進め歩兵よ!大砲片手に!   作:チチメカ

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ちょい短め。
さて、ここからがこの章の本編ですよ。


第十八発目・旧友に会いに

 

 

「お出掛けぇ〜?」

 

「うん。行きたいところがあってね。」

 

金曜日の早朝、マキマは砲代と朝ごはんを食べている最中"お出掛けがしたい"と言い始める。

明日はちょうど土曜日、砲代も特に書類仕事もなく溜まりに溜まった有給を使用することができるちょうどいい機会である。

まぁ、いいかと思いながら返事をしようと思うとマキマを見る。

そこには無表情ながらに、しかしどこか笑みとワクワクを抑えられない子供の姿があった。

 

「…ワシも行きたい場所があったしのぉ…よし!いくかお出掛け!」

 

「うん。いく!」

 

マキマは柄にもなく大きな声を出して、喜んでいた。砲代はその姿に驚きながらも、本来子供のあるべき姿に安心感を覚えるのだった。

 

ーーーーー

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ーーー

ーー

 

十月の中旬のとある朝。

この二人の親子は東京の千代田区にやって来ていた。この時間はまだ少し背広をきた男や皇居周りをジョギングしに来た人達が多い。

 

「朝からどこに行こうとしてるの?」

 

「…いや、ずっと行きたかった場所があったんだが、これを機にお前と一緒に行こうと思ってな。」

 

「…?」

 

「ここじゃ。」

 

二人の目の前には巨大な明らかに少し錆びかけた巨大な赤い鳥居。マキマは横を見ると、少し悲しそうにそれを見つめる砲代があった。

砲代はゆっくりと歩き始める。

砲代は思い出していた。軍人時代の事を、フィリピンに異動する前、大陸で戦っていた事を。

突貫(突撃)をする前に友人と交わした約束を。

 

「…ワシの友人はな、一際落ち着いていた男でな。」

 

マキマは砲代の方を見る。どこか遠くを見る、こちらを決して見ずにゆっくりと歩いている砲代の姿。

 

「ワシらはずっと死なんと思っとった。国のために死ぬ事は怖くない。でもじゃ、死ぬ未来は見えなかった。ワシらはずっと生き残って嫁さん貰って100歳で死ぬんやてな。」

 

日はまだ少しでているが、少し肌寒い。

砲代の結んだ後ろ髪が少し揺れるほどの風が吹いている。砲代の足はゆっくりとまた一歩、一歩と進んでいる。

 

「子供が持ったらの話もしとった。アイツはワシに子供が出来たら、その子供は女だろうが男だろうがガキ大将になると言って笑っとった。」

 

マキマの頭を撫でようとするも、マキマはせっかく整えた髪の毛を乱されたくなく、頭を抱えガードする。砲代はそれを見ては少し笑顔になり、話を続ける。

 

「じゃが、アイツは死んだ。」

 

砲代の足がピタリと止まる。

目の前にはサビで青く染まったまた一つの大きな鳥居がある。砲代は門を越え手を清めては話を進める。

 

「相手の数は1000。こちらの数は150程、弾ももうない、援軍もない…そん時ワシらは突貫を言い渡された。」

 

「…どうなったの?」

 

「どうって…ワシは生き残った。半日中敵を殺し回った。数時間くらいでほとんど殺し切って、後は隠れたやつを探し回ってた。」

 

最後の鳥居を越える。

 

「ワシはな、ソイツと約束をしとったんじゃ。」

 

「…どんなの?」

 

「もしどちらかが死んだら、先に靖国に行った方を笑いにここに来ようってな。」

 

砲代は被っていた帽子を取って、本殿にお辞儀をする。マキマも見よう見まねで、それを真似る。

砲代は心の中で近況報告の様な事をしていた、南方に異動になったこと、地獄に落ちたこと、公安に入ったこと、そして…

 

「涼夜、お前サンは驚くじゃろうが…ワシに子供ができた。」

 

マキマはゆっくりと横を見る。

涙目になった男の姿がある。いつもの元気そうな顔ではなく、涙ぐみ旧友に喋りかける男の姿が。

 

「ワシには勿体無いほどいい子じゃ…お前サンが言ってたガキ大将になんかならん程、いい子じゃ…お前サンにも…涼夜にも見せたかったのぉお…!」

 

涙を必死に堪えて、砲代は本殿の方を見つめている。マキマはそれを見て、もう少しだけ深く本殿に頭を下げたのであった…

 

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ーー

 

「……見苦しいところを見せてしまったの…」

 

「ううん。涼夜さんにも会えたし、いい話も聞けたしね。」

 

二人は地下鉄に入り、次の場所に向かおうとしていた。なんでも、マキマが行きたいと言っていた渋谷のパフェを食べにいくためだ。

マキマはルンルン気分で地下鉄の通りを真っ直ぐ進む。

 

「昼飯は食べんくていいのか?」

 

「パフェをその分食べるよ。」

 

「…太るんじゃ「うるさい。お父さんうるさい。」

 

真顔の顔の眉間には少し皺がより、砲代は両手をあげお手上げのポーズを取った。

地下鉄には平日の昼にも関わらず多くの人間が集まっている。

 

その時であった。

 

キャァャァァァァアアァァァ!!

 

叫び声が響き渡る。

遠くの方で一人、また一人と人が倒れていく。

しかし、そこには悪魔などの姿も見えず、銃声も聞こえない。

砲代の頭の中には公安がマークしていたカルト集団が浮かぶが、武器を持っていない現状では太刀打ちできないと体を反転させ出口へ走り出す。

 

「マキマァ!逃げるぞ!」

 

「!うん。」

 

―騒然とする地下鉄、砲代達の休日は始まったばかりであった…




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さて、突如パニックとなる地下鉄…砲代達の休日やいかに!
乞うご期待!

原作突入まで見守りたい人

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