記、ちょっと展開が雑だったので加筆修正しました。
初めてその人物を見た時は『なんだかごつい鎧だなー』程度のものだった。
遠征からの帰り、その打ち上げの為に主神たるロキの行きつけの酒場にいた珍しい赤金の全身鎧姿の冒険者。
直ぐに意識の外へと追いやり、エルフの冒険者レフィーヤ・ウィリディスは始まった打ち上げを楽しむことにした。
そして、悪い意味でレフィーヤは忘れられないほどの体験を記憶に刻み込まれた。
「そうだアイズ! お前、あの話をしてやれよ!!」
「あの話……?」
所属するファミリアの上級冒険者の1人、狼人のベート・ローガは酒に酔って上機嫌に言い出した。
絡まれた相手でもあるレフィーヤにとっての(ライクではなくラブ的な)憧れの対象であるアイズは一瞬だけ険しい顔を浮かべたが、それに気づくことは無かった。
ベートも当然の様に気づかず、酔いで良く回る口で語り出す。
「あれだって、帰る途中で何匹が逃したミノタウロス!」
遠征の帰り、自分たちの仕出かした不手際。本来だったら厳罰もののソレだが、幸いにも死人が出ずに有耶無耶となった事件。
こんな衆目のある場所では出すべきでは無いのだが、ファミリアの面々は窘めることはしなかった。いや、自分の師でもあるリヴェリアや団長のフィンやガレスなどの最古参勢は面白い顔はしていなかった。
案の定、すぐにリヴェリアはベートを窘める。
その窘めた言葉でレフィーヤはその件の冒険者を笑った事に内心恥じてしまう。
正論を言われ、気分を害したベートは言い返し空気が険悪となっていく。そんな中で、
「雑魚じゃあ、アイズ・ヴァレンシュタインに釣り合わねぇ」
言われた時、レフィーヤは心臓を鷲掴みにされたかと思った。
そうだ、ああして笑っていた自分はその冒険者と何が違う? レベルが高くとも自分は後衛でミノタウロスと一対一で対面すれば逃げるしかできない。
ガンッ!
「ベルさん!?」
聞こえる椅子の倒れる音、店の外へと消えていく白い影。
それを店員らしき少女が追いかけていくのをレフィーヤは見た。
「あぁン? 食い逃げか?」
「ミア母ちゃんのところで命知らずやなぁ」
困惑の声が至る所で上がり、シラケたのか険悪な空気は霧散していた。
でも、何故、アイズは先程、食い逃げ犯を追いかけて行ったのだろうか? そんな考えが頭をよぎってしまう。
そんな折に、
「彼に謝罪しなければいけないね……」
苦い顔で所属しているファミリアの団長
何故、連れであるあの少年が走り去ってしまったというのに、追いかける素振りすら見せてないのだろうか。
それどころか食事をやめないどころか続けている様子からして、まさかいないことに気がついていないのか?
そんなことを思いながら、レフィーヤはフィンとその供をしているティオネを見守る。
「すまない少しいいだろうか─────
フィンが声をかけた件の人物は、食事の手を止めて一瞥したかと思えば、何も言わずに視線を戻して、食事の手を再開したでは無いか。
「ちょっと、アンタ! 団長が声をかけてるっていうのに無視するなんていい度胸じゃない!」
流石のこれにはティオネが声を荒らげるが、片手を上げて制す。
食い下がるが、フィンは何も言わずに見つめ渋々とティオネは引き下がった。
そして、ようやく話を聞く気になったのか、ジョッキの中の酒を飲み干し乱雑にカウンターにおいてフィンに向き直った。
だが、身に纏うオーラは明らかに面倒くさげでとっとと終わらせろと暗に伝わってくる。
「食事の邪魔をしてしまって申しわけない。実は————
それを感じとったフィンは手短にかつ分かりやすく事情を話し始める。
時間にして数分ほど、話し終えたフィンが彼(おそらく男)の反応を待っていれば、少しの間を空けた後に女将のミアに追加のメニューを頼むと、耳を疑うようなことを言い放った。
その程度、だからどうしたというのだ? ……と。
時が止まったかのような感覚に陥った。想像もしていなかった返答に事実、フィンは固まりレフィーヤ含むファミリアの面々も言葉を失う。
ファミリアは仲間であり、家族だ。その1人が他者からのミスで死にかけ挙句には嘲笑されたというのなら激怒するものだ。もし、自分がそれに遭遇すればたとえ相手が格上だろうとも1つ2つ文句を言うかもしれない。
「っ! 君は自分の所属するファミリアの仲間が死にかけたというのに〝その程度〝で済ますというのか?」
再起動を果たしたフィンは男に詰め寄るが、男はまるで愚者に対して聞かせるような声色で言う。
内容は要約すれば"自分が迷惑を被った訳でもないのに面倒なことに巻き込むな。勝手にやってろ"だ。
今度こそ、絶句した。
確かに言い分は一理ある。理解もできよう。だが、納得できるかは別だ。
ガタンッ、と椅子の倒れる音が響いた。
「テメェ、今なんつった?」
怒気をにじませ、敵意の籠った声。
「ベート、やめ───
気がついたリヴェリアが静止しようとしたが、間に合わず一陣の風が吹けば男の頭部がカウンターにめり込み、それをやったであろう蹴り抜いた姿勢のベートがいた。
痛いくらいの静寂が店内を支配する。
すぐ側にいたフィンは額に手を当て、ティオネはよくやったという顔をしていた。
レフィーヤはいうと、何してんだお前が7割のよくやったが3割といったところか。
「おい、アイツもろに食らったぞ……」
「死んだんじゃないか?」
「ここで殺しをやるとか……ミア母さんがキレるぞ……」
ヒソヒソと話し合う声が聞こえる。豊穣の女主人でのルールは食い逃げをしない、店員にセクハラをしない、喧嘩をしない。大まかにわければこの3つだ。
特に、3つめが重大で、もし破ったらミアが直々に焼きを入れるし出禁にされてしまう。
この事実に気づいている面々は顔を真っ青にし、ミアが雷を落とすのを戦々恐々としていれば、レフィーヤは気がついた。ベートの背後、カウンターに頭部をめり込ませていた人物が微かに動いたのだ。
────殺す
呟きが聞こえた次の瞬間、何かの砕く音が響き、物凄い勢いでべートが店の外へと吹っ飛んだ。
「……え?」
フィンの口から気の抜けた声が漏れる。
群衆のざわめく声が聞こえる中、冒険者たちは戦慄した。
何一つ、動きを目で捉えることが出来なかった。
男が揺らいだかと思えばベートが吹き飛んでいたのだ。殴り抜いた姿勢からしてベートを殴ったという結果は分かるがその過程が何一つ見えなかったのだ。
ゆっくりと拳をおろせば、男はカウンターの端にどこからとも無く取り出した麻袋と大小いくつかの魔石と素材を置き、歩き出した。
その背に腕を組んでいたミアが重々しく言葉をなげかける。
「喧嘩はいいが、アタシの店先で殺しをしたら出禁にするよ?
それと、終わったらあの坊主を必ずここに連れてきな。話はそれからだよ」
それに対して男は何も言わず、止めていた足を動かし前へと進む。
進行方向にいた者たちは急いで避け、ほかの面々は矛先が自分に向かぬことを祈っていた。
戸がひしゃげ、外れた入口を潜り店の外へと男が消えれば。
『死ねぇっっ!!』
ベートの殺意の籠った声が響く。何かのぶつかる鈍い音が聞こえたかと思えば叩きつける音が聞こえた。
『ガッ……ハァッ!!?』
声にならないベートの悲鳴が木霊する。そして、何度も何度も何度も何度も何度も叩きつける音が響き、段々とベートの悲鳴も小さくなってくる。
「ッ…………!!」
アイズが立ち上がり、駆け出した。目的はもちろん止めるためだ。
慌ててレフィーヤや幹部たちもその後ろを追い店の外へと出れば。
「やめてっ!!」
アイズの悲痛な叫びが響く。
「ひっ……!」
目の前の惨状を見てレフィーヤは引きつった悲鳴を漏らす。
レフィーヤにとってベートという男は性格も口調も態度もいけ好かないクソ野郎だ。だがそれはベートが強者だからこそできる行動だ。だが、今はどうだろうか? なすすべもなく蹂躙されてるではないか。
おそらくは何度も叩きつけられたのだろう石畳のひび割れと男の体勢。もしアイズが止めなければさらに追撃をされていたであろうことは明白だ。
「…………っ!」
徐に男がベートを投げ捨てればアイズが受け止める。
そうすれば男は歩き出そうとするが、アイズが引き留めた。
「待って、くださ───ッ!?」
しかし、最後まで言い終えぬうちに視界の中に赤い線が光ったかと思えば気がつけばアイズの眉間のすぐ手前で赤いオーラの絡みつく剣があった。
誰も持っていないのに確かに宙に浮いてるソレは確実にアイズを殺せると意識させる殺意が乗っていた。
なにかすればお前たちを全員殺すという警告。
強制的に口を閉じさせられ、アイズやほかの面々も停止せざるを得なかった。
数秒、数分。時間にすればそれだけだが精神的には無限とも思える時間が経ち、ようやく男は剣を引き戻して鞘に納めれば踵を返して歩き出す。
生きた心地がしなかった。初めて迷宮に潜った時や孤高の王と戦った時ですらこんな気持ちにはならなかった。
可能ならもう二度と会いたくない。あんな路肩の石を見るような無機質で無関心な目。
同じ人類なのかと言えるような存在。
気がつけばレフィーヤは地べたに座り、体を抱いていた。
彼女の心は可能ならもう二度とアレとは会いたくない。それだけだ。
そのあと、あの雰囲気に当てられた者たちが多く現れたらしく打ち上げは中止にせざるを得ずその日はお開きになった。
レフィーヤも眠りにつくまでずっと震え、同室のルームメイトに心配されるほどだった。
視界が明転する。
「大丈夫ですか!?」
「あぐっ……うっ、づぅ……!!」
熱せられた鉄を押し当てられたかのような激痛が腹部から脊髄を伝って脳髄を焼く。
喉奥からは血がせり上がり吹きこぼし、レフィーヤは地べたを這いずった。
どうやら意識が少しの間飛んでいたらしいことにレフィーヤは気づく。
「動かないでください、治療のためにここから離れます!!」
ハーフエルフのギルド職員が何かを言っている中、歪む視界でレフィーヤは何とか上体を起こして頭を振りその姿を見た。
右手には剣を持ち、左手には見たことの無いほど大きな魔石を削り出したかのような杖を持つ赤金の騎士を。
杖を振るえば様々な魔法が放たれ怪物を穿ち、見えないほどの速度で振るわれた剣は触手を切り落とす。
見てるだけで感嘆としてしまう技巧。自分より遥か高みにいると理解させられた。
あの男に任せてしまえ、そうした方が遥かに楽だ。ほら、見てみろ。実際、3人は何もしてないだろう? と、そんな甘くて魅力的な囁きが聞こえてくる。
そんな考えが浮かんだ瞬間、言葉に表せないほど泣きたくなり俯いてしまった。
悔しかった。苦しかった。力になれない自分が。
それ以上に、あの存在が向ける目が気に入らなかった。
自分の焦がれた存在を無価値と決めつけるかのような瞳が。
巫山戯るな、あの人たちは強いんだ。自分よりもずっとずっとかっこよくて優しくて仲間思いの人たちを。
「わ、たしっ……はっ!!」
馬鹿にするな。お前なんてこれっぽっちも凄くない。
「私の、名は───レフィーヤ・ウィリディス! ウィーシェの森のエルフ!」
歯を食いしばり、震える足を強引に黙らせ痛みを意志の力で捩じ伏せる。
立ち上がり、ハーフエルフの彼女に見あげられる中で自分の中の弱音を全て追い払う意味での名乗りを上げた。
「神ロキと契りを交わした、このオラリオで最も強く、誇り高い、偉大な眷属の一員! 逃げ出すわけにはいかないッ!!」
奮起する言葉は力となる。
「汝に乞う!」
レフィーヤは戦う赤金の騎士に声をたたきつけた。
騎士は戦う手を止めず、視線すら向けないが構わず小さな乙女は続ける。
「三体の足止めを頼みます! 私はこれから大規模魔法を行使します!!」
頼るのすら業腹だ。可能なら横っ面を叩いてやりたい。
だが、今はこの目障りな奴らをぶちのめすのが先決だ。
「レフィーヤ、私は何をしたらいい?」
そんな時、自分の憧れの人が声をかけてきた。
「ッ……どうか、私を守ってくれますか?」
「うん、任せて」
持っていた剣は半ばから砕け、柄しかない。
けれど、風を纏い剣姫は向かってくる触手を振り払う。
「アイツだけにいい所みせらんないでしょ!」
「だね!」
2人のアマゾネスが続くように攻撃を弾く。
レフィーヤは杖を掲げ、高らかに精霊が唄うように聖句を紡ぎ出した。
目にもの見せてやる。お前が無価値と断定したのは遥かに価値あるもので美しく、天上の宝石にも劣らない綺麗なものだと。
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イマジナリーラニ様なら居るだろバカ