進め歩兵よ!大砲片手に!   作:チチメカ

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戦闘の描写が一番難しい…
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目まぐるしい程のスピードだね。みんなありがとう!


第十九発目・地下鉄事件/マキマの悩み

 

 

逃げる二人を追いかける様に、見えない敵はどんどんと距離を詰めてくる。証拠に二人より後ろで逃げようとする一般市民は、まるでドミノ倒しの様に後ろから順に倒れていく。

 

二人は地上への階段まで走り切ると、砲代だけが足を止めこめかみの拉縄(りゅうじょう)を握り、敵の来る方に体を向ける。

 

「お父さん!」

 

「いけマキマ、この階段を登るだけじゃ」

 

そう言った瞬間、先ほどとは反対の方向に走り出し、拉縄(りゅうじょう)を引き上げる。

それと同時に、砲代の頭から一本の巨大な大砲が現れ、砲撃が放たれる。

すると、ちょうど敵の真ん中に当たったのか何も見えなかった空間から血を吹き出し、パタリと倒れる音がする。

 

「…危なかったの」

 

そう言うと、敵の死体まで駆け寄る。

悪魔化を解除し、透明な死体の上に立つ。

一体には薄い黄色の煙が舞っており、そこらかしこに逃げ遅れた人間が倒れている。

見る限りその死体から煙が出ている様であった。

公安に呼び助けを求めようと、地上に戻ろうとしたその時であった。

 

ぐ?!うぇぇあ…!

 

一体何故であろうか、その死体から遠ざかった時嘔吐してしまったのだ。

毒ガスだ。砲代はそう直感的に理解した。咳き込む口を押さえながら砲代は出来るだけ走り外を目指す。

しかし…

 

「生き残りだ、殺せ!」

 

バンバンと銃声がすれば肩や腕に被弾する。痛みに耐えながら、道を走り階段を登る。

階段を上がればゲロと血で塗れた服を着た男を、多くの大衆が出迎える。

 

「お父さん…大丈夫?」

 

「ワシは大丈夫じゃ、それより…」

 

上着を脱ぎ、Tシャツだけになる。

カバンから一枚のタオルを取り出し口を覆う。

幾分かマシになるだろうと考えては荷物をまとめる。

上着は人と距離がある階段の脇に置き、近くの公衆電話へ駆け込む。公安に連絡を入れ、直ぐにマキマの元に急ぐ。

その顔は不安を隠せず、心配しているのだと砲代は感じ取っていた。

 

「マキマ、ワシはもう少しだけ戦ってくる。直ぐに戻るからもう少し待っておいてくれ」

 

「いやだ…許さない。」

 

マキマはそう返事をすると、砲代の右腕を強く握った。子供の力で、全力で、その足をどうにか止めようとしていたのだ。

 

しかし、砲代はその腕をゆっくりと解きマキマの頭を撫でた後、無言で階段を飛び降りる様に降りて行った。

 

拉縄を引き抜き、瞬間走り込む。

両手と頭に現れたその大砲は、砲代にとって重りにもならずどんどんと走るスピードは加速していく。道を曲がり、先程の死体の元まで走る。軽く息を吸い地面に溜まっているガスを吸わない様に気をつける。

 

広いホームに出た時、白い服を着た男女が姿を見せた。二人とも顔にはガスマスクをつけて銃を持っておる。

悪魔だ?!とこちらを見て叫んだ瞬間。

 

砲代は一切の躊躇もせず、その砲弾を撃ち放つ。男の内臓は飛び散り柱にベッタリと打ちつかれる。雨の様に女の顔にその血がついた瞬間。

近くまで詰めかかった女の鳩尾に、強烈な右フックを喰らわせる。クハッと嗚咽を吐いた瞬間、女の体はゴムボールの様に壁にぶち当たり血を流して地面に倒れる。

 

 

――砲代はその狂気を酷く冷静に認識していたのであった。

 

ーーー

ーー

 

「なんで、話を聞いてくれなかったの」

 

「いやぁ〜あん時はのぉ〜」

 

二人は渋谷のパフェ専門店に着いていた。あの後、砲代は悪魔化を解除し人混みを隠れて、トイレで口や頭を洗った後、服を買ってここまで来たのだ。その間マキマは、ずっと頬を膨らませ怒りを表していた。

 

「許してくれと言っておるじゃろ〜ぱふぇも一番高いのを買ってやったし」

 

「それじゃダメ」

 

そう言ってマキマは黙々とパフェを食べている。砲代は考えていた。先程のテロの事をである。毒ガスの悪魔であろうか、先程の悪魔といい先程の白い服を着た男女…砲代が聞いていた新興宗教の制服の特徴と合致していたのである。

 

マキマにはこの事を言えないであろうと、マキマがこれを聞けばきっとこの子は俺を止めたであろうと、そう考えていたのである。

 

マキマはパフェを食べ終わると、砲代の手を取っては先程の怒りなど忘れた様に歩き出す。

行こうとマキマが一言言えば、砲代もあぁと返事をして二人の家へと足を運ぶのだ。

 

―砲代は少し微笑んだマキマを見ては、少し枯れ始めた青い木々を鋭い目で見つめていたのであった。

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

昼休みの教室でマキマは考えていた。

どうすれば砲代を守れるのかと。マキマにとって砲代は自分に日常をくれた、救世主の様な人間であり父親であった。

支配できない対等な関係を夢見ていたマキマにとって、この日常は掛け替えのないものであった。

しかし、マキマは地下鉄の事件から一つのことを危惧していた。

 

それは、砲代の死亡である。マキマは砲代が武器人間である事、そもそも武器人間が不死身であることも知らないのである。そのためマキマは砲代を頑丈な人間であるとは思っていたが、貧弱な人間であるとも思っていたのである。

 

「…私はどうすればいいんだろうね」

 

「どうしたのマキマちゃん?」

 

「何かあったん?」

 

こう質問してくれたのはマキマの友達1号と2号である、沙奈ちゃんと美月ちゃんである。二人ともマキマにとって大切な友達である。

紗奈ちゃんは標準語を使うポニーテールの女の子で、美月ちゃんは方弁を使うショートカットの女の子だ。

 

「ちょっとね、助けたい人がいるんだけど」

 

「"助けたい"〜?ねぇ、ねぇどんな人?」

 

「私の大切な…人?」

 

「うわぁ〜恋バナじゃん!」

 

マキマは少し話が食い違ってるな、と思いつつもそんな事を言う前に話は進んでいく。

この時期の女子の恋バナと言うのは並大抵の事がなければ止めることはできない。まるで防波堤が壊れたダムの様に話は止まる事を知らない。

 

「相手の仕事が心配って事ね!」

 

「う、うん」

 

「いいじゃん!いいじゃん!」

 

「二人はどうすればいいと思う?」

 

「私はぁ〜毎日何したか聞いたりすればいいと思うよ〜、コミニケーションってやっぱ大丈夫だって!」

 

「あっしはね、やっぱり監視じゃないの?」

 

「「監視?」」

 

「うん。何してるのか心配ならさ、尾行でもなんでもして監視すればいいんじゃない?」

 

「美月ちゃん…ちょっと怖いよ」

 

「何よ!」

 

二人が盛り上がっている。

監視…監視か…

 

 

 

 

 

「―命令します。」

 

 

 

 

 

 

ーその時マキマの頭には一つの考えを浮かんでいたのだった。




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