進め歩兵よ!大砲片手に!   作:チチメカ

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少し短めです。
ここから少し新しい展開ですよ〜!


第九発目・ニューバディ!!

 

「改めて自己紹介しますね。」

 

日本人とは思えない赤く染まった髪の毛、黒い目、そして高校生の様な雰囲気を漂わせる少女が砲代の方へ振り向く。

 

「私は本日より砲代さんのバディとなりました!"井伊乃三咲"です。井伊乃とお呼び下さい!」

 

「ほぉ〜井伊乃さんか!こりゃ、親切に。」

 

公安特異課のリビングホールに元気な声と、喧しい男の声が広がる。人が多くいるこのホールでも二人は少し異質な存在感を放っていた。

 

「よし!自己紹介おわり!」

 

そう言い終わった瞬間、振り返り玄関口へと進み始める。

しかし、砲代がついてきていない事に気づくと振り向き様に声をかける。

 

「それじゃあ、砲代さん…行きますよ!」

 

「行くってどこへじゃ?」

 

「それはもちろんー」

 

玄関からの日が井伊乃を照らし出す。それは逆光の光であり、影を纏った形に砲代には写って見える。すると、どこからか一枚の書類を取り出し砲代に見せながら宣言する。

 

「バディ初仕事です!!」

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

「井伊乃嬢ちゃんは、どれくらい公安におるんじゃ?」

 

「私ですか〜?私は砲代さんと同じ新人ですよ。」

 

車内が揺れる。

車内には助手席で腕を組んで尊大に座っている砲代と、車を運転する井伊乃の姿がある。

二人での初仕事であるが、二人の間に蟠りはないが、暑い夏の日差しが車内に入り、二人ともシャツにひっつく汗に気分の悪さを感じていた。 

 

「じめじめしてて暑いですね〜。夏だって気分です。」

 

「ほうじゃのぉ…こんなじめっとした暑さはフィリピンを思い出すな。」

 

窓の外に目をやると、外には青々とした緑が外に広がっている。山の方へと車を動かしているからである。

 

「え!フィリピン?!旅行にでも行ってたんですか?」

 

「いや…あー。」

 

口篭る。

流石に言えない。言えるはずがない。

流石にこの(バカ)にもそれは分かっていた。

 

こことは違う世界からきましたーなんて、誰が信じるんじゃ…

 

「…?どうしました?」

 

「いや、少し前の仕事があっての。海が綺麗じゃったぞぉ〜輸送船から塩の風を浴びながら〜」

 

「船…?まぁ、行き方は人それぞれですもんね。」

 

一瞬怪訝そうな顔をするが、顔を元に戻し前を向く。

 

「あ!後さっき私のこと"嬢ちゃん"っていいましたぁ?!」

 

「あー!間違えた間違えた!井伊乃さんじゃったのぉ。」

 

不機嫌な井伊乃を宥めながらふと、窓の外を覗く。日はそろそろ沈みかけていた。

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

車が目的地に着いた頃には日は沈みきり、時計の張りは午後8時12分を指していた。

車を通報主の家の前に止め、外に出る。

 

不気味な風が山の中を駆け巡り、二人の背中を押している感覚になる。

暗く月は出てきていない。新月であったかは覚えてはいなかったが、そんな夜に砲代はひどく違和感を覚えていた。

しかし、そんな暗闇の中でも家には灯りがついている様であった。

 

「ごめんくださーい。」コンコン

 

井伊乃が声をかけるが、一向に返事が来ることはない。あたりの風は一層強さを増し、木々は風に靡く音で不気味に音を奏でている。

気づけば、時刻は8時16分になっていた。

 

「おかしいなぁ…「おい!公安じゃ!早く出てこんかい!!!」

 

「うわぁあ!そんな声出したらダメですよぉ!」

 

井伊乃は慌てて砲代の背中を掴み、戒める様に揺らすが子供を相手にする様に砲代は手を離させる。

 

「…おかしいぞ…」

 

風が吹く。

夜の闇が辺りを埋め尽くし、木々が不気味な音を奏でる。

部屋の中から光が出ていることは分かる。

しかし、砲代は気付いていた。

 

「音がせん…今の時刻からして、本当に中に人があるなら何かしら飯の準備やらしてあるはずじゃ。」

 

「…!もしかして!」

 

井伊乃は急いで扉を開けようと扉へ駆ける。

扉を開き中を覗く。砲代も後に続いて、玄関を覗くが、何もない。そして音もない。

一帯には沈黙だけが漂っている。

 

「行くか…井伊乃嬢ちゃん…」

 

「はい…あと、私は子供じゃありません。」

 

冗談を投げ合いながら、中に入れば家の中の不自然さを感じる。沈黙…ひたすらに沈黙している。

聞こえてくるのは、外の風と二人分の足音だけ。

人がいる様には感じないのだ。

一抹の不安を感じながらも、井伊乃は廊下を過ぎたドアが目に入る。

ドアにはリビングと書かれた木の札があり、子供がいたであろうイラストが札を飾っている。

 

「砲代さん…こっち。」

 

「よし。ワシが行く。」

 

砲代は瞬間扉を蹴破り、中に入る。バゴーンという破壊音は先程無音だった部屋全体を埋め尽くす。

すかさず、刀を抜き臨戦体制になりながら部屋に突入する。井伊乃も後に続き中に入るが…

 

「公安じゃ!通報があってここに…」

 

「あうぇ?!」

 

部屋には綺麗に整頓された部屋の家具に、出来立ての調理済み料理達、針が壊れている時計、のっぺらと部屋を灯る白熱電球…そして

 

 

 

 

…干からびた老夫婦の遺体だけがそこに存在していた。




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やってくれると井伊乃ちゃんと砲代の挿絵を描くかもしれません(適当)

あと、できれば評価もお願いします(小声)

原作突入まで見守りたい人

  • いえす!
  • いやじゃ!
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