進め歩兵よ!大砲片手に!   作:チチメカ

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第十三発目・新人ちゃんとお酒

 

 

「新人歓迎会ぃ〜?」

 

「そーですよ!やりませんか?特異1課の皆さんで!」

 

ハイテンションで井伊乃は喋る。

あの戦い(森の悪魔戦)から一ヶ月、この二人は順調に仕事をこなしていた。そして、八月…この八月は夏の大規模な人事異動や新人加入が毎度のこと起きており、公安全体でこう言う歓迎会と言うのはよく行われていたのだ。

 

先輩達が後輩達を歓迎し、親睦を深め合う…後輩達は先輩デビルハンター達から生き残る方法などを聞き、学び社交の場としてだけではなく仕事の場としての側面も持ち合わせる。

 

 

 

―が、それは建前のお話。

 

 

 

「おい…井伊乃嬢ちゃん、飲みたいって顔に書いてるぞ」

 

「うへぇえ?!あれ?そんなに出てましたか!」

 

「あぁ、それもうハッキリとな」

 

「へぇ〜歓迎会?いいじゃん、俺も呼んでよ。クァンシお前は?」

 

「…行く」

 

何処からともなく岸辺が顔を出してくる。

抜け目のない奴だ。

いつのまにか後ろにいたクァンシも参加すると言って井伊乃は余計にテンションを上げる。

 

「やったぁ!わたしほかの新人ちゃんたち呼んできまーす!!」

 

「おい!お嬢ちゃん走るな〜危ないぞ!」

 

「…うまく行ってそうだな」

 

岸辺は二人の背中を見ながらそう呟くのだった。

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

ー

 

「さぁ〜新人ちゃん達の入社を祝ってぇ〜!」

 

「「「「「かんぱ〜〜い!!」」」」」

 

「わはぁ〜!!すみませぇ〜ん!生四つぅ!」

 

「井伊乃先輩…俺たちの分ですか…?俺下戸だから飲めませんよ?」

 

「何言ってんの新人君、全部私が飲むんだよ?」

 

「えぇ…」

 

歓迎会が始まれば皆は思い思いに喋り始める。

新人同士で飲み合うもの、後輩達をおちょくるもの、

一人でただ飲みまくるもの(井伊乃)、

バディに絡み殴られるもの(岸辺)…

皆が楽しく時間を過ごす。

 

「あ、そうだ!新人ちゃん達さ?自己紹介しようよ。初めての人もいるでしょう?」

 

そう言ったのは2年目の佐々木と言う男であった。

佐々木はマイクに見立てた筆箱を新人であろう子に渡し始める。

 

「それじゃ!まず君!」

 

「は、はい!俺は三島ソウジです。契約悪魔は…狐とメリケンサックで趣味はトレーニングです!」

細身な体に金髪、ピアスを開け不良少年にも見える風貌だが、その言葉遣いには何処か育ちの良さが見える。

 

「ソウジ君!元気があっていいねぇ〜じゃぁ次!」

 

「よし!俺の名前は丸山ヒルコっす!契約悪魔はまぁ、秘密で趣味は山登りっすね!」

 

ガッチリした体格に、顎髭の生えた体育会系男子といった所だろうか。

しかし、どちらかといえばラグビーをしてそうな雰囲気の人間に見える。

 

「山登りぃ〜イヒヒ!見えねぇ〜」

 

「よく言われるすよぉ〜」

 

「アハハハハハ!アハハハハハ!!!」

 

「あれ?先輩?」

 

「ンフフ!山登りぃぃいひひひひひ!!」

 

「…こりゃダメだね、佐々木って笑い酒しちゃうから。ここからは私が仕切ってあげよう。」

 

そう言って出てきたのは、これまた先輩であり岸辺の同期である花御と言う女性デビルハンターだ。

 

「よ!姉御!」

 

「うるさいぞ岸辺!ほら次君でしょ?」

 

「あ!はい!江島奈江です…契約悪魔は髪と本で…趣味は読書です。」

 

丸メガネにショートボブ、服は明らかサイズを間違えたものを着ている様な女の子である。

 

「奈江ちゃんかぁ〜可愛いねぇ〜」

 

「おい井伊乃嬢ちゃん、絡み酒はダメじゃろ…」

 

井伊乃の襟を掴み自分の席まで引き寄せる。

顔を赤くしてる井伊乃は砲代の砲代の方を見るが、砲代の机には既に瓶が3本開けられていた。

 

「うわ!…砲代さんってもしかしてザルですか?」

 

「おお!すげぇ!砲代さんって言うんすか!?」

 

「本当だ…こりゃヤベェな…」

 

新人男子二人が砲代の席にやってくる。

二人とも空き瓶に驚いてる様だ。

 

「なんじゃ?若造共ぉ…飲むかぁ?」

 

「お!やっちゃいますぅ?」

 

「俺もお供します!」

 

砲代は三島と丸山と飲み比べをしながら世間話に花を咲かせる。

砲代にとっては久しぶりの宴会だ。

 

「ほらほらぁ〜奈江ちゃ〜ん」

 

「井伊乃先輩…顔真っ赤、飲み過ぎですよ」

 

「ほら、井伊乃!お前サンはそろそろ飲むのをやめろ!」

 

「あぁ!私の酒瓶がぁ!」

 

誰もが笑ってる。

誰もが楽しんでる。

砲代はこんな日常が酷く楽しく。 

 

 

しかし

 

この楽しみを親友と分かち合えないのが酷く寂しく思えるのだ。




まだ続きます。
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