オラリオに褪せ人さんがくるそうです   作:タロ芋

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モンハン来たわね。


22 貴方、泣く

「ベル君……魔法、使えるぜ?」

 

 夕飯前にベルのステイタスの更新とやらをやってると、不意にヘスティアがそんなことを言う。

 それに対してベルは誇らしげに背中へヘスティアを乗せながら答えた

 

「? はい! 昨日師匠に教えてもらいました! 礫がびゅーんって飛ぶ魔法なんです! 魔法って詠唱しなくても使えるんですね。初めて知りました!」

 

 魔法ではなく魔術である。似て非なるものである。貴方は別に気にしないが、カーリアの学徒が聞けば憤死しそうなものである。

 

「うん、物凄く気になることがあるけど今は置いとこうか。とにかく、ステイタスにはファイアボルトっていう魔法だけど明らかにキミの言ってる魔法とは別物だよ」

 

「うぇ!? マジですか!?」

 

「マジだよーマジマジ……うわ、なんかスキル生えてる!?」

 

「えぇ!? スキルまで!?」

 

「えー、なになに『暗月微笑』……?」

 

 なんですと? 

 

 ヘスティアのその言葉を聞いた瞬間貴方は2度見する。暗月だと? オイオイオイオイオイ……

 

「うわ! いつの間に!?」

 

 貴方はミリアムの消失を行使し、即座にベルたちの元へ転移してヘスティアの持っていた羊皮紙をひった食ってスキル欄を見る。

 

 滲んでる所は無視だ無視、貴方は新しく追加されたスキルを穴が空くほど見つめた。

 

 

 

暗月微笑(ゴスペルスノウ)

 ・カーリアの魔術、月の魔術の消費魔力を軽減及び威力と習得に上方補正

 

 

 

 ガッデム!! クソボケが──────っ!!! 

 

 貴方は慟哭した。貴方はすぐ近くに愛するラニがいたかもしれないというのに気が付かないとは伴侶失格だ。

 

 ウ……ウソやろ こ…………こんなことが こ…………こんなことが許されていいのか? 

 

 おいは恥ずかしか! 生きておられんごっ!! 

 

 貴方は即座に自害を選択。取り出したロングソードの切っ先を腹部に定めて切腹を行おうと────

 

「うぉぉい!? 何いきなりハラキリしようとしてるんだい!?」

 

「わぁぁあ!? ししょー!! 早まっちゃダメですよ!?」

 

 ヘスティアとベルのふたりが貴方を羽交い締めにしてロングソードをひったくられてしまった。HA☆NA☆SE! 

 愛する伴侶の気配を見逃すどころか贈り物すら用意できてないなど万死に値するのだ。こんなことすら出来ない貴方はクソだ。

 

 だが、待てよ? こうしてベルのスキルに彼女の痕跡が現れたということはこの世界に貴方を探しに来たのではないか? 

 貴方はその考えに至り、滂沱の涙を流す。不甲斐ない己にではなく、ラニからの深い愛を感じ取ったからだ。

 

「うわ、いきなり泣き出した!?」

 

「えぇ……(困惑)」

 

 なにやら外野が喧しいが貴方は益々愛が深まり、より一層励むことを主君であり伴侶のラニへと誓う。ということでこれからなる早で祭壇と贈り物を作らねばならんので、貴方はベルについ先程作り上げた携帯性重視の短い杖……所謂ワンドを投げ渡す。

 

「わっと……師匠、これは?」

 

 貴方は戸惑ってる様子のベルに向けてお前の杖だから好きに使えとだけ言い残して祭壇を作るためにさっさと地下室から出ていくのだった。

 

 

 

「僕の……杖……」

 

 ベルは先程渡された杖を両手で握りしめて視線を落とす。

 

 短く切り詰められた杖に先端には月の意匠が込められた輝石が取り付けられ、柄の部分は暗めの蒼く、滑らかな質感の布が巻かれており炎と(ベル)、兎の刺繍が施されていた。

 

 明らかに駆け出しが持つようなものでは無い短杖だが、不思議とベルの手に馴染むそれはしっかりと師からの気持ちが感じられ、無意識に強く握りしめる。

 

「神様、僕───」

 

「うん、無茶しない程度に行っておいでベル君」

 

「ッ……ハイッ!! 行ってきます!!」

 

 もう夜が更けている時間帯だが、ベルの様子を見れば引き止めるのは野暮だとヘスティアは思って苦笑しながら許可を出した。

 ベルは深く頭を下げ、手早く準備を済ますと地下室の扉を開け放って夜の街を駆ける。

 

「まったく、いい師匠をやってるじゃないか君も」

 

 小さくなっていく背中を見送るヘスティアが呟くと、暗闇から出てくるのは両の手に金槌とノミを握る貴方だ。

 少しだけ不安だったが、ベルのあの様子を見てどうやら気に入ってくれたようだ。まぁ、貴方が珍しくラニ以外で力を入れて作った物なのだから当然なのだが。

 

 貴方は徐に懐から小箱と古めかしい小さな鐘を取り出す。

 

「うん? なんだいそれは……」

 

 ヘスティアが唐突に貴方が取り出した道具を興味深そうに眺めながら尋ね、貴方は説明の代わりに小箱を掲げてその上で小さな鐘を鳴らす。

 

 やけに澄んだ音が響くと、次の瞬間ヘスティアは驚愕に目を見開くことになる。

 

 煙のようなものが貴方の周囲に漂ったこと思えば、それらは貴方の周囲を漂えば地面へと移動し3つの塊へと変化し、輪郭を形作ると鮮明になっていき気がつくと3頭の狼がいたのだ。

 

「……は?」

 

 神だからこそヘスティアは分かる。目の前の存在は常世の存在では無いと。幽世の存在がどういうわけか、確かに実体をもってこの場に喚ばれたのだ。

 貴方は膝を突いてそれぞれの狼たちの顎や頭を撫で、何かを言うと狼たちは了承の意を示す遠吠えを行うとベルが走っていった方向へ駆け出す。

 明らかに異常。明らかに神の権能と呼べる業。最早、ヘスティアの理解は不可能で辛うじて出せたのはシンプルなものだったそうな。

 

「……ミアハのとこって胃薬売ってたかなぁ?」

 

 貴方はどうしたって? さっさと祭壇の制作へと戻ったよ。

 




じゃあ、ちょっと禁足地に失踪するから・・・

ラニ様を出す?

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  • イマジナリーラニ様なら居るだろバカ
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