進め歩兵よ!大砲片手に!   作:チチメカ

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TRPGが楽しすぎて、こっちに力が出せないZE!!


第二十二発目・黒いカラス

 

 

銃声が止んだ瞬間、クァンシと岸辺は左右の壁を壊しそれぞれ部屋の敵を殲滅しにいく。

 

「砲代、お前は上だ!」

 

「わかっとる!」

 

死体を乗り越え、刀を素早く抜刀し階段を飛び越え、二歩で駆け上る。

登った先には、口から明らかに吐瀉物を吐いたであろう満身創痍の男が、狂気の顔でこちらに目を向ける。

 

「教祖様!教祖…教祖サマァ!!」

 

「な、なんじゃこいつぅ〜?!」

 

すると自分の腕をナイフで切り裂き、血を流し始める。血はゆっくりと地面へ滴り落ちようと、男の腕から一滴が地面へ落下する。しかし、それは地面に落ちることはなく、その血液は西洋剣の形へ変化する。

 

「敵じゃな?」

 

刀を構え、襲いかかる男の隙を見る。

瞬間、男の首は胴を外れ地面へと落下していく。吐瀉物を吐くほど辛い状況にも関わらず、武器を取ろうとする根気がこの男にあるのだろうかと、思いつつ。二階の扉達を片っ端から開けていく。

しかし、中には……

 

「なんじゃ…これ……?」

 

中には部屋一杯に詰められた、ダンボールかプラスチック製の箱に男や女がぎゅうぎゅうに敷き詰められていた異様な光景であった。

部屋の中には、吐瀉物による異臭が漂い、誰もが"助けてくれ"や"薬をくれ"ともがき苦しんでいる。

 

「おい、砲代何をして……」

 

後ろからやって来た岸辺も押し黙る。

砲代は何も見なかったと、今は見なかったことにしようと扉をしめる。

さっさと大将を捉えなければ、と次の階層に足を踏み込む。その瞬間…

 

「グルゥァァァァアァア!!!」

 

「砲代さぁん!」

 

後ろから凄まじい怒鳴り声と共に三島の叫び声がする。何があったと下に駆けつけようとすると、岸辺に肩を掴まれ"お前は上に行け"と呟き、階段を降りていく。

そうだ。岸辺とクァンシがいる。それにワシが育てた二人もいるのだ。そう友軍を信じ、階段を登る。一回と同じ様な何もない廊下とその向こうにある木製の扉。

軍刀を鞘から抜き出し、扉を蹴破る。

 

「……酷いな君は、人がいる部屋の扉を蹴破るだなんて。」

 

「阿呆を吐かせ、ワシは鬼畜に対して礼節を重んじるほど大層な精神は持ち合わせておらん。」

 

教室二つ分はあるであろうか、その広い部屋にはたった一人の男しかいなかった。その顔は髭に塗れ、目はうつろ、そして不潔な黄色い服を着ては、尊大な喋り方をする鬱陶しい男。

 

「神妙にお縄につけ、この阿呆。」

 

「……君はわたしが捕まると思っているのか?」

 

瞬間、扉の後ろから音がする。

ゾロゾロと、一人や二人の人数ではない。階段を駆け上って来たのは、銃や剣を握り、顔を真っ青で目の焦点も定まらぬ信者達の姿であった。

 

「お前サン……悪魔と契約しとるな?」

 

「いいや?これは信者達の意思だよ。」

 

その時、信者の一人が発砲する。その銃弾は明らかに砲代の肩を掠め、教祖の方への飛ぶ、しかしその銃弾が教祖に当たるかと思えば、瞬間信者の一人が血を吹き出し倒れる。

 

「わたしの残機はつまり、信者の人数。しかし、君たち警察は彼らを容易に殺してはならないし、わたしを生け取りにしたいはずだ。」

 

「……本当にお前は鬼畜じゃの…!」

 

後ろからは信者が、襲い掛かかる。

教祖を殺してもならないし、信者も容易には殺せない。しかも、砲代は気づいていた。信者にもう意識はない事を。

 

涎を吐き、ゲロを吐き、焦点も合わぬその目からは明らかに常人のそれとは異なっている。

 

"これではどうしようもないではないか"

 

そう、砲代は考えていた。この男はデンジの様に合理的にはなれない、なっては行けない男であった。そして、それはいつも通りの残虐性を発揮する事なく蹂躙させられる。

手刀や刀の柄などで気絶させても、意識を失った状態で攻撃してくる、ゾンビの様なそれは砲代の体を打ち抜き、差し抜き、そしてついには……

 

 

 

 

 

…絶命するにあたった。

 

 

 

 

 

「やっと死んだか。」

 

「起きろ、砲代。」

 

「契 約 は ま だ な っ て な い 。」

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

 

「ハッ?!」

 

気がつけば、そこは無数の砲弾が薄暗い外灯に照らされ、部屋の中に陳列する空間だった。

そうだ。数年前、自分(砲代)が銃の悪魔に殺され、連れてこられた場所。

 

「砲代、何故死んでいる?」

 

後ろからの急な声に、砲代は驚き振り向く。そこには一匹の黒いカラスがいた。しかし、そのカラスは明らかに現世のそれではない。足が三本とあり、その大きさは中学生ほどに大きいものであった。

 

「……ワシは死んだのか?」

 

「そうではない。」

 

「じゃぁ、何故ここにワシはおる?!」

 

「私が呼んだからだ。」

 

薄暗い蛍光灯は今に消えそうなほど、不安定に光り輝き、部屋の埃は砲代が怒鳴ると共に砲代の動きに合わせて舞い踊る。

 

「私との契約はまだ履行されていない。」

 

「契約ゥ…?ワシはドン太郎としか……あ?!」

 

「思い出したか?」

 

カラスは面白そうにこちらに顔を覗かせる。嘴から出てくる、その子供を見て笑う様な声は砲代を少しイラっとさせるのだ。

 

「私の力を貸してやる。いや、もう前から貸していたが。」

 

「なんじゃと?!」

 

「私の名前はヤマト。お前の魂に存在する悪魔だ。」

 

羽を大きく広げ、部屋中に羽が舞う。その瞬間、蛍光灯は割れるように光を止め、室内には闇が広がる。

 

「私の力を呼べ!名前を呼べ!その刀の赴くままに!」

 

砲代は長く、暗い穴に落ちる様に意識を失ったのだ。

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

 

「やったな。この警察…犬どもめ。」

 

教祖はその肉で潰れた視界を、ふと前に向ける。

ゾンビの様に動き回る、信者に手を向ける。"行け"と一言はっすれば、下で戦っている暴力の悪魔への増援として信者を肉壁とする気であろう。

 

 

 

 

しかしその時、砲代が起き上がる。

 

 

 

 

 

目をギラギラとさせた、血だらけの武士が。




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