オラリオに褪せ人さんがくるそうです   作:タロ芋

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今年最後の投稿(多分)


17 貴方、鉱夫となる

 ───石掘ったらえんやさーこらー

 

 貴方は石掘り杖の戦技"岩盤発破"を行い迷宮の壁をどつき回す貴方。作業途中に襲ってくる怪物をシバいて刻んでポイしつつ壁を掘り進む。

 

 作業の途中になんか無駄に鬱陶しいスケルトンがいたが何だったのだろうか? まぁ、速攻ぶちのめしたが。

 

 掘り進めてる途中、ガツッ! と何か硬質な手応えを感じて貴方は手を止めてなんだなんだと周りの岩を砕いていくと何やら金属質な光が見えたでは無いか。

 

 迷宮の壁は稀に金属が採れると聞いていたが、あくまでもそれは精錬前の鉱石のためここまで露骨に金属といった輝きを放つことは無い。

 

 貴方がそんなことを考えながら掘り進めたら、巨大な金属の扉が出てきた。

 

 ───なんだァ? こりゃあ…………

 

 流石に予想外なブツが出てきた貴方は困惑を隠せない。見るからに硬そうな扉を一応開くか試すのは褪せ人としての性だろうか。

 とりあえずノックを繰り返してちわーす、褪せ人でーすと呼びかけて待つ。……反応がない、留守のようだ。

 

 地面に設置してる部分に手を突っ込み持ち上げようとする……が、ダメ。

 筋力を限界まで鍛えてグレソ二刀流余裕の貴方でもちょっと腰をヤリそうといえばわかるだろう。無理してやれば魔女の一撃不可避である。クソが。

 

 正攻法がダメなからピッキングである。鍵穴がない? 無けりゃ作るんだよ!! 

 

 貴方は我が意を得たりとばかりに手に持った石掘り杖を掲げて魔力を流し込んだ。杖の先端が碧い輝きの魔力が螺旋を描き、勢いよく叩きつけてピッキングを開始。

 

 ズガガガガガガガガッ!!! 

 

 えげつない騒音が周囲に響き渡り、裁判で争えば0:10で速攻判決がくだされそうなえぐさだ。

 時間にして数秒ほど経ったか、貴方は作業の手を止めて悟る。

 

 こりゃ、時間の無駄だな……と。

 

 扉に付けられたそこまで深くない傷を見て貴方はゲンナリとした様子で肩をすくめる。流石に硬すぎじゃないか? ヤメヤメ。そもそもこんな辺鄙なところに来たのは敬愛するラニへの贈り物の為なのだ。こんなことしてる場合じゃねぇのである。

 

 貴方はゴキゴキボキメキッボキャッ! と凝った体を解して地面に転がる石塊をルーンへ還元してリヴェラの街へと戻っていくのだった。

 

 

 

 

「フッ!」

 

 剣閃一筋。

 

「Gruuuaaaaa────!!?」

 

 顔面から一直線に分断ち、地面へと内部を零れ出して絶命すると同時に灰へと還り地面に魔石が転がる。

 剣身に付着した返り血を振り払うと冒険者の少女、アイズは憂いを帯びた表情でため息をこぼし、その視線を手元へと向けた。

 

 途端に叩きつけられる不平不満、罵詈雑言の込められた思念の嵐。ただの声ならば耳を塞げばいいが、そんなものでは無いスピリチュアルなもののためストレートに叩きつけられるアイズはたまったものじゃない。

 

「……あぅ、そんなに言わなくてもいいのに」

 

 ベートも口が悪いが、この剣に比べたらチワワである。キャンキャン吠えてるだけである。

 てなわけで意思持つ宝剣こと夜と炎の剣を貸与されて数日、ゴブニュファミリアから代替として与えられた剣をぶっ壊した為に弁償のため迷宮へと降り立ったアイズは本拠に置いておくのも怖かった為仕方なく愛剣と共に腰から下げていた。

 

 最初はデスペレードを振るっていたのだが、宝剣から出てくる駄目だしの数々。捨ててやろうかと思いもしたが、本拠でのとある出来事を思い出して溜息をこぼす。

 

「あの、アイズさん大丈夫ですか?」

 

 そんな彼女に声をかけるのは綺麗だった髪の端が何故か焦げてるレフィーヤだ。

 

「レフィーヤ……この剣、凄く口が悪いんだ」

 

 涙目のアイズはレフィーヤに向けて言うと、彼女は宝剣にビビりながら同意を示す。

 

「ええ、知ってます。本当に、身をもって……」

 

 死んだ目でレフィーヤは思い出す。アイズが本拠でこのにっくき剣畜生で鍛錬してたところ興味本位で剣の素振りをさせてもらうこととなり、渋る彼女から強引に宝剣を借り受けて1回振ったらえげつない罵詈雑言をくらってブチギレ少女レフィーヤはぶん投げようとしたのだ。

 それでもって、投げようと思ったら燃やされたのだ。それはもうド派手にキャンプファイヤーかな? ってくらいに。

 

 幸い(幸い?)にも手加減してたのか、精々髪が焦げて軽い火傷くらいで済んだが。

 

 そんな騒動が起きた為幹部の3人(保護者)たちが厳重注意の元宝剣はアイズが肌身離さず身につけることを厳命されることと相成った。

 

 閑話休題(そんな話は置いといて)、迷宮へと金策のためやってきたアイズ含んだファミリアの面々。順調に階層を下っていき、安全階層へとたどり着く。

 

「とうちゃーく!」

 

 元気よく叫ぶアマゾネス少女のティオナ。露出度の高い服装の彼女は悲しいくらいに平坦だった。

 

「ねえねえ、どうするー? このまま下に行っちゃう?」

 

「その前に荷物を街で売っぱらうのが先よ。すぐいっぱいになるんだし」

 

 ティオナに答えるのは姉のティオネ。妹同様に露出の激しいその格好は豊満だった。

 

 アーチの門を潜り、途中にあった数字の内容をレフィーヤに説明したりして街へ入ると一同は不意に街の雰囲気が違うことに気がつく。

 

 とりあえず話を聞くために目に付いた店の中へと入り、店主へと声をかけると。

 

「殺しだよ、殺し。まぁ、ひとり怪しいヤツをボールスが見つけて捕まえようとしたんだけどソイツが全員をビンタでのしたりして笑っちまったね、たった一人相手に武器持った冒険者がビンタで黙らされるんだから。

 まぁ、誤解だって判明したんだけどね。ついでにボールスがもっかいビンタされてたわ」

 

 ケラケラと店主の女は笑いながら起きたことを話す。

 

「何者かに殺されたのは確かかい?」

 

「さぁ? 人の話を又聞きしただけだからねぇ」

 

「その死体がどこで見つかったかわかるか?」

 

「ここから上の方にあるヴィリーの宿さ。野次馬目的で溜まってる連中が沢山いるから行けばわかるだろうさ」

 

 どうやらアイズたちが来る前にこの狭い街で殺人事件が起きたことと加えていえば犯人は捕まっていないらしい。

 余計な情報もあったが概ねそんな感じだ。

 

「どうします団長?」

 

 ティオナが聞くと、難しい顔をした小柄な少年にみえるが成人男性なファミリアの団長のフィンに問いかける。

 

「ココで宿をとる以上は無関心や無関係ではいられないだろうさ。だから、行ってみるとしようか」

 

 そういい、フィンが歩き出す。

 傾斜の多い道を進み、段々と人の数が多くなり共通語で目的の宿の文字が見えた所までやってはこれたが野次馬によりこれ以上は進めない。

 

「うーん、僕だけで見てくるよ」

 

 小柄なフィンはそれだけ言うと人混みを縫うように行ってしまう。そんな彼を置いていかないのは()犬ティオネである。

 野次馬を怒鳴ってどかすと宿の入口にすぐたどり着き、入口を見張っていた冒険者が予めフィンが話を通していたのかすぐに通してくれた。(何故か頬に赤い跡があった)

 

 それなりに上等な室内を進み、個室に辿り着くとアイズは目の前の惨状に息を飲む。

 レフィーヤが見ないようにアイズは彼女を背後に追いやりながら室内全体を見渡した。

 

 部屋全体に血が飛び散り、生臭い臭いが今もたちこめ余り長い時間をここにはいたくないと本能が警鐘を鳴らす。

 耐性の無い者がこれを見たら胃の中の物をぶちまけるのは必然と思える、そんな生理的嫌悪をもたらす光景だった。

 

「……グロッ」

 

 同じようにこの景色を見たティオナが吐き捨てるように呟くと、犯行現場を見聞していた人物の背中が震え、振り返る。

 

「あぁん? んで立ち入り禁止のここに部外者がいやがる! 見張りの奴らは何してやがった!」

 

「やっ、ボールス。悪いけどお邪魔してるよ」

 

 筋骨隆々の厳つい顔の眼帯をした男。名をボールス・エルダーという。

 レベル3でこの街を仕切っている男だ……なのだが、その両の頬には真っ赤な掌のあとや鼻の穴にちり紙が突っ込まれ、普段なら威圧感のある顔がやけに情けなく見えた。

 

 フィンとポールスがいくつか会話し、犯人の話へと移る中で気になる話をする。

 

「ったく、あんの全身鎧の野郎……勘違いした俺らも悪いが仕返しがやりすぎだろ……いつつ、まだ顔面がいてぇ」

 

 宿の店主が被害者のステイタスのロックを不正解除する作業の傍らでボールスの言った内容にフィンが尋ねた。

 

「そういえば、怪しい冒険者が1人いたって話を聞いたね。どんな人物なんだい? 良ければ教えてくれるかな」

 

「あん? 別にそんくらい構いやしねぇよ。ここらじゃあまり見ねぇ意匠の赤みがかった金色の見事な全身鎧を纏った男だ。

 腰からは明らかに業物ってわかる剣を2本下げてたな」

 

「っ! その人って、今どこにいる?」

 

「うお剣姫か……。さぁな、俺をビンタした後にどっか行っちまったよ」

 

「……そう」

 

 ボールスからの返答に望んだ答えではなかったため、アイズがすぐに引き下がる。そんな彼女にリヴェリアが声をかけた。

 

「いきなりどうしたんだアイズ?」

 

「ん、この剣を貸してくれた人だと思ったから」

 

「……その剣の持ち主か」

 

 リヴェリアがアイズの腰から下げられた宝剣へと視線を向ける。

 それなりに長い時を生きているリヴェリアですら、アイズが借り受けたこの剣程の業物は見たことがなかった。

 

 アイズからこの剣が意識を持っていると聞いた時はなにかの冗談かと思ったが、確認のため持たされた時に叩きつけられた思念は確かに意識を持っていることを確信させるものであった。……ヤケに罵倒の切れ味が高かったが。

 

 ともかく、この剣の持ち主は少し前の遠征の打ち上げで自身のファミリアとは因縁が出来ている。

 本当にこの持ち主ならば可能なら話程度はしたいとリヴェリアは考えていた。

 

「……話を聞いた限り、まだその人物はこの階層にいる可能性は高い。諦めるのは早いだろう」

 

「ん、そうだね」

 

 リヴェリアの言葉にアイズは小さく頷く。

 それと同時に作業を終えたのか宿主がボールスへと声をかけた。

 

 そして、神聖文字をよめるアイズとリヴェリアがその内容を口に出すと場の空気が凍る。

 

 被害者の名前はハシャーナ・ドルリア。

 ガネーシャ・ファミリア所属の第1級冒険者、剛拳闘士の異名を持つ確かな実力者だった。




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