進め歩兵よ!大砲片手に!   作:チチメカ

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今回は会話少なめです。
文章を見て内容を脳内で映像化して下さい(他力本願)


第二十一発目・出撃

 

 

街はまだ眠っている。部屋にはカーテンを透過して淡い月の光が、部屋に広がっている。そんな中、砲代はマキマが起きない様に静かに身支度をする。背広に着替え、ネクタイを締める。

 

冷蔵庫にはまだ卵とウィンナーとがある。パンもあるのだから、朝ごはんは大丈夫だろう。そう砲代は考えると、玄関に行き靴を履こうとする。

 

「どこに行くの?」

 

突然、後ろから声をかけられる。

砲代は靴に足を入れようとする指を止め、一言"仕事じゃと"言えば、ギシギシとフローリングの廊下の床が軋む音が近づいてくる。すると、背広の肩を摘んでマキマは行かないで、と砲代を止める。

 

「今日は大切な仕事があってな。」

 

砲代は後ろを振り返らない。自分自身の顔を、戦に向かう男の顔を見せぬために。しかし、マキマも服を離さない。"それって、一斉捜索の事"と、マキマが呟くと砲代は声色を変えて"どこで聞いた"と言葉を放つ。

少しがなりのついた怖い声色。でも、マキマは落ち着いた声で"上の人から"とだけ喋る。

 

砲代がゆっくりと振り替えれば、廊下の後ろからやってくる月光がマキマを照らしている。その表情は暗く、どんな顔をしているのかなんてわからない。

 

「いっちゃだめ。」

 

なんとも言えない声だった。

少し震えてて、少し泣きそうで、だけど落ち着いた声。肩を掴んだ手から震えた振動を感じる。砲代は右足に履かれた靴を脱ぎ、マキマを肩に手繰り寄せる。

子供にする様に、赤子をあやす様に、頭を撫でて抱擁する。肩には少し水の様なものが染みてゆく。

 

「…生きて帰ってくる。決して死なん。」

 

砲代はそう言うと、マキマを離して靴を履いてドアを開ける。振り向けば、砲代の背で光る街灯がマキマの黄色い片目から静かに涙を静かに照らす。一筋のか細い涙。

 

「戻って来てね。」

 

それは、心配の二文字を明確に表した言葉だった。

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

エンジン音が聞こえる。

黒い大きなワゴン車に男女が8人、一斉捜索の面子だ。いつもはうるさい井伊乃や丸山も、下を向いて何も喋らない。戦う覚悟が明確に決まっているのはクァンシや岸辺、三島や佐々木くらいだと、砲代は思う。

 

さっさと終わらせねばならぬ。

 

そう心の中で誓っているのだ。前の車が止まった時、井伊乃は大きく深呼吸をした。車から降り、ぞろぞろと同じ警察官と歩く。その時、クァンシは井伊乃の背中を叩く。井伊乃は"ヒッ!"と腑抜けた声を出せば皆も吹き出す。

 

皆考えることは同じだ。ならばそれ相応の覚悟と努力をせねばならない。砲代はいつにもない程の強さで、腰にある軍刀を強く握ったのだった。

 

「強制捜索は命懸けになるだろう。」

 

全体取り締まりを行っている男が、出発する時放った言葉である。しかし、死んではならぬのだ。

全員の足が止まる。

 

異様な静けさが周りに漂うそこは、カルト教団の教祖がいると呼ばれる大きな宗教施設であった。

田舎であるはずの小さな村の端にまるで、神社の様に置かれたその宗教施設は異様な雰囲気を漂わせる。

皆が同じガスマスクをつける。門を壊し開け、敷地内に入っていく。2000人ほどの警察官の先頭にはクァンシ率いる対魔課の人員が立つ。

 

「鉄の扉か…」

 

「クァンシさん。電鋸があるようです。」

 

新人警察官がそうクァンシに囁くと、後ろから電動のカッターを持った男達が現れる。

カッターで扉を無理やり開けると、そこは暗闇が広がっている。信者の姿も見えぬ。しかし、廊下の端々で何か吐瀉物の様な濁り切ったものが落ちているのだ。最悪な匂いが鼻に入りながら、中に突入する。

 

「なんか…幽霊とかでそうだよね。」

 

「そうっすよねぇ…」

 

「対魔課の皆さん、大丈夫ですか?」

 

先行部隊として突入したのは対魔課以外にも、得課(とっか)と呼ばれる警察の中でも特殊部隊の様な立ち位置の人々などがいた。

 

「あぁ、あいつらは新人等だ。別に問題ない。」

 

「…こんな大事な任務の時に新人を入れたんですか?」

 

「新人だろうが、強ければ生き残ってこれるのが対魔課だ。その中でも選りすぐりの奴らだ。」

 

クァンシがそう言うと、隊員は押し黙り前を向く。暗い廊下を懐中電灯と銃のフラッシュライトの灯りを頼りに進んでいく。

隊員が階段に足をつけようとした瞬間…

 

「血の悪魔!」

 

そう二階の誰かが叫んだ。

すると、階段近くにいた隊員の二人が赤い槍に上から貫かれてしまう。"伏せろ!"砲代がそう叫び、後ろいた丸山、三島、井伊乃を無理やり伏せさせる。

 

その瞬間、一階の廊下の壁から一斉に銃弾が放たれた。

 

バリバリバリバリと壁を貫通し飛んでくる銃弾は明らかに日本では得ることができない銃火器である事を明確に理解させる。

砲代は飛び回る銃弾の中、辺りを見渡す。

そこで砲代は見てしまう。

 

血だらけになって倒れている得課の隊員の中に、先輩であり、新人歓迎会の時共に飲み交わした花御が同じ様に真っ赤になって倒れているところを。




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Q.おい…なんで人が死んでるんだよ?!この小説は完全無欠のハッピーエンド作品じゃなかったのか?

A.チェンソーマンに何を求めているんだ?

原作突入まで見守りたい人

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