「どうなってるんでしょうか…」
死体を見て井伊乃は呟く。
そう思うのも無理はない、不自然な点が多すぎるのだ。まず死体が干からびている点である。まず人間は普通に死ぬだけで干からびる事もないし場所も普通の家の中である。そして、砲代が一番不審に思ったのは――
「あったかいままの飯…こりゃ、死んでまだ時間が経ってないぞ。」
「…!と言う事は!」
「気をつけろ井伊乃。わしらはもう敵地の中心じゃ。」
砲代を見る。
臨戦体制を崩さず、刀を構え辺りを見渡している。リビングには外の木々と窓が揺れる音しかしない。今では先程、何も感じなかった部屋の照明すら不気味に思えてくる。
一歩、一歩と後退りをしながら井伊乃も辺りを見渡す。
「なんの悪魔でしょうか…」
「しらん。じゃが、死体を見ると蚊か…注射器あたりじゃろ…」
辺りを見渡す。しかし、部屋に音はなく砲代は少し焦りを感じていた。
自分の事ではない。井伊乃の事である。
わし一人だけなら、ここら全部破壊すれば気が済むが…ここには井伊乃のお嬢ちゃんもおる。
砲代は肝心の大砲と言う武器を使えないのだ。
大砲化には周囲の安全を考えなければならない。砲代にとってはバディ…引いては井伊乃が自分の攻撃に巻き込まれることを一番危惧していた。
「次はどう―「…!家を出るぞ井伊乃嬢ちゃん!」
瞬間、井伊乃を抱き抱え部屋を飛び出し廊下を出る。井伊乃もはぇ?!などとおかしな声を出すが、すぐに理解した。
―ゴゴゴォゴゴゴゴゴ!!
土砂崩れだ。
音が聞こえた瞬間、家には土砂と岩が雪崩れ込み家を更地に変えていく。家の前にあった車も壊され、何もかもを壊し流していく。
井伊乃が絶句をする間に砲代は安全な場所に井伊乃を下ろし、土砂崩れを見つめる。
そして、終わった頃には一帯に月明かりもない山には闇が残り続けていた。
風は一層強くなっているのか木々はまた音を鳴らし続けている。
「やばいですね…暗すぎて状況がわかりません。」
「まずいの…取り敢えず山を降りるぞ。」
「え?!悪魔は「だからこそじゃ。」
砲代はポケットから懐中電灯を取り出し、一瞬だけ道を照らす。山を登る道は塞がっているが、下る道はまだ大丈夫な様だ。
電灯の灯を消して、下山を始めていく。だいぶ上の方まで車で上がって来たのだ、1時間以上はかかるだろう。
井伊乃も砲代の後にゆっくりとついていく、悪魔の気配はない様に感じた。
「井伊乃の嬢ちゃん。敵に位置がバレてる時、嬢ちゃんならどうする?」
「私を子供扱いしないで下さい!…わたしならまず敵の位置をさが「ダメじゃ。」
道伝いに歩きながら二人はしゃべる。
暗闇と木々の揺れは未だ現在だ。
「撤退じゃ、敵さんと不利な状態で戦ってどうする?敵に位置がバレてるなら、その場に止まったり、そのまま戦おうとすることが一番ダメじゃ。」
「…随分と慣れてますね。本当に私と同じ新人ですか?」
「これくらいは普通じゃ、先輩方もやっとる事じゃろうて。まぁ…
木々が揺れる音がする。
そのせいか足音も聞こえない。闇夜はその黒さをはさらにまし緊張感を高めていく。
砲代はこの夜に明らかな違和感を感じていた。山には一切の動物の鳴き声はない。ただそこには闇夜に鎮座する山が砲代たちを内包しているのだ。
「そういえば井伊乃嬢ちゃん、武器は持ってないんか?」
「お嬢ちゃんじゃないです!!もぉ〜…武器ですか?それならもってますよ?」
腰から一丁の拳銃を取り出す。
視界が闇のせいで見えないがきっとハンドガンあたりであろう。
「ほぉ〜拳銃か。自動か?それとも回転?」
「自動です。こっちの方が多く入りますしね。」
「ほうか…それなら安心じゃ。」
歩く。歩く。
もう1時間は経っているだろうか。
木々もどんどん強く音を鳴らす。しかし…
「おかしい…やっぱりおかしいぞ。」
何故さっきから動物の鳴き声がせんのじゃ…鳥も虫もないとらん。
それに、何故"風は強くなっておらんのに木はこんなに音を鳴らしとるんじゃ!"
空を見上げれば、木はしなり続けている。
が、風は少し髪を靡かせる程度。明らかに異常であった。
枝は鞭の様にしなり、葉は振り落とされんほどの木々の暴走にもまるで、接着剤を塗りたくっているかのように頑丈に張り付いている。
こんなことが出来る悪魔…こんなことが起きる悪魔…思考を巡らせれば一つの悪魔が思い当たる。
地獄にて、ドン太郎共に倒したあの悪魔。
苦戦し、ようやくの思いで倒したあの悪魔。
「まずい…!おい!井伊乃嬢ちゃん!走…!」
異常に気づいた瞬間後ろを向く。
…そこには永遠と暗い暗い闇のみが広がっていた。
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実は今日プロットを書き上げました。
これで大丈夫です(?)
原作突入まで見守りたい人
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いえす!
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いやじゃ!